【198】《報告》「避難の権利」集会 in 東京:『自主的』避難問題のゆくえと『わたり土湯ぽかぽかプロジェクト』
1月22日(日)、東京都品川区の南部労政会館で、「避難の権利」集会 in 東京~『自主的』避難問題のゆくえと『わたり土湯ぽかぽかプロジェクト』~を開催しました。
この集会は次の2つの内容について2部構成で進められました.
①自主避難者への賠償を勝ち取った原子力損害賠償紛争審査会(以下、原賠審)を巡る運動の報告
②子供たちの一時避難を実現するために取り組まれている「わたり土湯ぽかぽかプロジェクト」について
集会には小雨まじりの寒空の下、約100名の方にお集まり頂き、内容の濃い集会となりました。以下、集会の概略を報告します。
■【第1部】原子力紛争審査会,自主避難者への賠償へ道筋を勝ち取る!
冒頭に、フクロウの会代表の阪上武さんが原賠審を巡る運動の経緯を報告しました。
原賠審で自主的避難者への賠償が「原子力村」の意向を強く受けて抹消されそうになっていましたが、公聴会での自主避難者の証言を要求するなど、自主避難された方々が全力で訴え続けた運動の成果として、12月6日に中間指針で自主避難者への賠償の道筋が勝ち取られました。
この指針には問題点もある一方、原賠審の能見会長の発言や枝野経産大臣の答弁で言明されているように、個別請求で全面賠償を勝ち取る道筋ができたと言えるとして、残留者についても、この補償金をもとに避難を実現できればと、今後の運動の課題を報告しました。
■実費補償の実現と対象区域外の避難者への補償を!
「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(サフラン)」の福田健治弁護士からは、法律家の視点から、今回の原賠審の指針について話して頂きました。まず、「自主的避難等対象区域」に白河、会津、宮城県南部が入っていないことなど、指針についていくつかの問題点を指摘。宮城県南部6市長や福島県原子力損害対策協議会、白河-会津地方原子力損害賠償対策本部が範囲の拡大を国に要請していることを紹介しました。そして、今後の課題は実費補償の実現と対象区域外の避難者への補償だとして、避難者が原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てすることを勧めました。東京では原発被災者弁護団も相談に乗ってくれるとのことでした。
■自主避難者からの切実な訴え「子どもを守れない国に未来はない!」
松本のり子さん(中学1年生の二女とともに郡山から川崎に避難)から自主避難者からのアピールを頂きました。
松本さんは、14日の福島原発の水素爆発後、東京の妹夫婦に当時小学6年だった娘さんを預けましたが、その後、中学校入学のため4月には呼び戻したそうです。しかしその後も、同僚の4歳の息子さんが鼻血を出すなどもあって不安が拭えず、ネットを通じて「子ども福島」に参加、自分の不安が当然のことであったことを確信されたそうです。その後、娘さんも鼻血を出すなど体調不良を訴え、娘さん自身が自主避難の意味を理解し、避難を決意したそうです。
「原陪審では皆で取り組んだたくさんの努力が実りましたが、東電は値上げと原発推進のみで何もしようとせず、国もそれを支え助けていることに怒りを感じる」、「弱者をはじめ、国民の幸せを無視して国の繁栄などあるとは思えない」との言葉での締めくくりは参加者の心を強く打つものでした。
■正しく知って正しく恐れていく心構えを持つことが大切
そのあと、「チェルノブイリ子ども基金/未来の福島こども基金」の向井雪子さんからお話を頂きました。これまで取り組んでこられたチェルノブイリでの子ども支援活動のご報告を頂き、的確な保養と検診による早期発見の重要性を訴えられました。
向井さんは、チェルノブイリ子ども基金が支援している、現地での子どもたちの短期保養の様子について、子どもたちが保養するサナトリウムのほか、子ども時代に甲状腺手術をした人とその家族に保養してもらう施設などを、多くの写真とともに紹介して頂きました。
そして、福島でも甲状腺がんが心配されるが、たとえ甲状腺に問題がみつかっても早期発見できれば対処できる、そうした心構えをもって取り組んでいこうと訴えました。
■【第2部】わたり土湯ぽかぽかプロジェクト始動!~渡利の子どもたちの一時避難を~
FoEの満田夏花さんからは、始動した「わたり土湯ぽかぽかプロジェクト」の報告がありました。
運動の始まりは子供たちに高線量の被ばくを強要する20mSv(ミリシーベルト)撤回運動への取り組みであったこと、5月27日には文科省が「1mSvを目指す」と言明し、形の上では運動の勝利を得たこと。一方で、福島市渡利地区には、年間20mSvを超える高線量地域が広がっており、多くの住民が説明会や要請行動・対政府交渉などを通じて詳細調査、子ども妊婦基準の設定、避難勧奨指定を求めたのにもかかわらず、行政は何ら有効な手立てをおこなわない態度であることが明らかにされました。
満田さんは、こうした状況を踏まえて始められた「ぽかぽかプロジェクト」について、その内容を紹介。電話が殺到するなど、高い関心が寄せられている状況が報告されました。お年玉を寄付してくれた3人の姉妹や、利益の一部を寄付してくれた会社などがあったこと、「人助けの寄付ではありません。これは国や東電への怒りの表現です」というメッセージを頂いたことなどが紹介されました。
最後の「『ぽかぽかプロジェクト』などの民間による支援は、子どもを守ろうとしない政府に対するメッセージであり、本来なら行政が行うべきことだと訴えていきたい」という発言はとても力強いものでした。
■除染期間だけでも子供たちを線量の低い場所に!
最後に、「セーブ渡利キッズ」の渡辺さんが、現地からの声を届けてくださいました。
事故後の必死の取り組みとともに、政府交渉に参加し現状を訴える中で「政府、役人は現地のことを分かろうとはしていないことが分かった」と語ってくださいました。そして、渡利には心配で避難したくてもできない人が多く、子どもを守るためにがんばることについては住民も一致しているとしたうえで、除染期間だけでも線量の低い場所で子どもが休むことができる「ぽかぽかプロジェクト」の意義は大きく興味のある方が多いとして、渡利で成功すればほかの場所のモデルになりうるのではないか、と「ぽかぽかプロジェクト」への期待を語ってくださいました。
最後に、FoEの満田さんから、「ぽかぽかプロジェクト」の近況報告がおこなわれ、全国から支援金が約600万円が集まっており、目標額1000万円に向けて引き続き協力を依頼したいとのアピールがありました。
「ぽかぽかプロジェクト」は試行錯誤しながらまだまだ継続中です.今後ともご支援をお願いします。「ぽかぽかプロジェクト」の詳細はこちら→「避難の権利」ブログ
なお、本集会は「国際環境NGO FoE Japan」「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」「福島の子供たちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」の各団体と共に開催しました。
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わたくしは福島の瓦れきを川崎で処理するのに賛成できません。
「震災で汚れた福島の瓦礫を、川崎市が処理するという話が出ています。
震災で苦しむ福島を少しでも助けようという川崎の人の心はとても良いと思います。
ただ、福島の瓦れきは放射性物質で汚染されている可能性が高く、それが川崎まで来るということに川崎とその周辺の人が不安を感じるのも当然のことと思い
ます。・・・・・・・・・
わたくしは福島の瓦れきを川崎で処理するのに賛成できません。たとえ、川崎が瓦礫の受け入れに当たって瓦れきの放射性物質を測定し、それが基準内であ
っても、わたくしは川崎に持ち込むのは問題と思います.通常では「規制値以下」の放射性物質を含む野菜を食べても良いのですが、現在のように身の回りに
放射性物質が多くあるときには、「可能な限り放射性物質に接しない」方が良いからです。つまり現在は、空間、内部、食品、水などからの被曝の「足し算」をせ
ざるを得ない時期です。川崎や横浜の放射性物質の量はなんとか安心できる範囲ですが、それにさらに放射性物質が加わるから問題なのです.
・・・・・・・・・
福島の瓦礫や土壌は放射性物質で汚れました。それは「福島原発という限られた場所に閉じ込められていたものが、福島県を含めて広く散らばった」というこ
とを意味しています.これからは、「散らばった放射性物質をできるだけ、福島原発の近くに集める」ことをしなければなりません.従って、福島のゴミなどは早く
原発の近くに放射線物質を回収できるフィルターのついた焼却炉を作って、そこでドンドン放射性物質を回収する必要があります。
そうしないと放射性物質が徐々に日本全体に拡がります.その第一歩を川崎がすることになり、同情は良いことですが、決して放射性物質を「拡がらせる」こと
になってはいけません。それは今、福島の人が苦しんでいることと同じ事なのです.」
こうウェッブでどうどうと語るのは、おなじみの中部の地域(どこでしょうね?)の著名教授 KT先生。
この方はその地域の帝国大学N大学を退職され、近くのCH大学の何とか研究所の副所長とか。
そのお肩書を見ると、帝国大学T大学卒、著名A化成会社勤め、同研究所長、私立大学S工業大学、そしてN大学。
その他に名のある学会の役員、政府の委員、団体の理事等、多数。
斯く斯くたるその実績: 論文・総説など約500編、学術発表約1200件、特許など約100件、著書50編。
専門は資源材料工学
そして、今もやっていること:
物理化学的手法を用いた原子力、材料、環境などの研究と、倫理、教養、安心などの研究。
「物理化学的手法を用いた原子力」
論文一つもないけれど、ああそうですか、ウラン濃縮ですね。
だから、内閣府原子力安全委員会専門委員をやっていました(ウ)。
「材料、環境などの研究」
確かに、論文に材料関係が多い。
「倫理、教養、安心などの研究」
倫理!!!、教養!!、安心!!!(ウ)
「わたくしは福島の瓦れきを川崎で処理するのに賛成できません。たとえ、川崎が瓦礫の受け入れに当たって瓦れきの放射性物質を測定し、それが基準内で
あっても、わたくしは川崎に持ち込むのは問題と思います」
なるほど、これがこの先生の「倫理」、「教養」、「安心」なのですね。つまり、”正義”なのです。
福島の港や村、町、市、住宅地、商業地、地域産業の復旧はどうでもよい訳ですね。
すべて瓦礫お断りという訳です。川崎の人間でもないのに。分かりました。
「福島の瓦礫や土壌は放射性物質で汚れました。それは「福島原発という限られた場所に閉じ込められていたものが、福島県を含めて広く散らばった」というこ
とを意味しています.これからは、「散らばった放射性物質をできるだけ、福島原発の近くに集める」ことをしなければなりません」.
だそうですよ。どうやって日本全国に広がった放射性物質を集めるのでしょうか?ご自分で、~研究所のお金でやってみて頂けませんか?
そもそも、その集める行為自体環境破壊以外の何物でもないのでは。これで環境を研究しているのだそうです!?
<違う。言外には、瓦礫を全部、自分の研究所に送ってくれという事のようです。研究専門が資源材料工学ですからね>
「川崎が瓦礫の受け入れに当たって瓦れきの放射性物質を測定し、それが基準内であっても、わたくしは川崎に持ち込むのは問題と思います」.
基準内でも問題????
「通常では「規制値以下」の放射性物質を含む野菜を食べても良いのですが、現在のように身の回りに放射性物質が多くあるときには、「可能な限り放射性物
質に接しない」方が良いからです」。
ええ、この人、被曝の事知っているのでしょうか。この人、放射線を一度も測ったことがないようですね。他のエッセイも無駄とは思いましたが、多数拝見しました。この人、原子核も、放射線も、全く知らないようです。まあ、斑~さんもあまり知らない方でしたが。
<この人、研究していたのは、ウラン濃縮だけですよ;他は、全く何にも知らない人です。第一、人間の事を全く知らないおバ~さん。
それで、原子力安全委員会専門委員ですから、ねー、そりゃー~~だ; これだから日本の原子力が駄目なのだ。とても信じられない>
「原発の近くに放射線物質を回収できるフィルターのついた焼却炉を作って、そこでドンドン放射性物質を回収する必要があります」。
フィルターのついた焼却炉?どうやってやるのですか?教えて下さいな?
そこで、俺が研究をしていたフィルターを使えば良い言いたいのでしょうか。
で、回収した放射性物質は?所属研究所で消滅してくれるのでしょうか?
こんな立派な人が、今、所長をやっている研究所とはどんな研究所なのでしょう?
こんな立派なな人が、今、教授をやっている大学とはどんな大学なのでしょう?
<この人を、広告塔にしつづけているのは、どんな大学・研究所?>
こんな立派な人が、教授をやっていた元帝国大学とはどんな大学なのでしょう?
こんな遠くの地から吠えているだけの人が、所長をやっていた会社やその研究所とはどんなものなのでしょう?
こんな人の論文等の賞を与えた団体学会、そして、それらの賞とは一体どんなものなのでしょう?
こんな立派な人が作った論文500編、学術発表1200件、これらは皆、資源ゴミのようですね。
そのままじゃ、環境破壊物以外の何物でもないような。ご自分でその瓦礫処理をしてほしいと思います。
投稿: わたくしは福島の瓦れきを川崎で処理するのに賛成できません。 | 2012/02/21 00:18
まったく何でもない瓦礫を放射性廃棄物だといって拒否するのは大変ひどい差別だと思います。
投稿: 新たな差別 | 2012/03/26 23:31