【福島原発震災(4)】福島第一2号機で圧力抑制室欠損
2号機で爆発が発生し、圧力抑制室(サプレッションプール)が欠損した模様です。
2号機の格納容器は古いマーク1型とよばれるタイプで、圧力容器のまわりを覆うフラスコ状の容器(ドライウェル;図の5)とその下にドーナッツ状に取り巻き水が張られた圧力抑制室とから成っています(図の6)。
両者は配管でつながっており、圧力抑制室の欠損は格納容器が破られたことを意味します。圧力容器への注水は継続しているということなので、圧力容器は健全のようです。
圧力抑制室は、フラスコ状のドライウェルの圧力が高くなったときに、配管で蒸気を圧力抑制室に導き、プールの水で凝縮して圧力を下げるはたらきがあります。古いマーク1型の格納容器は容量が小さく、圧力抑制室の機能も不十分で、事故時に一気に蒸気を流すと損傷が起こることが以前から指摘されていました。
スリーマイル事故を経験したアメリカで90年代に問題になって、シビアアクシデント(過酷事故)対策として、圧力抑制室から外気へ放射能もろとも圧力を逃すための「格納容器ベント」が設置されるようになり、福島原発でも2002年ごろに設置されました。アメリカのUCS(憂慮する科学者同盟)などはそれでも不十分だと警告を発していました。
格納容器ベントがなければ、1号機や3号機でも格納容器が壊れていたと思いますが、つい10年ほど前に付けたのです。
爆発の原因はまだわかりませんが、圧力抑制室の体積は小さいので、プールが沸騰するなどして圧力抑制機能が失われていれば、圧力の上昇でドライウェルとの接続部分が破裂することがあるでしょう。
第一原発は津波によって電源だけでなく、モータ-やポンプの制御もできなくなり、消防車の圧力が低いポンプを使って注水していますから、そのために格納容器を壊さないように圧力容器の圧力を下げなければならず、そのバランスがくずれてしまったのでしょう。
いずれにしろこれで圧力容器から圧力を出す作業をすれば、大量の放射能を含んだ蒸気が外気に直接出るルートができてしまったということです。
2011年3月15日9時12分
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