【事故1】炉心溶融の可能性があった電源喪失水位低下事故
事故は、発電機の停止→原子炉緊急停止(スクラム)→外部電源への切り替えに失敗→非常用ディーゼル発電機がすぐに立ち上がらず一時電源喪失→給水ポンプが停止し炉内水位が2メートル低下→非常ディーゼル発電機がようやく立ち上がり隔離時冷却系ポンプによる注水により水位回復…という経過をたどったようです。
事故について、東電HPには昨日6月17日の段階で以下のプレスリリースがアップされていました。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/10061703-j.html
しかしここには、「この事象にあわせて当該プラントの電源が停止し、非常用ディーゼル発電設備が自動起動するとともに、原子炉へ給水するポンプが停止したことから、原子炉の水位が一時的に低下しましたが、代替のポンプである原子炉隔離時冷却系を起動して給水を行い、現在、原子炉の水位は通常の範囲内で安定しております」と書いてあるだけで、詳しいことはわかりません。今日になって報道記事により、ようやく深刻な状況の一端が明らかになったのです。
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9632070&newsMode=article
http://www.minyu-net.com/news/news/0618/news5.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000142-mailo-l07
原子炉は、緊急停止に成功しただけでは収まりません。核分裂は止まっても、燃料からは崩壊熱が発生するので、冷却水で冷やし続けなければなりません。もし電源喪失が長引き、水位がさらに低下すると、燃料棒がむき出しとなり、崩壊熱により燃料が溶けてしまう(メルトダウン)最悪の事態となります。米国スリーマイル原発ではここまで事態が進みました。溶けた燃料の塊が水に触れて爆発する(水蒸気爆発)が起これば、チェルノブイリ原発事故のように大量の放射能が環境中に放出されてしまいます。今回はそのような恐ろしい可能性をもった事故でした。
それにしてもまだ疑問が多々あります。
・発電機が止まった後、外部電源への切り替えに失敗したのはなぜか?
・非常用ディーゼル発電機の起動に時間がかかったのはなぜか?
・水位が2メートル下がったというが、正確に把握できているのか?
・緊急の炉心冷却は今回で3度目だが、炉の急冷による影響はどうなっているのか?
・隣の福島第一原発3号機をはじめ同型炉にも同じ問題があるのではないか?
・東電のプレスリリースでは事故の深刻さは伝わらないのではないか?県や国にはきちんと伝わっていたのか?
福島第一原発のような沸騰水型原発では炉内の水位の把握が難しく、水位計の信頼性については前から議論がありました。緊急炉心冷却系の作動は設計では、生涯で3回以内だったように思います。もちろん、同型炉の3号機でのプルサーマル実施などもってのほかです!!!
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