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2011/09/29

【154】「自主」避難者へも補償を!…意見募集中!

福島事故による「自主」避難者への補償に関しては、ここ2週間が山場だとみています。自主避難をした方々が正当な賠償を受け取れるように、避難された方々のみならず、全国から声をあげていくことが重要だと思います。

そこで、
原子力損害賠償紛争審査会および東京電力宛の意見を集めることとしました。

ぜひ、下記のフォームから、みなさまの意見をお寄せください。
(入力フォーム)→こちらから入力してください(推奨)
https://pro.form-mailer.jp/fms/d1e9a64c22337
(ワード版)→こちらのワード版をダウンロードの上、文末のコンタクト先に送

てくださっても結構です。
http://dl.dropbox.com/u/23151586/110929_opinion.doc

頂いたご意見は、同審査会事務局および東電に提出されていただきます。また、ホームページ/ブログ上で公開させていただきます。

第一次締め切りは10月2日(日)です。翌日の院内集会と記者会見で配布させていただきます。

(拡散希望)
================================================================
区域外避難(「自主的」避難)に賠償を求める院内集会
~「避難の権利」確立に向けて~

http://www.foejapan.org/energy/news/evt_111003.html
----------------------------------------------------------------

「線量が高い。家の中で1μSv/時を越えます。そんな環境に子供を住まわせていいのかと不安です」「何故毎日毎日被曝しなければいけないのでしょうか?」「原発事故さえなければ、故郷を離れることもなかった」・・・・。

現在、区域外避難(「自主的」避難)についての賠償範囲の指針作りが、原子力損害賠償紛争審査会で議論されています。しかし、これまでの議論を見る限り、4月22日以降、汚染の広がりにより不安を感じて避難を決断した方々に対する賠償や補償は、盛り込まれないおそれが高まっています。

福島では避難区域の外にも、一般人の立ち入りが禁止され、厳重に管理されている放射線管理区域(年5.2ミリシーベルト、毎時0.6マイクロシーベルト)以上の環境が広がっています。そんな環境に不安を感じて、避難を決断したとしてもそれは、自分や自分の家族を守るごく当たり前の行動ではないでしょうか。

このたび、区域外からの避難(「自主的」避難)を決断された方々、またこれから
避難される方々のご参加を得て、「避難の権利」確立に向けた院内集会を開催します。

◆日時:10月3日(月)13:00~16:00
◆場所:参議院議員会館講堂 
※12:30からロビーにて通行証を配布します。
(東京都千代田区永田町1-7-1)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm

◆内容:
・「自主的避難」と賠償問題~論点整理
・最近の情勢~原子力損害賠償紛争審査会の報告、福島の最前線から
・自主的避難者、避難希望者の方々のアピール
 (各地に避難している方々から現状報告を頂きます)
・法律家からの見解 など

◆資料代:500円

◆申込み:下記のサイトからお申込み下さい。
https://pro.form-mailer.jp/fms/3560b5a622284
または、①ご氏名、②ご所属、③ご連絡先TEL、④e-mailを、finance@foejapan.org
までご連絡ください。

◆主催:
国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク

◆協力:
・eシフト(脱原発とエネルギーシフトを考える会)
・福島原発事故緊急会議
・いのちを守るお母さん全国ネットワーク

2011/09/27

【153】公開レター発出>「自主避難」せざるをえなかった人々の声を聞いてください

みなさま

第14回原子力損害賠償紛争審査会における、自主的避難者に対する賠償に関する議論を受け、このたび、FoE Japanは、福島老朽原発を考える会と連名で、下記のような公開書簡を、原子力損害賠償紛争審査会宛に提出しました。
  

内容としては、避難区域設定の問題を提起し、自主避難者の事情を勘案して、自主避難にも賠償を認めることを求めるものです。

  

================================================================
2011年9月26日
原子力損害賠償紛争審査会
委員各位
--------------------------------------------------------------
  

線量が高い地域から「自主」避難をせざるをえなかった人々の声をきいてください
被害を小さくみせかけないでください
http://www.foejapan.org/energy/news/110926.html
PDF版:http://dl.dropbox.com/u/23151586/110926_genbaishin_letter.pdf
--------------------------------------------------------------
     

私たちは、福島の子どもたちを守るために活動を続けている市民団体です。9月21日の審査会での議論を傍聴し、このままでは、4月22日以降、放射線量が高い地域の方々が自らの判断で避難した場合、政府が極めて一方的に定めた「避難区域」の外であるというだけで賠償の対象とならないのではないかと、危惧と焦りを感じています。

 

私たちは活動を通じて、放射線量が高い地域の方々の声に接してきました。避難区域外であるというだけで半年以上も賠償の対象にならず、子どもを守るために借金覚悟で自主避難を決断する方も、母子だけで避難した方も、あるいは経済的な問題から、不安と罪悪感にさいなまれながら、とどまらざるを得ない方も多くいらっしゃいます(別紙1)。行政は住民を駆り出して除染を行っていますが、除染の効果はせいぜい1~2割で、除染しても雨が降ればまわりの山林から放射性物質が流れ込み、もとの黙阿弥という場所も少なくありません。自主避難した方も、経済的に苦しんでいらっしゃる方々もいます。

 

たとえば福島市の大波地区。住民は線量の計測を自主的に行い、事故直後から線量が高いことを危惧していました。国の測定でも比較的高い線量が観測されていましたが特に動きはありませんでした。福島市が6月17日と20日に行った計測では、地区内の2箇所で3マイクロシーベルト/時を超えました。国が7月に実施した自動車サーベイで、3.1マイクロシーベルト/時以上を計測した場所が多かったのにもかかわらず(図1)、その後実施した詳細調査で3.1マイクロシーベルト/時を超えた場所がないことを理由に、国や市は同地区を避難勧奨地点には指定しませんでした(表1)。説明会が開かれたのは9月3日で、事故から半年近くたっていました。3.1マイクロシーベルトは放射線管理区域基準(0.6マイクロシーベルト/時相当)の5倍以上の線量です。

 


伊達市や南相馬市では、子どもや妊婦への基準が設けられたのですが、福島市・大波地区では、子ども・妊婦を問わず同じ基準が適用されました。

9月3日開催された説明会で、福島市は「経済がダメになるから避難ではなく、除染を選択する」と大波地区の住民に説明しています。しかし、福島市の調査によれば、除染による効果は1m高で6.7%、50cm高で11.8%にとどまっています(図2)。しかも周囲を山に囲まれており、雨のたびに山から放射能を含む土が流れ込む位置にあります。

 

大波地区の住民は、高い線量が観測されていながら半年近くも放置され、あ  げく「避難より除染を選択する」との姿勢により、子ども基準も設けられずに避難勧奨の指定から外され、なかなか効果が上がらない除染に駆り出され、被ばくを強いられるという状況に置かれています。

 

どうか想像してみて下さい。

一般人の立ち入りが禁止され、厳重に管理されている放射線管理区域(0.6マイクロシーベルト/時に相当)以上の環境が広がっている中、そこで自分たちの子どもを遊ばせ、学ばせ、そこでずっと生活させることに不安を感じることは無理からぬことではないでしょうか。

 

これから子どもを産み、育てる女性が、そんな場所で出産を決断するでしょうか。ましてや、現在、食品の暫定基準値がきわめて高く設定され、福島県下の学校で県産材がむしろ積極的に利用されてきた中、福島の子どもたちは、食品を通じた内部被ばくの危機にすらさらされているのです。

 

そうした地域から避難し、被ばくを可能な限り避けることは「合理的」ではない
のでしょうか。

9月3日開催された大波地区における説明会で、住民は以下のように反発しています。
 

・「畑は4μを越える、畑で長い時間を過ごす人が多い。なぜ生活の場である畑を測らないのか?」
・「線量が下がってから測っている。指定されないのは納得できない」
・「法令で定められた年1ミリをもとに避難基準を設定すべきではないか」
・「子どもたちは既に内部被ばくをしている。すぐに避難させて欲しい」
・「すべての子どもたちの避難に補償を出して欲しい」
・「山や畑の除染は不可能ではないか?」
・「除染でさらに被ばくさせられるのは納得できない」

 

さらに、最後に「万が一、将来ガンになったときに、東電は補償してくれるのか?」という住民の問いかけに対して、居合わせた東京電力は、以下のように回答しました。

東電:因果関係が証明できない場合は、補償しない。

 

言うまでもなく、放射能の影響によってガンの発症率が統計学的に有意に高まったことが疫学調査により証明できたとしても、ある個人のガンの原因が、放射能の影響なのか、他の理由によるものなのかを区別することは不可能です。東電の回答は、すなわち補償しない、ということを明確に言い切ったこととなります。

 

このような状況に置かれた住民が、自らの身を守るために、避難を選択することは、合理的と言えるのではないでしょうか?

国が設定した避難基準(年20ミリシーベルト)は、現在までの日本の法令や国際的な常識に比してもあまりに高い基準です(注)。現在までの日本の法令は社会的な合意のもとに制定されてきたはずであり、この20倍もの被ばくから住民が回避しようと行動することは、合理的と言えるのではないいでしょうか?

 

原子力安全委員会は、「現存被ばく状況にある(すなわち残留した放射性物質による被ばくが一定レベル以下に管理可能である。)ことについての判断の「めやす」を設定するに当たっては、予想される全被ばく経路(地表面沈着からの外部被ばく、再浮遊物質の吸入摂取による内部被ばく、飲食物等の経口摂取による内部被ばく等)からの被ばくを総合的に考慮しなければならない。この「めやす」の設定においては、空間線量率(μSv/h)、土壌の放射能濃度や表面沈着濃度(Bq/kg、Bq/m2)を使用することも考えられる。」(平成23年7月19日「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」)としていますが、線量の基準には、内部被ばくや土壌汚染についての考慮は一切ありません。

 

またICRP の勧告に従えば、現存被ばく状況に適用されるバンドの 1?20mSv/年の下方の線量を選定することになります。これは20ミリならばよいという意味ではなく、原子力安全委員会によっても、20ミリシーベルトは安全基準ではなく、これを安全だと認めた国側専門家は誰もいません。ICRPは、長期的には、年間1mSv を目標とするとし、そのためにあらゆる措置をとることを求めていますが、福島市や郡山市を含む現存被ばく状況にあるとされる地域において、住民は半年以上も放置され、自主避難を余儀なくされているのです。

 

線量の高い地域に暮らす住民が、経済的な事情が理由で避難を妨げられてはなりません。こうしている間にも、住民たちは被ばくを重ねているのです。これは人道上の罪です。

 

さらに「自主」避難した方々は、原発事故さえなければ、そのような避難をする
必要はなかった点にもご留意ください。これは、原発事故が故の厳然たる被害なのです。

 

どうぞ以上の事情をご勘案の上、自主避難の賠償を幅広くお認めくださるようお願いいたします。

 

国際環境NGO FoE Japan(フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

 

(別紙1)<自力(自主)避難者・避難希望者の声から>
本文中の図表は下記から。
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/110926_2.pdf

 

※参考資料 
自主避難でアンケート実施 
避難できない理由は「経済的な不安」、「仕事上の理由」
求められる「自主」避難への賠償
http://www.foejapan.org/energy/news/p110725.html

2011/09/26

【152】「自主」避難者の補償に赤信号!10月3日院内集会やります!

緊急事態です!
福島からの「自主」避難者への補償について、雲行きが怪しくなってきました。

9月21日に開催された原子力損害賠償紛争審査会では、自主的避難を、①原発の爆発直後の避難(原発の爆発を恐れての避難)~4月22日まで、②線量の高さにおびえての避難~4月22日以降--の二つのカテゴリーにわけ、前者については認めていこうという方向になっています。後者に関しては、このままでは認められない恐れがあります。

次の審査会が開かれるまでの2週間くらいが山場です。
自主避難された方々の権利をまもっていくため、ぜひ、声をあげていきましょう! 

  

=================================================================
区域外避難(「自主的」避難)に賠償を求める院内集会
~「避難の権利」を認めて下さい~

http://www.foejapan.org/energy/news/evt_111003.html
--------------------------------------------------------------  

「線量が高い。家の中で1μSv/時を越えます。そんな環境に子供を住まわせていいのかと不安です」「何故毎日毎日被曝しなければいけないのでしょうか?」
「原発事故さえなければ、故郷を離れることもなかった」…。

現在、区域外避難(「自主的」避難)に関する賠償問題が、原子力損害賠償紛争審査会で議論されています。しかし、このままでは、4月22日以降、汚染の広がりにより不安を感じて避難を決断した方々に対しては、政府がすでに「年20ミリシーベルト」を基準とした避難区域を設定していることから、賠償されない可能性もでてきています。

福島では避難区域の外にも、一般人の立ち入りが禁止され、厳重に管理されている放射線管理区域(年5.2ミリシーベルト、毎時0.6マイクロシーベルト)以上の環境が広がっています。そんな環境に不安を感じて、避難を決断したとしてもそれは、自分や自分の家族を守るごく当たり前の行動ではないでしょうか。

このたび、区域外からの避難(「自主的」避難)を決断された方々、またこれか
ら避難される方々のご参加を得て、「避難の権利」確立に向けた院内集会を開催します。

  

◆日時:10月3日(月)13:00~15:00
◆場所:参議院議員会館講堂 ※12:30から通行証を配布します。
◆内容:
・「自主的避難」と賠償問題~論点整理
・最近の情勢~原子力損害賠償紛争審査会の報告、福島の最前線から
・自主的避難者、避難希望者の方々のアピール
 (各地に避難している方々から現状報告を頂きます)
・法律家からの見解 など

◆主催:国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
            福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
            福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
            子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク

◆連絡先:国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
                満田(みつた)090-6142-1807
                 Tel: 03-6907-7217 Fax: 03-6907-7219

【151】福島の子どもたちを米沢で保育-辺見妙子さん「サテライト保育」に挑戦

 「放射能のことは気になるけれど福島に留まらざるをえない」

 ・・・現実にはこのような人たちが大半です。そして多くの子どもたちがまだ福島で生活をしています。屋外での活動制限やマスクの着用、水や食品などの注意。本当にストレスだらけです。悩むことに疲れてしまって「放射能のことは考えないようにしている」というのも現実かもしれません。

  

 せめて子どもたちだけでも、放射能の少ないところで自然と触れ合いのびのび育てたい・・・「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」世話人で保育士の辺見妙子さんはこうした思いを「サテライト保育」という形で実現させようとしています。

  

 「サテライト保育」 - 新しい言葉です。毎朝、子どもたちは福島から米沢まで送迎バスで移動します。線量の低い米沢で子どもたちは自然と触れ合いながら元気に遊ぶことができる。そして夕方にはまたバスで福島へ戻ってくる。こんな新しい試みです。

  

辺見さんが「サテライト保育」を思い立つきっかけについて辺見さんはこのように語っています。

(辺見さんの経営する保育園に取材に来た記者と園児の会話)

記者  「今一番何がしたい?」
子ども  「公園で遊びたい」
記者  「公園で何したい?」
子ども  「ブランコに乗りたい」

  

(この子はブランコが大好きで、しかも立ちこぎがとても上手で、どの子よりも高くこげるのが自慢でした。わたし達の園では子どもに手を貸すことがほとんどないので、最初こげなくてもおしてやらず見守っていたのですが、そこからこげるようになり、立ちこぎまでできるようになったので特別な思いがあったのだと思います)

  

記者  「ブランコに乗れなくてどう思う?」
子ども  「・・・」
辺見  「つまんない? それともかなしい?」
子ども  「かなしい」

  

本当にグッと言葉につまりました。
このことは何度皆さんの前でお話ししても涙があふれてしまいます。子ども達の願いは、こんなほんの小さな願いなのにそれを叶えてあげることができないという福島の現実。“大人”としての責任の重さを痛感するのです。

  

サテライト保育の「入園案内」には辺見さんの心が表現された素晴しい言葉がありますので紹介させていただきます。

  

-自然の中で五感を磨き、共に成長するために-

  

 青空幼児園たけの子は子ども時代のゆったりとした時間の流れをこわさず、「自然の中で幼児期に大切な五感を磨き、その子らしさを大切にし、共に成長」しようと、2009年4月に創立されました。
 
幼児期は小学校の準備期間ではなく、それ自体が貴重な時間です。なんの制約も受けず、自然と向き合うという体験の中で、どこまでも深く子どもたちは学んでいきます。
 
しかし、2011年3月11日以来、子ども達の声は福島の公園や森から消えてしましました。外を自由に歩き、花や風のにおいを感じ、水とたわむれ、日の光を浴びて遊ぶという当たり前の日常を失ってしまったのです。

 わたし達保育者は大人としてできることは何かを考え、山形県米沢市へサテライト保育を実施することにいたしました。

 子ども達が日々体験したことから、自ら考え、意見を言い、行動できる人間に成長できるよう共に力を合わせましょう。
 
そして、子ども達が幼児期に獲得すべき自尊感情をしっかりとつかみ取り、自分はかけがえのないこの世にたった一人しかいない存在なのだと感じて欲しいと願ってやみません。

《季節の行事》
 4月 入園式,お花見
 5月 親子遠足,健康診断(各学期1回)
 6月 歯科検診,消防署見学
 7月 七夕行事
 8月 川遊び
 9月 芋煮会
10月 十五夜,芋ほり
11月 たけの子祭り
12月 クリスマス会,親子わらべ歌教室
1月 もちつき,だんごさし,お琴を聴こう
2月 豆まき,陶芸
3月 ひな祭り,味噌作り,卒園式
※この他に月に2度の給食は子ども達と買い物から始めて一緒に作ります。

  

「サテライト保育」募集要項をダウンロード(印刷してご自由にお使い下さい)

青空幼児園たけの子のブログはこちら

  

入園のお問い合わせ、申し込みは下記へ直接お願いします。

福島市鳥谷野字芝切41-3
代表 辺見 妙子
Tel/Fax 024-545-0535
携帯電話 080-3347-7126

2011/09/21

【150】除染の効果は限定的-渡利地域を一括で避難勧奨地域に

福島市では、大波・渡利・南向台・小倉寺など、以前から高い線量をしめしていた地域においても、特定避難勧奨地点に指定されず、住民が避難にあたって賠償などを受けられない問題が続いています。

9月14日、神戸大学の山内知也教授にお願いして渡利地域の放射線量測定を行いました。この結果をもとに9月20日に参院議員会館で記者会見、福島市内で緊急報告会が行われました。

2011_0920pressconfer0004

                    9月20日記者会見で説明する山内知也教授

  

渡利地区の測定結果(山内教授の報告書から;中見出しはフクロウの会)

◆6月の調査より更に汚染が濃縮している場所が存在

6月の調査で見つかった40,000 Bq/kgを超える汚染土壌が堆積していた道路の側溝はそのまま放置されていた。堆積した土壌表面の線量は6月の7.7 µSv/hから22 µSv/hに、11 µSv/hから23 µSv/hに上昇していた。降雨と乾燥とによる天然の濃縮作用が継続している。

  

◆屋根にこびりついたセシウムは高圧水洗浄でも落ちない

住宅の内部で天井に近いところで、あるいは1階よりも2階のほうが空間線量の高いケースが認められたが、これらはコンクリート瓦等の屋根材料の表面に放射性セシウムが強く付着し、高圧水洗浄等では取れなくなっていることに起因することが判明した。学童保育が行われているような建物でもこのような屋根の汚染が認められた。

  

◆除染効果は限定的―「除染モデル事業」の結果は3割程度

渡利小学校通学路除染モデル事業が8月24日に実施されたが、報告された測定結果によれば、各地点空間線量は平均して「除染」前の68%にしか下がっていない。除染作業の実態は側溝に溜まった泥を除去したということであって、コンクリートやアスファルトの汚染はそのままである。道路に面した住宅のコンクリートブロック塀や土壌の汚染もそのままである。一般に、除染は広い範囲で実施しなければその効果は見込めない。今回の計測において通学路の直ぐ側の地表で20 µSv/hに及ぶ土壌の汚染があった。除染というからには天然のバックグラウンド・レベルである0.05 µSv/hに達するかどうかでその効果が評価されるべきである。「除染」の限界が示されたと見るべきである。

  

2011_0914watari0008

                  除染を行った場所のすぐそばでも極めて高い場所がある

  

◆国の詳細調査以外の地点で高い汚染を発見

薬師町内の計測を行ったところ、国が詳細調査を行った地域から外された地点で高い汚染が認められた。ある住宅の庭では1 m高さで2.7 µSv/h、50 cm高さで4.8 µSv/h、地表で20 µSv/hの汚染が認められた。これは南相馬市の子ども・妊婦の指定基準(50 cm高さで2.0 µSv/h)をゆうに超えている。

  

2011_0914watari0025_2

                  国の詳細調査以外の地点で高いところが存在

  

◆随所で地表1cmの線量が異常に高い値

渡利地区では、地表1 cm高さでの線量が異常に高い値を示す箇所が随所に見られる。この地区全体の土壌汚染に起因すると思われる。土壌汚染の程度については、特定避難勧奨地点の検討項目になっていないが、チェルノブイリの教訓に学び、空気の汚染にも直接関係する土壌汚染の程度について、避難勧奨の判断に反映させるべきである。

  

◆文字通りの「除染」は全くできていない

文字通りの「除染」は全く出来ていない。Cs-134の半減期は2年、Cs-137のそれは30年である。したがって、この汚染は容易には消えず、人の人生の長さに相当する。そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない。

  

「調査の背景と避難の問題」資料はこちら

  

山内教授の報告書はこちら

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2011/09/16

【149】緊急報告会-福島市渡利における放射能汚染調査結果(速報)と避難区域の設定の問題点について

福島市では、大波・渡利・南向台・小倉寺など、以前から高い線量をしめしていた地域においても、特定避難勧奨地点に指定されず、住民が避難にあたって賠償などを受けられない問題が続いています。
このたび、渡利で実施した放射能汚染調査に関して、下記のような報告会を開催します。ぜひご参加ください。また、拡散にご協力いただければ幸いです。

  

(拡散希望!)
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【緊急報告会】
福島市渡利における放射能汚染調査結果(速報)と
避難区域の設定の問題点について
9月20日(火)14:45~16:45@福島テルサ

http://www.foejapan.org/energy/news/evt_110920_2.html
------------------------------------------------------------

  

福島市渡利では、福島市の調査により3.2μSv/hを超える高い線量がポイントではなく面的な広がりを持って存在することが明らかだったのにもかかわらず、説明会も開催されないまま、何か月も放置されてきました。

8月下旬、渡利の一部の地域において、原子力災害現地対策本部および福島県による詳細調査が実施されました。その結果、地上から高さ50cmの地点で、毎時5.4マイクロシーベルト/時が1箇所計測されたことが報じられています。

  

このたび、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、国際NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)は、山内知也・神戸大学大学院教授に依頼し、福島市渡利における放射能汚染調査を実施しました。

調査の結果、渡利全域において、国および県が詳細調査を行っていない場所においても、特定避難勧奨地点に該当する高い汚染を示す場所が、複数存在することが明らかになりました。たとえば、渡利小学校通学路除染モデル事業測定地点の一部にあたる路地では、50cm高で最高5.2マイクロシーベルト/時を計測、ある神社では、1cm高で10μSv/hを超える箇所が計測されています。

  

この調査結果を踏まえ、下記のように報告会を開催しますので、ぜひご参加ください。

  

○日時:2011年9月20日(火)14:45~16:45
○場所:福島テルサ3Fあぶくま(福島市上町4-25)

http://www.f-shinkoukousha.or.jp/terrsa/access.html
○入場無料・申込み不要 
○出席者(予定):
 山内知也/神戸大学大学院教授
 阪上武/福島老朽原発を考える会代表(フクロウの会)代表
 満田夏花/国際環境NGO FoE Japan理事

○内容(予定):
・福島市渡利における放射能汚染調査の結果について(速報)
・避難区域の設定の問題点について

○主催:
 福島老朽原発を考える会
 FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)

○連絡先:満田夏花(みつたかんな)/FoE Japan 090-6142-1807

  

※9月20日、10:30から、東京の参議院議員会館B109において、同様の内容の記者会見を開催します。東京にお住まいの方は、こちらの方にもぜひご参加ください(主として記者向けですが、どなたでもご参加いただけます)。

※参考:
【プレスリリース】福島市・大波地区「特定避難勧奨地点に指定せず」に抗議する

http://www.foejapan.org/energy/news/p110909.html

【148】広範囲に広がる汚染、北海道でも検出 宮城県南部では高いところも

北海道富良野、宮城県南部、喜多方市の土壌分析結果

 今回は福島を中心により広い範囲の土壌の測定を行いました。

  

今回の検査結果の特徴は福島第1原発から100Km以上離れた地域でも汚染が見られること、宮城県南部地域で高い汚染が見られることです。

結果は以下のようなものです。

  

(1)福島第1原発から670Km離れた北海道富良野市の土壌からセシウム134,137が検出されました。その量はそれぞれ99Bq,176Bq/m2です。量的には少ないですが134,137がほぼ同量ですので明らかに福島第1原発から飛んできたものです。

  

(2)福島第1原発から75Km離れた宮城県白石市越河(こしごう)ではセシウム134,137が162,338Bq,180,950Bq/m2と高濃度の汚染が検出されました。合わせて343,288Bq/m2という値はベラルーシでは「移住の権利ゾーン」にあたる濃度です。小学校付近でもあり詳細な調査と除染が必要なレベルです。

  

(3)第1原発から66Kmの角田市台山公園からは78,000Bq,85,280Bq/m2の汚染が検出されました。合計で163,280Bq/m2という値はベラルーシでは「継続的な監視ゾーン」にあたるものです。公園でもあり詳細な調査と除染が必要と考えます。

  

(4)上記の分析やこれまでの分析結果から宮城県南部も汚染度が高いところがありより詳細な調査や除染が必要な地域と言えます。

  

(5)第1原発から110Km離れた喜多方市C地点、D地点では合計値で32,175Bqおよび7,905Bq/m2(585Bq,164Bq/Kg)の汚染が検出されました。日本政府の米の作付基準は5,000Bq/Kg以下ですのでその基準よりは下回っています。前回6月19日に採取したサンプルでは高い値が出ており注意が必要です。

  

ACROの報告書をダウンロード

ACROのウエブサイトはこちら(準備中)

2011/09/10

【147】福島市・大波地区「特定避難勧奨地点に指定せず」に抗議します

FoE Japanおよび福島老朽原発を考える会(フクロウの会)は、福島市・大波地区が「特定避難勧奨地点」に指定されなかったことに関して、下記のような声明を発出しましたのでお知らせします。
  

除染を言い訳に、経済的な利益を優先させ、高い線量を住民に強要する国や自治体の方針には怒りを禁じえません。今後、渡利区でも同様の説明会が開催されるという情報も入っており、そのゆくえが注目されます。
  

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福島市・大波地区「特定避難勧奨地点に指定せず」に抗議します
:結論ありきの説明会、放射線管理区域の5倍もの被ばくを許容
~国・自治体は住民の声をきくべき
スライド資料:
http://dl.dropbox.com/u/23151586/110908_hinan.pdf
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私たちは、福島の子どもたちを守るため、自主避難したい住民たちに対して賠償などを保証する「選択的避難区域」の設定を提言してきました。その活動の一環として、福島市・大波地区で9月3日に開催された説明会に参加しました。

  

■大波地区は「特定避難勧奨地点」に指定されず
大波地区は、事故以来、高い線量が続いていたのにもかかわらず、半年も放置された上でのようやく開催された説明会でした。国や市は「3.1マイクロシーベルト/時を超える地点はない」として、大波地区を特定避難勧奨地点に指定しないと説明。福島市は、冒頭、「避難は経済が縮小する。住民の協力を得て除染を頑張りたい」と発言しました。

  

以下住民の方々の発言です。
「畑は4マイクロシーベルト/時を越える、畑で長い時間を過ごす人が多い。なぜ生活の場である畑を測らないのか?」
「線量が下がってから測っている。指定されないのは納得できない」
「年1ミリをもとに避難基準を設定すべきではないか」
「子どもたちは既に内部被ばくをしている。すぐに避難させて欲しい」
「すべての子どもたちの避難に補償を出して欲しい」
「山や畑の除染は不可能ではないか?」
「除染でさらに被ばくさせられるのは納得できない」
「事故直後、高い線量を示した時に、せめてそれを知らせてもらえれば、余計な被ばくを避けることができた」

  

しかし、国・市は、これらの疑問に明確に答えず、結論ありきの説明会でした。

  

■放射線管理区域(0.6マイクロシーベルト/時)の5倍以上の被ばくを許容

今回の国および市の対応に関しては、下記のような問題点があります。

  

・大波の線量は当初から高い水準を示していたが、事故後6カ月も説明会が開催されなかった。

・国および福島市は、特別避難勧奨地点の水準を3.1μSv/時にしているが、これは「放射線管理区域」の水準(0.6マイクロシーベルト/時)の5倍以上でそもそも高すぎる放射線管理区域は、子どもを含む一般人の立ち入りは禁じられ、厳格な放射線管理が行われ、事前に訓練を受けた者だけが立ち入ることのできる区域である。市が示した詳細調査結果では、のきなみこの放射線管理区域の水準を上回っている。(スライド12枚目参照)

・住民によれば、生活の場である農地が高い線量を示しているのに、計測されず、考慮にも入れられていない。

・文部科学省が実施した自動車の走行サーベイにおいては、3.1マイクロシーベルト/時以上の線量を示している地域がある。(スライド13枚目)

・報道等によれば、子どもや妊婦への配慮のため、伊達市では、2.7μSv/時、南相馬市では2.0μSv/時(50cm高)という基準が決められているが、福島市では決められていない。(スライド15枚目参照)

・福島市は、「除染をがんばる」としているが、山林に囲まれた大波において除
染の効果は限定的である。現に、福島市による計測では、除染した直後においても測定高50cmでは平均11.8%、測定高1mでは平均6.7%しか線量は低下せず、場所によってはまったく低下していない場所もある。(スライド14枚目参照)

・除染に地域住民の協力を求めているが、特定避難勧奨地点にも指定されず、さらなる被ばくをさせられることとなる。

  

国や市は、説明会の最後には、除染の困難性を訴え、ボランティアの参加を呼びかけました。特定避難勧奨地点の指定を延ばしに延ばした上で見送り、避難よりも除染をと連呼した挙句、除染は困難だからボランティアで手伝えというのです。
  

これは、経済的利害のために高線量地域の人々、とりわけ子どもたちの健康を犠牲にし、目処が立たない除染に住民を駆り出して、さらに被ばくを強要しようというものであり、許しがたいものと考えます。

さらに、国・自治体による説明会のあとに東京電力が住民に対して説明する時間帯が設けられました。このとき「万が一、がんになった場合、東電は補償してくれるのか」という住民の問いかけに対して、東京電力側は「因果関係が証明できない病気については補償しない」と言い切りました。

  

■注目される渡利地区の動向

福島市・渡利地区においても、6月の時点の市の計測で、非常に高い線量を示しており(小豆塚:3.56マイクロシーベルト/時、平ヶ森:3.20~3.83マイクロシーベルト/時)、私たちは、政府交渉の場で、再三、市民向けの説明会の開催を要求してきましたが、なかなかそれは実現しませんでした。

  

それが、今月になって、ようやく、渡利などでも特定避難勧奨地点に関する説明会が開催されるという情報が入っています。大波と同じように、一方的に、「特定避難勧奨地点に指定せず」ということが通達されることも予想されます。

このような説明会は、地元の住民の意向も踏まえた意思決定をするべきという
ICRPの勧告にも反しています。

私たちは地元の住民の方々とともに、この事態をなんとか改善すべく、今後とも、国や自治体への働きかけを継続していく予定です。

  

2011年9月9日
国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

(問い合わせ先)
FoE Japan  満田夏花(みつたかんな)
携帯:090-6142-1807
E-mail:finance@foejapan.org

2011/09/08

【146】福島の子どもたちの尿検査(2回目)結果から見えてきたもの

 9月7日、参院議員会館において、<院内集会 in 東京>「内部被ばくと避難問題 ~尿検査から見えてきたもの~」を開催しました。その場で発表した内容を紹介します。

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 5月末に続き7月末に行った、2回目の福島の子どもたち尿検査結果から重要な事実がわかってきました。またそこから内部被ばくを防止するために何をしなければならないか、その方向性も見えてきました。

 それらの要旨は以下のようなものです。

■検査結果のまとめ

(1) 2回目の検査対象者10名のうち9名の方は尿中のセシウム濃度が減少した。

(2) 2回目の検査対象者のうち1名の方はセシウム濃度が横ばいか10%程度増加した。

(3) 新規検査対象者5名のうち1名の方から、私たちが実施した2回の測定結果を通じて最高の値を検出した。

(4) 新規検査対象者のうち同一高校に通い同一グラウンドをで練習する運動部2名の方の検出値が大きく異なっていた。

■この結果から言えること

(1) 福島での日常生活により吸気、飲食物からの内部被ばくがあること。

(2) より広範な内部被ばく調査が必要であること。

(3) 予防の観点での内部被ばく検査が必要であること。

(4) 内部被ばく低減のために避難が有効であること。

■この調査結果を踏まえて国、県への要請

(1) 国、福島県は追加的内部被ばく防止のため妊婦、乳幼児、子どもを優先的に全員対象で継続的な内部被ばく調査を行うべきである。

(2) 内部被ばく低減のための予防活動につながるよう検出限界を適正な値にすべきである。

(3) 福島県は健康管理調査を全面的に見直し、予防の観点を取り入れた検査に改善すべきである。

(4) 国、福島県は避難区域の拡大、自主避難者への補償・支援を行うべきである。

●これらの詳細について、当日配布した資料をご覧ください。

「urine_check_report_2011_0907.pdf」をダウンロード

●検査結果の一覧表はこちらから

「urine_chekc_results_table.pdf」をダウンロード

●ACROからの報告書はこちらから

「rap110802ocj01v1.pdf」をダウンロード

●プレゼン資料はこちらから

「presen_urine_check_results_2011_0907-01.pdf」をダウンロード

「presen_urine_check_results_2011_0907-02.pdf」をダウンロード

「presen_urine_check_results_2011_0907-03.pdf」をダウンロード

●Presentation in English are here

「English_urine-01.pdf」をダウンロード

「English_urine-02.pdf」をダウンロード

2011/09/06

【145】9・7院内集会「内部被ばくと避難問題 ~尿検査から見えてきたもの~」

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9/7 <院内集会 in 東京>&<セミナー in 福島>
「内部被ばくと避難問題 ~尿検査から見えてきたもの~」
http://www.foejapan.org/energy/news/evt_110907.html
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今年5月、フクロウの会等が実施した尿検査の結果、10人の子どもたちの尿中からセシウムが検出されました。その後、実施されたフォローアップ検査では、興味深い事実が明らかになってきました。

子どもたちを守るために、避難や賠償問題について、また、福島県の県民健康管理調査の問題点について、最新情報をもとに議論します。
さらに、先般の福島市大波地区が特定避難勧奨地点に指定されなかったことにまつわる問題点など、避難区域に関しても問題提起します。

【院内集会 in 東京】
◆日時:9月7日(水) 13:00~14:30 (記者会見:14:30~15:00)
◆場所:参議院議員会館B107(東京都千代田区永田町1-7-1)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kokkaimap.htm
◆内容
・子どもたちの尿検査の結果について
・県民健康管理調査の問題点
・「選択的避難」の必要性
・学校の放射線量調査~除染している間にも避難を

※政府の担当者にもご出席いただき、コメントを頂く予定です(調整中)

◆資料代:500円
◆申込みフォームよりお申込みください
https://pro.form-mailer.jp/fms/999da89e21537

【セミナー in 福島】
◆日時:9月7日(水)18:30~20:30
◆場所:福島テルサ 3F あづま (福島市上町4-25) 
http://www.f-shinkoukousha.or.jp/terrsa/access.html
◆参加費:無料
◆内容:
・内部被ばくとは?
・尿検査から見えてきたこと
・「選択的避難」の必要性
・避難区域の問題と東電賠償

◆下記申込みフォームよりお申込みください。
https://pro.form-mailer.jp/fms/999da89e21537

◆講師: 阪上 武/福島老朽原発を考える会 代表
    青木一政/同上 放射能測定プロジェクト
    鈴木かずえ/グリーンピース・ジャパン(東京集会のみ)
    満田夏花/国際環境NGO FoE Japan
◆主催: 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
    国際環境NGO FoE Japan

◆問い合わせ: FoE Japan 
                      Tel: 03-6907-7217(平日昼間) 
                      満田(みつた) 携帯:090-6142-1807 

※参考:6月30日付プレスリリース:
 福島市の子供たちの尿からセシウム検出
 子供たちの内部被ばく検査の強化を国や県に要請
 http://www.foejapan.org/energy/news/110701.html

2011/09/05

【144】避難させずに除染の姿勢に住民困惑…福島市大波で特定避難勧奨地点説明会

Onami

9月3日夜、福島市大波で特定避難勧奨地点についての国と市による説明会が行われました。

午後7時開始でしたが、30分くらい前から詰め掛けていて、開始時には300人くらいの方で会場の小学校の体育館が埋まりました。

説明会は国が、7月19日の福島での政府交渉に出てきた佐藤氏、福島市が主に危機管理監が説明にあたっていました。佐藤氏は、19日のコラッセ福島とは大違いで、腰が低く丁寧でよくしゃべっていました。特定避難勧奨地点については、報道にあるように、370箇所で詳細調査を行ったが、最大が2.9マイクロシーベルト/時で、基準の3.1マイクロを下回っているので、指定はなしというものでした。

福島市は主に除染について話ました。いきなり、「被ばくを避けるために、除染と避難という手段ががあるが、避難では経済が縮小してしまう。市としては積極的に除染を進めたい」と避難をさせない宣言から。

避難させないための除染という姿勢は、福島市が、伊達市や南相馬市と違い、特定避難勧奨地点指定に際して、一般的な基準の他に、子ども妊婦用の基準(伊達市2.7マイクロ、南相馬市2.0マイクロ)を設けず、そのかわり、子どもや妊婦のいる世帯については、2.0マイクロ以上であれば優先的に「除染」するというところにも現れています。

ところが、除染について、会場からの質問が続くと、「除染は1回では終わらない、長期的に続く、大変だ、特攻薬がなく、苦労している…」終いには、「市の取組みだけではなんともならないから、市民がボランティアで動いて欲しい」と。これには、会場から、「なぜ被ばく線量の高いわたしらが、除染でまた被ばくしなければならないのか」との声があがりました。

また会場から、「そんなに除染が大変なら、子どもを避難させて欲しい」というと「今回特定避難勧奨地点に指定されなかったので…」、では、「いつになったら子どもの世帯の除染がはじまるのか?」と聞くと「わかりません」と。もう無茶苦茶です。

会場からは他に「畑は4マイクロを越える、なぜ生活の場である畑を測らないのか?」「今頃になって、線量が下がってから測っているのはおかしい、指定されないのは納得できない」「1ミリをもとに避難基準を設定すべきではないか」「子どもたちは既に内部被ばくをしている、すぐに避難させて欲しい」「すべての子どもたちの避難に補償を出して欲しい」「除染はいつからやるのか?全く目処がないではないか」「山や畑の除染は不可能ではないか?」「除染でさらに被ばくさせられるのは納得できない」といった発言が続きました。

会場には東電が来ていて、国と市の説明が終わった9時半すぎから、謝罪と質疑。東電は自主避難者への補償については、紛争審査会の結論待ちといつもの回答。驚いたのは、将来ガンなどの健康被害が出た場合にそれは補償するのかという質問に対し、放射能との因果関係が明らかであれば補償するし、そうでなければ補償しないときっぱりと言ったことでした。数十年先に出てくるガンなどは補償しないということです。

終わったのは10時半近く、除染は大変だ大変だと言うのであれば、子どもを優先に避難勧奨の指定をきちんと行い、避難の選択できるようにしてから取り掛かればいいはずです。それを阻止して子どもを避難させないという国、市の姿勢は非常に問題だと思います。

2011/09/02

【143】子どもたちへの甲状腺被ばく検査は正しく行われたのか?

 福島原発事故の後、3月24日から30日にかけて原子力災害対策本部により、子どもの甲状腺被ばく調査が行われました。その結果は福島の子ども946人「問題なし」と報道されました。

 その後、4.5か月も経過した8月17日になってようやく原子力災害対策本部は検査を受けた子どもの保護者らに結果を説明しました。子どもの健康にかかわる重大な問題の説明に何故このように時間がかかるのでしょうか。しかも、この間に原子力安全委員会のHPに掲載されていた検査結果データが「個人が特定される可能性がある」という理由でデータ全体が削除されるという問題まで起こっています(8月11日NHK報道)。

 私たちは「問題なるレベルではない」とされる政府の検査結果に重大な疑問を抱いています。以下その疑問についてあげます。政府はこれらの疑問に答えるとともに、第三者が検証できるよう、個人が特定されない形での全てのデータの開示を求めます。

  

3月末に行われた児童の甲状腺検査について 

2011.8.29 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

※本記事は8月29日発行のフクロウの会のチラシの内容です。チラシはこちらからご覧ください。以下、テキストのみを貼り付けます。

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2011/09/01

【142】放医研の先行調査は検出限界が高く内部被ばくを無視してしまう

 私たちフクロウの会は「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」「国際環境NGO FoE Japan」と協力して8月29日に福島県に対して県民健康管理調査についての要請行動を行いました。

  

 その要請の中の重要なポイントが県の依頼で行った放医研の先行調査におけるホールボディカウンタと尿検査の検出限界の問題です。放医研の検出限界は高く設定されており、実際に内部被ばくしているにも関わらず「検出されず」ということで無視されてしまいます。

検出限界の問題はこちらをご覧ください。

  

 私たちの指摘を補強する資料としてチェルノブイリ事故後に行われたハンガリーのブタペストで実施されたホールボディカウンタでの調査結果を紹介します。

  

ブタペストにおけるWBC測定 ~食品安全委員会資料より~


「チェルノブイリ事故の後、被曝直後から4年半、ブタペストの成人市民にホールボディカウンタ(WBC)でセシウムを測定、約1年後に最大値に達し、3年後にはほぼ消失した。(近藤、1993年)」とキャプションがついたデータです。


ソース:
http://www.nfri.affrc.go.jp/topics/pdf/sympo2.pdfのp21

  

《 I 》 チェルノブイリ事故後のセシウム‐137の体内摂取量の時間的変化

「近藤、1993年」とあるのは、近畿大学の近藤宗平氏のことで、「放射能はむしろ体にいい」ホルミシス派の巨頭で、「100mSvまでは何の影響もない」論の理論的指導者です。「人は放射線になぜ弱いか」第3版 (ブルーバックス)の著者で、それに対する賛同意見はAmazonのページでお読みください。また批判にはこのようなものがあります。

以下のグラフは、近藤宗平氏が原著(不明※)から引用したものの孫引きのようですが、


•「放射能騒ぎはすぐに消えてなくなる」
•「食生活に気をつければ内部被ばくは減らすことができるので心配ない」→「日本では暫定基準があるから心配ない」

といった主張のために利用されているようです。しかし、グラフからは以下のことが読み取れます。


•おそらく検出限界は10Bqぐらい
•男女が相似形。検出限界値を下げて測定するととても有効な統計が得られる。
•内部被ばくの推移が非常によくわかる。
•食物摂取による内部被ばくは、400日後がピークであることがわかる。 
おそらく汚染度は、ブタペストより飯舘村や川俣町の方が高く、福島市内と同程度ではないかと思われます。もっと良く知りたいことは、


•ブタペストからチェルノブイリまでの距離は?
•ブタペストにおける空間線量率の遷移は?
•ブタペストにおける土壌汚染の程度は?
です
Wbcfig1

                               図の拡大

  

《 II 》  補助線を加えてみました
•左下矢印は、福島県先行調査の測定日(7月10日)が120日目であったことを示す。120日目ではようやく「山の中腹」である(400日後がピーク)。
•120日目では、福島県先行調査の最大値4,000Bqは、ブタペスト120日目の最大値約1,200Bqより3.5倍大きい。
•横に引いた補助線は、福島県先行調査の検出限界値570Bq/身体

  

Wbcfig2

                           図の拡大

  

  

《 III 》  過剰な「検出限界570Bq」の意味を表してみました。
•福島県先行調査の検出限界値570Bq以下をデータゼロ《ND》として、塗りつぶしてみる。
•せっかくの調査が、内部被ばくの推移が全く分からない、無意味なものとなってしまう。

  

Wbcfig3

                           図の拡大

  

  

•塗りつぶした図の結果が、放射線医学総合研究所が福島県から託されたホールボディカウンター(WBC)検査の実情です。ブタペストで行われた測定の精度には到底及びません。

•これは残念ながら、2011年日本の放射線防護の技術および熱意の水準が、1991年の社会主義国家ハンガリーのそれに比べて「さえ、いかに低いか」を、物語っています。

  

※ 原著である可能性のあるものは、
Feher, L: Experience in Hungary on the Radiological consequences of the Chernobyl accident. Environmental International, 14, 113-135(1988).

  

以上。

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