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2010/07/26

【疑問】福島県原子力安全対策課へ-プルサーマル3条件についての疑問

7月26日に福島県原子力安全対策課に対し以下の文書を送りました。

↓PDFファイルはこちらから
「pulu-3joken-gimon.pdf」をダウンロード

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2010年7月26日
福島県原子力安全対策課御中

プルサーマル3条件についての疑問

福島老朽原発を考える会
東京都新宿区神楽坂2-19-405
TEL/FAX 03-5225-7213

 突然に失礼いたします。プルサーマル3条件について、国の審議結果の検討に際して、以下の種々の疑問点について考慮してくださるようお願いします。また、検討を公開の場で行うこと、県民の意見を聞く場を設けることをあらためて要請いたします。

1.高経年化を想定した新指針に基づく耐震安全性の確認を行っていない

 福島第一原発3号機は運転開始から30年を超えており、高経年化を想定した耐震安全確認が必要です。しかしこれが十分に行われていません。
 3号機では運転開始30年の2006年に東電より高経年化技術評価報告書が提出され、国による評価を受けています。高経年化報告書にある耐震安全評価では、ひび割れや減肉などの経年変化事象について、これが顕在化した場合に、対象となる機器について構造・強度評価上有意であるかどうかを検討し、経年変化事象を考慮した上で、旧指針による基準地震動S1、S2について評価を行っています。評価結果を見ると次のようにギリギリのものがあります。

   復水器の胴部に腐食があるとした耐震安全性評価
    発生応力220 許容応力223 設計比99% 余裕1%
   計装配管に粒界応力腐食割れによる貫通亀裂があるとした耐震安全性評価
    発生応力83 き裂安定限界応力96 設計比86% 余裕14%

 福島第一原発の基準地震動は、新指針により、S2(270ガルおよび370ガル)からSs(450ガルおよび600ガル)に大幅に引き上げられようとしています。上記で挙げたものについては許容値を超える可能性が高いと思われます。
 しかし新指針に対応する新しい基準地震動に対して、高経年化を考慮した耐震安全評価は行われていません。耐震安全性と高経年化対策がそれぞれ3条件の中で挙げられているのに、高経年化を想定した耐震安全性の確認がごっそりと抜けているのは全くおかしなことです。
 東電は、バックチェックの中間報告で評価対象となった「主要な施設」について、高経年化を考慮した新指針の基準地震動での評価を一部行い、県安全確認技術連絡会で説明しました。しかし「主要な施設」には今回の東電の説明には、先にあげた復水器の胴部(腐食)や一次計装配管(き裂)の評価はありませんでした。最も厳しい箇所を避けているのです。
 高経年化を考慮した耐震安全性の確認を、バックチェックの中間報告であげた「主要な施設」の範囲に限って行う合理的な根拠はありません。例えば、主蒸気管については、減肉が想定されるとしながら、減肉が起こりにくいという理由で耐震評価の対象外としています。これはそもそも主蒸気系配管を選定することがおかしいことを意味しているのではないでしょうか。減肉については、最近でも福島第一6号機で配管の貫通に至る減肉が見つかったばかりです。想定外の特殊事情で逃げずに、このような減肉貫通が起こりうることを前提すべきだと考えます。
 また、2006年の3号機高経年化技術評価における耐震安全性において、再循環系配管のき裂を想定した評価については、き裂の監視を行うこと(維持基準)を前提に評価の対象外していますが、現状の維持基準は旧指針のS2を前提としていることから、これについても新指針に基づいた再評価が必要ではないでしょうか。維持基準については、福島第二原発で一周におよぶき裂を検査で見逃すなど、検査精度の問題もあります。この点について、再度の検証が必要ではないでしょうか。

2.使用済MOX燃料を貯蔵するプールの漏えいによる環境汚染の可能性

 使用済MOX燃料が処理される第二再処理工場は、どんなにうまくいっても操業は約40年先であり、六ヶ所再処理工場がガラス固化で行き詰っている状況からも、実際にはさらに先になることは明らかです。福島第一原発3号機でプルサーマルを実施した場合、生じる使用済MOX燃料の貯蔵が超長期にわたるのは必至です。
 東京電力は市民との交渉において、福島第一原発3号機の使用済MOX燃料の行方について、「むつ」に建設中の中間貯蔵施設には持っていかない、福島第一原発の共用プールには持っていけるよう許可を取っている、敷地内の乾式貯蔵については将来の選択肢としてある、共用プールも乾式貯蔵も敷地内なので搬出にはあたらない、と回答しました。東京電力の回答は、使用済MOX燃料は、処理する再処理工場建設の目途が全くない状況では、使用済MOX燃料はとりあえず福島第一原発3号機のプールに入れられ、その後共用プールへ移され、その後原発が全て廃炉になった後も敷地内のどこかに半永久的に留め置かれることを意味します。
 米国では、微量のプール水が気づかれないまま長期間に渡って漏えいし、結果的に大量の漏えい水が土壌や地下水・飲料水を汚染し、周辺の川の汚染も問題になる事態が発生しています。漏えいは、①微量ずつ、②気づかぬまま、③長期間にわたり…結果的に④大量の漏えい水が環境を汚染するという特徴があります。
 2005年9月にはインディアン・ポイント原発で、使用済燃料プール水漏えい事故が発生しました。セーラム原発では2002年9月に、プールのライナーの背後にある漏えい検知溝がホウ酸等で詰まり、コンクリートを通じて5年間も漏れ続けました。トリチウム等の放射能を含む漏えい水は地下水を汚染し、飲み水や周囲の川を汚染しています。米国では、使用済燃料プールや地下に埋設された配管からの漏えいが既に27件も起きており、原発の老朽化による新たな危険としてとらえられています。プール水漏えい事故は社会的に大きな影響を与えています。今年1月に発覚したバーモンド・ヤンキー原発での漏えい事故によって、バーモンド州議会上院は、今年2月に原発の寿命延長を拒否する決議を採択しています。
 日本でも発生しています。2003年3月に伊方原発3号機、2005年4月に福島第一原発2号機、2007年3月に美浜原発1号機で、プールのライナー溶接部で応力腐食割れによる穴があき、漏えい事故が発生しています。伊方原発3号機の場合、四国電力は7~8年間、腐食の進行に気付きませんでした。リラッキング工事でたまたま見つかったのです。
 福島第一原発2号機の場合、原子炉建屋内にある気水分離器等貯蔵プールで漏えいが見つかり、東電は、見つかってから1年以上経って貫通欠陥を修理しています。広大な福島第一原発共用プールであれば、漏えい箇所を特定するだけでも至難の業となるでしょう。そのことは、2001年に発覚した六ヶ所再処理工場での使用済み燃料プール漏えい事故からも明らかです。その上、水を抜くことが出来ないことから、修理も困難となります。
 福島第一原発2号機の場合、東京電力が漏えいを見つけたのが定期検査中であったにもかかわらず、すぐには対処せず、漏えいの確認を1日1回から1日3回にしただけで、次の定期検査までそのまま運転を続けました。少量の漏えいが起きてもプールの水位が一定程度保たれていればよいという姿勢です。しかし米国インディアン・ポイント原発でのプール水の漏えい量は、最大9.8リットル/日程度でした。少ない漏えいが5年間続き、環境汚染にいたったのです。また、セーラム原発のように、検知溝が詰まった場合など、全く手に負えません。
 使用済燃料プールや共用プールは、原子炉と同様に1年毎の定期検査、30年以降は10年毎の定期安全レビューや高経年化技術評価により安全確認がされます。しかし高経年化技術評価でも60年の運転しか想定していません。使用済MOX燃料の貯蔵が60年を超える可能性は十分にありますが、その場合の安全性は保証されていません。

3.安全上最も重要な施設であるはずの再循環系配管の耐震安全評価がない

 耐震安全性の問題で、原子力安全・保安院が審議したのは、3号機のバックチェックの中間報告ですが、中間報告では「主要な施設」(原子炉建屋、炉心支持構造物、制御棒(挿入性)、残留熱除去系ポンプ、残留熱除去系配管、原子炉圧力容器、主蒸気系配管及び原子炉格納容器)の耐震安全性評価しか行われていません。例えば、再循環系配管は「主要な設備」に含まれていませんが、再循環系配管は、もし破断するようなことがあれば、冷却水が漏れ出し、放射能閉じ込め機能が大きく損なわれ、そればかりか、燃料が空焚きになり、溶融する恐れも出てきます。圧力バウンダリを形成する安全上非常に重要な施設です。しかも耐震安全評価が他と比較しても厳しい条件にある可能性があります。浜岡原発4号機のバックチェック最終報告によると、再循環系配管の耐震安全評価は、主蒸気系や余熱除去系などよりも厳しく、安全余裕が小さい結果が示されています。この配管の耐震安全性を確認しなければ「主要な施設」の耐震安全性を評価したことにはならないと考えますがいかがでしょうか。
 この点について、原子力安全・保安院に対し、ホームページを通じて質問しました。その結果、以下の回答がありました。

【質問】
 貴院文書「耐震設計審査指針の改訂に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号機耐震安全性に係る評価について(主要な施設の耐震安全性評価)」において、評価対象としている「主要な施設」に再循環系配管が含まれないのはなぜでしょうか。破断すれば放射能の閉じ込め機能を損なうおそれがあり、圧力バウンダリを形成する安全上重要な配管であること、この配管の分岐部等では、耐震評価で厳しい値が出る可能性のあることから、これの評価結果を明らかにしなければ、主要な施設の耐震安全評価を行ったことにはならないと思うのですがいかがでしょうか。実際にこの部位が残留熱除去系配管より条件が厳しい可能性があるのか確認されたのでしょうか。至急お願いいたします。

【回答】
 東京電力株式会社から提出された福島第一原子力発電所「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果 中間報告書(改訂版)(以下「中間報告書」という。)によれば、耐震安全性評価は、新耐震指針に照らして策定した基準地震動Ssに対し、耐震安全上重要な施設の安全機能保持の観点から行うとしており、評価対象施設は、新耐震指針によるSクラスの施設のうち、原子炉を「止める」、「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」に係る安全上重要な機能を有する主要な施設を対象とするとしています。具体的には原子炉建屋、炉心支持構造物、制御棒(挿入性)、残留熱除去系ポンプ、残留熱除去系配管、原子炉圧力容器、主蒸気系配管及び原子炉格納容器を対象としています。中間報告書で評価の対象としていない耐震安全上重要な施設については、今後東京電力から提出される本報告において評価が行われます。原子力安全・保安院としては、新耐震指針に照らした耐震安全性評価について、専門家の意見を聴きながら、厳正に評価を行います。

 質問に対する直接的な回答を避けていますが、端的には「最終報告で確認するからよい」というものになっています。であるならば、福島県がプルサーマルの3条件に挙げた耐震安全性については、中間報告ではなく、最終報告について検討、評価する必要があるのではないでしょうか。

4.駿河湾の地震による知見が反映されていない

 2006年に耐震指針が改訂されてから4年近く経ちますが、国のバックチェック評価作業は全体として非常に時間がかかっています。その一つの要因は、2006年に発生した中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災し、想定を大きく超える揺れが観測されたことから、改定指針の事実上の見直しが余儀なくされたことにあります。2008年9月に保安院の指示文書「新潟県中越沖地震を踏まえた原子力発電所等の耐震安全性評価に反映すべき事項について」がその一つです。各電力会社はバックチェックに際して、改訂指針に加えて、こうした新しい知見を考慮することが要求されています。
 その後、2009年8月には、駿河湾の地震が発生し、浜岡原発が被災しました。揺れや被害の程度は中越沖地震よりも小さかったのですが、3・4号機に比べて5号機の揺れが特異に大きく、2倍以上も揺れました。原因については調査中ですが、中部電力は、原発直下に地震を増幅させるレンズ状の堆積物が存在し、これが影響したと考えています。中越沖地震とは異なるメカニズムで生じたというのです。もし同じ構造が福島第一原発の直下にあれば、地震波の到来方向によっては特異に大きな揺れが生じることになります。
 東電は、福島第一原発の地下は成層構造(平らな地層が積み重なっている)をしているから問題はないと説明しています。しかし、中部電力も浜岡原発の地下は成層構造であり、そこにレンズ状の堆積物があると説明しているのです。駿河湾の地震を踏まえた反映事項はまだまとまっていません。3条件についての国の審査では、建屋や機器など構造物の耐震安全性について審議しただけで、上記の増幅に係る基準地震動の設定については、審議されていません。

以上

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