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2004/10/09

BWR原発の減肉問題 6

 福島第一原発5号機の配管が、必要最小肉厚を切っている可能性があるのに、運転が継続している問題については、以下の記事が流れています。

配管の厚さ基準以下か 福島第一原発5号機/河北新報

福島第1原発5号機の配管、基準値超え「減肉」か--県、東電に説明求める/福島毎日

 福島県の問い合わせに対して、保安院が見解をHPで流しています。

保安院「福島第一原子力発電所5号機の配管減肉管理について」

福島第1原発5号機、安全上問題なし 配管減肉の可能性 保安院、県に回答/福島毎日

 原発の運転にあたり、法令を遵守させるという保安院の最低限の職務をも放棄し、技術基準適合義務に違反している疑いがありながら、運転の継続を容認するひどい内容です。法律など守らなくても安全だ、という信じがたい見解です。

■東電が福島第一原発5号機の配管で大幅な減肉を確認したのは昨年5月でした。この時点で配管の余寿命は0.8年しかなく、定検を終えて発電を開始した9月から10ヶ月後の今年7月には、必要最小肉厚を切る計算になります。ところが東電は次回定期検査の今年11月まで使用しても問題ないと判断し、保安院もこれを容認しているのです。

■保安院は容認の理由にまず、①減肉が局部的であること、②昨年の定期検査時の最小肉厚部においても技術基準に対して一定の余裕があること、③今回東電が用いた減肉率が過大に評価されている可能性があること、の三点を挙げています。しかし以下のように理由にはなりません。

 局部減肉の評価方法は、保安院の美浜事故調の中間とりまとめに「検討することが望まれる」とあるように、今後の課題とされているだけで、現在は「配管全周が、測定された最小肉厚まで減肉していると想定」して判定が行われています。

 また、問題の配管は、1995年に最小で7.1ミリだった肉厚が、昨年の定検で最小4.3ミリとなっていました。技術基準による必要最小肉厚は3.8ミリであり、余裕などありません。安全側に立つのであれば、現在はもう必要肉厚を切っているとの前提で対処すべきです。

 保安院は、東電が余寿命の計算に用いた減肉率0.6ミリ/年が、保安院がPWRで解析した0.2~0.3ミリ/年よりも高いことから、東電の用いた減肉率が過大に評価されている可能性があると指摘しています。
 保安院が減肉率の解析に用いたデータが、美浜3号機を除くと、保安院が各原発につき1例ずつ、電力会社に任意に提出させたもので、減肉率が高いものではなく、逆に、電力会社が減肉率の低い無難な事例を出したとみるべきでしょう。保安院が解析に用いたデータが、減肉の実態を反映しておらず、保安院が解析して得た減肉率が、過小に評価されているのではないでしょうか。
 それに、保安院が解析用いた減肉事例は、今回問題となっている箇所とは流速や温度の条件が異なります。

■保安院は、続けて驚くべき理由を挙げます。
「加えて、現在適用している配管肉厚に関する技術基準には、元々十分な安全裕度が盛り込まれているため、前回の定期検査の時点で一定の裕度を持って技術基準を満たしていた配管については、その後の運転期間中に減肉が進み、仮に技術基準上の最小許容肉厚に達したとしても、これがただちに安全上の問題に結びつくことはない。」

 電気事業法は、技術基準に適合することを要求し、配管の肉厚が技術基準で示される必要最小肉厚を上回る状態を維持することを求めています。これは自主点検の部位についても適用されます。これに違反した場合は、保安院は技術基準適合命令を発し、それにも従わない場合には罰せられます。保安院はこの法律を遵守させ、技術基準に適合するように事業者を監督する立場にあるはずです。技術基準には余裕があるから必要肉厚を切っても大丈夫だというのは、こうした立場を捨てるものです。一体何のための技術基準か、何のための安全余裕か、何のための電気事業法か、保安院の存在意義すら疑いたくなります。

 保安院は、問題の部位が美浜3号機事故と同様な事故が起こらない部位であることも理由に挙げていますが、美浜事故と同じ事故だけを問題にするのは、配管破断の影響をあまりに矮小化しすぎではないでしょうか。

 見解は、東電が「配管内の圧力などを計算すると、実際には肉厚0.3ミリでも耐えられ、余寿命も6年あると解釈して交換期を11月からの定検時に決めた」ことを事実上容認するものであり、となると保安院が、関電が独自の解釈をして寿命を長く計算していたことを批判したのとは異なる対応を取っていることになります。

■保安院によると、今回の経緯は以下のようでした。
・本年8月…保安院は美浜3号機事故を踏まえ、減肉管理が行われていない部位の有無を至急調査。
・本年9月…保安院は全国の保安検査官に対し、過去の減肉管理状況を保安検査の一環として確認するよう指示。
・本年9月14日…福島第一保安検査官事務所において、保安検査実施中に前記のような点検記録があることを確認。保安検査官が東京電力の説明を聴取し、本院原子力発電検査課とも協議した結果、次回定期検査まで運転を継続しても安全上の問題は生じないと判断。
・本年10月5日…福島県からの求めに応じて東電が過去の配管肉厚点検記録を同県に説明した中に上記の測定結果が含まれていた。
・本年10月6日…福島県は当院福島第一保安検査官事務所長あてにFAXを送付し、本件に関する当院の見解を求めてきた。

 もし福島県が動かず、11月の定検まで配管がもてば、この件は誰にも明かされることなく済んでいたでしょう。9月に容認したのはそうした動きを想定していたのではないでしょうか。福島県の指摘を受けたからには、直ちに止めて検査をさせるべきだったのですが、一旦容認していた経緯があったことから、メンツを優先し、開き直ってとんでもない見解を出してきたのではないでしょうか。

 福島県は、保安院の見解に疑いを呈し、東電に対して運転の停止を要求しています。

「速やかに配管交換を」/県、事実上の運転停止要請/福島第一原発5号機の減肉/福島民報

福島第1原発:5号機の配管が減肉、県「運転停止を」--東電に/毎日新聞

配管早急に交換を 東電に県要求 福島第一原発5号機/河北新報

 保安院は、今からでも見解を撤回し、直ちに福島第一原発5号機を停止し、問題部位の検査をさせるべきです。福島県にも強い姿勢で事に当たってもらいたいと思います。また、9月に減肉の過去の管理状況を調査した結果についても包み隠さずに明らかにすべきです。

(10月9日記)

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