【県技連】県は議会で技術連絡会を7月中に開くことを明らかに
「福島民報」「福島民友」は6月25日付で、 福島県は県原子力発電所安全確保技術連絡会を7月中に開くと 県議会企画環境委員会で明らかにしました。 この技術連絡会では、6月10日に県と立地町が行った1F3への立ち入り調査の結果の報告を受け、さらに、5月31日の技術連絡会で県原子力行政連絡会議の専門委員から出された10項目の論点について、東電から補足説明をうける とのことです。
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「福島民報」「福島民友」は6月25日付で、 福島県は県原子力発電所安全確保技術連絡会を7月中に開くと 県議会企画環境委員会で明らかにしました。 この技術連絡会では、6月10日に県と立地町が行った1F3への立ち入り調査の結果の報告を受け、さらに、5月31日の技術連絡会で県原子力行政連絡会議の専門委員から出された10項目の論点について、東電から補足説明をうける とのことです。
美浜の会HPより
福島プルサーマルにも関係しますのでご紹介させていただきます。
高浜3・4号機プルサーマルに関する質問・要望書
◆ 使用済MOX燃料は処分の方法も決まっておらず、高浜町に超長期にわたって保管され続ける危険性があります。
◆ 米国では、何度も使用済燃料プールのプール水漏えい事故が起き、環境が汚染されています。将来にわたって高浜町の自然を守るため、 使用済MOX燃料の諸問題について慎重に検討してください
6月20日付 読売福島版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20100619-OYT8T01049.htm
■6月23日付 22日の要請行動について
プルサーマル中止 県と県議会に要望 脱原発ネットなど(福島民報)
(前略)17日に福島第一原発2号機(大熊町)で原子炉が自動停止したトラブルについて、事業者に原因究明と情報公開を徹底 させるよう求める要望書も出した。佐藤世話人ら9人が県庁を訪ねた。
プルサーマル中止を求める(福島民友)
(前略)また、同原発2号機で起きた、外部電源の不具合による自動停止について、県が情報開示を求めるよう要望した。福島老朽原発を考える会など7団体も同趣旨の要請を行った。
■6月22日付 増子経産副大臣の視察関係
増子副大臣は、21日、横尾エネ庁電力・ガス事業部長、黒木保安院審議官ら11人を引き連れて福島第一3号機を視察した。東電は、小森第一発電所長が対応し、原子炉建屋の燃料交換機制御操作室(MOX燃料の健全性の確認)、タービン建屋内の給水系配管の減肉測定現場(高経年化対策の確認)などを調査した。その後、東電社員等300人を集めて、「国民の安全、安心、信頼を勝ち取るのが最も大切」 などと訓示した
増子副大臣は、耐震安全性の確認は「7月中に結論が出せるだろう」と述べたほか、保安院の分離を含む原子力安全確保の在り方検証を参院選後に設ける検証会議で6回開催する予定で、初回に雄平知事の出席を求めると述べた
■6月23日付 保安院審議官の見通し(福島民報)
保安院の黒木審議官(実用発電用原子炉担当)が6月21、22両日、原子力安全月間(5、6月)の一環として、東電福島第一・第二原発、立地町などを訪問した「両原発では、発電所幹部、協力企業とそれぞれ懇談し、検査業務や情報提供、人材育成などのあり方について意見を交わした」「立地町長との懇談では、(中略)技術的3条件について、保安院の検証の進捗状況を説明した」技術的3条件の検証の進捗について、22日の記者との懇談会で、「耐震安全性については、大きな課題がなければあと数回で評価がまとまる」「高経年化対策は、22日に保安検査を実施し、結論まで時間を要しない」「MOX燃料の健全性は、あと1回程度の会議で結論が出る見通し」
6月24日 原子力安全委員会 立入検査の結果報告
6月28日 長期保管MOX燃料健全性意見聴取会(3回目)(冒頭は非公開)
6月29日 耐震バックチェックに関する審議会
■第41回原子力安全委員会の開催について
1.開催日時 平成22年6月24日(木)14:00~
2.開催場所 中央合同庁舎第4号館7階 内閣府742会議室
3.議 題
(1) 原子燃料工業株式会社東海事業所における核燃料物質の加工の事業の変更許可について(諮問)
(2) 実用発電用原子炉に係る平成21年度第4四半期の使用前検査、燃料体検査、定期検査及び一部使用承認に係る機能確認等のための立入検査の実施状況について
(3) 電気事業法に基づく定期安全管理審査について(平成21年度第4四半期分)
(4) 電気事業法に基づく溶接安全管理審査について(平成21年度第4四半期分)
(5) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号機において長期保管したMOX新燃料の健全性の確認のための立入検査の実施結果について
(6) 原子力安全意見・質問箱(5月分)に対する回答について
(7) その他
4.傍聴希望者の受付
傍聴を希望される方は開催時刻の15分前までに中央合同庁舎第4号館7階742会議室前にお集まり下さい。ただし、席に限りがありますので、傍聴希望者が多数の場合には15分前までにお集まりいただいた方の中からの抽選とさせていただきます。
■長期保管したMOX新燃料の健全性に係る意見聴取会(第3回)
日時 平成22年6月28日(月) 13:30~16:00
場所 経済産業省別館10 階第1038 号会議室
議題
1. 東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号機において長期保管したMOX新燃
料の健全性について
2. その他
傍聴をご希望の方は、6 月25 日(金)12:00 までに氏名(漢字およびカタカナ)、職業(所属・役職)、連絡先(電話番号・FAX 番号)を明記の上、件名を「長期保管したMOX新燃料の健全性に係る意見聴取会傍聴希望」とし、下記の問い合わせ先まで、FAX にて登録してください。ご登録なき場合は、傍聴をお断りする場合があります。希望者多数の場合は抽選とし、傍聴不可の方のみ、事前に連絡しますので予めご了承ください。傍聴可の方については入構の事前登録を行います。入構の際は身分を証明できるものを提示して下さい。
また同日は、商業機密に属するデータ等を含む内容についても意見聴取を行うため、当該部分(冒頭)については非公開とします。14時30分以降から公開しますので、1038 号会議室にてお待ち下さい。なお、非公開部分については、後日、商業機密に属する情報を除いた議事要旨等を公開致します。
問い合わせ先
原子力安全・保安院 原子力発電安全審査課 玉木、佐久間
【発電安全審査課】TEL:03-3501-6289 FAX:03-3580-8535
■耐震・構造設計小委員会構造ワーキンググループ第26回Aサブグループ会合
日時 平成22年6月29日 10:00~12:00
場所 経済産業省別館9階各省庁共用944号会議室
議題
新耐震指針に照らした既設発電用原子炉施設等の耐震安全性評価について(福島第一3号機)その他
傍聴をご希望の方は、6月28日(月)12:00までに氏名(漢字およびカタカナ)、職業(所属・役職)、連絡先(電話番号・FAX番号)を必ず明記の上、件名を「構造ワーキンググループ第26回Aサブグループ会合傍聴希望」とし、下記の問い合わせ先まで、FAXにて登録してください。ご登録なき場合は、傍聴をお断りする場合があります。希望者多数の場合は抽選とし、傍聴不可の方のみ、事前に連絡しますので予めご了承ください。傍聴可の方については入構の事前登録を行います。入構の際は身分を証明できるものを提示して下さい。登録なき場合は、傍聴をお断りする場合があります。
問い合わせ先
原子力安全・保安院原子力発電安全審査課 玉木、増田
TEL:03-3501-6289
FAX:03-3580-8535
福島のみなさんとともに福島プルサーマルについて、福島県議会への請願・陳情と、福島県原子力安全対策課への要請および記者会見を行いました。午前中は脱原発福島ネットワークの佐藤和良さんを中心に、福島県議会宛にプルサーマルについての請願と請願署名の提出、福島第一2号機の電源喪失・水位低下事故について緊急の陳情を行いました。午後は、県原子力安全対策課へ行って、要望書の提出と課長とのやり取りを1時間ほど。その後記者会見を行い、さらに、開会中の県議会で、県民連合の古市議員のプルサーマルについての質疑の傍聴しました。
一つ一つ着実にと言いながらも…
県原子力安全対策課への要請では、脱原発福島ネットワークと福島老朽原発を考える会他福島・首都圏・静岡の8団体のそれぞれから、プルサーマルについて及び福島第一2号機の事故についてそれぞれの要望書(計4通)を提出し、2つの問題についてやりとりしました。8団体の要請文は最後に付けています。(福島第一2号機の件についてはこちら)
プルサーマルの検討について、こちらは、期限ありき結論ありきでやらないで欲しい、福島第一2号機の事故の検討を優先すべきと要請しました。課長は、県技術連絡会で東電から説明を受けたがメンバーが咀嚼できず、わかりやすい説明が求められている、本質的なところで疑問点に明確に答えるよう要求していきたい、一つ一つ着実に行いたいと述べました。しかし、国が攻勢をかける中でやることは限られているようです。傍聴した県議会での答弁もあわせると…
3条件の国の検討について、通常の安全審査の手続きに従い、原子力安全・保安院だけでなく、原子力安全委員会のダブルチェックを受けるよう要請すべきではないか?
→それは国が判断すること
高経年化対策の中に高経年化を考慮した新指針に基づく耐震安全評価が抜けているがこれをプルサーマル実施前にやらせるべきではないか?
→高経年化対策報告そのものの提出を求めることはしないが、補足の報告は求めることになるだろう
といった具合です。
使用済MOXの問題…国の約束を信じている!??
要請の中心であった使用済MOX燃料の「処分の方法」について、こちらから、東電と国や関電との間で法解釈についての見解の相違があり、東電だけが処分の目途のない使用済MOX燃料の発生を正当化していること、さらに、使用済MOX燃料の行方について、東電が東京では、共用プールに移し、将来は敷地内で乾式貯蔵を行う見通しを示し、福島県外へ搬出するつもりなどないことをについて説明しました。
県は、関心をもち注視していくとしながらも、使用済MOX燃料については、将来再処理する際に福島県外に搬出するという国の約束を信じている、と繰り返しのべました。東電の姿勢、使用済燃料の現状、六ヶ所再処理の惨状や第二再処理工場の検討が始まっていないことなど縷々説明するのですが、「国を信じる」の一点張りです。そもそもこの問題は福島県が最もこだわっていた件で、2010年には第二再処理工場ができて、共用プールからの搬出が始まるとの「国との約束」があっさりとやぶられたことが、プルサーマル凍結の要因の一つだったはずです。国の約束がいかに当てにならないかは他ならぬ福島県が一番わかっているはずです。しかし誰かに厳命されているかのように態度は頑なで、検討するつもりはないようです。
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2010年6月22日
福島県知事 佐藤 雄平様
使用済MOX燃料の「処分の方法」に関わる要請書
ストップ・プルサーマル!ふくしま
ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会
東京電力と共に脱原発をめざす会
空と海の放射能汚染を心配する市民の会
ストップ・ザ・もんじゅ東京
浜岡原発を考える静岡ネットワーク
福島老朽原発を考える会
私たちは、プルサーマルが実施されれば、使用済MOX燃料が原発プールに保管され続けるのではないかと強い危惧を抱いています。とりわけ、下記のような使用済MOX燃料に関する東電の奇妙な見解を聞くとなおさらです。
福島第一原発3号機のプルサーマルについて、先日6月3日に東京電力本社で行った東京電力と市民団体との交渉の場で東京電力は、「使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管は『処分の方法』にあたる」と述べ、処分の方法が決まっていない使用済MOX燃料の発生を正当化しました。同じことを原子力安全・保安院に確認したところ、「使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管は『処分の方法』にはあたらない」と逆の回答でした。このままプルサーマルが実施されれば、原発サイトが核のゴミ捨て場になってしまうと深く憂慮しています。この件に関し、以下を要請いたします。
要 請 項 目
一.使用済MOX燃料の「処分の方法」について東京電力の見解を質してください。
東電 「使用済MOX燃料のプールでの管理・貯蔵は『処分の方法』にあたる」
保安院 「使用済MOX燃料のプールでの管理・貯蔵は『処分の方法』にあたらない」
一.処分の方法が決まっていない使用済MOX燃料の発生は原子炉等規制法に違反します。現段階でのプルサーマル実施は法律違反です。この件につき東電、国に見解を出させてください。
一.原子力長期計画においては、六ヶ所再処理工場などの現状を踏まえて2010年頃から使用済MOX燃料の「処理の方策」の検討を開始することになっています。六ヶ所再処理工場の目処がつかない現状を踏まえ、福島第一原発3号機でのプルサーマル実施についての貴県での検討に使用済MOX燃料の処分の問題を加えてください。
要 請 理 由
原子炉等規制法は使用済燃料の「処分の方法」の記載を義務化
原子炉等規制法は、第23条第2項第8号において、原子力施設の設置許可申請を行う際に、「使用済燃料の処分の方法」を記載することを要求しています。さらに、この法律の下位にある「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第二条第1項第五号には、「法第23条第2項第8号の使用済燃料の処分の方法については、その売渡し、貸付け、返還等の相手方及びその方法又はその廃棄の方法を記載すること」との記載があります。原子炉等規制法は、「処分の方法」を設置許可申請書に具体的に記載して許可を受けることを義務付けることにより、「処分の方法」が具体的に示されないような使用済燃料の発生を禁じています。事実、東京電力の申請書では該当項目に、「再処理委託先の確定は、燃料の炉内装荷前までに行い政府の確認を受けることとする」との記載があり、「処分の方法」として再処理を選択して燃料の炉内装荷前までにその委託先を確定することにしています。しかしながら東京電力の1998年のプルサーマルのための変更申請書からは、「ただし、燃料の装荷前までに使用済燃料の貯蔵・管理について政府の確認を受けた場合、再処理の委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることとする。」という記載が追加されています。これが使用済燃料を半永久的にプールに保管することを可能にし、「処分の方法」を記載するという法的義務を満たしてないことから、原子炉等規制法違反であることは明白です。
東京電力だけが使用済MOX燃料の超長期の保管を「処分の方法」として正当化
そのような経緯の上で、6月3日に東京で行った市民団体との交渉の場において東京電力は、使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管が「処分の方法」にあたるのかという質問に対し、「処分の方法にあたる」と言い張り、使用済MOX燃料の超長期の保管を正当化しました。「処分の方法というのは再処理のことですね」「はい」「では、貯蔵・保管は処分の方法にはあたらないですね」「いえ、再処理を前提とした貯蔵・保管なのであたります」という具合です。プールでの「貯蔵・保管」が「処分の方法」にあたるとすれば、原子炉等規制法に照らした場合でも、再処理の目途のない使用済MOX燃料の原発サイトでの超長期の保管が許されることになってしまいます。
これは法律の曲解ではないかと思い、交渉の翌週に、原子力安全・保安院原子力発電安全審査課に確認したところ、「管理・貯蔵は処分の方法には当たらない」との回答がありました。法的根拠を聞くと、使用済燃料プールは、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」の第2条にある原子炉設置許可申請書に記載が必要な施設のうち、「核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設」(使用済燃料も新燃料も同じ)にあたるからだということでした。別日、関西の市民団体が、関西電力本社との交渉において同趣旨の質問を行ったところ、やはり、「管理・貯蔵は処分の方法には当たらない」との回答でした。使用済MOX燃料の超長期の保管を正当化しているのは東京電力だけです。
福島第一原発3号機の使用済MOX燃料は永久に原発サイトに残り続ける
さらに東京電力は市民との交渉において、福島第一原発3号機の使用済MOX燃料の行方について、「むつ」に建設中の中間貯蔵施設には持っていかない、福島第一原発の共用プールには持っていけるよう許可を取っている、敷地内の乾式貯蔵については将来の選択肢としてある、共用プールも乾式貯蔵も敷地内なので搬出にはあたらない、と回答しました。この東京電力の回答は、使用済MOX燃料を処理する再処理工場建設の目途が全くない状況では、使用済MOXはとりあえず福島第一原発3号機のプールに入れ、その後共用プールへ、これも寿命がくるでしょうから、その後は乾式貯蔵用のキャスクに入れ、原発が全て廃炉になった後も敷地内のどこかに永久に留め置かれることを意味します。
この件につきましては、貴県から東京電力に対し、見解を質していただきたく思います。
以上、 東京電力が使用済MOX燃料の原発サイトにおける超長期の保管を正当化していることや、六ヶ所再処理工場のどうにもならない現状、第二再処理工場の検討が全く進んでいない現状を踏まえ、福島第一原発3号機でのプルサーマル実施についての検討項目に使用済MOX燃料の問題を加えることを要請いたします。
連絡先/東京都新宿区神楽坂2-19-405AIR 03-5225-7213/福島老朽原発を考える会
福島県へ緊急の要請
本日、福島のみなさんとともに福島プルサーマルについて、福島県議会への陳情と、福島県原子力安全対策課への要請および記者会見を行いました。県への要請の際に、福島第一2号機の電源喪失・水位低下事故についても緊急の要請を行いました。提出した要請文は最後につけます。
対応した福島県原子力安全対策課長は電源にトラブルはあったが、非常用ディーゼル発電機は問題なく立ち上がったと聞いている、注水に使った隔離時冷却系ポンプはタービン駆動で立ち上がったとのことでした。今朝の福島民報には、県が東電に対し原因究明の徹底を要請した記事があり、その中で安全対策課長のコメントとして、安全上問題であったが法令違反ではなかった旨の記述がある点については、そう言ったつもりはなく、法令違反の可能性も含めて現状は不明だとのことでした。東電に対しては中間段階でも状況の報告を求めていくとのことでした。
東電本社での聞き取り
同じ時間に高木さんや東井さんが東電本社に行って話を聞いてきました。以下のような話だったとの事です。
・事故の発端は、外部電源を取り入れるための遮断機が、バックアップをいれて4台あるものがすべて止まったこと。原因は不明だがこれが一番深刻。
・非常用ディーゼル発電機はすぐに立ち上がった。十数分間起動しなかったような報道があるがそうではない。
・外部からの電源がストップし、常用の電源が切れ一時制御室も停電した。非常用ディーゼル発電機が立ち上がり、非常用の電源は使えた。
・復水ポンプは2台とも停止し、炉内圧力が上昇。圧力逃し弁が開閉し、蒸気が逃げ、水位が低下した。
・タービン駆動の隔離時冷却系ポンプにより水位を回復させた。
・あと40センチ水位が下がればECCS(高圧注水系)が作動した。今回はECCSではないが、冷水により急冷した点は同じ。
3度目の急冷ということになります。今のところ4台ある外部電源からの遮断機が全部下りてしまったことが問題ですが、原因は全くわかっていないようです。
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2010年6月22日
福島県知事 佐藤 雄平様
炉心溶融一歩手前の福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故及び同型の3号機でのプルサーマル実施に関する緊急要請書
ストップ・プルサーマル!ふくしま
ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会
東京電力と共に脱原発をめざす会
空と海の放射能汚染を心配する市民の会
ストップ・ザ・もんじゅ東京
浜岡原発を考える静岡ネットワーク
福島老朽原発を考える会
6月17日に発生した福島第一原発2号機における電源喪失・水位低下事故は、このまま水位低下が止まらなければ、炉心が溶融し、大量の放射能が放出される重大事故に至りかねないものでした。発電機停止後、外部電源への切り替えに失敗し、非常用ディーゼル発電機の即時の起動にも失敗して、所内は十数分にわたり電源喪失(ステーション・ブラックアウト)の状態が続いたとのことです。電源を失った十数分間がどんな時間であったか、炉内で何が起きていたのか、操作室の運転員たちはどうであったのか、想像するだけでも私たちは恐怖を感じざるをえません。
2号機は過去二度もECCS(緊急炉心冷却装置)が作動する事故が発生しています。三度目の急冷で原子炉へのダメージが心配されます。
東電は事故の詳細について明らかにしていません。18日に行われた福島県原子力関係部長会議で東電は、事故原因について誤った情報を伝えていたとの報道もありました。徹底した原因の究明と徹底した情報公開が求められます。
隣の3号機ではプルサーマルが予定されています。2号機と同型炉で出力も同じです。電源喪失に至る同じ欠陥を抱えているかもしれません。昨年8月には電源ケーブルでトラブルが発生しています。もしプルサーマル実施中に重大事故が発生すれば、被害は一層深刻なものになります。今はとてもプルサーマルどころではありません。2号機の事故の解明を優先すべきです。
この件に関し、以下を緊急に要請いたします。
要 請 事 項
一.炉心溶融一歩手前だった福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故について原因の徹底究明に努めてください。東電・国に原因究明と情報公開を徹底させてください。
一.この事故について県民への説明会を開催してください。
一.2号機の事故の解明を優先し、プルサーマルに関する県の検討を中断してください。
一.同型で同じ事故の危険をもつ3号機でのプルサーマル実施を止めてください。
連絡先/東京都新宿区神楽坂2-19-405AIR 03-5225-7213/福島老朽原発を考える会
福島民友やNHKの情報では、事故は 発電機の不具合による自動停止→外部電源への切り替え失敗 ではなく、外部電源を供給するシステムの不具合がそもそもの原因で、自動停止に至ったようです。原子力関係部長会議を開いた福島県には誤った情報を伝えていたようです。東電のHPにあいかわらず抽象的な報告があるだけです。
外部電源の不具合原因/第1原発2号機の自動停止(福島民友)
http://www.minyu-net.com/news/news/0619/news4.html
東京電力福島第1原発2号機(大熊町)が自動停止し冷却水の水位が低下した問題で、自動停止の原因が同号機へ外部電源を供給するシステムの不具合だったことが18日、東電への取材で分かった。報告を受けた県は、佐藤雄平知事が同日開いた原子力関係部長会議で東電に対し原因究明と再発防止の徹底を求めるよう指示するなど、県民の安心確保にかかわる事態とみている。 (2010年6月19日 福島民友ニュース)
原発トラブルの原因究明を(NHK)
17日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉が自動停止した問題で、福島県の佐藤知事は、「徹底的にトラブルの原因を究明するよう東京電力に求める」という考えを示しました。この問題は、17日の午後、運転中だった福島第一原発2号機で発電機の異常を知らせる警報が鳴って発電機が停止し、原子炉も自動停止したものです。
この問題を受けて佐藤知事は、18日開かれた県の関係部長会議で「徹底的にトラブルの原因を究明するよう東京電力に求める。二度とこのようなことが起こらないようしっかりと確認作業を進めてほしい」と述べました。
またこの会議の中で県の担当者は、東京電力側が当初、発電機が停止した原因を「発電機そのもののトラブル」と説明していたことについて、18日になって「外部からの電源の供給が何らかの原因でストップしたため保護装置が働いて発電機が止まり、その結果、原子炉の自動停止に至った」と県に報告があったと明らかにしました。東京電力はこの件について報道機関などへは発表していませんでしたが、「今後の再発防止対策などとあわせて発表するつもりだった」と説明しています。 06月19日 07時52分
非常用ディーゼル発電機の起動について(新潟・金子さんより)
今回の事故では、非常用ディーゼル発電機の起動に十数分かかったとされています。しかし、外部電源喪失のとき、保安規定では10秒以内に非常用ディーゼル発電機を起動しなければなりません。その後、崩壊熱を冷やす残留熱除去系ポンプが2秒以内に起動。
外部電源喪失を模擬した柏崎刈羽1号機系統機能試験のデータがあります。発電機起動が7,6秒、残留熱除去系ポンプ起動0,3秒でした。試験結果送ります。
http://www.tepco.co.jp/nu/material/files/s10012902.pdf
(25ページから)
→上記資料には、「判断基準として、起動信号により非常用ディーゼル発電機(以下「D/G」)が自動起動し、以下の時間内にD/Gの遮断機が投入されること。・D/G(A)(B):10秒」とあります。非常用ディーゼル発電機は、起動信号から10秒以内に起動することが要求されているのです。
◎地震で緊急停止したときの水位、温度、圧力の変化
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/taishinpjc/taishinpjc004/siryo4-5.pdf
過去二度のECCS(緊急炉心冷却装置)作動について(東井さんより)
92年9月29日、水位が3.1mも下がってECCS作動。その折に、過去に隠していたECCS作動事故(誤作動と称して)を白状。81年5月12日真夜中のことでした。水位は2.4m下がり、ECCS作動。
給水ポンプ・復水ポンプの異常から全給水を失い水位低下したものです。ECCS(高圧注水系&隔離時冷却系)による給水を続けるも、圧力逃がし弁が開いたため(?)減圧沸騰が起こり、水位は激しく上下。17分余りでようやく給水回復したのでECCSを手動解除(TMI教訓に反する)
このとき、ECCS作動は伏せられて、単なる自動停止事故と報告。そのためECCS事故だったことは92年の事故の折にやっと出てきた報告書から判明したものです。それまでは91年の美浜事故が国内初のECCS作動事故とされていました。
92年当時、かなり追及したのでしたが、真相は途中までとなっています。警報記録やチャートがきちんと残って(残して?)いなかったのです。
92年の事故も、給水・復水ポンプの故障から始まっています。このポンプは、炉心に冷却水を戻してやるためのポンプです。ですからこれらのポンプが停止すれば、空焚きの危険性→炉心溶融です。
81年の事故では、タービン停止に伴う電源切り替えのさいに、瞬時に高圧復水ポンプが停止してしまったとのことでした。今回の事故(まだ詳細はわかりませんが)と重ねると、
この電源切り替えの信頼性が乏しいような・・・・?
そして外部電源遮断により、非常用ジーゼルが起動→給水回復(隔離時冷却系は直流電源で作動)この外部電源、東北電力からなどと書いている報道がありましたが、かつてリスク対策として、隣のプラントから持ってくるように共有化して信頼性を高めたのではなかったかと思うのですが・・・・?
事故は、発電機の停止→原子炉緊急停止(スクラム)→外部電源への切り替えに失敗→非常用ディーゼル発電機がすぐに立ち上がらず一時電源喪失→給水ポンプが停止し炉内水位が2メートル低下→非常ディーゼル発電機がようやく立ち上がり隔離時冷却系ポンプによる注水により水位回復…という経過をたどったようです。
事故について、東電HPには昨日6月17日の段階で以下のプレスリリースがアップされていました。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10061703-j.html
しかしここには、「この事象にあわせて当該プラントの電源が停止し、非常用ディーゼル発電設備が自動起動するとともに、原子炉へ給水するポンプが停止したことから、原子炉の水位が一時的に低下しましたが、代替のポンプである原子炉隔離時冷却系を起動して給水を行い、現在、原子炉の水位は通常の範囲内で安定しております」と書いてあるだけで、詳しいことはわかりません。今日になって報道記事により、ようやく深刻な状況の一端が明らかになったのです。
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9632070&newsMode=article
http://www.minyu-net.com/news/news/0618/news5.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000142-mailo-l07
原子炉は、緊急停止に成功しただけでは収まりません。核分裂は止まっても、燃料からは崩壊熱が発生するので、冷却水で冷やし続けなければなりません。もし電源喪失が長引き、水位がさらに低下すると、燃料棒がむき出しとなり、崩壊熱により燃料が溶けてしまう(メルトダウン)最悪の事態となります。米国スリーマイル原発ではここまで事態が進みました。溶けた燃料の塊が水に触れて爆発する(水蒸気爆発)が起これば、チェルノブイリ原発事故のように大量の放射能が環境中に放出されてしまいます。今回はそのような恐ろしい可能性をもった事故でした。
それにしてもまだ疑問が多々あります。
・発電機が止まった後、外部電源への切り替えに失敗したのはなぜか?
・非常用ディーゼル発電機の起動に時間がかかったのはなぜか?
・水位が2メートル下がったというが、正確に把握できているのか?
・緊急の炉心冷却は今回で3度目だが、炉の急冷による影響はどうなっているのか?
・隣の福島第一原発3号機をはじめ同型炉にも同じ問題があるのではないか?
・東電のプレスリリースでは事故の深刻さは伝わらないのではないか?県や国にはきちんと伝わっていたのか?
福島第一原発のような沸騰水型原発では炉内の水位の把握が難しく、水位計の信頼性については前から議論がありました。緊急炉心冷却系の作動は設計では、生涯で3回以内だったように思います。もちろん、同型炉の3号機でのプルサーマル実施などもってのほかです!!!
プルサーマルを行う福島第一原発3号機は明日から定期検査に入りますが、昨日自動停止した隣の2号機は原子炉の水位が2メートルが下がるという深刻な事故です。プルサーマルどころではありません!!
◆福島第1原発:2号機トラブル 原子炉水位が低下 11年半ぶり自動停止 /福島
6月18日12時19分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000142-mailo-l07
運転中の福島第1原発2号機(大熊町)が17日、発電機の故障で自動停止したトラブルは、原発を安全に停止するために必要な外部からの代替電力の供給が行えず、原子炉の水位が約2メートル低下する深刻な事態だった。東京電力は同日、県と原子力安全・保安院にトラブルを報告したが、復旧のめどは立っていない。
東電によると、同日午後2時50分ごろ、タービン建屋内の主発電機を制御する「界磁遮断機」が故障し、発電機とタービンが停止。タービンを回す蒸気の発生を止めるため、原子炉も停止した。原子炉本体に問題はなく、放射能漏れなど外部への影響はないという。同原発の自動停止は98年11月の3号機以来、約11年半ぶりだった。
原子炉が止まった場合、外部の送電線から発電所内の電力を供給するが、切り替え装置が機能せず、2号機全体が停電。このため、原子炉内に冷却水を給水するポンプが動かなくなった。十数分後に非常用のディーゼル発電機が起動し、代替ポンプで水位を回復させた。
水位の低下は炉心の燃料棒を露出させ、原発にとって最も危険な空だき状態を引き起こす恐れがある。原子炉は停止しても、停止直後の燃料棒には熱が残っているため、重大な事故になる可能性がある。今回も水位の低下が止まらなければ、緊急炉心冷却装置が作動していた。【関雄輔】
本日行われた「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会 構造ワーキンググループ 第25回Aサブグループ会合」における東電説明資料がアップされています。
http://www.tepco.co.jp/cc/direct/10061701-j.html
保安院と東電のHPをみると、福島プルサーマルの3条件のうち、高経年化対策についての報告書を東電が保安院に今日提出したようです。
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/pdfdata/bi0609-j.pdf
保安院は、高経年化問題のワーキンググループで審議するとしています。
http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/oshirase2010/220617-7.htm
ただ、東電の文面を見る限り、提出した報告書は、5月下旬に東電が福島県に提出した報告と同じもののようです。となると、高経年化を考慮した耐震安全性の問題については、ごっそりと抜けたままだと思います。
保安院検査課から立入検査について報告がありました。東電の外観検査の確認と、独自に行った外観検査結果について一部ビデオを使いながら説明しました。問題ないとの結論でした。委員から質問はなく、その後審議は非公開となりました。
◆「MOX燃料異常なし」 プルサーマル計画で保安院
(2010年6月16日 福島民友ニュース)
福島第一原発3号機のプルサーマルについて、先日6月3日に東京電力本社で行った東京電力と市民団体との交渉の場で東京電力は、「使用済MOX燃料の プールでの貯蔵・保管は『処分の方法』にあたる」と述べ、処分の方法が決まっていない使用済MOX燃料の発生を正当化しました。同じことを原子力安全・保安院 に確認したところ、「使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管は『処分の方法』にはあたらない」と逆の回答でした。
東電 「使用済MOX燃料のプールでの管理・貯蔵は『処分の方法』にあたる」
保安院 「使用済MOX燃料のプールでの管理・貯蔵は『処分の方法』にあたらない」
このように東電だけが処分の方法が決まっていない使用済MOX燃料の発生を正当化しています。このような使用済MOX燃料の発生は原子炉等規制法に違反します。現段階でのプルサーマルの実施は法律違反です。
原子炉等規制法は使用済燃料の「処分の方法」の記載を義務化
原子炉等規制法は、第23条第2項第8号において、原子力施設の設置許可申請を行う際に、「使用済燃料の処分の方法」を記載することを要求しています。さらに、この法律の下位にある「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第二条第1項第五号には、「法第23条第2項第8号の使用済燃料の処分の方法については、その売渡し、貸付け、返還等の相手方及びその方法又はその廃棄の方法を記載すること」との記載があります。原子炉等規制法は、「処分の方法」を設置許可申請書に具体的に記載して許可を受けることを義務付けることにより、「処分の方法」が具体的に示されないような使用済燃料の発生を禁じています。事実、東京電力の申請書の該当項目には、「再処理委託先の確定は、燃料の炉内装荷前までに行い政府の確認を受けることとする」との記載があり、「処分の方法」として再処理を選択して燃料の炉内装荷前までにその委託先を確定することにしています。しかしながら東京電力の1998年のプルサーマルのための変更申請書からは、「ただし、燃料の装荷前までに使用済燃料の貯蔵・管理について政府の確認を受けた場合、再処理の委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることとする。」という記載が追加されています。これが使用済燃料を半永久的にプールに保管することを可能にし、「処分の方法」を記載するという法的義務を満たしてないことから、原子炉等規制法違反であることは明白です。
東京電力だけが使用済MOX燃料の超長期の保管を「処分の方法」として正当化
そのような経緯の上で、6月3日に東京で行った市民団体との交渉の場において東京電力は、使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管が「処分の方法」にあたるのかという質問に対し、「処分の方法にあたる」と言い張り、使用済MOX燃料の超長期の保管を正当化しました。「処分の方法というのは再処理のことですね」「はい」「では、貯蔵・保管は処分の方法にはあたらないですね」「いえ、再処理を前提とした貯蔵・保管なのであたります」という具合です。プールでの「貯蔵・保管」が「処分の方法」にあたるとすれば、原子炉等規制法に照らした場合でも、再処理の目途のない使用済MOX燃料の原発サイトでの超長期の保管が許されることになってしまいます。
これは法律の曲解ではないかと思い、交渉の翌週に、原子力安全・保安院原子力発電安全審査課に確認したところ、「管理・貯蔵は処分の方法には当たらない」との回答がありました。法的根拠を聞くと、使用済燃料プールは、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」の第2条にある原子炉設置許可申請書に記載が必要な施設のうち、「核燃料物質の取扱施設及び貯蔵施設」(使用済燃料も新燃料も同じ)にあたるからだということでした。別日、関西の市民団体が、関西電力本社との交渉において同趣旨の質問を行ったところ、やはり、「管理・貯蔵は処分の方法には当たらない」との回答でした。使用済MOX燃料の超長期の保管を正当化しているのは東京電力だけです。
福島第一原発3号機の使用済MOX燃料は永久に原発サイトに残り続ける
さらに東京電力は市民との交渉において、福島第一原発3号機の使用済MOX燃料の行方について、「むつ」に建設中の中間貯蔵施設には持っていかない、福島第一原発の共用プールには持っていけるよう許可を取っている、敷地内の乾式貯蔵については将来の選択肢としてある、共用プールも乾式貯蔵も敷地内なので搬出にはあたらない、と回答しました。この東京電力の回答は、使用済MOX燃料を処理する再処理工場建設の目途が全くない状況では、使用済MOXはとりあえず福島第一原発3号機のプールに入れ、その後共用プールへ、これも寿命がくるでしょうから、その後は乾式貯蔵用のキャスクに入れ、原発が全て廃炉になった後も敷地内のどこかに永久に留め置かれることを意味します。
6月3日に行われた東電本社交渉において、福島第一原発3号機プルサーマルの件がテーマの一つになりました。
まず、東電側が2月に福島県知事が示した3条件(長期保管MOX燃料の健全性、高経年化対策、耐震安全性)について東電が5月26日に国と県に提出し、5月31日の福島県技術連絡会で報告した3つの報告書について、パワーポイント資料を基に説明し、3つのそれぞれについて質疑、その後、使用済みMOX燃料の処分方法について質疑を行いました。
■使用済みMOX燃料問題
使用済MOX燃料の行方ですが、むつに建設中の中間貯蔵施設には持っていかない、福島第一原発の共用プールには持っていけるよう許可を取っている、敷地内の乾式貯蔵については将来の選択肢としてある、共用プールも乾式貯蔵も敷地内なので、搬出にはあたらない。という回答でした。とりあえず第一原発3号機の狭いプールに入れられ、その後共用プールへ、これも寿命がくるでしょうから、その後は乾式貯蔵用のキャスクに入れられ、原発が全て廃炉になった後も敷地内のどこかに永久に留め置かれるということになるのではないでしょうか。
事前質問の回答で一番驚いたのが、原子炉等規制法で設置許可申請書に記載が求められている「使用済燃料の処分の方法」について、使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・保管が「処分の方法」にあたるのかという質問に対し、関電や保安院と違い、「処分の方法にあたる」と言い張ったことです。「処分の方法というのは再処理のことですよね?」「はい」「では、貯蔵・保管は処分の方法にはあたらないですよね?」「いえ、再処理を前提とした貯蔵・保管なのであたります」という具合です。国に確認した上で改めて聞いてみたいと思います。
■長期保管MOX燃料の健全性について
東電は、外観検査でひび割れや腐食などがないこと、組成変化については、アメリシウム241の生成により反応度等が変化すること、プルトニウム238のアルファ崩壊に伴うヘリウムガスの生成により、燃料温度や内圧が変化することを説明した上で、これが指針による判断基準をクリアしているとしました。さらに、今回装荷予定の32体が3サイクル使用予定であることから、3サイクル目の段階で、途中で追加されるMOX燃料と合わせて144体装荷されることを前提に安全評価を行い、反応度などが設置許可申請時の解析条件を満たしていることを確認したと説明しました。
これは福島県技術連絡会で県も問題にしていたのですが、交渉では、設置許可申請時の条件を満たしているものはともかく、設置許可申請時の解析条件を外れていて、東電が独自に指針の判断基準に照らしているものについては、設置許可変更申請を出して、保安院と原子力安全委員会のダブルチェックを受けるという手続きを踏むべきではないかという点でやり取りがありました。燃料棒の内圧がこれにあたるのですが、申請時が5.8MPaであるのに対し、今回の東電の評価が6.3MPaとなっています。判断基準を外圧の7.1MPa以下としています。東電の報告については保安院は、意見聴取会を開いて専門家の意見を聞いた上で判断することにしていますが、設置許可変更申請を出して…という法的な手続きはとられていません。交渉で、東電はそのような手続きは不要だとしましたが、こちらは手続きを踏んでダブルチェックを受けるのは最低条件だと主張しました。
また、交渉の中で東電は、第二バッチで装荷予定の32体についても、既に事実上製造を終えており、10年近くの装荷遅れになることを認め、今回提出した報告にある144体装荷時の解析では、第一バッチの32体だけではなく、第二バッチの32体についても、装荷遅れを考慮していることを明らかにしました。そんなことは資料のどこにも記載がありませんが、もしそうであるなら、装荷遅れは4サイクル目も続くことになり、解析は、3サイクル目の144体の条件だけではなく、4サイクル目の192体の条件についても実施すべきでしょう。
■高経年化対策
高経年化というのは老朽化のことですが、30年を過ぎた原発に義務付けられる高経年化技術評価について、原子炉圧力容器の中性子脆化の件を中心に報告を受けました。原子炉圧力容器が中性子を受けて脆くなり、ある温度以上になると割れてしまい、その温度がだんだん上昇して運転時の温度に近づくという恐ろしい現象なのですが、その温度を確認するための試験片が、予定よりも運転期間が長くなったために尽きてしまい、使いまわしをしているという実態が明らかになりました。
質疑では、報告の中に、高経年化を考慮した耐震安全評価がごっそりと抜けていることを問題にしました。高経年化技術評価報告書には、高経年化を考慮した耐震安全評価が含まれており、福島第一原発3号機については、2006年に東電が提出した報告書にある耐震安全評価が旧指針に基づくものであることから、これを新指針に更新することをプルサーマル前にやるべきだと要求していました。東電は、高経年化対策の報告に、高経年化を考慮した耐震安全評価がごっそり抜けていることを認めたうえで、これの新指針による見直しをプルサーマル実施前に行うつもりはないと回答しました。しかし、5月31日の福島県技術連絡会で、福島県も同じ問題について、評価を行うよう注文を出しており、何かしらの対応を行ってくるのではないでしょうか。
■耐震安全評価
福島第一3号機のバックチェックの中間報告結果について説明がありました。質疑では、制御棒挿入性能の判断基準となる試験が、水平動の正弦波でしか震動させていないことから、これでは不十分ではないかという指摘がでました。
国の特別な措置による確認作業は、耐震構造ワーキングという審議会で行われています。審議会はもう一つ、地震・津波・地質・地盤のワーキングがあるのですが、こちらで審議する様子はありません。東電は、基準地震動が代表号機の5号機と同じなので、地震動についての検討は不要だとしました。しかし浜岡原発での新知見などを考えると、地震動についても改めて検討が必要になると思います。この点についても国、県にも迫っていきましょう。
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