【県技連】課題山積なのに…東電からの聞き取りこれで終わり???
12日、福島県技術連絡会が福島第一原発のある大熊町で開かれました。
今日のテーマはプルサーマル3条件のうち、耐震安全性の後半(建屋、機器の耐震安全性)と高経年化対策でした。
基礎ボルトの耐震評価…設計時に考慮していた安全余裕を今は考慮せず
耐震安全性で主要に問題になったのが、原子炉圧力容器の基礎ボルトの耐震評価において、地震による発生応力が、新指針による新基準地震動Ssによる値よりも、設計時の評価値(旧指針よりもさらに前の基準による)のほうが3倍以上も大きいという逆転現象についてでした。
東電は明確に説明できず、30年以上前の設計時には余裕を見込んでいたが、今は見込んでいないというだけでした。委員や県から、今は余裕を見込んでいないことの妥当性について質問がありましたが、やはり明確な返答はありませんでした。
中性子脆化…試験片が尽きて使いまわし・合わない評価式は改良中
高経年化対策については、中性子脆化の問題に時間を割きました。試験片が尽きてしまい、使い回しをする説明や、評価式が現実に合わず、今新しい評価式を作成中だという説明が続きました。
高経年化を考慮した耐震安全性…最も厳しい部位を避けて評価
宿題となっていた高経年化を考慮した新指針に基づく耐震安全評価について東電は、評価対象をバックチェックの中間報告の対象となっている代表部位に絞って考察した上で、必要性はないとの報告をしました。
バックチェック中間報告の代表部位には、配管で厳しい値がでる可能性がある再循環系配管がありませんし、高経年化対策報告書でもっとも厳しい(設計比99%すなわち余裕1%)復水器胴体部もありません。代表部位だけで済ませてしまうところが大問題です。
使用済燃料プールの健全性は消化不良
終わりの方に、県原子力安全対策課から、プールの健全性について質問がありました。使用済燃料プールではないが、2号機のDSピット(気水分離機等貯蔵プール)で水漏れがあった、これは溶接の初期不良が問題とされているが、長期管理によりそういったものが顕在化する可能性があり、監視を強化して欲しい、漏えい監視については、量だけではなく、放射性物質についても監視することについて説明して欲しい…と。
東電は質問の意図がわからない感じで、漏えい監視用のガラス窓に水が溜まり、漏えいが懸念されたら詳細なパトロールを行うなどの説明をしただけでした。課長は明日の現場検証のときにまた質問するとして終わりました。
東電からの聞き取りはこれで終わり??
きょうの議論はどちらもまだ続く雰囲気だったのでしたが、最後に県生活環境部次長から、これで3条件についての東電からの聞き取りを行ったのでとりまとめを行い、明日の現場検証の後に公表し、記者会見を行うと述べました。東電からの聞き取りは終えたということでしょう。8月装荷に向けて着実に事が進んでしまっている感じです。
電源喪失事故は全く触れず
会合の最後の最後に東電が一言話したいといって、今日定期検査中の福島第二原発1号機で、原子炉圧力容器のシュラウドの外側にS字形の1センチほどの異物が見つかったと報告していました。重り落下に続くトラブルです。第一原発2号機の電源喪失事故については、全く話題になりませんでした。
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