【記事】トラブル続出の福島第一原発・プルサーマル炉を即刻停止せよ
運転中の原発の制御ケーブルを引き抜いていた!
トラブル続発の福島第一原発・プルサーマル炉を即刻停止せよ
福島老朽原発を考える会 S
東電は9月27日、福島第一原発5号機で原子炉隔離時冷却系の制御ケーブルが外れていた件で、定期検査中の隣の6号機のケーブルを外そうとして、間違って5号機のケーブルを外していたこと、さらに、緊急時に原子炉を冷却する機能を果たす原子炉隔離時冷却系が、約半月間作動できない状態に陥っていたことを明らかにした。しかも東電は、制御ケーブルが外れていたことに気づいた後も、外れた原因もわからないのに、ケーブルをつないで平然と運転を続けていた。そのとき同じ第一原発の3号機では、MOX燃料の装荷作業が行われたが、9月17日の起動時にトラブルが発生した。その他にも第一原発ではトラブルが続発している。第一原発の安全確保について信頼性は地に堕ちている。県民は不安を訴えておりとてもプルサーマルどころではない。
■安全確保のシステムが崩壊している
制御ケーブルが外れていたことに気づいたのは、9月2日に原子炉の運転中に行った原子炉隔離時冷却系の起動試験のときだった。ポンプを駆動させるタービンが停止し、調べてみると制御ケーブルが外れていた。東電は9月3日にここまでを公表し、ケーブルをつないで運転を継続した。それから24日経った9月27日になって、東電はようやく、ケーブルが6号機と間違えて外されていたこと、それが8月16日であり、9月2日までの約半月間、原子炉隔離時冷却系が使えない状態であったことを明らかにした。
東電によると、本来は定期検査中の6号機で行う作業を、図面のコピーを間違えて5号機のものにしてしまったために、運転中の5号機の制御ケーブルが外されてしまったという。しかしそのような場合でも、二重三重のチェックによりミスは防げるはずではなかったか。そのくらいで本当に外してしまうこと、外してしまえることが問題ではないか。作業員は5号機が運転中だということもわからなかったのだろうか。定期検査短縮のために行っているオンライン・メンテナンス(運転中の保守)が横行することにより、麻痺してしまったのだろうか。いずれにしろ、事は個人の問題ではなく、組織の問題であり、安全確保のシステムの問題である。
■プルサーマル起動のために情報隠蔽か
9月3日にケーブルが外れたことに気づいてから、27日の発表までに24日もかかったことも不可解だ。いつ誰が外したのか、その確認に24日もかかるのだろうか。9月18日のプルサーマルの起動を終えるまで隠していたとしか考えられない。
福島県原子力安全対策課によると、県には27日まで新たな情報は入っていなかったという。であれば県は、東電に対し情報隠蔽の可能性について厳しく問い質さなければならない。
■トラブルが続発する福島第一原発
プルサーマル実施の3号機でも、9月17日のMOX燃料を装荷しての起動の際に、非常用炉心冷却系の1つである炉心スプレイ系が起動できないことを示すランプが点灯したままとなり、起動が翌日にずれ込むトラブルが発生している。弁の点灯スイッチの接点がずれていたのが原因だが、起動前の定期検査で取り外して調べた後、スイッチが作動するかについて、行うべき確認を行っていなかった。他にも第一原発では、6月17日に2号機で、外部電源全喪失事故が発生している。8月23日には3号機で、作業員の内部被曝事故が発生している。
■県議会もようやく重い腰をあげた
プルサーマル容認で知事に追随してきた県議会もようやく重い腰をあげた。各会派は東電福島第一原発所長らから説明を受けた。議員からは「トラブル隠しのときと企業体質が変わっていない」「プルサーマル発電を受け入れるべきでなかった」とする意見が出されたという。10月1日に代表者会議(自民と県民連合で構成)を開き、県議会エネルギー政策協議会を開催し、東電を呼んで事実経過と再発防止策について聞くことを決めた。開催時期や内容は、東電の対応や県の立入調査などの様子を見て判断するという。
2002年に福島県と県議会がプルサーマルを拒否した直接の原因は、東電のトラブル隠しであった。今回のトラブルでこのときと企業体質が変わっていないことが明らかになった以上、プルサーマルは実施できないはずだ。
■県はプルサーマル中止の勧告を
5号機のトラブルに際して、原子力安全・保安院は、保安規定違反があったとして、原因を精査し再発防止策を講じるよう指示した。福島県も大事故につながる重大な過失だとして東電に厳重注意した。しかしもう厳重注意だけではすまない。東電は「人為的ミスが重なってしまった。こうしたミスを自動的に防げる仕組みづくりを検討する」と述べたというが、何をいまさらである。もし検討したければ原子炉を止めて行うべきである。
東電にプルサーマル炉の運転を委ねることなど恐ろしくてとてもできない。不安は募るばかりである。これはこの間、県が、県民への説明も怠り、拙速に事を進めてきた帰結でもある。県は今一度、県民の安心・安全を守るという本来の責務に立ち返り、これを果たすためにも、東電に対し、3号機を停止し、プルサーマルを中止するよう直ちに勧告すべきである。
■粘り強く活動を続ける「沈黙のアピール」
今回の事態に対し、県庁前で毎日の座込みと申入れを続ける「沈黙のアピール」は即刻対応した。9月29日には、福島県内と福島老朽原発を考える会を含む首都圏の団体が連名で、プルサーマル炉の即時停止を求める緊急要請書を県と県議会に提出し、記者会見を行った。県議会議長にも直接話して手渡した。議長は、「机をけっぽって、東電はなっとらん!と怒りの言葉を伝えた」という。「沈黙のアピール」のメンバーは、「けっぽらなくてもいいから、きちんとプルサーマルを止めてほしい」と要請した。
翌30日には、県原子力安全対策課の課長と会い、プルサーマルの3号機の停止勧告を行うよう求めた。課長は「3号機起動に際しては、同じようにケーブルが引き抜かれたりはしていませんねと口頭で確認はした」という。なんという危機感のなさ。
それでも、「沈黙のアピール」のメンバーは、全国から寄せられる知事あてのメッセージを手に、連日県と県議会へのはたらきかけを続けていく意気込みでいる。プルサーマルの3号機が起動した9月18日と20日には、郡山と福島で、プルサーマルについて県民説明会の実施の可否を問う街頭シール貼りアンケートを実施し、県民への直接の訴えも行っている。多彩な活動を粘り強く続けている。全国から知事あてメッセージを寄せて支援しよう。
(美浜の会ニュース投稿記事)
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