【規制庁交渉報告】6・21大飯再稼働をめぐる規制庁交渉報告
6・21大飯再稼働問題について規制庁交渉報告
美浜の会メール・ニュースより転載。
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6月21日規制庁交渉報告
http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/nsr_negrep20130621.pdf
◇大飯原発は新基準に適合していないことを認めながら
7月8日新基準施行後の運転継続の法的根拠は示せず
◇関電の制御棒挿入時間評価(活断層の2連動で1.88秒、3連動で1.83秒)
「評価手法が変わってないことを確認しただけ。
関電が資料を出していないので、妥当性は評価していない」(規制庁)
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皆さまへ
6月21日参議院議員会館で、「大飯原発は新基準に適合していない!直ちに停
止を!」の規制庁交渉を行いました。主催は、グリーン・アクション/美浜の会
/大飯原発止めよう裁判の会/原子力規制を監視する市民の会の4団体です。
緊急ネット署名は2日間で5,535筆にもなりました!ありがとうございます。
それと、「もう待てません!ただちに運転停止を!」の署名で、
後に送られてきた2,023筆も提出しました(合計16,620筆)。
交渉の冒頭に提出しました。
交渉は1時間半の予定でしたが、2時間20分ほどにもなりました。規制庁から
は、地震・津波担当の江藤氏、PWR担当の布田氏、防災担当の新保氏など5名
が出席。超多忙な福島みずほ議員も一部参加され、「大飯は新基準に適合してい
ない。すぐ止めるべき」と熱く迫られました。市民は、関西、首都圏から約50
名ほどの参加でした。
とにかく規制庁の態度はひどいものでした。大飯が新基準に適合していないことは、規制庁が20日に出した評価書案でも明記されています。
それにもかかわらず、結論部分(44頁)では、「直ちに安全上重大な問題が生
じるものではない」としています。
規制庁の評価書案
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_genjyou/data/0013_01.pdf
◆新基準に適合していないのに、7月8日の新基準施行以降、大飯の運転が許さ
れる法的根拠はあるのか!これには、一切答えることができませんでした。違法
状態ということです。
◆また規制委員会自らが決めていた、免震事務棟や防潮堤の完成等の原則につい
ても、なし崩しにしようとしています。
他の原発の審査でも要注意です。
福島原発事故の教訓はどこにいったのか!とみんな怒り心頭でした。
大飯の最後の評価会合は、24日(月)10:00~12:00です。ここで評価をまとめ
て、26日の規制委員会の本会合で、9月までの運転継続を正式に了承しようとし
ています。
☆緊急署名の最終締め切りは、25日(火)22時です。
引き続き、よろしくお願いします。
ネット署名はこちらから(パソコン) http://goo.gl/bqUV9
携帯からは http://fs220.xbit.jp/n362/form1/index.cgi
紙版署名 http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/signature20130618.pdf
下記に交渉のいくつかのポイントを紹介します。重要問題ばかりです。
◆免震事務棟について
「緊急対策所としての機能喪失がなければよく、必ずしも免震でなくてもいい」
大飯の場合、1・2号の運転停止と引き替えに、1・2号の中央制御室横の会
議室を免震事務棟完成まで代替施設にすることで問題なしとしています。
会議室はもちろん免震構造ではありません。
大飯3・4号が地震や津波でやられても、隣の1・2号は健全だというのが前
提です。福島原発事故の実態をどうみているのでしょうか。
◆基準津波はまだ確定していないが、ただちに、防潮堤が完成していなくてもいい。
新基準では、基準津波の高さを決めなければなりません。関電の設定があまり
に低く(2.85m)、福井県の試算(6m以上)を考慮して、さらに地すべり
による影響等を組み合わせて基準津波を策定することを規制委員会は求めていま
す。しかし、まだ基準津波は策定されていません。一部の機器では津波の被害が
懸念されると言いながら、それでも、防潮堤が完成していなくても、今回はOK
だと。
◆大飯の敷地内破砕帯について
「今回は、時間が限られていたので、評価の対象外にした」。
時間が限られている云々は、本末転倒です。他の問題でも関電は資料を出すの
を遅くしたりしていましたが、
時間切れで判断できないのであれば、基準適合性を判断できないから、運転は認
められないとすべきです。これまでどおりスケジュール優先です。
また、本審査でも、「審査が完了するまでに破砕帯の結論が出ればいい」と、
はじめは驚く回答でした。交渉の中で、「破砕帯調査が完了しなければ、審査に
は入れない」という、これまでの原則を認めました。
下記 3月19日規制庁資料。最初の囲みの中、下から3つめの●印に明記
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h24fy/data/0033_13.pdf
◆基準地震動問題について
3連動を基本として基準地震動を策定させるのが基本姿勢だとは認めました。
しかし、20日の規制委員会評価案には「基準地震動」という言葉はなく、「3
連動地震動」としか書かれていません。関電は「評価用地震動」という言葉です。
それでも、「基準地震動という意味で使っている」というのが回答でした。しか
し、評価書案によれば、3連動の基準地震動は認めていないと推察されます。
「最終の評価書はまだこれからなので」とも言っていました。基準地震動を策定
することは、新基準(旧基準でもそうですが)の出発点です。それによって機器
の耐震性を確認するのですから。基準地震動であるかぎり、包絡線を引いて決め
るべきだと、当方は繰り返し強く主張しました。
「地下の地盤・地質構造について関電の調査は不十分」。これは新基準を満たし
ていないと認めました。
関電は、もんじゅの敷地の資料を使って、大飯に置き換えているのです。当然です。
詳細な検討を求めており、その結果によって、地震動評価も変わると認めました。
◆地震動評価での「不確かさ」の重ね合わせについて
「複数の『不確かさ』を重ね合わせることは考えない」、「重ね合わせをどうす
るのか、ルールはない」
今回の大飯の地震動評価では、従来の断層上端深さ4kmで、「不確かさ」として、
短周期の揺れを1.5倍にすることしかやっていません。
島崎委員は、断層上端深さ3kmを基本ケースとして安全側に判断することを求め
ていました。これに、短周期の揺れを1.5倍にして、厳しい評価をやるべきだ
と求めましたが、それはしないとのこと。「不確かさ」が2重(断層上端深さと
短周期)になるからだと。
このやり方は、福島原発事故前と何も変わっていません。最も厳しい条件で地震
動を策定させなければなりません。そうすれば、関電のいう3連動で760ガル
を大きく上回り、耐震評価も根本からやり直しになります。
◆制御棒挿入時間について
関電は、制御棒挿入時間について、活断層の2連動の場合は1.88秒、3連
動になるとさらに早く挿入できる(1.83秒)としています。これについては、
「評価手法が以前と変わっていないことを確認しているが、関電から資料を示さ
れていない」とのことでした。そのため、具体的な審査をしておらず、妥当性は
評価していないということを確認しました。これでOKとしているわけです。他
方、地震動評価が変われば、制御棒関係の評価も影響を受けることは認めました。
7月8日以降の本審査では、資料を出させると言っていました。資料が出ても、
専門家ではない規制庁職員がチェックできるのかという問題もあります。JNE
Sにやらせるようですが、批判的専門家がチェックする必要があります。
◆新基準を満たしていないのに、運転継続できる法的根拠はない
以上のように、大飯が新基準を満たしていないことは規制庁も認めています。
それでも7月8日以降、運転継続できる法的根拠はあるのか!と問いました。こ
れには一切答えることはできませんでした。違法状態そのものです。
◆最後に防災問題について
田中委員長が、地域防災計画ができていることが再稼働の前提だと何度も話し
ています。
これについて、規制庁の担当者は「委員長がそのように話していることは理解し
ている。しかし、法的には防災計画の策定と再稼働はリンクされていない」と繰
り返しました。これもひどい発言です。
「法的に」を繰り返すため、参加者から、「それでは、法的に根拠のない大飯の
運転継続はおかしいではないか」と問われると、これには答えられません。
最後に、地元はもとより、周辺住民・自治体に対して、大飯の評価結果について
説明し、住民の声を聞くよう求めました。
電力会社と行っている「ヒアリング」を全面公開すること等々、いくつか要求・
宿題をだして終えました。
☆交渉の内容を広めてください。地元や周辺自治体にも伝えましょう。
新基準に適合していない大飯原発を止めるよう、声を強めていきましょう。
2013年6月22日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階
TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
http://www.jca.apc.org/mihama/ mihama@jca.apc.org
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