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2011/07/23

【123】深刻化する放射能汚染の現実と7・19対政府交渉in福島

深刻化する放射能汚染の現実と7・19対政府交渉in福島
  ―「避難の権利」確立を求めて

 

深刻化する放射能汚染被害

     

 福島県の自殺者は、4月以降3カ月で前年同期を上回り20%増だと報道された。震災被害が大きかった岩手、宮城では前年比減だという。飯舘村の102歳の男性が自殺し、南相馬市では「老人はあしでまといになる。お墓にひなんします」との遺書を残して93歳の女性が自殺した。郡山市の西側に位置する三春町で800人の檀家を持つお寺の住職は4~6月の3カ月で6人の自殺者を弔ったという。福島県内の公立の小中学校では4月までに1万2千人が転校し、この夏休みに転校する子どもが1千人を超えるという報道もある。放射能汚染の深刻な広がりが福島県内で静かな人口流出を引き起こし、それを食い止めようとする国・福島県との対立ははっきりとは見えない形ではあるが先鋭化している。

    

 子どもに尿検査を受けさせた福島市の女性は、未就学の児童と中学生の子ども2人だけを沖縄の親戚に避難させるという。7年前に建てた郊外の家のローンを抱え共働きを止めることはできず、苦渋の選択を迫られた。仕事もあり親が会いに行くのは2カ月に1回ぐらいと予定している。趣味の家庭菜園は汚染され荒れ果てていた。それでも、子どもがあんなに嫌がっていた転校を尿検査の結果を見て理解してくれたのでほっとしたという。

    

 4月末の「子ども福島ネット」準備会の時、カメラに写らない席で「自分は生徒を外で活動させている。学校で子どもを守れていない。申し訳ない」と告白した教師がいた。彼は7・19対政府交渉in福島の会場で「生徒に放射能の危険性を教えた。そしたら子どもに恐怖を与えるなと教育委員会から注意された。だから教師を辞職した。北海道で避難者の福島ネットを作ります」と報道陣の前で宣言した。48歳で当然家のローンを抱えている。福島の家も土地も売ることはできない。買い手がいないのだ。

    

 同じ対政府交渉の席で原子力災害対策本部の役人に泣きながら訴えた女性がいた。「危険だと思うなら家の中で遊ばせればよいと思うかもしれません。でも子どもは花を摘んだり、虫を捉まえたり、土をいじったり、外で遊ばせることは絶対に必要。そうした当たり前のことができないところで子どもを生活させたくない。確率的影響だというかもしれないが、子どもにロシアンルーレットをやらせる親はいない。子どもと母親のみ避難することにした。ローンがある。夫は二重生活を稼ぐために福島に残ると言う。もし自分が死んだら生命保険でローンが払えるからと。夫婦でそんな話をした」と訴えた。

    

 これが福島の現実である。7月19日、福島市内で行われた「対政府交渉in福島」は初めて福島現地で行われた対政府交渉であり、地元福島県内から約130名が参加した。6市民団体(子ども福島ネット、フクロウの会、グリーン・アクション、グリーンピース、FOEジャパン、美浜の会)の主催で開催された。この交渉は6月30日に東京で行われた原子力災害対策本部との交渉の2回目であり、前回要請した事項等について政府の回答を求めるものであった。ところが政府側は前日夕方になり、東京の本部からは誰も参加できないと通告して来た。福島みずほ議員の助力もあり、現地対策本部から出席するということで実現した。

    

「自主避難は勝手だが、20ミリシーベルト以下は安全なので留まってもらうのが国の政策」

 7月19日の対政府交渉in福島での交渉項目の重要な柱は、「選択的避難」を政府へ要求しその補償を求める「避難の権利」の確立を求めることであった。この要求が出て来た背景には、前述のような深刻な福島県内の状況がある。

2011_0719nego_in_fuk0015

    

 対政府交渉の冒頭で、「避難・疎開の促進と法定1ミリシーベルトの順守」を求める署名13,685筆(累計36,287筆)を提出した。交渉では、「子ども福島ネット」の中手代表が次のように切りだした。「せっかくの機会です。この場を実りあるものにするために、是非とも出発点で確認しておきたい」「福島県民は他の国民と同じように無用な被ばくを避け、できるだけ低い放射能の下で生活する権利はありますよね。これを先ず確認したい」と。

    

 これに対して原子力災害現地対策本部室長の佐藤暁氏の回答は「できるだけ低くすることを目指して活動しています」というだけだった。中手氏が「私たちは1ミリにすぐ戻せと言っているわけではない。他の県民と同様に低いレベルで暮らす権利があるかどうか、それだけを聞いている」と迫ったが、彼の回答は「私に言えるのはここまでです」と変わらなかった。

    

 彼の対応が計算づくの回答であることは、その後の質問で明白になった。中手氏が「選択的避難」とその具体的提案である「サテライト疎開」をプレゼンした後、是非この説明について何かコメントをとの要求に促されて佐藤暁氏は以下のように応えたのである。

    

 「自己の判断にもとづいて避難していただくのは結構ですが、国が安全だと認めるところについては、強制することなくとどまっていただくことを施策としてやっていく」と。つまり自主避難するのは勝手だが、行政としては避難地域に指定した以外のところから避難する場合は、補償の責任をとらないという宣言である。福島県人は大人も子供も20ミリ浴びたら面倒見るが、それ以下は我慢しろということになる。佐藤暁室長が冒頭の福島県人の「権利」について応えなかったのは、この結論から言えば当然のこととなる。

    

  

選択的避難と避難の権利の確立を目指して

 

 今回の対政府交渉には大きく3つのポイントがあった。一つには避難区域拡大の問題である。これは政府が避難区域指定の基準とする年間被ばく量20ミリシーベルトを前提としても、詳細に計測すれば福島市内にもその地域が存在すること。更に内部被ばくも考慮に入れればこの地域は更に広がる点である。我々は渡利地区等の具体的事例を示して避難区域の拡大を迫った。

    

 第二に選択的避難とサテライト疎開の問題である。放射線に対する感度が高い子どもに対して年間20ミリシーベルトの基準は耐え難いものである(チェルノブイリ事故後では年5ミリ以上で移住の義務区域。年1ミリ以上で移住の権利区域)。20ミリ以下であっても自己の判断で避難する(=選択的避難)ことを認め、政府として選択的避難をする者に対して避難前と同程度の生活を保障することを要求するものである。更にこの選択的避難をする住民のコミュニティーやアイデンティティーを確保するために、例えば、学校単位などコミュニティーを活かした避難方法としてサテライト疎開を提案するものである。

    

 第三に子どものトータルな被ばく管理の問題である。校庭の高汚染に端を発した子どもへの20ミリ基準適用に対する国内外からの批判で、文科省は「20ミリで良いとは考えていない、1ミリを目指す」としたが、その内実は学校内だけ、給食など内部被ばくは含めず、高放射能放出の3月度を含まない本年度だけ、という極めて姑息なものであった。そして6月末の対政府交渉で明らかになったことは、政府組織として子どものトータルな被ばく管理をしている部門が無いということであった。これを明確化させトータルな被ばく低減を要請することが必要であった。この3点の要求事項のうちで最大の交渉ポイントが2番目の選択的避難とサテライト疎開である。経済的支援や学校単位の疎開などの方法があれば避難したい、避難できると考える人々が多数存在するのである。

    

 今回の交渉の中で、原子力災害現地対策本部は個々の質問に対して、「政策的決定は東京の災害対策本部が行う」「我々は実施部隊」「具体的管理は福島県が行う」とことごとく責任のがれに終始した。高圧水を流す除染方法は放射能を移動させるだけだから問題だという指摘に対して、具体的方法は東京の関係省庁で検討した結果だと回答。給食の管理は東京の本部であり我々は承知していない。子どもの被ばく管理は福島県が行う、等など。
     

 そのような言い逃れ、責任回避の中で唯一彼らが明確に述べたのが、先に紹介した「選択的避難」に対する回答である。自主的避難は勝手だがそれについて政府は補償しない。20ミリ以下は安全である。これに対して参加者から猛烈な抗議があった。しかし佐藤暁室長はこれを撤回しなかった。この発言は佐藤室長の個人見解ではなく国・原子力災害対策本部の総体としての結論であろう。

2011_0719nego_in_fuk0020

    

 地元の人達の切実な訴えに対し、現地の対策本部の無責任極まりない姿が浮き彫りとなった。参加者の怒りの声で終了した交渉だったたが、佐藤暁室長は冒頭に受け取った署名用紙と、検査をしてほしいと提出された尿を置き去りにして、逃げるように早足で会場を出て行った。その後、署名だけは受け取ったが、尿の受け取りは拒否した。そのため、尿は当日参加していた医療班の山田裕司氏(放医研から現地対策本部に出向)に渡し、検査を要求した。

    

 日々深刻化する福島の実態は、選択的避難の問題を最大の焦点として国、福島県と鋭く対立するに至った。今こそ多くの人々の力を結集して子ども被ばくの最少化のために闘うことが必要である。そのためにも福島の深刻な現実を広く宣伝してゆく必要がある。

 

 青木一政(福島老朽原発を考える会)
 

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コメント

8月5日に福島市のベルカーサで13:00から小出裕章氏の講演があるようです。

今日の新聞記事に、浪江町の89人、飯舘村の20人、川俣町山木屋地区の11人など、3地区の4~69歳の男女計122人に実施。。。。。内部被ばく検査機「ホールボディーカウンター」を使って測定した。内部被ばく量は最大でも年間1ミリシーベルト以下だったことが23日、分かった。

とありますが、小出先生は、ホールボデイカウンターを使っての内被ばく検査は、ヨウ素とセシウムのみで、ストロンチウムは、わからないと言っています。 詳しくは、こちら: http://hiroakikoide.wordpress.com  6月27日 小出裕章 非公式まとめ ストロンチウムの内部被ばくはホールボデイカウンターではわからない

ストロンチウムは、魚の骨などに、たまり、白血病やがんにかかる確率を高くします。 

 良かったですね。皆さん、内部被曝何もなくて。<いろいろ皆さんご心配のようで。最初からわかっていたことですが、内部被曝は基本的に小さいのです。でも分かってよかったですね、安全が確認できて>
 小出先生の話はもうやめませんか。質問している方は、まるでストロンチウムの害を望んでいるかのようですね。現実は、つまりデータは小出先生、武田先生、広瀬先生の素晴らしい予想からからどんどん遠ざかっていると思いますよ。
 ストロンチウムのデータは発表されていて、殆ど飛んでいませんよ。心配なく。1960年代の原水爆実験の時には日本にはセシウムと一緒にものすごく飛んできましたがね。誰も被害受けていません。今回の場合殆ど無いのです。第一、「ストロンチウムは、魚の骨などに、たまり、白血病やがんにかかる確率を高くします」と、昔からたびたび上記の先生方々やその筋の方から脅かされていますが、それを示した証拠となるデータはどこかにあるのでしょうか?私は一度も見たことがありません。ご教示ください。 
 ちなみに、小出先生は、白血病やがんの診断の専門家ではなかったと思いますが、お持ちかもしれませんので。聞いていただけたら助かります。

残念ながら、ストロンチウムやセシウムをはじめとする様々な核種は、既に体内に入り込んでいます。
というか、入り込んでいました! 
まずは、「ご自身」が確認されてからコメントしてはどうでしょうか(私は確認した上での発言です)
東京都の高輪クリニックというところで検査可能です。


内部被ばくが出ないようにしている政府の検査など、信用できませんよ。
内部被ばくの「値」は小さくとも、内部被ばくの「影響」は大きいのです。

ドンキークリニック様

「残念ながら、ストロンチウムやセシウムをはじめとする様々な核種は、既に体内に入り込んでいます。というか、入り込んでいました!」 
<はい、入っていると思いますよ。日本人だけでなくおそらく北半球の世界中の誰でも。そう聞きました。もちろん私にも、未確認ですが。>

「私は確認した」 
<ご自身のストロンチウムやセシウムを? それはすごい。で、どうでしたか?何が幾らありましたか?>

「内部被ばくの「値」は小さくとも、内部被ばくの「影響」は大きいのです。」
<影響とは? どう大きいんでしょうか?>
「(大きな木様)ストロンチウムは、魚の骨などに、たまり、白血病やがんにかかる確率を高くします」。
<ストロンチウムがどのくらいあると、白血病やがんになる確率がどの位上昇するのでしょうか?ちょっと知りたいです>

>はい、入っていると思いますよ。日本人だけでなくおそらく北半球の世界中の誰でも。そう聞きました。

・・・誰に聴いたの?w
未確認のくせに荒らさないで欲しいな。
夏友終わってから書き込んでね。

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