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2012/11/29

【FFーTV特集】福島県健康管理調査-密室で何が話し合われていたのか-削除された議事録から

【FFチャンネル特集】紹介

県民の健康よりも「安心」を優先 福島県健康管理調査
密室で何が話し合われていたのかー削除された議事録から

 

11月28日 FFチャンネル特集で放送した内容をプレゼン資料とともにウエブ上で紹介します。

FFチャンネル特集の録画はこちらから

音声・映像品質が悪いので採録画中です。

プレゼン資料はこちらから(ファイルが大きいので2つに分割してあります)

プレゼン資料(前半)をダウンロード

プレゼン資料(後半)をダウンロード

※以下の紹介文はプレゼン資料の補足説明です。番号はプレゼン資料のページと合わせてあります。プレゼン資料と合わせて読んでいただければ理解しやすいです。

 

1. 表紙

県民の健康よりも「安心」を優先 福島県健康管理調査
密室で何が話し合われていたのかー削除された議事録から

 

2. 「秘密会」の存在に続き議事録の一部が削除されていたことが明るみに

毎日新聞11月20日付け報道で、4月に公開された県民健康調査の検討会議事録(1-3回)の内容が大幅に削除されたものであることが報道されました。

その、削除された部分とは尿検査と内部被ばくをめぐった生々しい議論の部分であることが分かったのです。

 

3. 削除された部分はどのようなものだったのか。

第1回議事録をダウンロード

第2回議事録をダウンロード 

第3回議事録をダウンロード

議事録の削除された部分は黄色のマーカーで示した部分です。いかに大量の部分が削除されていたか、一目でわかります。

※黄色マーカー部(「議事メモ」から事務局修正案作成時2012.4に削除された部分)

※黄色コメント部(同上追記された部分)

※オレンジ色マーカー部(事務局修正案を検討委員に確認依頼する伺い時に削除された部分)

※オレンジ色コメント部(同上追記された部分)

しかもその内容をみると、内部被ばく調査と尿検査の取り扱いをめぐる生々しいやりとりの部分が大半です。

その他にも重要な部分が削除されていました。

 

4. 議事録の改変過程全ての開示にいたる流れ

議事録が大幅に削除されたことが判明したいきさつは以下の通りです。

(1) 4月3日に郡山の市民が1-3回の議事録の情報開示請求を行った。

(2) 4月17日に福島県は情報開示を行いそれをHPにも開示した。(実はこの公開議事録が内容が大幅に削除されたものでした)

(3) 10月3日に毎日新聞が「秘密会」の存在をスクープしました。

(4) これを受けて、4月に開示請求を行った市民が、1-3回の議事録にも問題ありとにらんで、議事録の作成から開示にいたる一連の事務手続き全ての開示請求を行ったのです。

(5) 私たちフクロウの会も福島県の「秘密会」調査委員会の報告を読み込んで、「秘密会」で尿検査の議論が行われた形跡があり、検討会でもうやむやにされた、と発表をしました。

(6) こうした動きに追い詰められた福島県は、なんと、4月に開示した議事録は手続き上間違っていたので、開示取り消しをすると通知してきたのです。

(7) 議事録開示の一連の手続きの開示請求により、福島県は「議事メモ」から正式議事録開示の一連の文書を開示せざるを得なくなりました。つまり、削除した部分を含めて、全て開示しなければならなくなったのです。

 

5. 議事録の開示請求をした市民から、そのいきさつと感想を聞きました

 - 略 - FFチャンネルの録画でご覧下さい。

 

6. 福島健康管理調査 密室で何が話し合われていたのか 削除された議事録の核心部分

削除された部分は、当局にとって都合の悪い部分です。ここには、内部被ばく検査と尿検査をめぐる委員間のなまなましいやり取りがありました。

 

7. 第2回 内部被ばく調査をめぐるやりとり

佐藤委員は福島県の健康福祉部長です。県民の健康や安全を考えているのではなく、とにかく「安心」を確保したい、との姿勢がはっきり出ています。

山下座長が「住民の1割をやらないと」と聞いているのは、福島県側から高汚染地域の住民からの要求が強く、1割程度はWBC検査をやらざるを得ないとの県側の意見を受けての発言です。

 

8. 第2回 内部被ばく調査をめぐるやりとり(続き)

西本氏が「カットオフ値」と言っているのは、それ以下では問題ないから測らない、という足切りの基準値のことです。

 

9. 第2回 内部被ばく調査をめぐるやりとり(続き)

明石委員は足切り値を決めれば、「一日何十人でもパカパカ行ける」と言っています。

WBCでの検査は大変なので、県民を安心させるためなら、適当に足切り値を決めれば良い、ただし県民を納得させる「合理的説明が大事」だというのです。

 

10. 第3回 内部被ばく調査をめぐるやりとり

第3回では、放医研の明石委員が109人の人を対象にWBCと尿検査で内部被ばく調査をした資料を提示しています(本プレゼンの13,14ページ参照)。

明石委員はここで、尿検査で尿中にセシウムがほとんど出なかったことについて、「感度の問題ではなく、検体が(尿の)1回量ですくないことによる」と言っています。

別の場所で尿のサンプル量は100ccであることを述べています。この量では、尿の検出限界が13ベクレル/Lと極めて高く(14ページ参照)、ほとんどの人が不検出(検出限界以下)となるのは当然のことです。

また、WBC検査を受けられない人に尿検査でスクリーニングとも言っていますが、これは前述の13ベクレル/Lの検出限界を前提としているでしょう。

これでは、効率は上がる(パカパカできる)でしょうが、本当に内部被ばくの実態を調べることになるのでしょうか。

 

11. 内部被ばく測定・尿検査をめぐる議事録改変の構図

福島県も山下俊一座長も、放医研・放影研の委員も内閣府の委員も、「県民の不安解消、100ミリシーベルトまでは影響なし、今回のレベルでは影響は出ない」という前提で議論をしています。

「安心」のためにカットオフ値(足切り値)を決めて、WBCや尿検査でパカパカ(効率よく)検査をすることを議論しているのです。

低線量被ばくの危険性を考え、将来にわたる県民の健康を考え、内部被ばくの実態をどうしたら測れるか・・・などという議論をしているのではないのです。

 

12. 内部被ばく測定・尿検査をめぐる議事録改変の構図(続き)

結局、WBC、尿検査で足切りする、たいしたことはないと立証する、そのために議論をしていると言えます。

県民の健康影響・精度の問題はそっちのけです。

 

13. WBCでの先行調査の結果

WBCの検出限界も320-570ベクレル/bodyと高めです。

 

14. 尿検査での先行調査の結果

尿検査は13ベクレル/Lと極めて高めです。

相関図としては意味をなさない(有効なデータが少ない)このグラフは、足切り値をいくらにしたらよいか、という関心から測定した、と解釈すれば良く理解できます。

 

17. 座長の山下俊一氏は福島県放射線健康リスクアドバイザーでもある。
-  県の意向を汲み取って、県と一体となり福島県立医大、放医研、放影研へ指示を出しリードしています。

 

18. 山下俊一氏は健康管理調査の基本的性格についてチェックを入れている。

2012/11/19

【討論集会ご案内】12・1ここが問題-原子力規制委員会-再稼働ありき?断層調査/防災指針/新安全基準の議論の行方

<拡散希望>--------------------------
【討論集会】ここが問題-原子力規制委員会

-再稼働ありき?断層調査/防災指針/新安全基準の議論の行方-
--------------------------------

原子力規制委員会・規制庁が発足して2ヶ月となります。人事問題もさることな
がら、実際に動き出すと、被災者や市民の意見を聞くこともなく、既存の規制ルー
ルにも従わず、再稼働の条件作りを急ピッチで行っています。

この間、私たち市民団体は4回にわたり、原子力規制委員会に対して、大飯原発
の活断層調査、防災指針、市民対応のあり方について、要請や署名を提出し、規
制庁交渉も実施しました。毎週の抗議行動も継続しています。

改正原子炉等規制法では、原子炉の設置・停止などの権限はすべて原子力規制委
員会が握ることになりますが(来年7月施行)「民意の届かない」5人の委員が
すべてを決め、再稼働に向けた動きが止まらない状況です。

そこで、原子力安全保安院のストレステスト意見聴取会で活躍された東京大学名
誉教授・井野博満さん(金属材料物性)をお迎えして、原子力規制委員会の議論
の最新情報を共有し、論点整理を行うための集会を開催することにしました。大
飯原発の活断層調査、防災指針、新安全基準についての議論のポイントを共有し、
討論します。お誘い合わせの上、振るってご参加ください。

日 時:12月1日(土)13:30~16:30
場 所:全水道会館(水道橋駅5分))
http://www.nijou.jp/page108.html
内 容(予定):
・新安全基準の議論、ここが問題/井野博満さん
・大飯原発活断層調査と防災指針/阪上武(フクロウの会)
・利益相反・身内がための「有識者」選定/杉原浩司(福島原発事故緊急会議)
・原子力規制委員会の役割と権限~原発を止めるのはだれ?/満田夏花(FoE
Japan)
・ディスカッション

参加費:600円
主 催:原子力規制委員会を監視する有志市民(以下の団体及び個人です)

福島老朽原発を考える会(フクロウの会)/原発を考える品川の女たち/国際環
境NGO FoE Japan/プルトニウムなんていらないよ!東京/再稼働反対!全国アク
ション/福島原発事故緊急会議/経産省前テントひろば

問合せ:090-8116-7155 阪上まで

【ぽかプロ】アロマテラピー講座やりました-秋のぽかぽかプロジェクト盛況

遅くなりましたが、11月10日に一泊でぽかプロに初参加してきました。報告です。
 

Photo                            晩秋の土湯峠
                         

 
鷲倉温泉さんに大人子ども合わせて75名もの方々が参加された日でアロマテラピー講座もさせていただきました。 
参加者の皆さんの到着時間がそれぞれ違うこと、子どもたちも保護者の方もいかにもお勉強というよりは、体験したい、癒されたいという方が多いと 判断し、香りのテスティングやハンドマッサージ、ルームスプレー作成、アロマのうがい水を体験してもらいました。

 

Dsc05264thumbnail2

子どもたちの反応が大変良く、嬉しそうにしている顔を見ていて私のほうが幸せな気分になってしまいました。同時になんとしても守られるべき子どもたちなのだという思いを新たにしました。

 

Dsc05273thumbnail2

福島では放射能に関する情報格差が広がっていることが指摘されていますがぽかプロの参加者の方々の中でもそれは確実にあり、情報から孤立してしまっている人たちをどうするのか、どうしていくべきなのかがこれからの活動に問われていると思いました。

 

ぽかぽかセミナーはやはり大変重要だと思いますし、今できる放射線防護の具体的な方法はすぐに避難や保養すら出来ない人たちに繰り返し提示して単にがっかりさせる真実だけを知らせるにとどまらないような工夫が必要と思いました。なかなか難しいところですが・・・。

 

さまざまな課題もありますが、やはりぽかプロはありがたいといってくださる方が多いですし、今後はもっと福島在住の方もスタッフ参加できるような工夫もされつつあり、プロジェクトは中長期的に続けられるべきと思いました。

一方、避難を計画する人たちももっと増えてくれればと、本当はこれが一番強く思うところです。

 長くなりましたが、福島市出身の私としましてはまたスタッフ参加したいと思っています。

3

                                    朝食風景

詳しい様子はこちらでもご覧になれます

【緊急院内集会】20日18時~渡辺満久さんを迎えて-大飯原発・即時停止を!手引きを守れ!

明日17時です!よろしくお願いします!

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【11・20緊急院内集会】
大飯原発の即時停止を~国は安全審査の「手引き」を守るべき
日時:2012年11月20日(火)17:00~18:30 ※16:45から通行証を配布します
場所:参議院議員会館講堂
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現在、原子力規制委員会のもとで、大飯原発の断層調査が進められています。

11月4日の有識者による評価会合では、座長役をつとめた島崎委員により
「12万~13万年前以降にズレが生じたことが確認された。活断層によるものだと
考えても矛盾はないが、地滑りだという指摘もあった」というまとめが行われま
した。第2回評価会合では、関西電力により、「地すべりということもありうる」
という主張が展開されましたが、活断層であるという指摘を否定する証拠は何も
指摘されませんでした。

国の「手引き」(※)に従えば、これは活断層とみなすべきですし、真上に非常
用取水路(耐震Sクラスの重要施設)が通っているため、大飯原発の運転はただ
ちに停止すべきです。原発の運転を継続したまま、調査に時間をかけることは、
本末転倒です。多くの人々の生命がかかっていることをまず、最優先に考えるべ
きです。

かねてより大飯原発の敷地内の活断層の問題に警鐘を鳴らしてきた渡辺満久・東
洋大教授を招いて、下記緊急院内集会を行います。ぜひ、ご参加ください。

◆日時:2012年11月20日(火)17:00~18:30 ※16:45から通行証を配布します
◆場所:参議院議員会館講堂 地図 (最寄駅:東京メトロ 永田町駅、国会議事
堂前駅)
◆内容(予定):
 ・大飯原発活断層調査について
 ・「手引き」の持つ法的な意味
 ゲスト・スピーカー:渡辺満久さん(東洋大学教授)
                      只野靖(弁護士)
◆資料代:500円
◆主催:福島老朽原発を考える会、原発を考える品川の女たち、FoE Japan
◆協力:グリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する会
◆問い合わせ先:
 国際環境NGO FoE Japan/tel: 03-6907-7217 fax: 03-6907-7219
 満田/090-6142-1807

※平成22年12月20日「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」
では、下記のように記されています。
1.3 耐震設計上考慮する活断層の認定
(1)耐震設計上考慮する活断層の認定については、調査結果の精度や信頼性を
考慮し安全側の判断を行うこと。・・・(略)
(2)後期更新世以降の累積的な地殻変動が否定できず、適切な地殻変動モデル
によっても、断層運動が原因であることが否定できない場合には、これらの原因
となる耐震設計上考慮する活断層を適切に想定すること

2012/11/15

【記者会見】依然として高濃度汚染が続く渡利・大波

除染の限界は明らか - 国と福島県は避難と除染の政策をみなおすべき

11月15日、フクロウの会と国際環境NGO FoE Japanは共同で記者会見を行いました。

記者会見資料(pdf)をダウンロード 

2012.11.19一部改訂しました。

以下に資料のテキストのみ貼り付けます。

 

1. 要旨
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、国際環境NGO FoE Japanは昨年6月以来、福島市内でも空間線量率が高い渡利、大波地域の放射能汚染状況を継続して監視している。
2012年10月14日に同地域の空間線量率測定と土壌分析を行った。昨年からの定期的な測定結果も踏まえて、現状分析と勧告を行う。

 

2. 結論
(1) 渡利・大波地区は依然として高線量率であり深刻な放射能汚染状況が継続している。
(2) 「除染」は計画どおり進んでいない。
(3) 「除染」の効果は極めて限定的である。
(4)  除染土仮置き場の管理状態は不十分、保管中や最終処分場への移動時に二次汚染を発生させる可能性がある。
(5) 国と福島県は「除染」効果の実態を検証し、避難・保養など被ばく防護策を再構築すべきである。
(6) きめ細かい定期的な測定・監視が必要である。

 

3.  今回の測定結果
3-1 依然として深刻な汚染が続く渡利地区
 渡利地域は福島県庁や福島駅から2キロ程度の場所にある住宅街である。図1に周辺の位置関係を示す。この地域の小学校通学路、住宅街の中の用水路、お寺の階段下などで継続的に監視を行っている。
 今回の測定でも、依然としてこの地区で高線量率の場所や高濃度の土壌汚染があることが発見された。渡利小学校通学路わきの側溝では1m高で0.7μSv/h、1cm高で1.3μSv/hであった。通学路の反対側、民家の雨水桝周辺で1.8μSv/h(1m高)、5.6μSv/h(1cm高)であった。
 薬師町住宅街を通る用水路中央部では4.4μSv/h(1m)、水路西側で3.7μSv/h、水路東側で3.5μSv/hであった。水路西側の土壌分析ではセシウム合計で515,000Bq/Kgと極めて高い濃度を検出した。水路わきのU氏宅の庭では1.4μSv/h(1m高)、薬師町のT氏宅の庭では1.1μSv/h(1m高)であった。表1に、渡利地域の測定結果を示す。
 これらの地域の土壌汚染や空間線量率のレベルはチェルノブイリ原発事故後のベラルーシの「特別規制ゾーン」に該当するレベルである。
 また、3.11福島原発事故後に決められた焼却灰や汚染土などの埋め立て使用可能基準は8,000Bq/kg以下である。渡利地区の住民は「特別規制ゾーン」に住んでいることになり、日本の基準でも埋め立て基準をはるかに超える土壌汚染の地域に住み続けていることになる。

 

3-2 大波地区も深刻な汚染が継続している
 大波地区は福島駅から10キロほどの距離であるが、里山に囲まれた畑や田んぼの中に住宅が点在する農村である。図―2に大波地区の位置を示す。
 この大波地区に住むS氏の住宅と田んぼの測定を行った。
 S氏は最近、旧宅の前に新宅を建てた。新宅の庭では0.7~0.8μSv/h(1m高)であった。S氏宅は2011年12月に除染を行った。その直後には庭で0.5~0.6μSv/h(1m)であったので、除染後、再び空間線量率が上昇している。旧宅の玄関の奥は山際近くであり1.0μSv/h(1m高)であった。表2にS氏宅の測定結果を示す。
S
氏の新宅の1階茶の間で0.2μSv/h(1m高)、2階部屋で0.3μSv/h(同)、2階ベランダで0.4μSv/h(1m高)であった。屋根は1.6μSv/h(1cm高)であり、2階の部屋が高線量率であるのは、屋根からの影響を受けていると推定できる。屋根も2011年12月の除染時に高圧洗浄を行っているが、セメント瓦の細かい穴に入り込んだセシウムは取ることができない。
 S氏の田んぼでは水たまりぎわで1.0μSv/h(1m高)であり、下の田んぼでは0.5μSv/h(1m高)であった。S氏の田は棚田になっており、山から引いた水を一番上の溜め池に溜め、それを下に流している。山全体を除染しない限り田んぼの線量率を下げることは困難である。田んぼの土は8,970Bq/kgであり、米の作付可能基準の5,000Bq/Kgをはるかに超えている。S氏は自宅の田んぼで獲れる米がうまいと自慢であったが、米作りはできないでいる。野菜も若夫婦や孫は食べないので作っていない。

 

3-3 雨によりセシウムを含んだ土砂が集中、堆積して高汚染状態が継続している。
 我々は、2011年6月以降、渡利、大波地区の空間線量率、土壌汚染について継続的に調査している。その結果からは、雨により周辺の山等からセシウムを含んだ土砂が集中、堆積して高濃度汚染の状態が継続している状況が分かる。以下のそのような状況を示す。

 

(1)小倉寺稲荷山
市小倉寺稲荷山は阿武隈川沿いの住宅地である。測定点は小高い位置にある、福泉寺の入り口階段下の側溝付近である。
 図3は同地点の空間線量率の推移である。2011年6月に1m高で2.2μSv/hであったものが、2011年9月には2.7μ/hまで上昇した。その後、2012年になっても1.6μ/Svから1.8μSv/hと高い水準で推移している。
 図4は同地点から採取した土壌のセシウム濃度(Cs-134,137合計)である。2011年に比べ、2012年になり高いレベルが持続している傾向を示している。
 空間線量率、土壌汚染状況からは、付近の小高い山から、雨による土砂の流入によりセシウムを含んだ土が堆積して高濃度が持続していることが推定できる。

 

(2) 渡利薬師町水路
 渡利薬師町の水路は住宅地の間を流れる水路であり、普段は乾燥しているが、雨が降ると付近の弁天山からの雨水が大量に流れる場所である。水路の底は普段は乾いており、以前は子どもが小学校への近道として通っていたこともある(図5参照)。
 図6はいずれも1m高での値である。水路は西側から東側に向かって水が流れる。水路中央部が一番高く、西側が続き、東側の順にレベルが低くなる。レベルは2.8~5.3μSv/hである。線量率は2011年9月に比べ上昇しそのレベルを維持している。
 土壌の放射能汚染レベルを図7に示す。2011年9月14日採取時点では307,000Bq/kgであったものが、今回2012年10月14日採取のものでは515,000Bq/Kgであり、明らかに放射能汚染レベルは上昇している。
弁天山からのセシウムを含んだ土砂が雨のたびに流れ込み、堆積していることがうかがわれる。このことは、水路の除染を実施しても、弁天山全体の除染を行わない限り線量率低下は見込まれず、実際上、除染による線量率低下は不可能であることを示している。

 

3-4 除染は計画通り進んでいない、除染の効果は限定的
 今回の測定およびヒアリングで、国や福島県、福島市が進めている除染は大幅に遅れており計画通り進んでいないこと、また、除染の効果は限定的であることが明らかとなった。

 

(1) 渡利地区では除染が大幅に遅れている
渡利地区では除染が大幅に遅れていることが明らかになった。渡利で除染が進んでいるのは一部の地区のみであり、今回ヒアリングした薬師町では、これから三者(福島市、除染業者、該当のお宅)打合せが行われて、そこで合意できれば除染が行われるということであった。最も問題であるのが、除染土置き場の問題である。渡利で除染が進んだ地区は実際には裏庭に穴を掘り、そこにコンテナ詰めした汚染土を埋め、上から土をかけブルーシートで覆うという状況である。図8,9にその状況を示す。
 裏庭に埋めるとはいえ、盛り土は裏庭全体を占めており実質的には裏庭は使えない状況である。敷地内にこのようなスペースが無い場合は除染は不可能である。

 

(2) 除染をしても再び線量が上がる実態がある
 大波地区は福島市内で最も早く除染が始まった。前述の大波地区のS氏宅は2011年12月に除染を行ない、0.5~0.6 μSv/hとなったが、10か月後の現時点では0.7~0.8μSv/hに上昇している(前述)。周辺の山や森全体を除染しなければ、再び雨などにより汚染した土砂が周辺に流れ込み線量が上がると推定される。

 

(3) 庭だけ除染しても周囲の影響を受け一定以下には下がらない
 図10は薬師町水路そばにあるU氏宅の庭の柿の木の下の空間線量率である。U氏は庭の線量率が極めて高いことに気づき、神戸大山内教授による測定結果データ(グラフ中の2011年9月14日のもの)を持って、福島市に除染するよう要求したが、市側からは何の動きもなかった。やむを得ずU氏は自主的に除染作業を行った。この結果1cm高での線量率は20μSv/hから1.8μSv/hまで低下した。しかし2012年10月の測定では1cm、50cm、1m高で、共に1.4μSv/hである。これは1.4μSv/hがこの周辺のバックグラウンドであることを意味する。したがって、庭の除染ではこれ以上の線量率低下は不可能であり、周辺全体を除染する以外に線量率低下の方法はなく、それは非常に困難である。

 

(4) 除染土仮置き場の保管状態も問題がある - 大波農村広場
 大波農村広場は2011年6月の測定では1m高で2.5μSv/hであった。今回、ここを訪れると、広場の周りに厚さ50cm程度のコンクリートの壁が築かれていた。裏手から回って広場の中へ入ると、そこは除染土の仮置き場となっていた(図11参照)。
 広場の真ん中での空間線量率は1m高で1.0μSv/hであった。除染土は1トンコンテナバッグに入れられてコンクリート壁際から、うず高く積み上げれていた。コンテナバック表面では、5.1~12.0μSv/hであった。仮置き場として囲まれているため、一般人が不用意に入る危険性はない。しかしコンテナバッグは上面が開放状態にあるものも散見され、将来、最終処分場へ移動する際には、開放部からのこぼれ、バッグの老朽化による破損なども考えられる。バッグ上面を覆うこともなく野ざらし状態である。乾燥して土ぼこりとなって周辺への二次汚染の可能性もある。管理状態は悪い。

 

4. まとめ
今回の調査結果からは下記のことが言える。

 

(1) 渡利・大波地区は依然として高線量率であり深刻な放射能汚染状況が継続している。
3-1,3-2で示したように、渡利地区、大波地区は事故から1年8カ月経過した今でも深刻な汚染状況にある。渡利、大波地区はチェルノブイリ後のベラルーシやウクライナの「避難の権利ゾーン」乃至「特別規制ゾーン」」にあたる汚染状況である。大波地区は農村であるが耕作ができない状況である。

 

(2) 「除染」は計画どおり進んでいない。
政府、福島市は昨年10月の地域住民への説明会において、「先ず除染を」と強調した。それから1年以上経つが、特に、渡利地域では、未だ除染が行われていない地域がほとんどである。
薬師町内の水路で最高4.4μSv/h(1m高)、水路底の土壌の放射性セシウム濃度は515,000ベクレル/kgである。T氏宅の庭の土壌は115,000Bq/kgである。このような高汚染状況の中で、住民は除染の順番待をしている状況である。
 

(3) 「除染」の効果は極めて限定的である。
放射性物質汚染対処特措法で国が定めた「汚染状況重点調査地域」の基準は0.23μSv/hである。過去の渡利地区の除染モデル事業でも、今回測定した大波のS氏宅でも、「除染」実施後この基準をクリアしていない。
「除染」を先行した大波地域では「除染」直後に比べ、再び空間線量率が上昇している例もある。広大な山や森林を全面的に除染しないかぎり効果は得られない。
渡利地区もすぐそばに弁天山を抱えており、そこからの流入、堆積による高濃度汚染の状況を考慮すれば、除染を行ってもすぐに、再び線量率が上がることは必至である。

 

(4) 除染土仮置き場の管理状態は不十分、保管中や最終処分場への移動時に二次汚染を発生させる可能性がある。
大波地区の除染土仮置き場では、コンクリート壁の内側に大量のコンテナバッグに詰められた除染土が山積みになっていた。コンテナバッグ上部は開放状態であり、土ぼこりによる飛散など二次汚染の可能性がある。早急に改善すべきである。

 

(5) 国と福島県は「除染」効果の実態を検証し、避難・保養など被ばく防護策を再構築すべきである。
上記を総合すると、国、福島県、福島市が進めるとしてきた「除染」は効果が出ていない。早急に「除染」実態を検証し、学校単位での子どもの避難、保養など、被ばく防護策を再構築すべきである。

 

(6) きめ細かい定期的な測定・監視が必要である。
渡利、大波では、いたるところに高線量率の地点、高濃度汚染土壌が存在することが明らかとなった。福島県内や周辺地域も含め、住民生活に即してきめ細かく空間線量率測定、土壌分析を行うべきである。また、定期的に継続して監視しデータを市民に公開すべきである。

 

以上

 

[参考]今回の測定に使用した機器
(1)NaIシンチレーションサーベイメーター
日立アロカ製 TCS171B
(2)NaIスクリーニングシステム
ベラルーシ ATOMTEX社製 AT1320A

 

 

 

 

 

2012/11/08

【声明】大飯原発敷地内の活断層を否定する証拠なし

2012年11月7日
共同声明

大飯原発敷地内の活断層を否定する証拠なし
本日の評価会合で結論の先送は許されません
運転を継続したまま調査に時間をかけるのは本末転

大飯原発3・4号機は即時停止を

 

本日(11月7日)の大飯断層調査団の第2回評価会合では、前回(11月4日)会合で確認された、12万~13万年前以降にズレが生じ、その原因が活断層によるものだという判断を否定する証拠は何もありませんでした。本来であれば、活断層であることを否定する証拠がなければ活断層と結論づけるべきであるのに、本日の評価会合で、結論を先送りにしたことは、徒に国民の安全を危険にさらすものです。

 

このように、本日の会合でも、国の「手引き」(注)に従えば、F-6は活断層であるとみなすべきことは明らかです。F-6活断層の真上に非常用取水路(耐震Sクラスの重要施設)が通っており、よって「手引き」に従えば、大飯原発の運転はただちに停止すべきです。

 

島崎委員は、今後、台場浜と旧トレンチ南側の大規模なトレンチ調査を実施するとしましたが、調査を続ける場合にも、運転を停止して行うべきです。「安全性の確認のためには、更なる調査が必要」と述べていますが、そうであればなおさら、運転を停止して抜本的調査をやるべきです。

 

原発の運転を継続したまま、調査に時間をかけることは、本末転倒です。多くの人々の生命がかかっていることをまず、最優先に考えるべきです。

 

私たちは、今後とも全国の人々とともに、大飯原発3・4号の運転停止に向けて今後一層活動を強めていきます。

(注)平成22年12月20日「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」

 

グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan

2012/11/05

【緊急55時間署名】大飯原発直下に活断層の結論!大飯原発を直ちに停止を!

みなさまへ 拡散希望

フクロウの会の阪上です

本日の大飯原発断層調査団の評価会合において、渡辺教授が、原発直下に活断層
があると断言。地滑りだと主張する委員もいましたが、原子力規制委島崎委員の
結論は、「12万~13万年前以降に動いたことが確認さた。ズレの原因は、活
断層によると考えても矛盾はないが、地滑りの可能性もある」というものです。
活断層の可能性は否定できず、「手引き」に従えば活断層とみなすべきであり、
大飯原発は直ちに停止すべきです。

ところが規制委員会は、今日結論を出すことをせず、7日に関電の言い分を聞く
としています。そのような会合は無用です。直ちに停止すべきです。

そこで、大飯原発の即時停止を求める緊急55時間オンライン署名を行うことに
しました。7日水曜日の会合の前に提出したいと思います。締め切りは水曜日朝
6時です。55時間です。拡散等よろしくお願いいたします!

署名フォームは以下から入れます!今すぐクリックしてください!

オンライン署名フォーム→ https://fs222.formasp.jp/k282/form2/

補助フォーム→ https://pro.form-mailer.jp/fms/45b5497a35338


★緊急55時間署名★大飯原発の即時停止を求める緊急署名

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/55-0f57.html

11月4日の大飯断層調査団の評価会合において、渡辺満久・東洋大教授は、大
飯原発の重要施設を横切る活断層が存在すると明言しました。規制委員会の島崎
邦彦委員は、「12万~13万年前以降に動いたことが確認さた。ズレの原因は、
活断層によると考えても矛盾はないが、地滑りの可能性もある」と議論をまとめ
ました。

今日の議論のまとめによって、これまで関電と国が繰り返してきた「12~13
万年前以降に動いていない」ため活断層ではないという主張は、根底から覆りま
した。関電と国の責任が厳しく問われなければなりません。

「断層活動によると否定できない限り」活断層と認めるべきという国の「手引き」
に従えば、F-6及び指摘された破砕帯は活断層だと判断すべきです。
さらに、その直上には、大飯原発の重要施設(非常用取水路)があるため、原発
の運転は認められません。

福井県民をはじめ多くの人々の命がかかっています。結論を引き延ばすのではな
く、大飯原発を直ちに停止することを要求します。

要求項目

一.大飯原発3・4号の運転を直ちに止めること

宛先は、原子力規制委員会、経済産業大臣、関西電力です。

★締切 11月7日(水)朝6:00★

呼びかけ団体:
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan

★問い合わせ先:
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
阪上 武
携帯:090-8116-7155

★オンライン署名集約先:
国際環境NGO FoE Japan
東京都豊島区池袋3-30-22-203 TEL 03-6907-7217 FAX 03-6907-7219
E-mail:
finance@foejapan.org

2012/11/01

福島18日・東京22日【講演会】チェルノブイリから学ぶ~ウクライナの子どもたちは今

★22日東京は時間変更17:30-19:00★

チェルノブイリから学ぶ~ウクライナの子どもたちは今~

チェルノブイリ事故後、甲状腺疾患、白内障、白血病、心臓や血管の疾患など、子どもたちの疾患が増加し、現場の医師たちから、警告の声が発せられました。しかし、IAEAなどの国際機関は、「放射線の影響と疾患との因果関係が証明できない」とし、小児甲状腺がんなど限られた疾患を認めたのみでした。

事故後、25年後、ウクライナ政府がチェルノブイリ原発事故の影響に関する報告書をまとめました。それによれば、事故後生まれ、汚染地域で育った子どもたちの78%に慢性疾患が認められるとしています。

ウクライナ北部のまち、コロステンでは、年0.5~5mSv程度の汚染レベルですが、それでも、通常の学校の体育の授業に加われない子どもがほとんどといった状況です。

先般放映されたNHKのETV特集「シリーズ・チェルノブイリ原発事故「第2回 ウ
クライナは訴える」 はこうした実態を、現場の医師たちの証言、子どもたちへの
インタビュー、国際機関への取材を交えてリアルに描いています。監修を行った
「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークの吉田由布子さんをお招き
し、お話しいただきます。是非お越し下さい。

■福島■11月18日(日)14:00~16:30
 チェンバ大町3F多目的ホール(福島市大町4-15)http://goo.gl/SpLfE
 吉田由布子さん(チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)他
 参加費:無料 申し込み不要

■東京■11月22日(木)18:00~19:50
 参議院議員会館B107(17:30よりロビーにて通行証を配布します)
 吉田由布子さん(チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)他
 参加費:700円 申し込み不要

主催:福島ぽかぽかプロジェクト/福島老朽原発を考える会/FoE Japan
問合せ:満田(みつた)/FoE Japan (090-6142-1807)

【デモ】11/11大占拠連動…大間原発大間違い!銀座でアピール

11月11日(日)は反原発1000000人大占拠(主催:反原発首都圏連合)ですね。我らが原子力規制委員会監視チームは、銀座から国会を目指します。

15時に東銀座の電源開発本社前に集合、大間原発の建設断念を求めてアピール行動を行い、その後、銀座をねり歩き、原子力規制委員会の再稼働に向けた動きを止めようと訴えながら国会正門前集会に合流します。

プラカード・鳴り物大歓迎です!是非ご参加ください!

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■大間原発大間違い!銀座でアピール■
 11月11日(日)15:00~16:00
 
電源開発本社前(地下鉄東銀座駅4番出口)
 終了後、訴えながら銀座を歩き、国会正門前集会に合流
 主催:原子力規制委員会を監視する有志市民

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原子力規制委員会を監視する有志市民(以下の団体及び個人です)
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)/原発を考える品川の女たち/国際環境NGO FoE Japan/プルトニウムなんていらないよ!東京/再稼働反対!全国アクション/福島原発事故緊急会議/経産省前テントひろば

問合せ:090-8116-7155(フクロウの会:阪上)

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