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2011/10/28

【165】政府交渉:渡利の子どもたちを守れ!:子ども・妊婦の避難に予算措置を求める

10月28日、参院議員会館において「渡利の子どもたちを放射能から守ろう!」対政府交渉が行われました。

  

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主催者であるFoE Japanの満田さんから報告が寄せられましたのでご紹介します。

  

  

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======= 以下 報告 ========

本日は300人ものご参加ありがとうございました。渡利からの参加者は、約20名、福島の女たちの座り込みからも多数のご参加をいただきました。みなさま、長時間にわたり本当にお疲れ様でした。

  

○冒頭、セーブ渡利キッズの菅野さん、島田さんから「渡利の子どもたちを守れ!」緊急署名の提出を行いました。1か月弱の短期間ながら、世界中から11,879筆の署名が集まりました(うち、渡利・小倉寺・南向台から、1,225筆、それ以外の福島県から2,654筆)。要請内容は、下記のとおりです。
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-6036.html

  

○上記の要請項目本日の交渉の結果、下記の4項目の住民からの強い要請について、国としても危機感を共有していただき、責任をもってご検討をいただくこととなりました。
  

1.渡利全世帯を対象とし、屋内も含めた詳細調査をやりなおしてほしい。
2.年20ミリシーベルトを超える2世帯について、なぜ避難勧奨地点の指定がなされなかったのか、指定のプロセスも含めて、納得のある説明を求める。
3.南相馬市の「50cm高2マイクロシーベルト/時以上」という子ども妊婦のいる世帯への指定基準に関して、福島市においても平等に適用してほしい。
4.除染を優先するといっても、その具体的なめどはたっていない。除染をして、十分その効果が確認されるまで、子ども・妊婦が避難できるような予算措置を行ってほしい。
5.国として、上記の要請や質問について、渡利において説明会を開催してほしい。

  

○交渉の間の主たる質疑は下記のとおりです。
◆避難勧奨地点の指定について
市民側.渡利と小倉寺で20ミリの指定基準を超えた2世帯について、今回指定を見送ったのはどういった判断基準によるのか。

政府側.2世帯とも避難を希望しなかったため。また、地域の端に位置しているというロケーションの特徴。
市民側.それは、6月16日付の原子力災害対策本部の文書に書かれている手続きと違う。まず指定をおこない、避難するかどうかは当該世帯が判断するのではないか。伊達市などでも同じように各世帯に避難の意向をきいているのか。そうでないのであれば、なぜ福島市においては、指定を行わなかったのか。また、「端」だから指定しないというようなことは、6月16日付の原子力災害対策本部の文書には書かれていない。恣意的な運用ではないか。
→結論:文書での回答を求める。

◆避難勧奨地点の「面的」な指定について
市民側:高線量が点ではなく面的に広がっていることや、汚染が進行する地形的特性からも、地点ではなく地区全体の指定が求められるが、これを制度の運用により直ちに行うべきではないか。
政府側:国の基準はあくまで年20ミリシーベルトであり、生活全般を通じての20ミリということで指定を行うもの。
市民側:自宅の庭先で5マイクロシーベルト超などざら。そんな状況をわかっているのか。納得できない。
→結論なし。要請については検討してもらう。

◆詳細調査の再実施について
市民側:渡利周辺の特定避難勧奨地点の詳細調査に関して、渡利の一部の世帯しか調査が行われなかった(約10分の1)。渡利周辺の特定避難勧奨地点の詳細調査に関して、渡利の一部の世帯しか調査が行われなかった。
政府側:国としては除染をしっかりとやっていくという結論。除染の前に調査は
行う。
市民側:除染がはじまるのはいつか。
政府側:仮置き場が決まっておらず、めどがたっていない。
市民側:おかしいではないか。いますぐ、詳細調査をおこなってほしい。渡利の現状をきちんとみてほしい。
政府側:検討する。
→結論:政府側が検討し、いつまでに回答をだすかについて早急に答える。

◆なぜ、長いこと放置されたか
市民側:渡利・大波・小倉寺・南向台など、当初から線量が高い地域において、特定避難勧奨地点のための詳細調査が8月まで行われなかったのはなぜか。
政府側:自動車サーベイなどを行ったり、その結果を検討したりして、調査の遅れによりご心配をおかけした。
市民側:6月の時点から高い線量が記録されていた(3マイクロシーベルト以上の箇所多数)。それが4か月も放置されたのはおかしい。さらに除染をしたあとの計測というのはおかしいではないか。
政府側:(明確な回答なし)

◆なぜ、南相馬市において採用されている、子ども・妊婦のいる世帯における
「50cm高2マイクロシーベルト/時」という基準が、福島市において適用されていないのか

政府側:南相馬市の場合は、1メートル高3.0マイクロシーベルト/時以上の地
点があり、その近傍において、家族構成なども踏まえた検討のための参照基準として、「50cm高2マイクロシーベルト/時」とした。

市民側:渡利地区で50cm高で5.4マイクロシーベルト/時を記録した世帯の指定について、どのような検討がなされたのか。指定しなかったのはなぜか。

政府側:国としては、あくまで1メートル高で、年20ミリシーベルトを基準とし
ている。50cm高で5.4マイクロシーベルト/時を記録した世帯は、1メートル高
で2.2マイクロシーベルト/時であった。50cm高はあくまで参考。

市民側:子どもの背丈を考えた時、むしろ50cm高での線量が重要なのではないか。

政府側:明確な回答なし。

◆50cm高で2マイクロシーベルト/時を超える世帯は詳細調査が行われた世帯では渡利・小倉寺・南向台で何世帯あったか。

政府側:渡利で162世帯、小倉寺で118世帯、南向台で29世帯。

市民側:そのうち、子どものいる世帯は何世帯か?

政府側:(明確な回答なし)→文書での回答を求める。

市民側:それでは、福島市における、「子ども妊婦の配慮」とは何か?

政府側:(明確な回答なし)

市民側:原子力安全委員会は、5月2日に、「20ミリを安全だと言った委員はい
ない。また、現在、福島市は「現存時被ばく状況」にあり、1~20ミリの下方に
参照レベルを設けて下げていくべきとしている。
再度、原子力安全委員会に、子ども・妊婦について、配慮すべきかについてお聞きしたい。

原子力安全委員会:子ども・妊婦は、放射能に関する感受性が高いため、配慮が必要。

市民側:政府内で統一がとれていない。原子力安全委員会の指摘を踏まえ、対策本部としても検討を求める。

政府側:検討する。

◆市民側要請:除染による効果がでるまで、子ども・妊婦を優先的に避難させるべき。そのための費用を国がだすべき

政府側:最大限検討する。そのための既存の制度と言うことに関しては即答はできない。

◆積算線量の推定及び避難勧奨指定に際しては、原子力安全委員会の通知に従い、全ての経路の内部被ばくと、渡利地区ではチェルノブイリの特別規制ゾーンに相当する汚染が見つかっている土壌汚染の程度を考慮に入れるべきであると考えられるが、考慮に入れられていない。なぜか。

政府側:迅速な地域指定を行うためには、土壌汚染の結果を用いるのは時間がかかってしまう。また、放射能防護の観点から、土壌汚染を指標に用いるのは正当化されない。あくまで人体への影響としてのSvで判断すべき。ロシアからの専門家は、50ミリシーベルトを基準として言っている。

(時間切れでこれに対する反論はできませんでしたが、「50ミリシーベルト」と
いうのは日本政府としての見解か、ということを問いただすつもりです。)

◆渡利・大波・小倉寺・南向台など、当初から線量が高い地域においては、6月の時点から住民説明会を行うべきという要請があったのにもかかわらず、9月、10月に至るまで説明会が行われなかったのはなぜか。

政府側:7~8月モニタリングを行った。また、自治体と協議を行った。その結
果、大波で9月3日、渡利で10月8日の説明会開催となった。

(時間切れでこれに対する反論はできませんでしたが、国は、上記のように土壌汚染の結果を考慮に入れない理由の一つとして、「迅速な地域指定」をあげています。モニタリングや自治体との協議で、4か月もの時間がかかるのでしょうか。)

◆参加者より
「まるで、福島市は、絶対に指定はさせないという方針のようだ。なぜ、南相馬
と違うのか。指定しないでくれと言っているのは、県なのか、市なのか」
「南相馬の子どもと、福島市の子どもと、放射線に対する感受性に差があるとでもいうのか。うちの子どもは、耐性が強いとでもいうのか」
「うちには小さな子どもがいる。それなのに、庭全体で3マイクロシーベルトを
超える高い線量となっている。線量計が振り切れる箇所もざらだ。詳細調査をやりなおしてほしい。」
「渡利の住民が、ここまで要請している。それを国は無視できるのか。誠意をもって検討してほしい」
「なぜ、1メートル、3マイクロにこだわるのか」
「文科省は、激論のすえ、20ミリシーベルトについては棚上げにし、1ミリシー
ベルトを目指すと言った。そのようなことは経済産業省はできないのか」

◆政府側出席者:
○原子力災害対策本部 
 原子力被災者生活支援チーム 総括班 金城企画官
同              放射線班 茶山秀一課長
同              住民安全班  植田室長
○資源エネルギー庁 原子力損害対応室 市川紀幸課長補佐
○原子力安全委員会事務局
 管理環境課安全調査副管理官  橋本周
 管理環境課安全調査副管理官  山田裕
 規制調査課規制調査官     佐々木潤
○文部科学省
 科学技術・学術政策局 原子力安全課専門官 加藤隆行
 研究開発局 原子力損害賠償対策室係長  宮地俊一

※資料
資料1:交渉のポイント

http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_1.pdf
資料2:セーブわたりキッズ空間線量調査マップ
資料3:福島市渡利地区における空間線量調査結果(概要)

http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_3.pdf
資料4:福島市渡利地区における土壌中の放射能調査(概要)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_4.pdf
資料5:渡利周辺の特定避難勧奨指定および賠償に関する要望書
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_5.pdf

※交渉の背景については、下記をご覧ください。
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-cc9d.html

※問い合わせ
福島老朽原発を考える会 阪上/090-8116-7155
FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)満田(みつた) 090-6142-1807

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