【FFチャンネル報告】ハウスダスト調査-ホコリの吸入も要注意
12月21日のFFチャンネル「これでいいのか?原発事故被災者の健康管理」で放送したハウスダスト調査の報告について、資料に簡単な解説を付けて紹介します。
FFチャンネル録画はこちらから見られます。
(※ハウスダスト調査報告は48分ぐらいから始まります)
プレゼン資料はこちらからダウンロードできます。
測定結果の詳細一覧表はこちらからダウンロードできます。
1年前との比較グラフはこちらからダウンロードできます。
「ハウスダスト調査の報告」 フクロウの会・放射能測定プロジェクト
2012年12月21日
2012年11月に実施したハウスダスト調査の報告です。先ずハウスダストの汚染状況のお話をして、その後に尿検査結果で気になるデータの紹介をしたいと思います。
調査目的:
●家庭の屋内のホコリ(掃除機で集めたゴミ) の放射能分析を行うことで、屋内の放射能 汚染実態を明らかにする。
●継続調査をすることでその変化の実態を 把握する。
対象:
● 昨年(2011年)11月に実施した10軒(地域)のお宅の継続調査。
● 新たに、9軒で調査。
ハウスダスト調査結果
今回調査した19件のデータを汚染濃度の高い順に並べたものがこちらです。
(資料3,4p参照)
10月に福島市渡利地域の土壌汚染調査をしましたが、今回のホコリの調査でも渡利地域の汚染は深刻だということが分かります。
その他気になるのは、福島県の各市とならんで千葉県柏市のホコリもかなり高い点です。また、静岡県伊東市でも検出されており、かなり広い範囲で汚染が広がっていることが分かります。比較のため調査した大阪の2か所では検出限界以下でした。
継続調査で分かった点
(資料5p参照)
●昨年に比べ上昇した家がある。⇒ 昨年11月まで窓は閉め切った生活をしていた。昨年11月以降、親子は避難し、祖母一人の生活のため、以前のように窓を開ける生活。
●昨年に比べ大幅に下降(1/10程度)した家がある。⇒ 今年(2012年)8月に子どもの通う学校の校庭の土の入れ替え実施。子どもはサッカーをやるが、校庭の土ほこりの持込みが大幅に減った。
ハウスダスト調査 まとめ
屋内のホコリは
(1) 窓などからの土ほこりの侵入。
(2) 衣服・頭髪・靴底などからの持込み
がある。
屋内のホコリは人の生活のごく近くに存在する。こまめな掃除、持ちこまない入れない注意が大事。
気になるデータ 尿検査での新たな情報
(資料8p)参照
運動部の高校生のデータです。下がり方が遅かったのが気になり合計6回の検査を行いました。10月末にようやく検出限界以下(セシウム134,137各0.35Bq/Kg)に下がりました。
母親に10月末に一挙に下がった点について尋ねたところ、「5月連休以降、部活を引退して土埃を吸い込まなくなった点しか思い当たらない」との答えでした。
吸入による体内摂取は経口より危険
(資料9p参照)
放射性核種にもよりますが、経口摂取と吸入摂取を比較すると吸入摂取の方が被ばくリスクが高いというデータがあります。
図で紹介したものは「原子力安全研究協会(公益財団法人)「緊急被ばく医療ポケットブック内部被ばくに関する線量換算係数」からの抜粋です。
この資料の原典はICRPであり、被ばくリスク評価(シーベルト換算係数に)過小評価がある可能性がありますが。しかし注目したいのは「経口摂取」と「吸入摂取」の比較です。
この表で見ますと、セシウム137は経口摂取に比べ吸入摂取は3倍程度被ばく量が高いことになります。
放医研で開発したMONDAL-3というシミュレーションソフトで尿への排泄率のデータで見ても、吸入摂取による排泄は経口摂取による排泄率の約1/10であり、このことからも、吸入の場合は経口摂取よりも排泄しにくいということを示しています。
ホコリの吸入による取り込みには十分注意が必要です。
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コメント
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ハウスダスト調査!
やっとここでもPM2.5の調査、はじめたのですか?
たしかに相当に危険そうで、九州はもちろん、福島その他でも深刻なので。
でも、確か放射線検出器では測れませんよね。どうしているのでしょうか?
http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031201001183.html
黄砂飛来日は救急搬送増加 環境研が長崎市のデータ分析
2013年3月8日、黄砂が観測された福岡市の上空。手前中央はヤフオクドーム
中国大陸から飛来する黄砂の濃度が高い日は、病気による救急搬送の数が増えるとの研究結果を、国立環境研究所(茨城県つくば市)の上田佳代主任研究員らがまとめたことが12日、分かった。「黄砂とともに飛んでくる大気汚染物質が影響している可能性がある」と説明している。
大気汚染物質には微小粒子状物質「PM2・5」も含まれる。肺の奥深くまで入りやすいことから、ぜんそくや気管支炎、肺がんのリスクを高める懸念がある。
医師でもある上田研究員らは、救急搬送の充実したデータが残る長崎市を例に調査。けがや妊婦を除き、2003~07年の3~5月の成人の搬送約9千件を分析した。
2014/03/12 09:30 【共同通信】
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/29419/1/frepkousa1.pdf
福岡市黄砂影響検討委員会報告書
・・・平成 23 年 8 月に「福岡市黄砂影響検討委員会」(以下、「委員会」という。)を設置して検討. を重ね、平成24年3月に健康及び生活への影響について評価基準及び行動指針を設定するとともに、. 黄砂の飛来予測情報の提供を開始した。・・・
投稿: ハウスダスト調査: やっとPM2.5の調査? | 2014/03/12 20:21