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2011/05/31

【福島原発震災(96)】緊急セミナー:国際専門家からみた子ども20ミリシーベルト問題

緊急セミナー:国際専門家からみた子ども20ミリシーベルト問題

★拡散希望!
====================================================
緊急セミナー:国際専門家からみた子ども20ミリシーベルト問題
内部被曝と情報公開~いまこそ"安全神話"の打破を
2011年6月1日(水)18:15~20:00@参議院議員会館 B107
http://www.foejapan.org/infomation/news/evt_110601.html
====================================================

5月27日、文部科学省は、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける
線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、この中で、「年間1ミリシーベ
ルトから20ミリシーベルトを目安とし」としながらも、「今後できる限り、児童生
徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度、学校において児童
生徒等が受ける線量について、当面、1ミリシーベルトを目指す」としました。ま
た、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校の除染につい
て、財政支援を行うこととしています。
文科省は、4月19日に年間20ミリシーベルトに基づいた校庭等の利用制限毎時3.8マ
イクロシーベルトという基準を発出し、内外の大きな批判を買ってきました。
今回の発表は、この基準を取り消しこそしませんが、事実上断念したともとれる発
表であり、市民運動の勝ち取った大きな一歩です。
http://www.foejapan.org/infomation/news/110530.html
一方で、たとえば、内部被曝が考慮されていない、十分な測定および情報公開がさ
れていない、など、未だ多くの問題が残されています。
本緊急セミナーでは、この20ミリシーベルト問題の根本原因である「安全神話」や
一連の経緯および文科省の発表の課題について、フクロウの会の阪上武さんから、
また、フランスの国際的な専門機関である「放射能に関する情報および独立調査の
ための委員会」(CRIIRAD)ディレクターのブルーノ・シャレイロンさんから、内
部被曝や情報公開の問題について、お話しを頂きます。

■日時:2011年6月1日(水)18:15~20:00
■場所:参議院議員会館 B107 (定員:78名)
(東京都千代田区永田町2-1-1 最寄駅東京メトロ 永田町または国会議事堂前)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm
※17:45から参議院会館ロビーにて入館証を配布します。
プログラム(予定、敬称略):
・子ども20ミリシーベルト~「安全神話」が何を生み出したか、残された課題
  阪上 武/福島老朽原発を考える会(フクロウの会)代表
・国際専門家からの提言:内部被曝と情報公開の在り方
  ブルーノ・シャレイロン/放射能に関する情報および独立調査のための委員会
             (CRIIRAD)ディレクター
■主催:国際環境NGO FoE Japan、
   福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
■協力:測定器47台プロジェクト
■申込み:下記のURL経由でお申込み下さい。
 http://www.foejapan.org/infomation/news/evt_110601.html
■問い合わせ先:国際環境NGO FoE Japan
 Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219
 E-mail:finance@foejapan.org
■資料代:500円(+カンパ)

2011/05/28

【福島原発震災(95)】声明…文科省通知「1ミリめざす」20ミリ事実上断念を受けて

みなさまへ

子どもの20ミリ問題で、文科省が1ミリシーベルトをめざすとの文書を福島県に通知しました。基準の撤回まではいきませんでしたが、事実上の断念を勝ち取ることができました。一方で多くの課題が残されています。引き続き協して取り組んでいきましょう。

以下

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)、グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、環境NGOグリーンピース・ジャパンで発出した声明です。

------------------------------------------------------------
2011年5月27日

声明
===============================
==
文科省:当面の対応として「今年度、年間1ミリシーベルト以下を目指す」
「子ども年20ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
同時に、文科省の発表は多くの問題と課題を残す

http://dl.dropbox.com/u/23151586/110527_statement.pdf
=================================

本日(5月27日)、文部科学省は、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、この中で、「年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトを目安とし」としながらも、「今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1ミリシーベルトを目指す」としました。また、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上の学校の除染について、財政支援を行うこととしています。

明言こそしていませんが、年間20ミリシーベルトに基づいた校庭等の利用制限毎時3.8マイクロシーベルトを事実上断念し、棚上げにして、私たちがいままで求めていた通常の基準値年間1ミリシーベルトを目指すという基本姿勢を文書で示しました。

これは、5月23日の福島の父母たちおよびそれを支援する多くの市民たちの要請にこたえたものであり、この間の市民運動が勝ち取った大きな一歩です。一方で、下記の課題も残ります。

1.「今年度1ミリシーベルト以下を目指す」について

・事故後からの積算線量で年間1ミリシーベルト以下を目指すべき。また、学校外における積算線量も含めるべき。
・さらに、既に1ミリシーベルトを超えている学校については、表土除去だけではなく、学童疎開など、あらゆる被ばく低減策を実施すべき。
・この1ミリシーベルトには、学校給食などによる内部被ばくは含まれていません。これも考慮にいれるべき。
・内部被ばくに関しては、モニタリングの対象とすべき。

文科省が示している「今年度」とは、4月1日からとなり、事故後の3月分は含まれない可能性があります。また、「当面の対応」では、積算線量計を各学校に配布し「積算線量のモニタリングを実施する」となっています。マスコミ報道によれば、この測定は基本的に6月からとされています。4月以降または6月以降の評価で「1ミリシーベルト」とするのは不十分です。

2.財政支援を、土壌の汚染低減措置に限っていることについて

・授業停止、学童疎開、避難などあらゆる被ばく低減策について、これらを実行に移す具体的な措置を示し、財政支援を行うべき。

「当面の対応」では、国による財政支援を土壌の汚染低減措置に限っています。

3.土壌の汚染低減化を毎時1マイクロシーベルト以上に制限していることについて

・土壌の汚染低減化は毎時1マイクロシーベルト未満であっても必要です。年間1ミリシーベルトの被ばく以下になるよう土壌の汚染を除去するべき。
・除去した土壌については、東電と国の責任で管理すべき。

「当面の対応」では、財政支援の対象として、校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト以上と制限を設けています。しかし、毎時1マイクロシーベルトは、事故以前の福島県の平均空間線量の約25倍にもあたり、年間では8.8ミリシーベルトにもなります。年1ミリシーベルトを守るためには、セシウム137で考えれば、土壌1平方メートル当たり40キロベクレル、空間線量では毎時0.15マイクロシーベルト以下にする必要があります。

なお、今回の問題の根底には、文科省がもつ根強い「安全」神話がありました。文科省および福島県の放射線リスクアドバイザーは、あたかも100ミリシーベルト以下であれば安全であるかのような宣伝を行ってきました。この偏った文科省および一部の無責任な学者の宣伝を修正していかない限り、問題は繰り返し生じるでしょう。

私たちは、勝ち取った今回の大きな前進を、一緒になって行動を起こしてくださった全世界の市民の方々とともに確認するとともに、引き続き、日本政府に対して、以上の問題の対応および20ミリシーベルト基準撤回を求めていく所存です。

以上

別添:5月27日付「福島県内における児童生徒等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」
http://dl.dropbox.com/u/23151586/monka_110527.pdf

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)
グリーン・アクション TEL:075-701-7223
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) TEL:03-5225-7213
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会) TEL:06-6367-6580
国際環境NGO FoE Japan TEL:03-6907-7217
環境NGOグリーンピース・ジャパン TEL:03-5338-9800

2011/05/25

【福島原発震災(94)】文科省要請行動(政務三役・管首相・首相官邸に電話・FAXを送ろう)

<拡散希望>

■「父母たちの要請にYesを!」~20ミリ撤回:ここ2~3日が正念場

23日の文科省への要請行動で、福島の父母たちは下記の3つの要請を行いました。

1.年20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)という暫定目安を即時撤回すること

2.被ばく量について、1ミリシーベルトをめざしていくという文科省の方針を、ただちに福島県に新たな通知として伝達すること

3.被ばく低減措置について国が責任をもって行うこと。自治体が行う措置についても、国が経済的な支援を行うこと


渡辺次長は、この要請について、「三役と相談の上、早急に返事をする」と述べています。「早急に」とは、ここ2~3日と思われます。


いまが、正念場です。
ぜひ、政務三役に、「福島の父母たちの要請にYesを!」 と圧力をかけてください。また、あなたの地元の議員に対して、政務三役に圧力をかけるように呼びかけてください。


高木 義明 大臣(長崎1区)
長崎事務所 〒850-0035  長崎市元船町7-6元船ビル1F
TEL (095) 826-0446  FAX (095) 826-0445
東京事務所 
TEL (03) 3508-7420  FAX(03) 3503-5757


鈴木寛・文部科学副大臣(文科省内)
(TEL)03-6734-2103 (FAX)03-6734-3582

笹木 竜三 副大臣(福井県)
事務所 電話 0776-23-5280 (ファックスはわからず)

笠 浩史 政務官(神奈川県9区 )
電話:03-3508-3420 FAX: 03-3508-7120

林 久美子 政務官(滋賀県)
【滋賀事務所】
滋賀県東近江市八日市緑町16-13
TEL:0748-20-0935 FAX:0748-20-0936

高木文科大臣の秘書官:竹本善次・文部科学大臣秘書官
(TEL)03-6734-2101 (FAX)03-6734-3580
 
※文科省前要請行動については、詳しくは下記をご覧ください。
http://e-shift.org/?p=593

*****************

管首相・首相官邸にも届けてください!

※菅直人事務所
東京都武蔵野市中町1丁目2-9
電話: 0422-55-7010
<議員会館内事務所>
電話:03-3508-7323
FAX. 3595-0090

※菅直人へのご意見箱
kan-naoto@nifty.com

※首相官邸のご意見募集ページ
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

【福島原発震災(93)】経済との天秤で20ミリが強要されてはたまらない

経済との天秤で20ミリが強要されてはたまらない

 - 福島原発震災連続集会での川原田昌浩さんのお話

 5月21日、フクロウの会、プルトニウムなんて要らないよ!東京の共催で福島原発震災連続集会(2回目)が行われました。

 今回の集会ではメインゲストに子どもたちを放射能から守る福島ネットの川原田昌浩さんをお招きして、福島での子どもたちを放射能から守るための取り組みについてじっくりとお話を聞きました。

 川原田さんは"子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク”の立ち上げ時からかかわり、現在は除染チームの世話役として活躍されています。

 今回のお話は原発震災発生から、放射能汚染の中で福島市周辺ではどのような状況になっているのか、大変生々しいものでした。また今後の課題も示されています。

 貴重なお話でしたので、内容を紹介いたします(文責:フクロウの会)

P5211776_r

右から2番目が川原田さん(全体討議での様子)

  ==============  以下 川原田昌浩 さんのお話  ==================

放射能大量放出時、雨の中で給水の列に並んでいた

 福島原発事故発生直後、3月15日と16日に放射能の大量放出がありました。それにより福島市周辺は一時的に線量が急激に高くなりました。毎時20から30μSvにもなったのです。更にその週末には雨が降りました。

 事前に知識を持っていた人以外はほとんど放射能のことに無頓着でした。当時は震災直後でガソリンや水が無く、冷たい雨に当たりながら何時間も給水を待っていたのです。子ども連れの人もいました。今から考えると恐ろしいことです。

 その後、半減期の短いヨウ素の分が減り、毎時1.5μSv程度になりそのままずっとその状態です。

経済との天秤で福島県民に20ミリシーベルトが強要されているのではないか

 今日は菅総理と温家宝首相、李明博大統領が福島の避難所を訪問するそうです。
地元では、何故この時期に3人がそろって福島を訪れるのか、その話で持ち切りです。

 今回の原発事故を契機として、再び世界恐慌になることを恐れているのではないか、福島発の世界恐慌が来ることを恐れているのではないかという見方が出ています。避難先を訪問することで福島は安全だということをアピールするためにわざわざこんなことをしたのではないかと、福島市民は皆、疑いの目で見ています。

 国際経済との天秤の中で福島県民に対して20ミリシーベルトが強要されているのではないか、というように感じています。

 今、人間が何を大切にするかが問われているのではないでしょうか。ヒバク地となった福島の住民として奮い立っていかなければならないと感じています。経済の影で押しつぶされる命があってはいけないと感じています。

子どもを放射能から守る - 最初は5人くらいから

 子どもを放射能から守るための動きは最初は3人から5人くらいでした。ネットの力は大きいと思います。しかし多くの人がどうして声を上げないのでしょうか?福島県が雇った放射線リスクアドバイザーが市民運動の声の高まりに機を合わせるように安全だという情報を流しました。8割から9割の大半の人々はマスコミや政府、県の言うことを信じています。

 そのような人々は、不安を表明する人がいると、その人に対して嫌悪感を示すのです。年配者はそんな恐ろしいことを言うな、と言うのです。そのような中でずっと声を上げられない人たちがいたのです。そうした人たちの声が今集まってきました。

 5月2日の参議院会館での文科省、原子力安全委員会との交渉には10名人が手を上げて東京へ来ましたが、手を上げずにそっと東京に来た人もいます。

 この交渉で文科省と原子力安全委員会が言っていることに亀裂が入りました。マスコミも関心を持ち始め、徐々に好転し始めています。

 ようやく不安の声があがるようになって来ました。NHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~」の報道後、そのような人は爆発的に増えました。

 しかし一方で、大半の市町村の首長は文科省の言うことに従って、私たちの言うことに対しては聞く耳をもちません。学校の先生はまちまちです。お役人的に上から言われることを粛々とやる先生。やっぱり危ない、外へ出るなという先生。その中でも、少し声を出す先生が出て来ました。

 それでも、親の同意書をとって外で体育や部活を行っています。野球部はマスクをして外で野球の練習をする、という漫画みたいな光景もあります。

ようやく動き出した学校校庭の除染

 学校校庭の除染について、福島市もようやく動き出しました。表土を除去することで大分線量は下がります。しかし汚染は一様ではありません。ホットスポットができています。
県の調査は、グランドの真ん中で1mの高さのところ1か所のみの測定です。本当に自分達の手で測ると恐ろしいことが分かってきます。

 乳幼児を考慮して、地面に近い高さで測ると、毎時300μSv出るところもあります。福島市内でも10μSvでるところはざらにあります。家から学校までの通学路でも高線量のところがあります。ところが、今では、表土除去が文科省のお墨付きになっているところがあります。つまり校庭の表土除去をして、校庭の線量が下がっているから安全だと言うのです。

 今日も福島は29℃ぐらいになるようです。風が吹けば土ほこりが舞い上がり夏は非常に熱くなります。二本松市では学校の全室にクーラを入れることが決定されました。しかし他は未だです。

 子どもたちは放射能のことは分かりません。子どもは天真爛漫です。だから親は悩んでます。びくびくしています。しかしそのようなそぶりを見せると、職場を暗くするなという声ががります。

 福島市内ではマスクをしている人は2-3割です。20代から30代の女性は比較的意識が高いです。それ以外の人たちは心配している素振りを表に出せないのが実態です。放射能の話題はタブーとなっているのです。メディアが取り上げれば意識が変わるのではないかと思っています。

子ども福島ネット内での意見対立 - 最終的には20ミリ基準の問題に帰着

 不安の声を上げた親たちが中心となって「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」を立ち上げました。そのメーリングリストの中では避難をめぐっていろいろな意見が飛び交っています。それぞれいろいろな事情を抱えています。

 避難できない事情と避難した方が良い、そのはざまで揺れています。

 福島で生きて行くことを決意した人は「避難」という言葉に嫌悪感さえあるのです。
 そういう中でネットワークの中ではお互いの決定は尊重しよう、という考え方に落ち着きました。しかし、結局は避難できるできないはお金の問題とかかわっています。市民の間にわだかまりがあります。

 最終は文科省が決定した20ミリの基準の問題に帰着します。
 20ミリという放射線管理区域以上の線量にあたるところに子どもを置いて良いのかどうか。これは法的問題です。
 20ミリの基準を撤回させることにより、こうした問題を解決してゆく突破口にしたいと考えています。

行政を待っていられない - 動き出したおじいちゃん、おばあちゃん

 子どもたちの環境を少しでも良くしたいという思いから除染のボランティア活動を行いました。子ども福島ネットの除染班5-6人と地域のおじいちゃん、おばあちゃん合わせて20人が集まり、10μSvも出ているところの除染作業を行いました。

 おじいちゃん、おばあちゃん達の作業はていねいです。おばあちゃんは素手で土をかき集めていました。その結果0.6~0.1μまでに下がったのです。更にその上に覆土することで平常時まで戻りました。皆大変な満足感がありました。

 少しでも安全なところを作るということが必要だと思います。正しいやり方をすれば低くなることが分かりました。全国からボランティアを募ったらどうかという考えもあります。

しかしこれには課題もあります。なによりも大きな問題は、このボランティア作業は危険を伴うということです。

 行政を待っていたら20年―30年かかってしまいます。皆さんの協力で何とかできればと思っています。

 あとは測定器の問題です。(空間線量を測る)γ線測定では不十分で、(β線を測る)CPM、CPS計測可能なものが必要です。

 避難のサポートも重要です。長期的にやって行く必要があるでしょう。NPO法人にする必要があるかもしれません。

 また除染を正しく行うためには除染マニュアルを作成することも必要と考えています。

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お話をされる川原田さん

2011/05/24

【福島原発震災(92)】5月23日文科省要請行動(声明:高木大臣はどこへ?なぜ福島の親たちに会おうとしないのか?

2011年5月23日

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)、グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、グリーンピース・ジャパン

高木大臣はどこへ? なぜ福島の親たちに会おうとしないのか?
20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)の即時撤回を!


5月23日、文部科学省前に、福島からの親たち100人を含む多くの人々が結集した。親たちの願いはただ一つ、子どもたちを放射能から守るために文科省の学校の暫定基準20ミリシーベルト(校庭での毎時3.8マイクロシーベルト)の撤回を求めて、直接、高木義明大臣に面会することだった。しかし、ついに、高木大臣をはじめ、5人の政務三役が姿を現すことはなかった(注)。

この20ミリシーベルトに関しては、内外からの強い批判・憂慮の声があがっている。文部科学省にお墨付きを与えたはずの原子力安全委員会は「20ミリシーベルトを基準として認めない」と発言している。

文科省は今になって、暫定基準は「できるだけ放射線を受けないようにするために設定された」などと弁明している。しかし、福島の現場においては、この20ミリシーベルトが基準とされたことにより、それまで、校庭での使用を控えていた学校が、基準以下であることを理由に屋外活動や部活動を再開したり、運動会を実施したりしており、子どもの被ばく量を増加させる役割を果たしている。

これに対し、福島の親たちの不安と怒りの声が増している。求められるのは、20ミリシーベルトの基準の即時の撤回であり、そのための高木大臣による政治的決断である。

ところが、高木大臣はじめ政務三役は、この決断をくだすべきときに、実際に被害をこうむっている福島の親たちとの面会を拒んだ。私たちはこれに強い憤りを感じる。

ここに、改めて20ミリシーベルト(屋外での毎時3.8マイクロシーベルト)の即時撤回を要求するものである。

――
注)5月2日に20ミリシーベルト問題で、大規模な政府交渉が開かれ、政務三役(大臣または副大臣または政務官)に出席してほしい旨を伝えていたが、三役は欠席した。
政府交渉後、私たちは、本問題は政治的な決断が必要とされるという認識から、5月6日に、福島みずほ事務所を通じ、政務三役とのアポイントを申し込んだ。
5月10日の段階で、福島から親たちバス2台を連ねて文科省に要請に来ることが決定。5月13日、高木文部科学大臣に会いたい旨を福島事務所経由で要望。
しかし、5月18日の政務三役会議において、「福島の親たちに、政務三役はだれも会わない」という結論した。
その後、事態を知った市民から、多くの抗議が高木大臣事務所および文科省によせられた。
5月20日(金)の15時から、本件は、再度三役会合で議論された。しかし、再度「政務三役(大臣・副大臣・政務官)」は対応しない、と結論された。なぜ、政務三役が対応しないのかの理由は現時点では不明である。

【福島原発震災(91)】5月23日文科省要請行動(子ども福島ネットからの要請書)

文部科学大臣 高木義明 様
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
代表 中手聖一

福島の子どもたちの被ばく最小化のための行動を直ちに執るよう要請します

 私たちは、自分たちの子どもを放射能から守りたい、ただただその一心で集まった福島の親たちをはじめとする市民団体です。私たちの苦悩と悲しみがどれほどのものか、大臣はお分かりでしょうか。

 貴省が4月19日に通知した「3.8μSv/h=年間20ミリシーベルト」の基準は、いわゆる安全基準として一人歩きし、私たちの愛しい子供たちは、部活や体育などで、校庭へグランドへと駆り出されています。校庭には毎時数十~数百マイクロシーベルトという、恐ろしいほどの放射線を放つ場所が、何の管理もされずに放置されています。校舎内の放射能汚染は日に日に進み、子どもたちは毎日毎日学校で被ばくさせられています。

 全国全世界から福島に集まっている関係者は、みな線量計で被ばくを管理しながら働き、その傍らで子どもたちは無防備のまま生活しています。このような異常な状態を作りだしたのは、大臣、貴省が出した“子ども20ミリシーベルト基準”によるのです。

 私たちの我慢ももう限界です。のんびりとモニタリングをしているときではありません。
 高木大臣、以下の被ばく低減策を直ちに行うことを決断してください。

一、今すぐ“子ども20ミリシーベルト基準”通知を撤回し、あらゆる被ばく低減策を、国が行ってください。

二、そのために、授業停止やいわゆる学童疎開・避難が必要なところは、躊躇なく行ってください。また、自主的に避難や疎開を行う者への経済支援を行ってください。

三、校庭削土をはじめとする除染作業、高放射線区域の隔離等を急いで行ってください。その際に集められた放射能は、国と東京電力が引き取ってください。

四、マスク・手洗い等の励行はもちろん、給食食材の配慮など内部被ばく防護策を徹底してください。

五、これらにかかった費用は、国が責任を持って負担し、東京電力に請求してください。

【福島原発震災(90)】5月23日文科省要請行動に650人(プレスリリース)

プレスリリース
2011年5月23日

【福島の子どもたちに対する20ミリシーベルト問題】
5月23日、文科省に対する要請行動について


文科省側「文科省は20ミリシーベルトを安全基準としていない」
「1ミリシーベルトをめざし、可能な限り被ばく量を下げていく」


市民側:「それを文書化し、新たに福島県に通知してください」
「年20ミリシーベルトを撤回してください」
「国が子どもの被ばく量の最小化の責任を負ってください」


5月23日、福島の親たち70名およびそれを支える市民が650名、文部科学省前に集いました。

親たちの求めることはただ一つ、福島の子どもたちを守ることです。そのために、文科省の出した校庭利用の暫定目安の年20ミリシーベルト(校庭での毎時3.8マイクロシーベルト)を撤回し、国が子どもの被ばくの最小化を責任をもって具体的に実施していくことでした。福島の親たちはそれを高木文部科学大臣に直接伝えるためにバス2台を連ねてやってきましたが、残念ながら高木文部科学大臣をはじめ、副大臣、政務官が交渉の場に姿をあらわすことはついにありませんでした。

交渉の場には、渡辺格・文部科学省科学技術・学術政策局次長が出席し、下記のように発言しました。
・文科省は年間20ミリシーベルトを安全基準としていない
・年間1ミリシーベルトをめざし、可能な限り下げていく方針である
・今回の措置は、あくまで暫定のもの。夏休み後に見直す方針
・モニタリングにより、新しい方針をたてる

これに対し、福島の親たちおよびそれを支える市民は下記のように発言しました。
・4/19の文科省の通知により、学校側は被ばく低減化の取り組みをやめてしまった。現に実害がでている。
・私たちをモルモット扱いにしているのか。
・いま現在も、子どもたちは被ばくしつづけている。夏休み後までは待てない。
・現在の文科省の措置は、国際放射線防護委員会(ICRP)にすら違反している。
・下記を改めて要請する
1) いますぐ20ミリシーベルトを撤回してほしい。
2) 1ミリシーベルトを目指すという文科省の方針を、文書で、福島県に通知してほしい。
3) 自治体が行っている被ばく低減のための措置に関して、国として責任をもって経済的支援も含み後押ししてほしい

これに対して、渡辺次長は下記を約束しました。
・上記の3つの要請については、政務三役と相談の上、早急に返答する
・毎日、状況を報告する

交渉には、福島みずほ議員、川内博史議員、森ゆうこ議員、川田龍平議員が立会い、文科省の措置は法律にすら違反している等、発言されました。

要請行動において、文科省の建物を囲む人間の鎖が完成しましたこと、併せてご報告します。

本日、文科省宛に提出した文書を添付します。

添付1:子どもたちを放射能から守る福島ネットワークによる要請
添付2:【声明】高木大臣はどこへ? なぜ福島の親たちに会おうとしないのか?20ミリシーベルト(毎時3.8マイクロシーベルト)の即時撤回を!
添付3:福島原発事故「20ミリシーベルト」問題に関する要請書の中間提出について(カバーレター)
添付4:子ども「20ミリシーベルト」基準の即時撤回および被ばく量の最小化のための措置を求める緊急要請

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(代表 中手聖一)、グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan、グリーンピース・ジャパン

問い合わせ先:
アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション)/090-3620-9251
満田夏花(みつた・かんな)FoE Japan/090-6142-1807

2011/05/22

【福島原発震災(89)】これは人権侵害ではないか-親の意向を子どもに挙手させて調査

これは人権侵害ではないか-親の意向を子どもに挙手させて調査

20ミリシーベルト問題で子どもの人権侵害ともいうべき事態が起こっています。

外で体育をやることに対して、親の考えはどうか、子どもに挙手させて調査する
ということが校長の指示で行われたというのです。

親の考えを聞くのなら、保護者に直接アンケートなどで問い合わせるべきです。

なぜ、子どもに保護者の意見を聞かなければならないのでしょうか?
子どもが保護者の意見を正確に表明できると言えるのでしょうか?

なぜ、挙手という方法をとらなければならないのでしょうか?
挙手という方法は子どもに対して、保護者の意見を皆の前で表明させる、
ということです。
子どもと保護者は別人格です。別人格の意見を皆の前で代弁させるということは、
子どもに対してどのような心理的な圧力を与えるか、教育者として配慮はないの
でしょうか?

投稿された方はこのような理不尽なことに対して対抗策を取ろうと動いています。
極めて重要な問題ですので、ご本人の了解を得て、一部分を転載させていただ
きます。

このようなことが起こらないよう、学校の監視を強める必要があります。
学校の理不尽なやり方に対抗する人を支援する必要があります。

筆者が求めている情報について、この記事の書き込み欄に書き込んでいただいても
かまいません。
激励のご意見や、対抗するための他のアイデアなどありましたら書き込みをお願いします。

   

======= 以下 子どもたちを放射能から守る福島ネット 投稿から======

こんばんは。いわき市の千葉です。
いわき市の保護者のみなさまにご協力をお願いしたいことがあります。

各現場の対応はまちまちですが、校長次第でいろんなことが親の要望も聞かずスタートしていってしまうことに危機感を覚えています。

昨日は外で体育をやることに対し、親の考えはどうか、子どもたちに挙手をさせて調査するということがありました。校長の指示だったそうです。反対している親の子が手を挙げたそうで、うちの子含め5人くらいだったそうです。親は反対しているのに手を挙げることができなかった子もいて、家に帰ってから親もショックを受け、子どもも罪悪感で泣いたそうです。

こんなおかしなことの数々を許しておく訳にはいきません。私は校長に「正しく心配してくださいね」と言われました。

そこで、各幼稚園、保育園、小中学校、高校へ同じ質問&要望を出し、学校側の対応を比較し表にまとめ公開したいと思います。場合によっては結果を学校へFAXしたり、印刷して配ることもしたいと思います。

比較し公開することで学校の意識を改善することに繋げることができるかもしれないし、子どもや保護者に傷を負わせるようなこともできなくなるかと思います。

保護者が要望する時の資料として交渉しやすくなることもあるかもしれません。

・・中略・・

頑張っている先生方の情報もお願いします。出世を諦め子どもを必死で守っている先生が叩かれるのであれば、私たちがエールを送りたいと思います。

2011/05/18

【福島原発震災(88)】福島周辺の土壌汚染と各地の汚染状況

福島周辺の土壌汚染と各地の汚染状況

 日本国内各地の土壌などの放射能汚染調査を行いました。私たちフクロウの会と福島や全国の協力者の方々と連携してサンプルを集めたものです。

 今回の調査は福島県周辺に加えて、比較のために宮城県、神奈川県、福井県、兵庫県、佐賀県のサンプルを集めました。調査にご協力いただいた方々に感謝します。

 仏の独立系調査団体ACROによる分析結果とコメントが届きましたので紹介します。

測定結果はこちら(ACROのウエブサイト)

測定箇所全体図(日本地図)はこちら

====  以下はACROからのコメントです ===

日本各地の土壌と藁 (2011年4月12日~18日)

 ACROは日本の市民が日本各地で集めたサンプルを分析した。

 

 福島から遠く離れた神戸では汚染は発見されなかった。佐賀(九州)と福井ではセシウム137のみが発見された。セシウム134が同じレベルで発見されないのでこのセシウム137は過去の汚染であることを示している。

 藁が高い放射能濃度であるのは藁が軽いことによる。一平方メートル当たりで同じ量の降下物による汚染でも、藁は土と比べるとキログラム当たりの汚染では非常に高いものとなる。

 前回の福島県からの土のサンプル分析ではヨウ素131が強く出ていた。しかしヨウ素131の半減期は非常に短い(8日間)ので比較的早く消滅する。今回測定されたヨウ素はセシウムと比べ低い。

 テルル129mは崩壊して半減期の非常に長いヨウ素129になる。半減期は16百万年である。この核種は原発周辺で注意深く監視する必要がある。

 福島に近いところでは全てのサンプルは損壊した原発からの降下物による多数の放射性元素により汚染されている。

 中間的なセシウム137は最もやっかいな核種となるだろう。今回測定された濃度は全て日本政府により決定された米の作付基準であるキログラム当たり5,000ベクレルは下回っている。

 1平方メートル当たりのセシウム137のベクレルを計算すれば、福島県の全てのデータはベラルーシでは移住の許可が与えられた185,000ベクレルを上回っている。

 宮城県の汚染も極めて高いものである。それは以前に我々が宮城県の野菜で測定した高い汚染と符合する。


福島県相馬市の海水 (2011年4月16日)

 通常、海水の汚染は検出することができない。原発から40Km以上北に位置する相馬で発見された放射性元素は福島原発からのものである。海水の汚染は海の生物に蓄積される特性をもっている。例えば海藻のヨウ素汚染は海水のそれに比べ1,000倍から10,000倍もの濃度になりうる。魚や貝類ではこの値は10倍から100倍となる。セシウムは生物種により10倍から400倍に濃縮される場合がある。

2011/05/17

【福島原発震災(87)】はじまりは一台の放射線測定器から…福島の子どもたちを放射能から守るために

はじまりは一台の放射線測定器から
福島の子どもたちを放射能から守るために


 法定の一般公衆の線量限度1ミリシーベルトの20倍もの被ばくを子どもたちに強いる文科省による学校の「20ミリシーベルト」の安全基準が、被ばくを最小限に抑えるために具体的な措置をとることの大きな障害となっています。これに対し福島の父母たちが不安と怒りを爆発させています。100名近い福島の父母たちが文科省に乗り込んできます。高揚する「20ミリシーベルト」の安全基準撤回を求める運動のきっかけは一台の放射線測定器でした。


■放射線測定プロジェクトと「福島会議」の活動
 フクロウの会では、事故直後から、グリーン・アクションらと協力して、米国の脱原発団体NIRSから提供を受けた10台の放射線測定器を福島周辺の人に配布する「放射線測定プロジェクト」を進めていました。その中の1台が、偶然にも3月23日には震災後に福島市内で立ち上がったばかりの「原発震災復興・福島会議」のメンバーに渡りました。
 原発震災復興・福島会議は、学校における測定を進めました。というのは、3月末の時期、地震後そのまま春休みに入っていた学校において、始業式を予定通り行うのかどうかが問題になっていたからです。文科省は3月25日付け通達で、新学期開始の時期について柔軟に対処するよう指示し、都内の多くの大学などでは、新学期開始を5月に延期しました。その一方で文科省は福島県に直接出向き、新学期の予定通りの実施を促したのです。新学期開始を前に、春休みに子どもを避難させていた家庭で、子どもを呼び戻す動きが各所で生じていました。
 福島会議による学校での測定により、学校の一部で地面から10センチの空間線量が毎時100マイクロシーベルトを超えるなど、高い線量が測定されました。仮にこの地面が人であれば除染が必要とされるレベルです。福島会議はこの結果に基づいて、福島県に対し、3月31日付けで新学期の延期と避難の促進を要請しました。この時期、福島、郡山、いわきなど各所でさまざまな団体が同様の要請行っていました。これに対し福島県は、新学期をあくまで予定通り実施するとしながら、県内の学校で一斉の測定を行うこと、国に対し学校の安全基準を明確にするよう要請すること、各学校に放射線測定器を配置することを表明しました。

■福島県による学校の測定結果
 県内1400校以上の学校での測定は4月5~7日に行われました。始業式は4月6日前後に行われたところが多く、測定は子どもたちを通わせながら実施したことになります。この測定は県内全域の初めての一斉測定であり、これにより福島全県の汚染状況が初めて明らかになったのですが、それは驚くべき結果でした。
 事故後、放射能が最も大量に出たのが3号機が爆発した3月15日ですが、このとき吹いていた南西の風に乗って運ばれた放射能は、飯舘村周辺で雨や雪で落ちて地面に沈着しました。放射能雲はさらにその延長の福島市方面に進み、山にぶつかった後、南に進路を変え、二本松、郡山から白河に至る中通りを縦断したと見られまする。いずれも30万人近い福島市、郡山市を含む中通りの汚染は、南相馬市やいわき市よりも激しい状況にあります。
 福島県による学校の測定は、各学校を短時間でまわるため、校庭の中央一箇所だけであり、線量の高い園庭や側溝まわりでは行っていません。それでも各所で高い線量が計測されました。福島会議がまとめたところでは、空間線量が毎時0.6マイクロシーベルトを超える学校が全体の76%以上、2.3マイクロシーベルトを超える学校が全体の20%以上ありました。
 毎時0.6マイクロシーベルトは「放射線管理区域」に相当する線量です。本来ならば、放射線マークを掲示し、線量計による被ばく管理を行わなければなりません。この中での18歳以下の労働は禁じられています。福島市内に限れば実に96%の学校で放射能マークの掲示が必要な状況でした。さらに毎時2.3マイクロシーベルトは、この環境下に1年いると、外部被ばくだけで原発労働者の線量限度の年平均値に匹敵する20ミリシーベルトを浴びてしまう線量です。
 福島会議はこのような県の測定結果をまとめ、当面の休校措置、避難疎開の促進、除染の実施を求める「進言書」を4月17日に県と国に提出しました。


■国の回答は線量限度の20倍を子どもたちに浴びさせるというもの
 その2日後の4月19日には、文科省が、福島県から要請を受けていた学校の安全基準について通知を出しました。これが子どもたちに年間20ミリシーベルトまでの被ばくを容認するものでした。文科省はその場合の学校の空間線量を、屋外に8時間、線量の低い屋内に16時間いるとの想定で毎時3.8マイクロシーベルトと計算し、これ以下では校庭の使用を含む通常の学校生活に制約はなく、何らの措置を講ずる必要はないとしたのです。
 毎時3.8マイクロシーベルトは、放射性管理区域レベルの実に6倍以上、そこに居続けた場合、年間で30ミリシーベルトを超える線量を浴びることになります。しかも文科省は、13校ある毎時3.8マイクロシーベルトを超えた学校についても、休校ではなく、校庭の使用を1時間に制限しただけです。
 飯舘村では計画避難となる同じ20ミリシーベルトの基準が、近接する福島市ではそれを超えても学校の校庭で子どもたちが遊んでも構わないという、それだけをとっても不可解な通知です。
 この通知が学校現場に何をもたらしたのでしょうか。三春町教育委員会は、4月20日付けで学校長に文書を出したのですが、これまで校庭の使用を控えていたが、安全基準が示され、三春町内で基準を超える学校がなかったことから、今後は校庭を使用するとあります。被ばくを抑えるための措置をやめ、子どもたちを積極的に外に出して被ばくさせるということが、県内各所で行われたのです。
 こうした中、福島県内のお母さんお父さんたちの不安と怒りが蓄積していきます。放射能について子どもへの影響を心配し不安を学校に訴えても、県や国や県のアドバイザーは大丈夫だと言っている、心配しているのはあなただけだと言われ、孤独に苛まれていた。県のアドバイザー山下俊一長崎大教授らは、100ミリシーベルト以下は安全だ、雨に放射能は含まれていない、野菜は洗えば問題ないなどとふれてまわり、放射能の危険性を訴えることがタブー視される雰囲気がつくられていました。


■福島の親たちが立ち上がった
 安全基準が示されたあたりから、フクロウの会のブログのうち「進言書」を掲載したページにコメントが続々とよせられるようになった。「今までアドバイザーが安全だというのを信じて逃げたい気持ちを抑えてきました」「子どもをもつ親は子どもを連れて避難したいと思っているのです」「子どもを守るために、お父さん、お母さん、立ち上がりましょう、私たちが動かなくては誰も子どもたちを守ってくれないのです」…コメントは主に福島、郡山の親からであり、数日のうちに500件を超えました。
 こうした声に押され、フクロウの会と福島会議の共催で、子どもたちを放射能から守るための集会を福島市で開催しました。二度の集会に実に350名以上の父母たちが集まりました。不安と怒りを共有できる場を与えられ、堰を切ったように各々が胸中に溜めていた思いをしゃべり続けました。
 5月1日の二度目の集会は、小佐古内閣参与が辞任した直後で、20ミリシーベルトに対する批判は福島でも公然のものとなっていました。父母たちは不安と怒りを吐露するだけでなく、子どもたちを放射能から守るための具体的な方策について議論しました。その場で「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が結成され、避難の斡旋、自主的な測定と除染活動、県の安全宣伝批判などについて、プロジェクトチームに分かれての活動が始まりました。子ども福島ネットの初仕事は、翌5月2日に国会議員会館で首都圏と全国の市民団体が結集して行われた対政府交渉に出向き、子どもたちに20ミリシーベルトの被ばくを強要する安全基準の撤廃を要請することでした。。


■全国から結集しての対政府交渉
 グリーンアクション、美浜の会、フクロウの会、FoE Japanが中心となって進めてきた対政府交渉は、この20ミリシーベルト問題では4月21日と5月2日の二回行われました。4月21日の交渉では、文科省も原子力安全委員会も質問に対してまともに回答できる担当者ではなかったため、猛抗議をした結果、5月2日の交渉が設定されたのです。文科省は次長クラスが出てきました。
 交渉には350人が詰めかけ、福島からも10名が参加しました。土を持参し、そこに放射線測定器を当てると、カリカリと鳴り続け、値は毎時30マイクロシーベルトを超えていました。文科省の次長が「これは汚染が高い地域の土か?」と聞くと、福島の方は「いいえ、これはあなた方が安全だと言った学校の校庭の土です、どうぞお持ち帰りください」と切返しました。
 交渉では、文科省が、自治体が独自に進める除染作業に対して、「ブレーキはかけないが、やる必要はない」と回答し、20ミリシーベルトの基準にこだわる姿勢をみせました。こちらは、文科省が20ミリシーベルトの根拠としているICRPの声明が、あらゆる防護策をとることを前提にしていることからも除染の必要性があると訴えました。
 これに対し、原子力安全委員会は、意を決したように「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言、会場からどよめきの声があがりました。決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったとも。じゃあなぜ文科省の基準を了解したのかと問うと、隣の文科省の次長に向かい、「20ミリシーベルト」は認めてませんよねと詰め寄りました。驚きの場面でした。
 その後、国会では、文教科学委員会で多くの議員が20ミリシーベルト問題を質問するなど、社民、民主、自民、公明他、与野党問わずこの問題で政府に対する批判が集中しました。私たちも議員回りを続ける一方で、20ミリシーベルト撤回を求めるオンライン署名を呼びかけました。
 5月13日に開かれた民主党の勉強会には、40名近い議員が集まり、「20ミリシーベルト」の撤回を迫りました。そこに出てきた文科省の局長クラスの審議官は、「20ミリシーベルトが基準ではない、3.8マイクロシーベルトが基準だ、その場合の実際の被ばく量は9.99ミリシーベルトだ」などと言い始めた。そもそもそのような想定に無理があるし、10ミリシーベルトを切ればいいというものでもない。原子力安全委員会は「あくまで1ミリシーベルトをめざすべき」と文科省の姿勢を暗に批判していました。
 20ミリシーベルトを認めた専門家は一人もいなくなり、一部文科省の役人が暴走し、高木文科大臣はじめ政務三役、そして管首相や枝野官房長官が意固地になっているだけだという状況が、あらわになるところまで追い詰めるとができました。
 5月23日には、「20ミリシーベルトを撤回せよ!被ばくを最小化するための具体的な措置を行え!福島の子どもたちを放射能から守れ!」を合い言葉に文科省行動が行われます。福島からバスをしたてて父母たちが参加します。これに最大限結集して20ミリシーベルトを撤回させよう。

2011/05/15

【福島原発震災(86)】5月23日集まれ…子ども20ミリ撤回!文部科学省前要請行動&院内集会

※拡散希望

【5.23 文部科学省 包囲・要請行動&院内集会】
~子ども20ミリシーベルトを撤回せよ! 福島の子どもたちを守れ!~


集合:13:00@文部科学省前
東京都千代田区霞が関3-2-2(最寄駅:虎の門、霞が関)

地図:http://www.mext.go.jp/new_map/index.htm

===========================================

あまりの事態に、福島の親たちが立ち上がりました!
みなさんもぜひ応援してください。5月23日13:00、文科省前に集まってください。

5月23日のスケジュール:
13:00 文科省前集合
   福島からの代表団到着
13:30 文部科学大臣への要請(交渉中)
   (文科省外にて)要請行動
14:30 移動開始
15:30~16:30
   院内集会「福島の子どもたちを守れ!」
   於:参議院議員会館 講堂
   内容:交渉報告、国会議員との対話、記者会見など
16:30~17:00
   記者会見 於:参議院議員会館 講堂

【主催】子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
【共催】グリーン・アクション、原子力資料情報室、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan
【協力】脱原発と新しいエネルギー政策を実現する会(eシフト) プルトニウムなんていらないよ!東京
【問合せ】福島老朽原発を考える会 03-5225-7213 携帯 090-8116-7155(阪上)
 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク事務局 024-523-5238
 携帯 080-1678-5562(中手)

■4月19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリシーベルト、屋外において3.8マイクロシーベルト/時と
いう基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知しました。3.8マイクロシーベ
ルト/時は労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」
(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量です。

■基準を現実の合わせて引き上げたこの決定は、行政の都合で、不必要な被ばくを子どもたちに強いるものです。

■高まる批判の声に、原子力安全委員会は、「20ミリシーベルトを基準として認めていない。また、どの委員も専門家も安全ともしていない」と発言し、政府の意
思決定の根拠は極めてあいまいな状況となっています。

■この無責任で非人道的な日本政府の決定に、国際的にも国内的にも、非難の声があがっています。
http://e-shift.org/?p=432

■福島県選出の複数の国会議員からも「20ミリ撤回」の声があがっています。
http://blog.canpan.info/foejapan/archive/23

■私たちの声を結集し、この「20ミリシーベルト」を撤回させましょう!
■福島の子どもたちの未来を守りましょう! 文科省を包囲しましょう!

2011/05/12

【福島原発震災(85)】5月21日 福島原発震災連続集会(第2回目)開催します

[拡散希望] 場所・内容変更あり

5月21日 福島原発震災連続集会(第2回目)開催します

 4月30日に続いて「福島の子どもたちを放射能からまもれ!」福島原発震災連続集会(第2回目)を開催します。

 福島では「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が立ち上がりさまざまな活動を始めました。

 一方で政府・文科省は子どもへの20ミリシーベルト基準を撤回せず、内外から強い批判にさらされています。政府・文科省は「必要ない」としていた校庭の除染についての方法を福島県に示しました。しかしこの内容は根本的な対策には程遠いものです。

 福島の子どもたちの置かれている現状と、内部被ばくや低線量被ばくの危険性についてのお話を聞き、首都圏の私たちが何ができるのか、議論を深めてゆきたいと思います。

 多くの方々の参加をお願いします。

福島原発震災連続学習会(第2回目)

福島の子どもたちを放射能から守れ!

●日時:5月21日(土) 13時開場、13時30分開会 16時半頃閉会

●場所:関交協ハーモニックホール 
*注意:場所が変わりました*
 東京都新宿区 西新宿7-21-20 関東交通共済協同組合ビル B2F
 ・営団地下鉄・丸ノ内線「西新宿駅」下車 徒歩5分
 ・都営地下鉄・大江戸線「新宿西口駅」下車 徒歩8分
 ・JR・山手線、総武線 「新宿駅」下車 徒歩10分
 JR「新宿駅」西口出口を出て新宿大ガード方向へ進み、青梅街道を新宿警察方向に進み『新宿警察署前』信号を右折し15メートル左側のビルのB2Fが会場になります。新宿駅より約徒歩10分です。 地図はこちら

●内容
(変更があります)
 ・福島の子どもたちの今 - "子ども福島ネット"からの報告
 ・20ミリシーベルト問題 - 政府・国会周辺の動き
 ・質疑と議論 - 首都圏の私たちは何ができるか
 ※内容は変わる可能性があります

●参加費:500円

●主催:福島老朽原発を考える会(フクロウの会)/プルトニウムなんていらないよ!東京 
 協力:チェルノブイリ子ども基金/日本消費者連盟/
     ふぇみん婦人民主クラブ/FoE Japan
●会場費 500円+カンパ

 

【福島原発震災(84)】文科省は表土入替え措置を止め、表土の除染を行うべき - 緊急要請と声明 

文科省は表土入れ替え措置を止め、表土の除染を行うべき - 緊急要請と声明

 文科省は福島県内の学校校庭の放射線量低減策として5月11日、表土と下層の土を入れ替える措置を有効だとして、福島県に通知しました。

 この措置に対して、5月2日に子どもへの被ばく基準20ミリシーベルト問題で文科省・原子力安全委員会と交渉を行った4市民団体と福島の2市民団体・個人が緊急要請と声明を発表しました。私たちフクロウの会もこの声明の賛同団体となっています。

 表土入替え措置は子どもたちを放射能汚染から守るための根本対策からはほど遠いものであり、その根本対策を要求するとともに、20ミリシーべルトの基準の撤回を改めて要請しています。

 本緊急要請と声明を出した団体・個人は5月23日(月)に文科省への申し入れ行動を計画しています(詳細未定)。詳細が決まり次第、告知しますので皆様の応援参加をお願いします。

緊急要請と声明

文科省は表土入れ替え措置をやめ、表土の除染を行うべき
汚染土は東電と国の責任で管理すべき
子どもへの20ミリシーベルト基準を撤回し、安全が確認できるまで学校を閉鎖すべき

 文科省は年20ミリシーベルトの学校使用基準について、国内外からの強い批判にさらされ、5月11日、校庭の表土と下層土を入れ替える方法を福島県に通知しました。しかし、これは根本的な問題の解決とはほど遠いものです。速やかに校庭等の表面汚染土を除去し、取り除いた汚染土は東電や国の責任で管理すべきです。

 文科省が福島県内で行った校庭の除染実験は表土50センチを下層の土と入れ替えるものです。これは汚染土を取り除く根本的な除染措置とは違い、汚染土が地中に残るため、埋められているとはいえ一時しのぎの措置に過ぎません。福島原発事故が未だ収束せず放射能が漏れ続けている状況では上下を入れ替えたとしても、再び表土が汚染されることは十分考えられます。表土が再び汚染された時にはどうするのでしょうか。また学校校庭の地下50センチに存在する汚染土の放射能は雨水や地下水と共に再び環境中に流れ出す可能性も高くまた、将来的に工事などで掘り返される可能性も十分考えられます。

 文科省は、5月2日の政府交渉で「除去した表土の持って行き場等問題が多い」として、表土除染について「ブレーキはかけないが、やる必要はない」と述べました。大事故が起きる前は「原発は安全」だとして推進し、大事故が起きれば今度は汚染土の持って行き場がないからまともな除染さえも行おうとしない。こういった子どもの健康や生命の危険を顧みない姿勢は、国際的な専門家からも強く批判されています。

 このような実験をしている間にも、「20ミリシーベルト」基準は一人歩きし、福島県内では体育授業や部活でグランドを使用し始めています。夏のスポーツ大会を控え、部活を開始した子どもたちは毎日土ほこりにまみれて練習を行っているのです。子どもたちの内部被ばくはどんどん進むでしょう。学校では保護者に同意書を取り付けて屋外練習を行っているといいます。責任を保護者に押しつける県や教育委員会、学校当局の事なかれ主義は批判されるべきですが、その原因を作っているのは、文部科学省の「20ミリシーベルト」に関する通知です。

 もはや一刻の猶予もありません。時間が経てばそれだけ子どもたちの被ばくは増え続けます。子どもたちの被ばくをこれ以上増やさないために、文科省は「20ミリシーベルト」基準をただちに撤回すべきです。全ての保育園、幼稚園、学校などの徹底的な除染を行って下さい。除染が完了し安全が確認できるまで学校を閉鎖して下さい。たとえ子どもたちの一時的な教育の機会が制限され不十分な状況になろうとも生命と健康があれば後で取り返すことは十分可能です。生命と健康を害してまで当面の教育の機会を確保することなど本末転倒です。

2011年5月12日

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表 中手聖一
原発震災復興・福島会議
グリーン・アクション
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
国際環境NGO FoE Japan

緊急要請と声明(pdf)をダウンロード

【福島原発震災(83)】福島県弁護士会会長が20ミリ批判の声明

福島県弁護士会会長が20ミリ批判の声明

日弁連会長声明(4月22日)に続き4月25日には福島県弁護士会会長も声明を出していました。

新聞などマスコミでは紹介されていないようですが地元からの声という意味で重要ですので紹介します。

福島県民、とりわけ子どもたちの安全・安心な未来を確保するよう求める会長声明
 

1.
 東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散が問題となる中、2
011年(平成23年)4月11日、国は、「国際放射線防護委員会(ICRP)
と国際原子力機関(IAEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値
(年間20~100mSv)を考慮して、事故発生から1年の期間内に積算線量が20
mSvに達するおそれのある区域を『計画的避難区域』とする」と発表した。

 また、福島県内において、学校等の校舎や校庭等の利用の是非が問題となる中、
文部科学省は、4月19日、原子力安全委員会の助言を踏まえ、福島県教育委員会
等に対し、「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方に
ついて」(通知)を発した。同通知は、「幼児、児童及び生徒が学校に通える地域
においては、非常事態収束後の参考レベルの1~20mSv/年を学校等の校舎・校庭
等の利用判断における暫定的な目安とし、今後できる限り、児童生徒等の受ける線
量を減らしていくことが適切であると考えられる」としている。


2.
 上記発表及び通知が、従前の一般公衆の年間被ばく基準量である1mSvを超えて、
その20倍にあたる年間最大20mSvまで許容するものとなった点について、既に各
方面から様々な意見が出されているところであり、当会としても、安易な基準値の
緩和を直ちに是とするものではない。

 また、現状において上記通知内容を妥当と解する立場であっても、20mSvを下回
ればそれでよいというものではなく、その中でも可能な限り年間被ばく量を抑制し
ていくべきことについては異論がないはずである。

 しかも、多くの研究者により成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすい
との報告がなされていることや、放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受け
るのが子どもであること、子どもたちが舞い上がった砂ぼこりを吸入したりするこ
とにより内部被ばくを受ける危険性があることや、園児や小学校低学年の児童が土
や砂を口に入れるなどして放射性物質を体内に取り込む危険性が大人よりも高いこ
と等に鑑みると、特に、子どもたちが被ばくすることを極力抑制すべく最大限の努
力がなされるべきである。

 そして、福島県内の広い地域において、従前の一般公衆の年間被ばく基準量であ
る1mSvを超える被ばくが現に生じ、あるいは想定されていることに照らして、福島
県民、とりわけ子どもたちについて、長期の健康モニタリングを行い、過大な被ば
くにより健康被害を生じた者がある場合には、早期に診断、治療できる医療対応体
制が確立されなければならない。 


3.
 福島県内の幼稚園、保育園及び小中学校269施設を対象として、4月5日から
同月7日にかけて実施された環境放射線モニタリング結果によると、地上高1メー
トルでの空間線量率を地上高1センチメートルでの空間線量率が上回る傾向にある
ことが明らかとなっている。これは、大気中に放出された放射性物質の多くが地表
面に蓄積していることを示すものといえる。

 したがって、早急に、福島県内各地の放射線量に応じて、汚染された土壌の除去、
除染、客土等の対応が検討されるべきである。


4.
 特に、幼稚園、保育園の園庭及び小中学校の校庭については、子どもたちが被ば
くすることを極力抑制するため優先的に対応が検討されるべきであり、この検討及
び作業が終了するまでは、少なくとも園庭、校庭等における屋外活動を禁止すべき
である(この作業の際に、除去された表土からの放射性物質の拡散を防止すべく必
要な管理がなされるべきは言うまでもない。また、同時に、大気中及び表土上の放
射性物質が集積して流入していると思われる通学路上の側溝についても対応が検討
されるべきである)。

 そのうえで、引き続き福島県内すべての幼稚園、保育園及び小中学校について、
空間線量率や、大気中の放射性物質濃度、土壌の放射性物質に関し、海外を含めた
複数の専門機関による詳細なモニタリングを行い、依然として高い放射線量が計測
される幼稚園、保育園及び小中学校については、代替施設による屋外活動あるいは
学園、学校活動が可能となるよう必要な措置を講じるべきである。

 これまでの各種モニタリング結果から、同一市町村内や隣接市町村の地点であっ
ても汚染状況に大きな違いがあることが確認できていることから、生徒及び保護者
の生活に過大な負担を与えないような代替施設を手配することは十分可能である。
 

5.
 医療対応体制については、これまでのところ、4月24日、福島県が、子どもの
長期的な健康調査や住民の定期的な健康診断などを実施する方向で検討を始めたと
の報道がなされたが、現時点では国によっても県によっても具体的な措置は講じら
れていない。特に、避難あるいは屋内退避の防護措置がとられた地域について、地
区外に退避した県民及び地区内にとどまって居住している県民のいずれについても、
手厚い医療対応体制を必要とするにも関わらず、何らの対応がなされていないこと
は重大な問題である。

 福島県民、とりわけ子どもたちについて、長期の健康モニタリングを行うための
医療管理計画の策定、放射線障害者の早期診断及び治療の訓練を受けた医療従事者
の確保及び指定、そのような診断及び治療を行う施設の認定等の医療対応体制が早
急に確立される必要がある。
 

6.
 上記3乃至5のような措置をとるためには当然に多額の費用を要することになる
が、これは補償の一環として原子力事業者である東京電力株式会社が当然に負担す
べきものであり、国がこれを一時立て替えて拠出し、同社に対して求償を行うべき
ものである。

 被ばくを極力抑制すべく最大限の努力がなされ、充実した医療対応体制が確立さ
れなければ、福島県民、とりわけ子どもたちの安全・安心な未来は確保されないの
であり、上記の措置は国及び県が主体となり、東京電力及び国の負担において早急
に実施されるべきものである。
 
以上により、福島県弁護士会は、福島県民、とりわけ子どもたちの安全・安心な未
来を確保するため、早急に以下のとおりの措置を講じることを求める。


                       記

(1)  国及び福島県は、福島県内各地の放射線量に応じて、汚染された土壌の
除去、除染、客土等の対応を検討すること。

(2)  国及び福島県は、特に、幼稚園、保育園の園庭及び小中学校の校庭につ
いて、子どもたちが被ばくすることを極力抑制するため優先的に対応を検討し、こ
の検討及び作業が終了するまでは、少なくとも園庭、校庭等における屋外活動を禁
止すること。
 そのうえで、引き続き福島県内すべての幼稚園、保育園及び小中学校について、
空間線量率や、大気中の放射性物質濃度、土壌の放射性物質に関し、複数の専門機
関による詳細なモニタリングを行い、依然として高い放射線量が計測される幼稚園、
保育園及び小中学校については、代替施設による屋外活動あるいは学園、学校活動
が可能となるよう必要な措置を講じること。

(3)  国及び福島県は、福島県民、とりわけ子どもたちについて、長期の健康
モニタリングを行うための医療管理計画の策定、放射線障害者の早期診断及び治療
の訓練を受けた医療従事者の確保及び指定、そのような診断及び治療を行う施設の
認定等の医療対応体制を早急に確立すること。
 
 
                        2011年(平成23年)04月25日

                             福島県弁護士会
                             会長 菅野 昭弘

福島県弁護士会のHPはこちら

2011/05/11

【福島原発震災(82)】郡山市で子どもを放射能から守る集会を開きます!

郡山市で子どもを放射能から守る集会を開きます!

拡散希望

郡山市周辺で心配をしている方々へお知らせです。

子どもを放射能から守る福島ネットワークによる集会を郡山でも実施することに
なりました。グループワーク形式でみなさんの声をお聞きするところからはじめ、
20ミリ問題、除染や避難の問題など、今後の活動についても話し合いたいと思
います。お誘い合わせの上お気軽にご参加ください。

■子どもたちを放射能から守るための集会(郡山)
■5月22日(日)15:30~18:30
■郡山教組会館2F会議室(郡山市桑野2-33-9)024-932-2144
■主催:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
■問合せ:090-8116-7155(阪上)

2011/05/10

【福島原発震災(81)】福島県教職員組合の声明と要請―線量の高い学校の休校・移転も提案

福島県教職員組合の声明と要請―線量の高い学校の休校・移転も提案

 福島県教職員組合が学校の使用基準に対して批判し、県教育委員会、教育委員長と教育長に対して具体的要請を行っています。すでに4月20日に声明を、4月26日には要請を出していました。

 あまり知られていない情報ですので全文を紹介させていただきます。福島県教職員組合のHPは確認できませんでした。5月8日に紹介されたブログ「障害者の解放を目指して・・・心病める人へのメッセージと討論の場」さんから転載で紹介させていただきます。

--- 以下 転載 ---

2011年4月26日
福島県教育委員会
教育委員長 鈴木 芳喜 様
教育長   遠藤 俊博 様
                   福島県教職員組合
                   中央執行委員長 竹中 柳一
 放射線による健康被害から子どもたちを守るための具体的措置の要請
 東日本大震災及び原発事故から、子どもたち及び教職員の安全確保に努力されていることに感謝申し上げます。文部科学省は4月19日、「学校等の校舎・校庭等の利用判断に係る暫定的考え方」を示しました。
学校現場及び保護者からは、「本当にこの基準で大丈夫なのか」「これでは子どもたちの健康を守れない」といった不安の声が多く出されています。
 県教組は20日「放射線による健康被害から子どもたちを守るための県教組声明」を発し、今回の基準を直ちに撤回し、子どもの健康を第一にした安全策を示すとともに、子どもたちの受ける線量を減らすための具体的な対策を示し早急に実施することを訴えています。
現在、多くの子どもたちは、通常値を大きく超える放射線量の中での生活しています。
 県教育委員会は、福島県内の学校現場の実態を直視し、文科省の示した基準よりも厳しく状況を受け止め、将来にわたり、子どもたちの健康に絶対に影響がないといいきれる安全策を示し、具体的措置を早急に講ずるよう以下の点について強く要請します。
                 記
1. 福島県として子どもを放射線の健康被害から守るため、より厳しい基準と、子どもたちの受ける線量を減らすための具体的な対策を早急に示すこと。
(1)  年間20mSv、毎時3.8μSvとした文部科学省の基準を撤回するよう上申すること。
(2)  子どもたちは、学習で土をいじり校庭を走り回ります。舞い上がった砂ぼこりを吸い込むことは避けられません。また、転んで皮膚をすりむけば、そこに放射性物質が付着します。このような場合の科学的データを示すこと。子どもたちの行動を具体的に捉え、外部被ばく、内部被ばくの危険性を回避し将来にわたる健康を守る観点から、県独自でより低い基準値を定め、子どもたちの受ける線量を減らすための具体的な対策を早急に講ずること。
(3)  各学校毎に、専門的機関による敷地内及び通学路の詳しい放射線量の測定と、「福島第一原発汚染マップ」同様の学校版放射線量マップを早急に作成し、保護者・地域に公表すること。
(4)  放射線量の高い土壌の入れ替え、除染措置を行うなど、放射線量を減らす万全の対策を講ずること。
(5)  放射線量の高い学校での授業は行わず、休校もしくは、放射線量の低い地域への移転など、子どもたちの受ける線量を減らすため具体策を講じること。
2. 全ての学校に放射線量測定器を早急に配布すること。各学校における放射線量測定についての統一的な測定マニュアルを示すこと。
(1)  学校版放射線量マップを基に、子どもの活動場所、及び敷地内の放射線量が高い箇所で定時に測定し、結果を掲示し公表すること。また、積算値も公表すること。その場合、空間線量のみならず、地面から1cmの放射線量も測定すること。
(2)  たとえば、地面から1cmでの放射線量が3.8μSv/hを越えるホットスポットを立ち入り禁止区域とし、子どもたちが放射線を受けない対策を講じること。
3.  子どもたちを放射線による健康被害から守るため、教職員が指導し行うべき安全対応マニュアルを早急に示すこと。
(1)  県教委がこれまでに示している、日常生活における注意事項を徹底させること。
(2)  放射線量の高いところでの活動は絶対行わないこと。
(3)  花壇の整備、栽培活動を行う場合は、直接土に触れないよう、全員にゴム手袋の着用させること。
(4)  屋外活動では、内部被ばくの危険性を無くすため、マスクを着用させること。また、活動時間の制限をし、受ける線量を減らすための具体的対策を講ずること。
(5)  屋外での部活動及び体育の学習活動では、土埃の上がらないように配慮すること、土埃が上がる状況の中では活動を中止し退避するなど、具体的な対応を取ること。
(6)  マスク及びゴム手袋等は公費で負担すること。
4. 放射線量が高くなる危険性が生じたときの対応について、明確にすること。
(1)  学校現場にすみやかな情報が送られるように、情報網を整備すること。
(2)  緊急時にすみやかな対応ができるよう、指示系統を明確にすること。
(3)  緊急時に、教職員が子どもたちに行う安全対策について明確にすること。
(4)  緊急時に、保護者との連絡、対応について明確にすること。
(5)  安全確認、学校からの退避についての判断、指示系統を明確にすること。
5. 子ども、教職員を放射能による健康被害から守るため、福島県教職員組合との協議を継続して行うこと。また、子どもたちの安全を守るために、県教育委員会に寄せられる意見・要望について公開し、県民が安心できる対応策について様々な観点から専門家の意見も踏まえなから検討し具体策を講ずること。
以上
       放射線による健康被害から子どもたちを守る県教組声明
福島原発の大事故以降、放射線量が極めて高い状態が続いています。私たちは、放射線による健康被害から子どもたちを守るために、福島県教育委員会及び文部科学省に対し、安全対策についての指針とマニュアルの提示を強く求めてきました。大事故から一ヶ月が経過した4月19日、ようやく文部科学省は「学校等の校舎・校庭等の利用判断に係る暫定的考え方」を示しました。学校現場及び保護者からは、「本当にこの基準で大丈夫なのか」「子どもたちに影響はないのか」といった不安の声が多く出されています。
文部科学省は、原子力災害対策本部の示した「ICRP(国際放射線防護委員会)の示す『非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル』1~20mSv/yを暫定的な目安」を、一般公衆レベルのまま学校での判断基準としました。ICRPが示している現行の規制値は1mSv/yです。

これをはるかに超え、一般公衆レベルの上限でとされる20mSv/yは、計画的避難地域を設定する基準量でもあり、放射線業務従事者の年間平均許容量(ICRP 1990年勧告)に匹敵します。

放射線に対するリスクが大きい子どもたちにこの基準を適用することは、長年の生活の中での累積値は相当に大きくなり、子どもたちの命と健康を守ることはできません。
また、子どもたちが校庭等で活動できる制限値を3.8μSv/h未満としていますが、学校等の敷地内の放射線量は一定ではなく、側溝や雨樋の下、塵や木の葉などが集まる吹きだまり、水たまりなどの窪地などは比較的高く、校庭など地面は空間放射線量より高くなっています。子どもたちは、学習で土をいじり、校庭を走り回ります。舞い上がった砂ぼこりを吸い込むことは避けられません。また、転んで皮膚をすりむけば、そこに放射性物質が付着します。空間線量が3.8μSv/h未満であっても、実際は空間線量より高い放射線を浴びることとなります。さらに、内部被ばくの危険性もあります。
文部科学省の示した暫定基準は、子どもたちが学校生活をする上では極めて危険な基準といわざるを得ません。文部科学省は、今回の基準を直ちに撤回し、子どもの健康を第一にした安全策を示すべきです。また、福島県災害対策本部及び福島県教育委員会は、子ども及び保護者が安心できるように、全ての学校施設及び通学路において放射線量の高いところを明確にした放射線量マップを作成し、立ち入り禁止区域を設けるなど万全の対策を講ずることを強く要求します。

さらに、子どもたちの受ける線量を減らすための具体的な対策を示し、土壌の入れ替え等の措置を早急に講ずることを要求します。
私たちは、子どもたちを放射線による健康被害から守るため、一刻も早い原発事故の収束と安全確認を強く求めると共に、現在の通常値を大きく超える中での子どもたちの生活について、「直ちに健康に影響がない」というのではなく、絶対に健康に影響がないといいきれる安全策を早急に示し実施することを強く要求するものです。
                                  
   2011年4月20日
                                       
                                               福島県教職員組合
                                                              中央執行委員長 竹中 柳一

【福島原発震災(80)】福島原発震災連続集会 第一回報告

   中手聖一さん( 子供たちを放射能から守る福島ネットワーク代表 )の訴え

「福島の子どもたちの被ばく問題の『現場』は東京です」!

200人参加で「福島の子供たちを放射能から守る」ため活発な意見交換


4月30日、東京の全水道会館で福島原発震災連続集会(第1回)「福島の子どもたちを放射能から守れ!」が"フクロウの会"と"プルトニウムなんていらないよ!東京"の2団体の主催で行われました。会場は200人の参加者であふれかえりました。

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事故直後からの活動の経緯説明をする青木一政さん(福島老朽原発を考える会・放射能測定プロジェクト)。
3月に立ち上げた放射線測定プロジェクトから、現在「20mSv問題」とも言われる子供たちへの被ばくの強要反対する対政府交渉まで。福島県と首都圏、そして全国が一つになって取り組んでいる運動についてお話しいただきました。

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中手聖一さん(子供たちを放射能から守る福島ネットワーク代表)から福島市の状況について講演をいただきました。下の写真は放射線管理区域を示す法律で決められたステッカー。福島の子供たちは今、法律上このステッカーが張られていなければならない地域にいます。

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「直ちにではなく、将来の放射能被害は知られつつある、でも忘れないでほしい、子供たちの体はまさに今、被害を受けている、傷付けられているのです。
「子供たちに被ばくを強要している張本人は東京にいます。文科省、原子力安全委員会です。まさにこの問題の『現場』はここ東京なんです。」
中手さんは現地の切実な思いを力強く講演くださり、参加者一同、改めて身につまされると同時に、現在の運動の重要性をかみしめました。

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阪上武さん(福島老朽原発を考える会代表)から、現時点で運動の焦点となっている「20mSv問題」について解説と対政府交渉の経緯説明、そして5月2日の対政府交渉への参加呼びかけがありました。
対政府交渉には集会参加者も集い、交渉上でも原子力安全委員会と文科省の亀裂を明らかにするなど、一歩前進しました。
交渉の報告はこちら(報告1報告2)をご覧ください。

【福島原発震災(79)】拡散希望…集まれ!子ども福島ネットで県への要請11日水曜日15時集合

福島県知事への行動要請日が決まりました。
5月11日15:00
福島県自治会館(県庁隣)1階に集合
何人来てもかまいません。
お誘い合わせの上ご参加ください。

2011/05/07

【福島原発震災(77)】オンライン署名【第2弾】子ども「20ミリシーベルト」基準の即時撤回および被ばく量の最小化のための措置を求める緊急要請

20ミリシーベルト撤回に向けては、1,074団体および53,193人の連名を頂き、ありがとうございました。みなさまの声を後ろ盾に、政府への要請を継続しています。下記のように、署名活動、第2弾を開始いたしました。子どもたちの被ばく最小化にむけた県内の取り組みも応援したいと思っています。ぜひ、ご署名をいただければ幸いです。転載歓迎です。

http://blog.canpan.info/foejapan/archive/19


福島原発事故「20ミリシーベルト」署名第2弾

子ども「20ミリシーベルト」基準の即時撤回および被ばく量の最小化のための措置を求める緊急要請


>オンライン署名はこちらから

>署名用紙はこちらから印刷してください

「要 請(PDFバージョン)」はこちらからダウンロード


私たちは、福島の子ども達を放射能から守るために、日本政府に対し以下を要請します。

1.4月19日に文科省が示した学校等の校舎・校庭等の「20ミリシーベルト基準」の即時撤回および現行の1ミリシーベルト基準の維持(注1)

2.子どもの被ばく量を最小化するためのあらゆる措置を政府の責任で実施すること。また、自治体や市民団体、個々の市民自らが被ばく量を低減させるために実施する、除染・自主避難・疎開などの自主的な取り組みが円滑に進むよう、最大限の支援を行うこと

3.内部被ばくを考慮に入れること

4.屋外で3.8マイクロシーベルト/時以下になったとしても、モニタリングを継続すること(注2)

【背景】
4月19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリシーベルトという基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知しました。この年20ミリシーベルトは、屋外で3.8マイクロシーベルト/時に相当すると政府は示しています。これは以下の点で、極めて憂慮すべき基準です。

・3.8マイクロシーベルト/時は、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量である

・20ミリシーベルト/年はドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当する

・原発労働などによって白血病を発症した場合の労災認定基準は、5ミリシーベルト×従事年数である (注3)。実際に白血病の労災認定を受けているケースで、20ミリシーベルト/年を下回るケースもある。

・本基準は、子どもの感受性の強さや内部被ばくを考慮に入れていない

・本基準により、子どもの被ばく量を低減するための取り組みをやめてしまった学校も多い

・3.8マイクロシーベルトを下回った小中学校・幼稚園・保育園・公園におけるモニタリングが行われなくなった

【高まる撤回を求める声】
20ミリシーベルト撤回を求める要請第1弾では、61か国から1,074団体および53,193人の電子署名が集まり、5月2日に日本政府に提出されました。日本国内外の怒りの声が結集した結果を生みました。また、海外の専門家からも多くの憂慮の声があげられています(別紙)。

【政府交渉で明らかになったこと】
20ミリシーベルト撤回に向けて、5月2日に行われた政府交渉では、政府側からは下記の発言が飛び出しました。すでに「20ミリ」の根拠は完全に崩れています。

・原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。

・原子力安全委員会が4月19日に示した「助言」(20ミリシーベルトは「差し支えない」)は、助言要請から2時間で決定されたが、決定過程においては、正式な委員会も開催されず、議事録も作成されなかった。

・原子力安全委員会は子どもの感受性の高さに鑑み、大人と区別する必要があると発言したが、それに対し、文科省は区別する必要はないと発言した (注4)。

・厚生労働省は、放射線管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならないと発言したものの、放射線管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非については回答しなかった。

・原子力安全委員会は内部被ばくを重視するべきだと回答しているが、文科省はシミュレーションで内部被ばくは無視できると結論した(注5)。しかしこのシミュレーションの根拠は、示されていない。

以上のことから、私たちは、改めて、20ミリシーベルトの撤回とともに、子どもの被ばく量を最小化するためのあらゆる措置を行うことを要請します。

以上

呼びかけ団体:グリーン・アクション、グリーンピース・ジャパン、原子力資料情報室、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan

(注1)現状、超えている場所については、あらゆる手段を使って、低減に努めるべきである。

(注2)福島市防災情報サービス「屋外活動制限対象小学校等の環境放射線測定結果」および平成23年5月1日付「福島県環境放射線再モニタリング調査結果について」によれば、2度連続して基準を下回った学校等では計測が中止されている。これは、「3.8マイクロシーベルトを下回ればよいということではなく、モニタリングにより、状況を把握していく」とした5月2日文部科学省・原子力安全委員会の答弁と完全に矛盾する。

(注3)労働省労働基準局(基発810号)「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について」。被ばく量の「相当量」について、解説の第2の5番で、白血病の場合は0.5レム(=5ミリシーベルト)×従事した年数としている。

(注4)文科省は、この理由としてICRPも区別していないとしたが、実際は、ICRPのPub.36「科学の授業における電離放射線に対する防護」(1983年)では、18才以下の生徒が実験などで被曝する可能性がある場合を想定して、一般人の被ばく限度の10分の1にすることを勧告している。

(注5)両者とも食物による被ばくは考慮していない。

※本要請への署名は20ミリシーベルト基準が撤回されるまで当面継続し、文部科学省、厚生労働省、原子力安全委員会、原子力災害対策本部、その他対政府交渉などの機会に提出させていただきます。

※署名に参加されるとともに、地元選出の国会議員に対して、本要請に対して連名し、国民とともに「20ミリシーベルト」「子どもの被ばく最小化」を求めていくよう、働きかけをお願いします。

【福島原発震災(76)】文科省の20ミリシーベルト基準に対し放射線専門家が批判の申し入れ

 年間20ミリシーベルトまでの被ばくを子どもたちに実質的に強要することになる、文科省の決定については内外からの批判が高まっています。

 神戸大学教授で放射線物理、放射線計測の専門家である山内知也氏が文科省と原子力安全委員会に申し入れを行いました。

 この申し入れの中では、

・現在の汚染の主体がセシウム-137で、半減期が30年のため、土壌を取り除かない限り放射線を出し続けること。

・仮に1年目が20ミリシーベルトであった場合、上記の事情から、小学校6年間の在学中に累積で113.4ミリシーベルトを被ばくすることになること。

・子どもが浴びる線量としては不当に高い、撤回して1ミリシーベルト基準を児童と生徒には先ず適用して下さい。

 と述べています。

5月2日の文科省・原子力安全委員会との交渉の場で、「20ミリシーベルト以下(毎時3.8マイクロシーベルト以下)であれば安全である」、「(校庭などの)除染は必要ない」と言い続けた文科省の対応に対して、大変説得的にその危険性を説明しています。

 すでに5月2日の交渉の場でも、年間20ミリシーベルトまでの被ばくが安全であるとする専門家は誰もいないことが明らかになっています。

 文科省が20ミリシーベルト基準に固執することは子どもたちの将来の健康と生命に対して大変危険なことです。

 文科省は直ちに20ミリシーベルト基準を撤回し、1ミリシーベルトの基準を維持するためにあらゆる努力を率先して行うべきです。

 福島の親たちが自主的に始めている除染や避難・疎開の動きに対して全面的な支援をすべきです。

山内教授の申し入れ書をダウンロード

2011/05/06

【福島原発震災(75)】ブログが立ちあがりました!"子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク"

 「子どもたちを放射能から守ろう!」という親たちの声が一つにつながり、5月1日に"子どもたちを放射能からまもる福島ネット"が結成されました。

 そして、今日5月6日から子ども福島ネットのブログが立ち上がりました。

 子ども福島ネットは"原発震災復興・福島会議"が事務局となり、避難疎開、除染測定、知識普及の3つのチームで動き出しています。それぞれに世話人も選出されました。

 ブログは未だ、立ち上がったばかりですが、これから子どもたちを放射能から守るための、さまざまな活動の呼びかけや、活動報告が発信されるでしょう。

 私たちフクロウの会も、子ども福島ネットの結成とブログの立ち上がりに心からのエールを送ります。心は一つです。放射能が垂れ流され続けるなかで、私たちが子どもの健康と生命を守るために何としても、今動かなければなりません。政府や県や自治体を動かしましょう。自分たちでできることは力を合わせてやりましょう。

 私たちも微力ですが、これからも全力でサポートしてゆきたいと思います。

 子どもたちを放射能から守る福島ネットワークのブログはこちらです

 ※フクロウの会のブログも引き続きよろしくお願いします。

2011/05/05

【福島原発震災(74)】対政府交渉報告(福島からの参加者から)

厚労相と文科相・原子力安全委との交渉に、出席しましたのでご報告いたします。

今回は21日の1回目交渉の反省も踏まえ質問する市民側のうまい対応で、幾つかの進展が見られました。

一つは、
厚労相は保育園を管轄、同時に放射線関係の労働基準も管理。
県内学校の75%以上が「放射線管理区域」相当の放射線レベル。
学校で遊ばせたり勉強したりすることを、どう思うか?と質問。
それに対して回りくどく政府は返答。、質問者がその返答をさえぎって、

質問者「『放射線管理区域』そのもので子供を遊ばせることは妥当かと」、質問。
厚労相、「妥当ではない」。
設問者、「『放射線管理区域』と同じ環境で遊ばせることは?たとえばこの部屋に福島の土を敷き詰めて」。
厚労相 「ここは事業をする場所ではないから。・・・」

支援してくれた国会議員が、こういうのは、三段論法で追い詰めていくのが良いだろう、と言っていました。

国会議員からは、
「先日国会で厚労相大臣に質問したところ、『被ばく線量は、子供と大人の違いを考慮しなくてはならない』
 と回答をもらって、その件を文科相大臣に伝えると言っていたが、言ったのか?」と、質問。
(文科相は当日午前中、国会で「大人子供の違い考慮しない旨」表明)
厚労相、「わからない」。
国会議員「厚労相は人の命を守るのが役目、文科省とケンカしてでも『大臣の考え』を申し入れするよう、6日に正式に文書回答するように要求する。」

二つ目は
文科省・原子力安全委との交渉。今回文科省は次長級が出席。

文科省は「20ミリで大丈夫ということでなく、線量下げる努力が前提。」と。
質問者「郡山の学校の校庭表土を削ったことを、文科大臣が『必要ないこと』と線量さげる努力にブレーキをかけている。」
文科省「ブレーキはかけない。しかし『必要ない』とは言う。」
質問者「文科省の線量下げる努力とは?」
文科省「屋外での活動を制限」。(20ミリ以上の学校だけですよね??この制限)
会場「なにもやっていない、ということじゃないか!」と。
質問者「容認されない20ミリが、福島では安全な基準として使用されている。」

三つ目は
原子力安全委。「誠意をもって対応いたします。」(はぁ?という感じでしたが、その意味はあとでわかりました。)
「原子力安全委は20ミリシーベルトを子供に被爆させることは許容しません。」
「線量をさげるあらゆる努力をすること。詳細な計測をすること。を条件に文科省の提示した20ミリを容認。」
「決定をするのに安全委が定足数いたが会議せずに、約1時間で決定。」(緊急マニュアルに従ったとのこと)
「今後、線量が下がらないなどが生じた場合に再度検討する。」
質問者「原子力安全委で20ミリを容認する委員は?」
安全委「全員、容認はしていません。」
(当日の事故対策本部会見でも、斑目安全委委員長が20ミリ容認しないことを表明しています。)
質問者「線量が下がらないことがわかるまでは検討しないのであれば、子供に被爆させるだけさせてから検討するのか?」と
会場「それじゃ遅すぎる!」

四つ目

質問者「原子力安全委が子供に20ミリを容認しないのに、福島県の放射線アドバイザーの山下教授と神谷教授などが『年間100ミリまでは健康に害がない』などと県内で講演しているが承知しているか?」と
安全委「承知していない。事実確認してしっかり対応する。」

以上です。

子どもを放射能から守る福島ネットワーク K

2011/05/03

【福島原発震災(73)】対政府交渉…原子力安全委員会が20ミリを批判して文科省が追い詰められる驚きの交渉

原子力安全委員会が20ミリ批判に回って文科省が追い詰められるという驚きの交渉でした。国関係で20ミリを認める専門家は誰もいなくなりました。文部省と管政権の意固地だけが20ミリを継続させています。

Kousyou


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2011年5月2日 プレスリリース
発出元:グリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japan
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

誰がどう決めたか?
迷走し始めた「子どもに年20ミリシーベルト」に必要とされる政治決断

http://e-shift.org/?p=443
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◆厚生労働省:「放射性管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならない」しかし、放射性管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非は答えず。(実態:福島県の学校の75%以上が管理区域と同程度の汚染)
◆文部科学省:、自治体の除染作業に「ブレーキはかけないが、やる必要はない」
◆原子力安全委員会:「20ミリシーベルトは基準としない。20ミリシーベルトを安全とする専門家はいない」

福島の原発事故を受け、文部科学省が19日に発表した学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の暫定的目安「20ミリシーベルト」は混迷を深めている。
本日、この問題を憂慮するグリーン・アクション、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO FoE Japanの呼びかけにより、政府交渉が開かれた。
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交渉は、まず厚生労働省、次いで、文部科学省、原子力安全委員会と行われたが、下記のように「20ミリシーベルト」の認識や決定プロセスに関して、省庁側は明確な回答を行うことができなかったばかりでなく、原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」を基準としては認めていないと発言。この基準を、どの省庁がどのように決めたか、謎は深まるばかりだ。

・厚生労働省は、放射性管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)で子どもを遊ばせてはならないと発言したものの、放射性管理区域と同じレベルの環境で子どもを遊ばせることの是非については回答しなかった。

・原子力安全委員会は、「20ミリシーベルト」は基準として認めていないと発言。また、安全委員会の委員全員および決定過程にかかわった専門家の中で、この20ミリシーベルトを安全とした専門家はいなかったと述べた。

・原子力安全委員会は、19日14時頃に助言要請を受け、16時に「20ミリシーベルト」を了解すると回答しているが、この間、正式な委員会は開催されなかったものの、4名の委員が参加する会議が開かれた。これをなぜ正式な委員会としなかったかについては、明確な回答はなかった。

・原子力安全委員会は、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーが、「100ミリシーベルト以下であれば、安全」と繰り返していることに関して、「調査し、それが事実ならば対応する」と発言した。

・文部科学省は、屋外活動を許容する「毎時3.8マイクロシーベルト」という基準に関して内部被ばくを考慮していないことを認めた。理由として、ほこりなどの吸引は、全体の被ばく量の2%程度であり、軽微と判断したと説明。しかし、内部被ばくの評価の前提としたデータを示さなかった。


市民グループ側は、「20ミリシーベルトという基準が、だれがどう決めたのか。原子力安全委員会の議論の過程で、20ミリシーベルトを安全だとした専門家、委員は一人もいない。すなわち、20ミリシーベルトを了解した決定そのものの根拠が崩れたということ。20ミリシーベルトによって、福島県の子どもたちがさらされているリスクをこれ以上放置するべきではない。政治的な決断が必要だ」として、20ミリシーベルト撤回をあくまで求めていく姿勢だ。

交渉で明らかになった事実および市民団体側からの質問・要求は、下記をご覧ください。

20 ミリシーベルトに関する政府交渉 明らかになった事実および市民団体側の質問

【福島原発震災(72)】子どもたちを放射能から守る集会:参加報告

子どもたちを放射能から守る集会:参加報告

 5月1日、原発震災復興・福島会議(以下:福島会議)と福島老朽原発を考える会(以下:フクロウの会)の2団体の呼び掛けにより、「子どもたちを放射能から守る集会」が開かれ、予想を大きく上回る250人の方々が参加しました。

 参加者は福島市を中心に県内各地から乳幼児、子どもをもつ親が中心でした。また全国各地から避難受け入れや放射能測定などで、福島の子どもたちを放射能から守るために協力したいという個人、団体からの参加者もありました。

 集会は予定時間を大幅にオーバーして4時間近くなりましたが、ほとんどの方が途中退席もせず、最後まで熱心に議論を行いました。

 集会では「子どもたちを放射能から守る福島ネット」の結成が参加者一同の大きな拍手で確認され、代表として中手聖一(福島会議)さんが選ばれました。また翌日予定されていた、文科省・原子力安全委員会、厚労省に対して20ミリシーベルト基準の撤回を求める対政府交渉で提出する要請文も決議されました。

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 集会は最初に佐藤幸子さん(福島会議)のあいさつで始まり、そのあと、中手聖一(福島会議)さんから、本集会の趣旨説明と集会での提案がありました。

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 あいさつをする佐藤幸子さん

 そのあと、参加者は地域別に分かれてグループワークを行い、地域内での個人のネットワークを作りました。

 次に課題別のグループに分かれてそれぞれの活動の進め方について議論を行いました。課題別グループは
(1)避難・疎開グループ
(2)除染・放射能防護・測定グループ
(3)知識を広めるグループ
(4)学習グループ
の4つです。(4)の学習グループは放射能や被ばくの影響について落ち着いて勉強したいという人向けに阪上武さん(フクロウの会)が講師として行いました。準備段階では学習グループへの参加希望が多いだろうとの予想で大きな部屋を予定していましたが、参加者はすでに自分で勉強している方々も多く、予想に反して実際の活動の進め方を議論するセッションに多くの人が集まりました。

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課題別のグループワーク 真剣な議論が自主的に進められた

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阪上武さん講師に進められた学習グループ

 課題別のグループワークの後、全体で共有化が行われ、それぞれのグループワークの中から選出された世話人を中心に具体的な活動が進められることになりました。

 最後に中手聖一さんから「子どもたtを放射能から守る福島ネットワーク」の設立について提案が行われ、参加者の大きな拍手でネットワークの設立と中手さんが代表になることが確認されました。

 子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの主意書をダウンロード

 また国への要請書の決議も行われました。

 政府への要請書をダウンロード

 集会終了後にさっそく一回目の世話人会がおこなわれました。その後も測定チームは測定方法の実習を行い、除染チームは8日幼稚園で除染(園庭表土の削除)の計画を決めるなど、具体的行動を開始しました。

 子どもたちを放射能から守るための親たちの強い思いが、具体的な形になって一歩も二歩も進んだ集会となりました。

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子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの趣意を読み上げる中手さん

福島老朽原発を考える会・放射能測定プロジェクト(青木一政)

【福島原発震災(71)】子どもへの20ミリシーベルト強要-全米5万人の医療関係者が批判の声明

子どもへの年間20ミリシーベルト強要-全米5万人の医療関係者が批判の声明

 学校の使用基準について、年間20ミリシーベルト相当までは特に問題はない、「校庭の除染は必要ない」とする文部省の姿勢に対して国内外から様々な批判が巻き起こっています。

 

 4月29日には全米5万人の医療関係者からなる、PSR(Phsicians for Social Responsability:社会的責任を果たすための医師団)が声明を発表しました。

 

 その中では、子どもは大人より放射線の影響を受けやすく、このレベルが2年間続けば発がんのリスクは100人に1人となる、このレベルの被ばくは安全とみなすことはまったくできない、と厳しく批判しています。

 

 PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞した権威ある団体です。この声明は大変重要な意味を持ちますので全文の邦訳を紹介します。

 

 

福島県内の子供達への電離放射線許容線量の増加に関するPSR(社会的責任を果たす為の医師団)による声明

2011年4月29日

 

 放射線に安全なレベルは存在しない、という事は、米国国立アカデミーの全米研究評議会報告書『電離放射線の生物学的影響VII』(BEIR VII報告書、http://www.nap.edu/openbook.php?isbn=030909156X )
において結論づけられ、医学・科学界において広く合意が得られています。

 

 自然放射線を含めた被曝は、いかなる量であっても発がんリスクを高めます。さらに、放射線にさらされる全ての人々が、同じように影響を受けるのではありません。例えば、子供達は、大人より放射線の影響を大変受けやすく、胎児はさらに脆弱です。

 

 このため、子供達への放射線許容量を20ミリシーベルト(20mSv)へと引き上げるのは、法外なことです。なぜなら、20ミリシーベルトは、成人の発がんリスクを500人に1人、さらに子供達の発がんリスクを200人に1人、増加させるからです。また、このレベルでの被曝が2年間続く場合、子供へのリスクは100人に1人となるのです。

 

 つまり、このレベルでの被曝を子供達にとって「安全」と見なすことはまったくできません。

 

[仮訳:Foe Japan / グリーン・アクション] 

 

PSRの声明原文ダウンロード

PSRのホームページはこちら

2011/05/02

【福島原発震災(70)】子どもたちを放射のから守る福島ネットワーク発足!福島に250人の父母たちが結集

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク発足!

 5月1日、福島市で行われた「子どもたちを放射能から守る集会」(主催:原発震災復興・福島会議・福島老朽原発を考える会)に250人を超える父母たちが結集し、福島県民による緩やかなネットワークとして「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が発足しました。

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 この日は趣旨説明のあと、地域別に分かれてのグループワーク、課題別(避難・疎開、除染・測定・防護、宣伝・企画)に分かれてのグループワークを行い、活発に討論。その後の全体会合で、ネットワークの趣意書を採択、ネットワークが正式に発足しました。代表は中手聖一さん、課題別に世話人を決め、十数名で世話人会がつくられました。事務局は原発震災復興・福島会議が担います。
 ネットワークの初仕事として、2日の政府交渉に向けて、政府宛要請書を採択しました。校庭の土をもって東京に乗り込むと意気込んでいます。測定グループでは、5月7・8日の保育園での測定など具体的な動きも早速始まりました。

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