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2004/09/19

BWR原発の減肉問題 1

 保安院の事故調は、9月中に中間報告をまとめ、関電がルール(減肉の「管理指針」)を守らなかったことだけを問題にし、管理指針そのものは概ね妥当であるとの結論を盛り込もうとしています。「BWRの減肉については、全体としてPWRより少ない傾向にあり、現在の管理手法で特に問題となるものではないと考える。」(事故調資料「中間とりまとめに記載する事項について」)とあるように、BWRについては、PWRと比較しても問題はないとの姿勢です。しかし9月7日に発覚した女川原発の減肉事例は、管理指針及びこれを妥当とする保安院と事故調の見解を根底から覆すものとなっています。

■女川原発2号機で見つかっていた「対策材」の激しい減肉
 問題の減肉事例は「原子力発電を考える石巻市民の会」と「みやぎ脱原発風の会」が8月18日に東北電力に提出したによる公開質問書に対する9月7日の回答及びその後の記者の取材によりはじめて明らかになりました。
 女川原発2号機は95年7月に運転を開始しますが、13ヶ月後の第1回定期検査時(96年8~12月)に、給水加熱器ベント管のオリフィス下流の2つの配管で2箇所ずつ、計4箇所で減肉が見つかりました。中には、公称肉厚6.6㎜の配管が、3.2㎜の厚さにまで減っている箇所もありました。試運転を入れても2年弱で実に3.4㎜もの減肉が進んだことになります。これはPWR原発の管理指針にある初期設定減肉率の最大値(1ミリ/年)を大きく超えるものです。石巻市民の会の日下さんの電話に対し保安院は、「奇異な数字だ。加圧水型でも減肉率が1ミリ/年を超えるものはない」と答えたそうです。
 減肉の進行の異常な速さにも関らず、東北電力はそのまま運転を続け、第2回定期検査時(98年1~3月)にようやくステンレス鋼に交換しました。この時の測定値を第1回定期検査と比較した場合も、減肉率は最大で1ミリ/年近くありました。日下さんが女川保安検査官事務所に問い合わせて明らかになった4箇所の数値は以下のとおりです。

○高圧第1給水加熱器ベント系配管
 減肉①
 ・公称肉厚     6.6㎜ 
 ・必要最小肉厚   0.34mm
 ・第1回定検時肉厚 3.2㎜(公称→1回の減肉 3.4㎜)
 ・第2回定検時肉厚 3.0㎜(1回→2回の減肉 0.2㎜)
 減肉②
 ・公称肉厚     6.6㎜ 
 ・必要最小肉厚   0.34mm
 ・第1回定検時肉厚 4.6㎜(公称→1回の減肉 2.0㎜)
 ・第2回定検時肉厚 4.5㎜(1回→2回の減肉 0.1㎜)

○高圧第2給水加熱器ベント系配管
 減肉③
 ・公称肉厚     7.1㎜ 
 ・必要最小肉厚   0.79mm
 ・第1回定検時肉厚 5.2㎜(公称→1回の減肉 1.9㎜)
 ・第2回定検時肉厚 4.2㎜(1回→2回の減肉 1.0㎜)
 減肉④
 ・公称肉厚     7.1㎜ 
 ・必要最小肉厚   0.79mm
 ・第1回定検時肉厚 6.2㎜(公称→1回の減肉 0.9㎜)
 ・第2回定検時肉厚 5.9㎜(1回→2回の減肉 0.3㎜)

■2つの意味で管理指針の想定を超えるもの
 事例は減肉率が管理指針の初期設定値を超えています。それだけでなく、これが起こった箇所が「炭素鋼」ではなく、減肉が起こりにくい材料とされていた「低合金鋼」という材料でできた配管で起きた点も問題です。炭素鋼を低合金鋼にすることは、「恒久対策」とされていたもので、今でもそのような扱いになっています。だからこそ管理指針は炭素鋼だけを対象にしており、対策材である低合金鋼は指針の適用外になっているのです。この点からも、事例は管理指針の限界を示すものとなっています。
 対策材に交換したから大丈夫だ…。と思っていたら…。
 同じようなことが、東電事件後に問題となったステンレスのひび割れ(応力腐食割れ)問題の時にありました。応力腐食割れが起きにくいとされる対策材(L材)に交換して安心していたら、その対策材から次々とひび割れがみつかり、これをバレないように隠蔽して交換していたというのが事件の構図でした。同じことが減肉でも起きていたことになります。

(9月16日記)

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