【事故5】7月9日東電本社における聞き取りから(東電共の会)
福島第一・2号「外部電源全喪失事故」が提起した深刻な欠陥
~7月9日東電本社における聞き取りから~
2010.7.12
東京電力と共に脱原発をめざす会
当会では、6日の東電の発表を受けて、9日に本社で説明を受けました。原因と対策と称するその内容は、たいへん深刻なものであり、またその対策はとても納得のいくものではありませんでした。
○原因究明が全くできていない。すべて推定にすぎない。
○時系列、チャート等具体的な証拠がなにも示されていない。
○真の原因は、外部電源切り替えができなかったこと
○外部電源のシステムエラーであるが、インターロックの内包する欠陥という普遍性をもつ
○他のプラントはもとより、全国、海外にも水平展開すべき重大事故。
このまま起動準備に入るとは、あまりにも無謀です。
しかし報道もおよそ満足ではなく、県民に事実が知らされていません。
何より保安院の規制が機能していません。(他の事故と比べ全く異例の対応)
■以下に、9日東電本社における質疑で明らかになった問題点を列挙します。
1)発端は人為ミスというが、到底原因とはいえない。
系統安定化装置は1年半以上前までに撤去しており、補助リレーの電源はoff,コイルもはずしてあった。作業員が触れたくらいで補助リレーが作動するとは考えられない。(作業員は接触を否定しているという、記憶に無いほどの接触)
打振試験で作動したというが、よほど強い打振をしなければ作動しないはず。再現できたのか。
作動できたのであれば、地震動程度でも作動してしまう恐れがある。
2)制御システムの抱える欠陥が根本原因
所内側遮断機は多重化しているにもかかわらず、同時に動作する必要性のある場合であった。
所内側遮断機OFFにより外部電源がONになるまでにタイムラグがある。そのため外部電源が入らなかった(インターロックの内包する欠陥)
この問題意識はとうぜん社内でも認識しているとのこと。しかしオモテに出していない。
3)福島原発は全機停止して、早急に水平展開すべき
福島原発は、第一、第二ともすべて系統安定化装置を撤去しており、今回とまったく同じ不安を抱える。即刻全機停止して対応すべきではないか。
また、同装置以外にもインターロックにおける同様の欠陥はないか。
4)法令に基づく事故報告としての扱いがなされていない
新しい原子力実務六法「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則によれば、今回の「事象」は10日以内に所轄大臣へ報告しなければならない。
なぜ東電がそれを否定するのかについて、明確な回答はなかった。
保安院としてもどう考えているのか。
5)自動停止と隔離時冷却系の注水による後遺症/2号機は3回目の冷水
2:52~3:40まで約48分間、冷水を注水。(流量は95~100トン/時)
しかし落雷による自動停止と同等の扱いで、再起動しようとしている
« 【県技連】課題山積なのに…東電からの聞き取りこれで終わり??? | トップページ | 【事故6】2号機原子炉外部電源全喪失事故に関するレポート(東電共の会) »
「福島1-2電源喪失事故」カテゴリの記事
- 【事故7】福島第一2号外部電源全喪失事故の真の原因を 隠蔽する動きに対する抗議文(2010.07.20)
- 【事故6】2号機原子炉外部電源全喪失事故に関するレポート(東電共の会)(2010.07.15)
- 【事故5】7月9日東電本社における聞き取りから(東電共の会)(2010.07.13)
- 【事故4】東電が原因を公表…作業員が電源装置に接触したせいに(2010.07.06)
- 【事故3】福島県への要請行動/東電本社での聞き取り(2010.06.22)
« 【県技連】課題山積なのに…東電からの聞き取りこれで終わり??? | トップページ | 【事故6】2号機原子炉外部電源全喪失事故に関するレポート(東電共の会) »
コメント