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2011/12/20

【185】東電への個別請求により全面賠償を勝ちとろう! -原賠審が自主的避難者等に対する賠償方針を決定-

東電への個別請求により全面賠償を勝ちとろう
-原賠審が自主的避難者等に対する賠償方針を決定-


2011年12月20日
福島老朽原発を考える会

 12月6日の原子力損害賠償紛争審査会において、中間指針追補が決まり、自主的避難者等に対する賠償方針が定まりました。追補は、賠償の対象地域を、福島県の県北・県中・いわき・相双の市町村とし、子どもや妊婦は今年12月末まで、それ以外は「事故の発生当初」の時期のみを対象に、避難者にも、残留者にも、子どもと妊婦で一人一律定額40万円、それ以外の人については一人一律定額8万円を支給するとしています。追補には問題点が多くあります。線量基準を設けず、一律同額にこだわったところから、賠償の範囲についても額についても根拠があいまいで、避難区域内からの避難者に比べても不利な内容となっています。その一方で、東電への個別請求による全面賠償を勝ちとる道を残すものとなっています。

■「自主」避難者へも賠償を!…ゼロからの出発

 水素爆発の恐怖から避難せざるをえなかった!とても子どもを育てられる環境ではない!政府が決めた避難基準は高すぎる!二重生活、二重ローンで生活は苦しい!自主的に勝手に避難したのではない、避難せざるをえなかったことを認めて欲しい!…私たちが国際環境NGO FoE Japanと共に行ったアンケートには、政府が決めた避難区域外にいたというだけで、賠償の対象から外されようとしていた自主的避難者からの悲痛の声が寄せられました。
 「自主」避難者にも賠償を!をスローガンに掲げた運動は、6月の段階で、原子力損害賠償紛争審査会が、中間指針の検討項目から、避難区域外からの避難者への賠償の項目を外したところからスタートしました。ゼロからの出発でした。
 審査会委員への手紙、意見書、自主的避難者へのアンケート、審査会が開かれる文科省前でのアピール行動、東電への要請行動、東電への請求書提出行動、審査会事務局との交渉、自主的避難者を招いての集会、署名運動等々、さまざまなはたらきかけを行いました。その結果、自主的避難者への賠償問題が、中間指針決定後も審査会の継続課題となり、その後、私たちが強く要求した審査会での避難者を招いての公聴会が実現し、今回の追補で、賠償が正式に認められるに至りました。自主的避難者のみなさんにはこの間、福島だけでなく、避難先の首都圏、山形、静岡、関西、北海道、九州からも駆けつけてくださいました。大きな成果だと思います。

■賠償対象も額も明確な根拠なし

 追補はしかし、さまざまな問題点を含んでいます。私たちはこの間、自主的避難者について、実費の全面賠償を求めてきました。しかし追補は、一律定額の賠償を基本としました。なぜ一律なのか、なぜ40万円と8万円なのか、明確な根拠はありません。また、対象地域の選定には線量基準がなく、なぜこの地域なのかについても明確な根拠はありません。原子力ムラ出身の委員に気を使い、線量基準を設けず、実費賠償を放棄したところから、賠償の範囲についても額についても切れたたこのように根拠のないものになってしまいました。下記に問題点を列挙します。

・ 自主的避難者の中には、引っ越し費用、二重生活に伴う生活費の増大、交通費などにより、多大な経済的負担を負った方もいます。退職、転職を余儀なくされ、収入が大幅に減少した方、借金をかかえた方もいます。これらの避難費用や収入の減少や喪失、財産の減少などを積み上げると、今回の一律の賠償では不十分な場合が多くでてくるでしょう。

・ 今回決まった子ども・妊婦の支給額40万円は、月4万円の10ヶ月分に相当します。これに避難費用、精神的損害、付き添いの保護者の避難費用も含みます。それに対し、避難区域内からの避難者については、精神的損害だけで月10万円(中間指針では9月以降は月5万円に減額されることになっていましたが、実際には減額されていません)であり、避難費用は別途実費が請求できます。自主的避難の場合、子ども・妊婦以外ではさらに減額され、「事故の発生当初」に限定した一人総額8万円にしかすぎません。不公平感は否めません。

・ 賠償期間があまりに短すぎます。期間は今年12月までで、来年1月以降については再検討することになっていますが、状況に変化がないことは目に見えています。支払いが遅れれば、借金がかさみます。国や自治体の除染計画はおおむね2年間で立案されていますが、除染に2年かかる、すなわちそれまでには線量が十分さがらないということを考えれば、賠償期間は最低でも2年とし、それ以降も検討できるようにすべきです。

・ 子ども・妊婦以外の住民に対して、「事故の発生当初」しか賠償が認められないことは不合理です。子ども・妊婦への配慮は、賠償の範囲を狭めるために行うのではなく、基本的な賠償範囲に追加する際に検討されるべきです。

・ 賠償対象の地理的範囲が、県北・県中・いわき、相双となっていますが、宮城県丸森町などこの外側にも空間線量が高い地域が存在します。基本的には、日本の既存の法令での公衆被ばく限度などを参照しつつ、自主的避難に対して幅広く賠償を認めていくべきです。

■被ばくの不安・恐怖・危険回避のための避難の合理性を認めた意味

 一方で、追補は、被ばくへの恐怖と不安、その危険を回避しようと考えて行った避難はやむをえないものであるとし、その合理性をはじめて認めました。これは中間指針にもなかった記載です。さらに、対象区域外や記載された損害項目以外についても個別に賠償が認められることがあり得るとの記載があります。これにより、一律定額を超える費用請求や、線量が高いにもかかわらず対象外となった地域からの費用請求について、東電に対する個別請求により、精神的損害や、賃金の減少分などの派生的費用を含む、全面的な賠償を勝ち取る道を開くものとなっています。

 審査会の場で、実費を認めよと会場が騒然となったとき、能見会長は、指針はあくまで指針にすぎず、実費については東電に個別に賠償を求めることができる、となだめていました。原子力ムラ出身で、自主的避難者への賠償に最後まで抵抗していた田中委員が、追補決定後に個別賠償は不要だと捨て台詞をはくように述べていたのとは対照的でした。

 翌日、枝野経産大臣は、参議院決算委員会でこの問題についての加藤議員の質問に「具体的に生じている出費は当然対象になる。東電に速やかに支払うよう指示する」と答弁しました。さらに避難の影響による賃金減少など派生的な費用に関しても「実際に損害が生じている場合は、当然損害賠償の範囲になる」と明言しました。

 翌々日の復興特別委員会でも吉田議員の質問に、「今回は、定型的にある地域を決めて、ここにいらっしゃった方については、そういった個別の事情を、例えばこれだけ実費掛かったんですとかというような話がなくても、あるいは避難された方もされなかった方も全ての方一律にということで、もう無条件でお出しをしてくださいということを審査会で決めていただきました。当然のことながら、この地域の方が自主的に避難をしていれば、もう定型的にでもお金が出るということは、避難をされることについて相当因果関係があるということも逆に裏付けられています。したがって、個別に、このたくさんの実費が掛かっていらっしゃる方について賠償の対象にいたします。それから、この地域以外の方でも、相当因果関係があって自主的に避難をされている方の実費等については、これは当然賠償の対象になると思っておりますので、そうしたことができるだけ早くできるように、更に指導してまいりたいと思っております。」と述べています。
 復興特別委員会では、野田首相も、「本当に掛かった実費については、因果関係があれば認める、外れている地域であっても相当因果関係があれば認める、これが原則でございますので、それに基づいたきちっとした運用をすべきだと考えております。」と述べています。

 東電に個別請求しても、東電が支払いを渋る可能性があることから、このような答弁は非常に重要だと考えます。

■東電への個別請求で全面賠償を勝ちとろう!

 自主的避難者に対する賠償は認められました。しかし黙っていては、一律定額以上の賠償はされませんし、対象地域外では一銭も支払われません。全面賠償を得るためには個別請求が必要です。特に、白河や宮城県丸森町など、線量が比較的高いにもかかわらず対象区域から外れた区域からの避難者や残留者について、全面賠償を勝ち取ることができれば大きな意味を持つことになるでしょう。東電への個別請求により全面賠償を勝ち取ろう!

 さらに、不満をもつ方は多いとはいえ、一家4人で100万円近い額が、自主的避難者だけでなく、残留者にも支払われるわけですから、これをもって避難を躊躇している人が避難を決断するきっかけとなることが期待されます。
 福島市でも線量の高い渡利地区の住民が、行政が動かない状況に業を煮やし、私たちや国際環境NGO FoE Japanも協力しながら自主的な一時避難計画「わたり土湯ぽかぽかプロジェクト」を立ち上げようとしています。渡利地区から、線量が低い市内西部の土湯温泉の旅館へ、子どもたちを優先した一時避難を民間の寄付ベースで実現しようとするものですが、これも避難促進の一助となることを願っています。
 さらに、賠償の支払いをスムーズに実行させること、なにより、避難先の住宅の無償提供の根拠となっている災害救助法の適用を打ち切らせないことが重要な課題になってきます。

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