【151】福島の子どもたちを米沢で保育-辺見妙子さん「サテライト保育」に挑戦
「放射能のことは気になるけれど福島に留まらざるをえない」
・・・現実にはこのような人たちが大半です。そして多くの子どもたちがまだ福島で生活をしています。屋外での活動制限やマスクの着用、水や食品などの注意。本当にストレスだらけです。悩むことに疲れてしまって「放射能のことは考えないようにしている」というのも現実かもしれません。
せめて子どもたちだけでも、放射能の少ないところで自然と触れ合いのびのび育てたい・・・「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」世話人で保育士の辺見妙子さんはこうした思いを「サテライト保育」という形で実現させようとしています。
「サテライト保育」 - 新しい言葉です。毎朝、子どもたちは福島から米沢まで送迎バスで移動します。線量の低い米沢で子どもたちは自然と触れ合いながら元気に遊ぶことができる。そして夕方にはまたバスで福島へ戻ってくる。こんな新しい試みです。
辺見さんが「サテライト保育」を思い立つきっかけについて辺見さんはこのように語っています。
(辺見さんの経営する保育園に取材に来た記者と園児の会話)
記者 「今一番何がしたい?」
子ども 「公園で遊びたい」
記者 「公園で何したい?」
子ども 「ブランコに乗りたい」
(この子はブランコが大好きで、しかも立ちこぎがとても上手で、どの子よりも高くこげるのが自慢でした。わたし達の園では子どもに手を貸すことがほとんどないので、最初こげなくてもおしてやらず見守っていたのですが、そこからこげるようになり、立ちこぎまでできるようになったので特別な思いがあったのだと思います)
記者 「ブランコに乗れなくてどう思う?」
子ども 「・・・」
辺見 「つまんない? それともかなしい?」
子ども 「かなしい」
本当にグッと言葉につまりました。
このことは何度皆さんの前でお話ししても涙があふれてしまいます。子ども達の願いは、こんなほんの小さな願いなのにそれを叶えてあげることができないという福島の現実。“大人”としての責任の重さを痛感するのです。
サテライト保育の「入園案内」には辺見さんの心が表現された素晴しい言葉がありますので紹介させていただきます。
-自然の中で五感を磨き、共に成長するために-
青空幼児園たけの子は子ども時代のゆったりとした時間の流れをこわさず、「自然の中で幼児期に大切な五感を磨き、その子らしさを大切にし、共に成長」しようと、2009年4月に創立されました。
幼児期は小学校の準備期間ではなく、それ自体が貴重な時間です。なんの制約も受けず、自然と向き合うという体験の中で、どこまでも深く子どもたちは学んでいきます。
しかし、2011年3月11日以来、子ども達の声は福島の公園や森から消えてしましました。外を自由に歩き、花や風のにおいを感じ、水とたわむれ、日の光を浴びて遊ぶという当たり前の日常を失ってしまったのです。
わたし達保育者は大人としてできることは何かを考え、山形県米沢市へサテライト保育を実施することにいたしました。
子ども達が日々体験したことから、自ら考え、意見を言い、行動できる人間に成長できるよう共に力を合わせましょう。
そして、子ども達が幼児期に獲得すべき自尊感情をしっかりとつかみ取り、自分はかけがえのないこの世にたった一人しかいない存在なのだと感じて欲しいと願ってやみません。
《季節の行事》
4月 入園式,お花見
5月 親子遠足,健康診断(各学期1回)
6月 歯科検診,消防署見学
7月 七夕行事
8月 川遊び
9月 芋煮会
10月 十五夜,芋ほり
11月 たけの子祭り
12月 クリスマス会,親子わらべ歌教室
1月 もちつき,だんごさし,お琴を聴こう
2月 豆まき,陶芸
3月 ひな祭り,味噌作り,卒園式
※この他に月に2度の給食は子ども達と買い物から始めて一緒に作ります。
「サテライト保育」募集要項をダウンロード(印刷してご自由にお使い下さい)
入園のお問い合わせ、申し込みは下記へ直接お願いします。
福島市鳥谷野字芝切41-3
代表 辺見 妙子
Tel/Fax 024-545-0535
携帯電話 080-3347-7126
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