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2004/09/20

BWR原発の減肉問題 2

女川2号機で見つかっていた対策材の減肉について、2つの疑問から考察を継続します。

■東北電力はなぜこの箇所を調べたのか?
 減肉対策材である「低合金鋼」はPWR管理指針の適用外となっています。BWR各社はPWR管理指針に準じた管理方針を各社が独自に決めているのですが、東北電力が保安院に提出した調査結果によると、東北電力においては低合金鋼も管理の対象に含めています。それでも「減肉が起こりにくい」という扱いで、サンプリングした上で最大10定検毎に測定すればよいことになっています。となると、東北電力が女川原発2号機の第1回定期検査において、この箇所を点検の対象からはずした可能性は多いにあったということになります。なぜ第1回定検にこの箇所を調べることができたのでしょうか?偶然だったのでしょうか?

 女川の件が発覚した直後の9月9日に東電本社交渉があり、その場で「原子力発電情報公開ライブラリー」という公開データベースの中に、過去の減肉事例があることを教えてもらいました。さっそく調べてみると、2号機ではなく女川原発1号機において、以下のような事例が見つかりました。
原子力発電情報公開ライブラリーhttp://www.nucia.jp/

・女川発電所1号機1989年5月22日
・第5回定期検査中、高圧第1給水加熱器Aのベントオリフィス管オリフィス下流部(公称肉厚;6.0㎜)に減肉箇所(測定肉厚;最小3.5㎜)が認められた。そのため,同一設計条件となっている高圧第1給水加熱器Bのベントオリフィス管オリフィス下流部の肉厚測定を追加実施したところ,同様に減肉箇所(測定肉厚;最小3.5㎜)が認められた。
・減肉の認められたベントオリフィス管を外して半割りにし、外観調査を実施したところエロージョン・コロージョンによると見られる減肉が認められた。
・高圧第1給水加熱器内の湿り蒸気が不凝縮性ガスとともにベントオリフィス管に至り、オリフィス前後の圧力差で高速の流体となりオリフィス下流部の管壁に衝突しエロージョン・コロージョンが発生し減肉したものと推定される。
・今定期検査における対策…高圧第1給水加熱器A、Bのベントオリフィス管を同一材質の新管に取替えた。
・恒久対策…次回定期検査時に高圧第1給水加熱器A、Bのベントオリフィス管を耐食性のある低合金鋼の新管に取替る。

 「高圧給水加熱器のベントオリフィス管オリフィス下流部」は、女川原発2号機で問題にしているのと全く同じ箇所です。そこで石巻市民の会の日下さんが東北電力に確認したところ、東北電力はやはり上記の女川原発1号機の事例があったために、女川原発2号機でも同一箇所を測定したということです。もしこの事例がなかったら、おそらくは点検することなく運転を継続していたのではないでしょうか。

■東北電力はなぜ第1回定検時に配管を交換しなかったのか?
 女川原発2号機で見つかっていた4箇所の減肉のうち、第1回定検時にもっとも減肉率が高いのは、公称肉厚が6.6㎜、第1回の測定値が3.2㎜のケースです。運転開始時から定期検査までの時間がおよそ9500時間ですので、ここから計算すると減肉率は1時間あたり1万分の3.6㎜で、必要最小肉厚の0.34㎜に至る余寿命は0.9年となります。(美浜の会の小山さんによると、保安院の資料にある関電のケースでは、減肉率の計算に試運転を含んでいないということなので、保安院のやり方に合わせて試運転時間は除いています。)
 ということは、第1回定期検査の時点で、この配管は一年ともたず、次の定期検査までに必要肉厚を切ってしまう可能性が高いと判断できたことになります。ところが東北電力はこの配管を交換せずに運転を続け、第2回の定期検査でようやくステンレス鋼に交換します。日下さんが女川原子力保安検査官事務所に聞いたところでは、第1回の定期検査時は充填材(サーマナイト)を配管の回りにまきつけた、ということで、すぐに同じ配管と交換した1号機の対応すらしていません。「対策材に対する対策」までは全く考えておらずすぐに対処できなかった、ということかもしれませんが、必要最小肉厚を切る可能性を承知のうえで次回まで交換をしなかったのであれば、その判断に対する責任が追及されてしかるべきだと思います。
 関連して気になるのが「対策材における激しい減肉」という驚くべき事例にも関らず、当時保安院にも他電力にも知らされた形跡がないことです。交渉において保安院は「9月8日の報道ではじめて知った」と答えていますし、東電も「知らなかった」と言っています。この点は、原子力発電情報公開ライブラリーに掲載され、電力間で情報が共有されている女川原発1号機の同一箇所における減肉事例と大きく異なります。
 東北電力とメーカーは、「対策材」における減肉という起こってはならない現象に頭をかかえ、国にも知らせず、秘密裏に、危険を承知の運転をした後に、ステンレス鋼への交換という「対策の対策」を進めていたのではないでしょうか。もしそうであれば、危険を承知でひび割れを放置しての運転を続け「予防保全」という名目でシュラウドや配管を交換していた東電不正事件とやはり同じ構図であるといえるのではないしょうか。

(9月19日記)

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