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2012/03/07

【205】尿検査結果で記者会見―宮城・岩手・千葉県など広い範囲でセシウム検出

食生活パターン等の改善で尿中セシウム量が顕著に改善した事例も

フクロウの会は3月7日11時から参院議員会館にて記者会見を行いました。

「福島・岩手・宮城・千葉県の子どもの尿検査結果について」と「福島・岩手・宮城県のハウスダストおよび灰の測定結果について」と題した2つの報告が行われ、その後、「フクロウの会」と「国際環境NGO FoE Japan」の連名で発出された福島県知事宛ての「県民健康調査に関する要請書」の内容説明が行われました。

内容について2回に分けて紹介します。

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「福島・岩手・宮城・千葉県の子どもの尿検査結果について(プレスリリース)」をダウンロード
「[資料1]福島・岩手・宮城・千葉県の子どもの尿検査結果」をダウンロード
「県民健康管理調査に関する要請書」をダウンロード

 

福島県知事宛ての要請書-要請項目

1.ホールボディーカウンターや尿検査について、県民全員が受検できるようにし、低線量被ばくによる影響を個別に把握し、被ばくを避けるための予防措置をとることができるようにしてください。

 

2.被ばくによる影響を、小児の甲状腺がんに限定せず、起こりうるあらゆる疾患について対処できるよう、検査項目や健康検診の項目を見直してください。

 

3.健康管理手帳を交付するなどし、どこでも、無償で医療が受けられるようにしてください。

 

4.被ばく線量の評価には、事故直後の放射能雲(プルーム)の影響やホコリの吸引、食物からの取り込みなど内部被ばくによる影響を含めてください。

 

5.県民健康管理調査の目的について、県民の「不安解消」ではなく、被ばくの低減と健康被害最少化のためとすること、低線量被ばくによる影響を重視し、影響があることを前提にした調査にしてください。

 

6.山下俊一氏をはじめ、低線量被ばくの影響を軽視する委員を県民健康管理調査に関わる委員から解任し、低線量被ばくの影響を重視する専門家と交代させてください。

 

7.県民健康管理調査の調査項目、調査手法の詳細を公開し、第三者のチェックを受け、また県民健康調査以外の調査についても積極的に受け入れてください。

 

8.福島県下での患者調査を継続して実施してください。

 

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プレスリリース
福島・岩手・宮城・千葉県の子どもの尿検査結果について(要約)

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1. 検査の目的
(1) 2011年5月、7月、9月の尿検査に引き続き、尿検査の対象者、地域を更に広げて実態を把握する。
(2) 昨年の一連の検査で高い測定結果が出た被験者のフォロー調査を行い生活パターンとの関連を把握する。

 

2. 検査対象

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3. 結論
(1) 福島第一原発から170~190Kmも離れた広い範囲でも内部被ばくが発生している。
(2) 新たな被検査者からも過去に検出されたものと同程度の尿中セシウム量が検出される。時間経過と共に減少しているとは言えない。
(3) 食生活パターン等の改善で尿中セシウム量は顕著に改善する。
(4) 十分な精度での内部被ばく調査を行うことで内部被ばく予防が図られる。
(5) 福島県の県民健康管理調査(先行尿検査)では測定限界が高すぎるため今回明らかになった内部被ばくは全て不検出(被ばくしていない)となってしまう。政府や自治体は子ども・妊婦を優先的に住民の内部被ばくを十分な精度で調査すべきである。

 

4. 検査方法
2011年12月28~31日、2912年1月28日~31日、2月13~15日に採尿(350~500ml)
仏ACROで高純度ゲルマニウム半導体によるガンマ・スペクトロ・メトリにてガンマ線解析

 

5. 検査結果のまとめ

(1) 検査対象者23名中15名の尿から放射性セシウムを検出した。検出レベルはセシウム134、137合わせて0.79~3.89Bq/Lである。このレベルは5月末(0.84~2.32Bq/L)、7月末(0.71~3.47 Bq/L)、9月末(0.84~4.64Bq/L)と比べても同程度のレベルである。
(2) 検出された被験者は福島県(福島市、伊達市、喜多方市)、宮城県(伊具郡、白石市、角田市)、岩手県(奥州市、一関市)、千葉県(柏市)在住である。これまで我々が調査した福島県、岩手県一関市だけでなく、より広い範囲での子どもたち(一部大人も含む)の内部被ばくが確認された。
(3) 前回(9月末)測定で最高値(セシウム134,137合計:4.64Bq/L)を示した一関市在住の子どもについてフォローアップ検査を行った。その結果3カ月後の検査で顕著な減少を示した(No.11参照;4.64⇒0.87Bq/L)であった。
(4) 7月末検査で最高値(セシウム134,137合計:3.47Bq/L)を示した被験者は9月末のフォローアップ検査結果で2.46Bq/L、1月末のフォローアップ検査で1.34Bq/L(前回から46%減、初回から61%減)と順調に減少した。

 

6. 分析

(1) 福島第一原発から遠方のより広い範囲でも内部被ばくが発生している。
今回の尿検査は福島第一原発から遠く離れた地域も含めて検査を行った。その結果、より広い範囲で内部被ばくが発生していることが明らかになった。それらの地域を特記すると、
・ 岩手県一関市、千葉県柏市など福島第一原発から170~190Kmも離れた地域。
・ 喜多方市など福島県内でも比較的空間線量が低いと言われている地域。
・ 宮城県南部(伊具郡、白石市、角田市)で福島県と隣接しており空間線量も高いにもかかわらず注目されていない地域。
これらの事実は、より広い範囲で詳細な内部被ばく調査が必要であることを示している。

 

(2) 新たな被検査者からも過去に検出されたものと同程度の尿中セシウム量が検出される。時間経過と共に減少しているとは言えない。
 
福島原発事故以降、既に1年が経過しようとしている。しかし我々の一連の調査からは依然として発生直後と同等なレベルで内部被ばくが発生している。

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(3) 食生活パターン等の改善で尿中セシウム量は顕著に改善する。
 7月末の最高値の被験者、9月末の最高値の被験者はそれぞれ、食生活パターン等の改善で尿中セシウム量が顕著に低下した。早期に全員の内部被ばく量を測定して内部被ばく低減の活動に結び付けることが必要である。

[4歳女子の例]
2011年7月頃まで特に気にせず祖母の畑でとれた野菜、椎茸、山菜などを食べていた。家で栽培した干しシイタケの測定では1,810Bq/Kgを検出した。(フクロウの会/ACRO測定)。

9月の検査以降、西日本産、北海道産などの野菜に切り替えた。

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 [17歳男子(運動部)の例]
7月検査前までは食材は特に産地を気にせずに購入していた。検査後、食材は産地を選んで買うようにした。飲用水は検査以前からミネラルウオーターだったが、検査後は調理用も含めてミネラルウオーターを使うようにした。

運動部員のため、練習で身体やジャージが土ぼこりで汚れる。帰宅後食事をしてから風呂へ入っていたが、検査後からは風呂に入ってから食事をするように変更した。

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(4) より広い範囲で十分な精度の内部被ばく調査を行うことで内部被ばく予防が図られる。
今回の調査結果を総合すると、内部被ばくのレベルは福島第一原発からの距離や空間線量レベルで推定することはできない。個人の食生活など生活パターンにより内部被ばくレベルが異なることが調査結果から読み取れる。
・ 柏市の4歳女児、一関市4歳女児、喜多方市36歳女性等・・地元産の野菜を多くとる。
・ 角田市、宮城県伊具郡など子どもの間での違い。
広い範囲で十分な精度の内部被ばく調査(WBC、尿検査など)を行うことにより生活パターンを改善し内部被ばく低減、防止に繋げることができる。
7月末検査で改善につながらなかった下記16歳男子の例も参考に上げる。
微増した1名を除く9名の児童は2回目測定時点では全て福島県外へ避難していた。

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