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2015/01/21

環境省福島原発事故に伴う健康管理パブリックコメント

福島原発事故に伴う住民の健康管理に関して、環境省の専門家会議が「中間とりまとめ」を発表しました。これにもとづき、環境省は「当面の施策」をとりまとめ、1月21日までパブリック・コメントにかけています。
http://www.env.go.jp/press/100098.html
甲状腺検査について以下の意見を提出しました。
 
******************************
 
該当箇所:(3)福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の充実
 
意見内容:
 
甲状腺検査については、原発事故子ども・被災者支援法に則り、健康被害の未然防止の観点から、被災した住民等の生涯に渡る健康管理を第一の目的として継続すること
 
福島県の県民健康調査の「先行検査」や2巡目の検査で明らかになった子どもの甲状腺がんの深刻な実態を踏まえ、福島県外の汚染状況重点調査地域を含む地域においても、国の責任において実施するとともに、県内外を含め、受診率を向上させるための措置を講ずること。
 
意見理由:
 
「先行検査」で見つかった甲状腺がん手術事例54例のうち、術後病理診断で、甲状腺外浸潤が37%(20例)に認められ、リンパ節転移は74%(40例)が陽性であった。また、12月25日に開催された「県民健康調査」検討委員会において、2巡目の検査において、「先行検査」ではA1ないしはA2判定であった子ども4人に甲状腺がんの疑いがあるとの発表があった。
 
2巡目の4人については、放射線の影響による可能性があり、先行検査で発見された甲状腺がんについても、転移率が高く、チェルノブイリで見つかっている小児甲状腺がんと同様の傾向を示しており、4~5年後以降に多発したとされるチェルノブイリにおける小児甲状腺がんと同様な事例が、詳細な検査により先行して見出されている可能性が否定できない。 検診の拡大と受診率を向上させることは、被災した子どもたちの健康を守るためにも急務である。
 
これまでの手術事例で、確定診断において良性であったことが判明したのは1例のみであり、専門家会議において、福島県立医大の委員から「高リスクの条件にあったものだけ手術している」と説明があったことからも、過剰診断、過剰診療の指摘は当たらない。
 
偽陽性について、検査結果が出るまでの不安等の指摘があるが、専門家会議で指摘があったように、受診者に対する説明が不十分であるなど、検査のやり方からくる問題である。
 
そもそも、住民の不安の原因は、健診を行うからではなく、原発事故による放射線被ばくによるものである。被ばくとそれによる不安が現にあり、福島県外においても、住民や自治体から受診の希望が出ている状況において、原発事故の責任の一端を担う国が、これを支援するのは当然のことである。
 
中間取りまとめは、「放射性ヨウ素による被ばくについては、福島県内よりも福島近隣県の方が多かったということを積極的に示唆するデータは認められていない」としているが、東京都内の水道水から放射性ヨウ素が検出されたように、放射性ヨウ素を含むプルームが県境を越えて拡散したことは明らかである。
 
放射性ヨウ素による被ばくの状況が正確に評価されていないことを前提にすれば、健診の範囲については、一般公衆の線量限度であり、除染の目標値である年1ミリシーベルトを目安にし、環境省が定めた汚染状況重点調査地域を含めた地域を対象とすべきである。このことは、健診拡大を求める千葉県内の九市の意見書の要請にも合致する。
 
中間取りまとめは、甲状腺がん検診を巡る諸問題として、「小児の甲状腺がんを早期発見することで甲状腺がん死亡率が減少するかどうかの確証は得られていない」としているが、甲状腺がん死亡率が明らかになってからでは手遅れになってしまう可能性がある。
 
原発事故子ども・被災者支援法に「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分解明されていない」「放射線による外部被ばく及び内部被ばくに伴う被災者の健康上の不安が早期に解消されるよう、最大限の努力」「健康被害を未然に防止する観点から」「国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任並びにこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任を負っている」「健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されること」とあるように、個々人の健康管理を第一の目的とし、因果関係の解明を待たず、健診・医療を国の責任において急ぎ実施すべきである。疫学調査の目的については、第二義的なものとして位置付けるべきである。

2015/01/19

【報告】ガラスバッジは福島のような全方向照射では3-4割低めに検出する-(株)千代田テクノルが伊達市議員研修会で公式に説明-

【拡散歓迎】

1月15日に伊達市議会議員政策討論会(放射能対策研修会)が開かれフクロウの会の青木一政と(株)千代田テクノル執行役員線量計測事業本部副本部長佐藤典仁氏が講師としてそれぞれ講演を行いました。同政策討論会は同市議会基本条例にもとづく公式な会議で市会議員全員が出席する会議です。

 

この場で、千代田テクノル佐藤氏がガラスバッジは放射線管理区域で使うもので前方からの照射を前提としているため、福島のような全方向照射では身体による遮蔽効果により約30-40%低くでるとの説明を行いました。福島県内の各自治体ではガラスバッジによる住民の被ばく量測定を行っていますがこれはガラスバッジの本来の使い方から逸脱したもので、これで住民の被ばく量管理を行うことは問題であることが明らかになりました。ましてガラスバッジによる測定結果で住民の被ばく量は予測計算より少ないとして除染基準を緩和するような動きは極めて大きな問題です。
 

 

私達はあらためて政府の「個人の被ばく線量重視」「個人線量計による被ばくの自己管理」の動きに対して抗議するとともに、「場の線量」と「個の線量」の二段構えでの住民の被ばく防止の考え方を堅持することを要求します。

 

伊達市民の働きかけにより実現した今回の放射能対策研修会
伊達市は市民約5万3千人のガラスバッジ調査で個人線量は十分低いとして、空間線量率が0.3~0.6マイクロSv/h程度でも追加被ばく年1ミリSvは達成できるとした報告書を2014年8月に発表しています。この調査結果も踏まえ仁志田伊達市長は、従来からの持論である線量の低いCエリアの除染は不要との立場に固執しており市民からの批判が高まっています。

 

こうした流れの中で伊達市議会放射能対策研修会というフォーマルな場でフクロウの会/放射能測定プロジェクトの青木一政が伊達市議会議員研修会の講師として招請され1時間ほどの講演をする機会を得るに至りました。伊達市のお母さん方の議会への熱心な働きかけにより実現したものです。伊達市民の方々の熱意ある取り組みに敬意を表したいと思います。
 

ガラスバッジによる被ばくの自己管理について、私たちはこれが住民に対して被ばくリスクを強いるものであるとして批判し環境省等への要請行動を行って来ました。この動きについては下記をご覧ください。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/08/post-0694.html 
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/06/023-1d4b.html 

 

熱心な研修会でのプレゼンと質疑応答
市議会議員ほぼ全員がそろう中で私からは「福島原発事故による放射能汚染-健康リスクをどう考えるか」と題したプレゼンを行いました。

※プレゼン資料はこちら(容量の関係で4つに分割します)

プレゼン資料1 甲状腺検査結果をどうとらえるか」

プレゼン資料2 チェルノブイリ事故の健康影響」

プレゼン資料3 ガラスバッジによる被ばくの自己管理は妥当なのか」

プレゼン資料4 尿検査・大気中塵埃調査・将来起こるかもしれない健康被害を防ぐために


私のプレゼンは焦点のガラスバッジによる被ばく量の管理の問題だけでなく、福島県での甲状腺がんの発生状況やチェルノブイリでの健康影響、チュエルノブイリと比較した伊達市の汚染状況などについて分かり易く説明することに心がけたつもりです。議員の方々は皆さん熱心に私の報告を聴いてくださり、全体として理解していただけたのではないかと思います。

 

ガラスバッジは福島のような全方向照射では0.6-0.7倍になると説明-千代田テクノル
私の講演と質疑応答の後、(株)千代田テクノル線量計測事業本部副本部長で執行役員の佐藤典仁氏から「ガラスバッジの測定結果について」というプレゼンが行われました。報告の結論としてガラスバッジは「全方向から放射線が入射する場合は周辺線量当量(空間線量のこと)の0.6~0.7になると説明があり、私たちが指摘していたことについて認めました。ただ説明は専門技術的なもので市議会議員の方々にはやや難しいのではなかったかと思います。
 

 

高橋一由議員が「ガラスバッジは放射線の入射する方向により身体の遮蔽により低く出るという報告があるが実際のところどうなのか」と重ねて質問したのに対して「ガラスバッジは放射線管理区域で使うもので福島のような全方向照射では30%低くでることをきちんと考えず配布した」として謝罪の言葉*があり、「事故直後の混乱時期に、安全を売り物にする企業として福島の方々に少しでも役立てばと思ってガラスバッジを使ったが配慮が足りなかった」との発言がありました。

 

*たとえば病院でのX線撮影の場合、ガラスバッジを身に付け撮影をする放射線従事者は決まった一点から放射線を受ける可能性があるだけです。フクシマの事故では、環境中に飛び散った放射性物質により、私たちは上下左右、360度からの被ばくを毎日強いられています。目に見えないだけで、地面や屋根、そして大気中浮遊塵や放射性物質が付着した衣類・髪などから外部被ばくをしています。今回の0.6-07倍という値も水平方向で全方向としての計算で、上下方向からの入射を考慮したものではありません上下方向からの入射を考慮すれば「実効線量と同等だった」(**参照)という千代田テクノルの説明もまだ過小の可能性があります。ガラスバッジで測るやり方が毎日被ばくをしながら暮らさざるを得ない住民の現実感覚からすれば極めて不十分なものです。このような情報を今まで積極的に発信してこなかった千代田テクノルの責任も大きいと考えます。

 

 

また菅野善明議員から「30%程度低く出ても検証の結果、実効線量と同等だったという説明**があったが子どもの条件で確認したのか」という質問に対して、「やっていません」「というか実は子どものファントム(検証用の人体模型)をどのようなものとすべきか決まっていない」と率直に認めました。
 

 

**実効線量とは個人の臓器毎の被ばく線量を計算しそれに係数をかけ足し合わせたものであり、体格や年齢、性別など個人毎に異なるため実際には個人ごとの実効線量を測定することはできません。そのため実際の測定は実用量として空間線量率を測るサーベイメーターや個人線量を測るガラスバッジ等の個人線量計の値が使われます。個人ごとの実効線量のバラつきを考慮して、実効線量<実用量という関係が常に成り立たなければならないということになっています。今回の千代田テクノルの説明では検証の結果、低めに出てしまう全方向照射での測定結果は実効線量とほぼ同等だった、という説明でした。しかしこの検証は大人の条件でしかやっていなかったことが菅野議員の質問で明らかになったわけです。

 

問題は個人線量計で被ばくを自己管理させようとする政府・環境省の方針
子どもを含め住民がこれから長期にわたる被ばく量を管理するための測定として、環境中に放射能が散らばって全方向から放射線が入射するにもかかわらず、前方からの入射を前提とする放射線業務従事者用のガラスバッジを使うことそのものが大変無謀なことであることが今回の説明から明らかになりました。

 

さらに子どもの被ばく量を検証するためのファントムによるテストは、ファントムそのものがどのようなものにすべきか明確にさだまっておらず、検証テストをやっていないというのは、健康や生命にかかわることですので大きな問題です。ましてガラスバッジの測定結果をもとに住民の被ばく量を推定しそれをもとに除染基準を決めるというのは言語道断です。
 

 

これらについて遅きに失したとはいえ、率直に問題点を明らかにした千代田テクノルの今回の対応は評価したいと思います。むしろ問題はこうした測定器の誤った使い方だけでなく、個人でバラつきのある測定結果を強引に平均化してその結果で除染基準を緩めようとしたり、電離放射線障害防止規則にある「場の線量」と「個の線量」の2段構えでの被ばく防護の考え方に反して、「個人線量重視」で個人線量計配布による被ばくの自己管理の方針をとる政府、環境省、伊達市などにあります。

 

住民の被ばく低減のために政府自治体はあらゆる取り組みをすべき
ガラスバッジによる測定の問題点の説明はどうしても専門的技術的なものとなり素人には必ずしも分かり易いものではありませんでした。ただ、大枠では私たちがこれまで指摘してきたガラスバッジの測定結果を元に除染基準の見直しをするようなことはおかしいということが、多くの議員の方々には理解されたのではないでしょうか。
 

 

これまで私たちが主張してきたことは
(1) 政府の除染対策地域の指定基準および除染目標として、少なくとも空間線量率0.23μSv/h基準を堅持すること。

(2) 除染により0.23μSv/hが容易に達成できないのであれば、住民の健康リスクを極力低減させるために自主避難者への支援、移住の支援、保養推進、保養計画への援助、検診の充実などあらゆる取り組みを充実すること。

(3) 「場の線量」と「個の線量」の二重の防護の考え方の堅持。ガラスバッジ配布による個人線量重視の被ばく防護の考え方は取らないこと。

 

の3点です。これにもとづいて伊達市でも他の自治体と同じようにCエリアでも除染を行うべきだと考えます。さらに除染だけでなく住民の被ばくを下げ健康リスクを下げるためのさまざまな取り組みを取るべきと考えます。このことは伊達市にとどまらず放射能汚染が拡散した東日本全域に言えることです。今回の結果が各地での被ばくリスク低減の動きにつながることを期待しています。

2015/01/14

【政府交渉報告】1・13高浜原発審査・川内原発火山問題政府交渉

<拡散希望>
http://www.kiseikanshishimin.net/2015/01/14/kosyohokoku/

1月13日に高浜原発審査及び川内原発の火山問題について政府交渉が行われ
ました。参加されたみなさんおつかれさまでした。参議院議員会館101号室
で、約2時間の交渉でした。

全体的に、これで審査しているといえるのか、という内容でした。再稼働を許
してはなりません。汚染水対策では、基準の要求を満たしていないこと、MO
Xの判断基準がないこと、水素燃焼では恣意的な条件設定が行われていること
、火山モニタリングでは実質的な審査を避けていることなどいくつか重要な問
題が明らかになりました。地元に還元し、各地の運動に役立てていきましょう。

また、間もなく締め切り(今週金曜16日)のパブリックコメントにもしっか
り書いて追及していきましょう。

原子力規制を監視する市民の会:阪上 武

**************************************
高浜原発審査・川内原発火山問題政府交渉報告

交渉には、関西から小山さん、アイリーンさん、島田さん、福井から原子力発電
に反対する福井県民会議の宮下さん、佐賀から永野さん他、市民側約70名ほど
が参加し、元原子力安全委員会事務局参与の滝谷さん、福島みずほ議員も参加さ
れました。

規制庁側は、熊谷氏(福島第一原発対応)、中桐氏、上原氏(PWR担当)、渡
辺氏(地震・津波・火山担当)が対応しました。

◆汚染水対策

高浜原発で汚染水対策が実施されておらず、これが格納容器が破損した場合に放
射能の拡散を防止する設備の設置を要求する新規制基準55条の本文の要求を満
たしていない問題について質しました。

・規制庁側は、新規性基準55条が、放射能の拡散という場合に、気体の放射能
だけに限っていないことは認めました。ところが高浜原発の審査では、気体の放
射能が出た場合に、放水砲で撃ち落とし、その水が海洋に出るのをシルトフェン
スで防ぐという対策しか検討していません。

・福島で問題になっている液体の放射能(汚染水)の放出を防止する対策につい
ては、中長期的な課題として、審査書案267頁では下記のように書かれています。
「b. 重大事故等発生時に・・放射性物質を含んだ汚染水が発生した際の汚染水
の処理活動等を円滑に実施するため、平時から必要な対応を検討できる体制を構
築する方針であること。を確認した」。

汚染水対策として具体的に何を確認したのか質しましたが、「臨機応変に対応」
という言葉を繰り返し、結局「方針をつくる」ということを確認しただけで、具
体的方針は確認していないことが明らかになりました。これは、「技術的能力に
係る審査基準」にも反しています。
(※審査基準は下記参照)

・市民側からは、事故が起きてからでは間に合わないとし、汚染水対策は、福井
県原子力安全専門委員会でも問題になっていることも合わせて指摘しました。

※「重大事故の技術的能力に係る審査基準」(2頁)
http://www.nsr.go.jp/nra/kettei/data/20130628_jitsuyounaiki05.pdf
1.重大事故等対策における要求事項
1.0  共通事項
(4)手順書の整備、訓練の実施及び体制の整備
  発電用原子炉設置者において、重大事故等に的確かつ柔軟に対処できるよう、
あらかじめ手順書を整備し、訓練を行うとともに人員を確保する等の必要な体制
の適切な整備が行われているか、又は整備される方針が適切に示されていること。

◆プルサーマル運転(MOX燃料の使用)について

高浜原発の審査書案には、MOX燃料についての記載がほとんどありません。し
かし、規制庁は、高浜原発の再稼働では、MOX燃料を使うことが前提となって
いると説明しています。

・規制庁は、審査の過程で、実質的にMOX燃料の使用を前提とした審査を行っ
ていることを強調しました。しかし審査書案を見てもそれが不明であることか
ら、詳細について明らかにするよう求めました。

・MOX燃料の使用については1998年に、当時のMOX指針に基づく審査で
許可が出ていますが、重大事故対応についてはカバーされていません。今回、新
規制基準で重大事故対応が加わったことから、MOX指針を作り直さなければな
らいませんが、MOXの技術的評価ガイドはないことを認めました。パラメータ
等を厳しめに設定して審査しているなどと述べていますが、それを判断する基準
を持っていないということです。これでは、プルサーマルの安全性評価はできま
せん。

◆使用済MOX燃料の扱いについて

使用済MOXという言葉は、審査書案には出てこないことを規制庁も認めまし
た。そして、使用済MOXも含めて再処理することになっているとの回答でした
が、再処理する施設がないことは認めました。MOXを使用するとしながら、使
用済MOXの処理はなにもなく、長期に渡って地元に居座り続けるだけです。全
く無責任な審査書案です。

◆水素爆発について

関電は高浜原発の評価において、炉心コンクリート相互作用による水素量を、解
析に依拠しジルコニウム反応量6%を用いた評価しか行っておらず、反応量
25%を用いている九電の川内原発と比べても過小評価です。また、その際に用
いた解析が、作用が始まったとたんに水素の発生が全部止まるという、極端に非
安全側の条件となっている問題について質しました。

・規制庁側は、関電が用いた解析コードが、極端に非安全側であることを認めた
うえで、条件を変えた感度解析を行い問題ないことを確認したとしました。元原
子力安全委員会事務局参与の滝谷さんより、より安全側の条件でクロスチェック
解析を行うべきだと指摘がありました。

・規制庁は、高浜原発について、九電が川内原発で行った条件で評価すると、水
素燃焼の基準である水素濃度13%を超えてしまうことを認めました。関電は、
基準をクリアするために恣意的な条件設定を行い、それを規制庁が認めている実
態が明らかになりました。

◆火山審査について

川内原発の火山リスクについて、巨大噴火の前駆現象を捉えたとしても、核燃料
の搬出が噴火に間に合わない可能性が専門家によりしてきされています。その場
合、「事業者が実施すべきモニタリングは、原子炉の運転停止、核燃料の搬出等
を行うための監視であり」とある火山ガイドの要求を満たさないと考えられます。

ところが、川内原発の保安規定の文案では、モニタリングの方法や核燃料搬出の
具体的方針は記されておらず、詳細は社内基準でということになっています。社
内基準については、「カルデラ火山モニタリング対応基準」「カルデラ火山モニ
タリングに伴う燃料等の搬出等対応基準」といった名称しか明らかにされていま
せん。

・ガイドに、モニタリングの目的として「核燃料搬出等を行うための監視」が記
されていることについて、担当者はきちんと認識していませんでした。これを確
認したうえで、審査で、搬出の期間、搬出の方法や搬出先について、九電の方針
を確認するつもりか質しましたが、今のところ確認はしていないとし、今後につ
いてもあいまいな回答しかありませんでした。

・「そのような方針でいる」ことの確認だけでは審査になりません。それを保安
規定の審査でやるというのが以前の回答でした。市民側からは、実質的な審査を
行うよう、そのために、九電の社内基準を確認し、それを明らかにするよう求め
ました。

◆関西広域連合の申し入れについて

関西広域連合が12月25日に「原子力防災に関する申し入れ」を決定し、規制
庁及び経産省に提出した件で、話し合いの法的枠組みを要求していることについ
て、現在も必要なときには話はしているとし、広域連合の要求を事実上無視する
ような回答でした。

原発事故に伴う健診政策 環境省専門委の「中間取りまとめ」の13の問題…「甲状腺がんの深刻な実態、被ばく影響の研究踏まえ、施策の見直しを急げ」

【拡散歓迎】

本日、「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」(事務局:FoE Japan)では、環境省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」 座長:長瀧重信長崎大名誉教授)がまとめた「中間とりまとめ」について批判的検証を行い、「福島県県民健康調査において明らかになってきている甲状腺がんの深刻な状況についての分析を行っていない」など13の問題点を指摘するレポートをとりまとめ、発表しました。
http://www.foejapan.org/energy/news/150113.html

レポートでは、「内容以前に、専門家会議の委員構成や会議の進行に大きな問題点があった」とし、また、「福島県県民健康調査において、小児甲状腺がんの多発という点でも、転移・浸潤を含む症状の深刻さという点でも、2巡目の検査で1巡目では見つからなかったがんが4例見つかるという点でも、非常に深刻な結果が出ているのに、これについて分析・検討することをしなかった」とした上で、専門家会議の中間取りまとめが、福島県で行われている甲状腺検査について、「疫学追跡調査」へ見直すよう提言している点について「個々人の健康管理を蔑ろにしている」と批判しています。

また、「中間取りまとめ」が、福島県外における甲状腺検査の必要性を否定した点については、UNSCEARのデータや最近の研究における放射性ヨウ素も放射性セシウムの拡散評価では、福島県外において福島県と同等レベルの汚染の広がりを示している点を指摘。「福島県内外で被ばく量を比較することは非科学的である。県外の被ばく量は低いとして、県外における健診を切り捨てることは認められない」としています。また、WHOとUNSCEARの報告の引用については、内容に関する検証を行っていないばかりか、原典に書いていないことが引用されていたり、恣意的に、あるいは誤って引用されたりしている点を事例をあげて批判しています。

さらに、甲状腺がん以外のがんや、非がん疾患について否定していることは、原爆被爆者の調査やチェルノブイリ原発事故の被ばく者などを対象とした多くの研究結果を踏まえていないと指摘しています。

同委員会では、「以上のことから、この『中間取りまとめ』を、原発事故に伴う住民の健康管理施策の根拠にするべきではなく、環境省は施策の全面的な見直しを急ぐべき」としています。

レポート本体は、以下からダウンロードできます。
http://www.foejapan.org/energy/news/150113.pdf

別紙として以下の7点の資料を添付しております。こちらもぜひご覧ください。
別紙1:深刻な甲状腺がんの症例
別紙2:UNSCEARによる福島県および近隣県の自治体ごとの1歳児甲状腺吸収線量の評価
別紙3:県境を超える放射性物質の広がり
別紙4:項目9に関わる、「専門家会議」が無視している外部識者の主なる意見
別紙5:原爆被爆者の 保健・医療のための施策・制度
別紙6:原爆被爆者とチェルノブイリ事故被災者(ウクライナ)の支援対象疾病
別紙7:被ばくに関わる健康管理対策の概略的な比較

福島のみなさま、下記もぜひよろしくお願いします!
上記のレポートも配布予定です。
---------------------------------------------------------
【緊急セミナー in 福島】 切迫する放射線被ばくの健診対策
http://www.foejapan.org/energy/evt/150118.html
◆日 時:2015年1月18日(日) 10:30~12:30
◆会 場:アオウゼ 大活動室3
---------------------------------------------------------

★関連記事
環境省がパブコメ募集中:福島原発事故に伴う健康管理…ポイントをまとめました
~締切1月21日
http://www.foejapan.org/energy/action/141231.html

2015/01/08

【1・18緊急セミナーin福島】 切迫する放射線被ばくの健診対策

みなさま(拡散歓迎、重複失礼)


福島原発事故に伴う住民の健康管理に関して、昨日東京しごとセンターで開催し
た緊急セミナー。多数のみなさまのご参加ありがとうございました。
セミナーの資料を下記にウェブアップしました。

http://www.foejapan.org/energy/evt/150107.html

また、下記の通り、1月18日、福島でも同趣旨のセミナーを開催することといた
しました。ぜひ、福島のみなさまにご紹介いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------
【緊急セミナー in 福島】 切迫する放射線被ばくの健診対策

http://www.foejapan.org/energy/evt/150118.html
---------------------------------------------------------

◆日 時:2015年1月18日(日) 10:30~12:30
◆会 場:アオウゼ 大活動室3
(〒960-8051 福島県福島市曽根田町1-18 MAXふくしま )
◆内 容:(予定)
1.原発事故後の健康支援~最新情報を踏まえて
  … 満田夏花/FoE Japan
2.議論されなかったこと…甲状腺がん以外のリスク
  …吉田由布子/チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク
3.福島県健康調査の課題
  …青木一政/福島老朽原発を考える会
4.質疑

◆申込み:下記申込みフォームから申し込むか、ファックスまたは電話にて①参
加者氏名、②ご所属、③ご連絡先をご連絡ください。

https://pro.form-mailer.jp/fms/d5ef0d1270700
◆資料代:500円
◆主 催:FoE Japan
◆問合せ:
FoE Japan (エフ・オー・イー・ジャパン) 
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
(当日連絡先:090-6142-1807)
★当日、主催関係者以外の資料の持込みや会場内での配布は、お断りさせていた
だいております。

※関連記事
環境省がパブコメ募集中:福島原発事故に伴う健康管理…ポイントをまとめました

http://www.foejapan.org/energy/action/141231.html

2015/01/03

【1・7緊急セミナー】 切迫する放射線被ばくの健診対策

みなさま(拡散歓迎、重複失礼)

FoE Japanの満田です。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、福島原発事故に伴う住民の健康管理に関して、環境省の専門家会議が「中
間とりまとめ」を発表しました。これにもとづき、環境省は「当面の施策」をと
りまとめ、1月21日まで(郵送の場合は、1月19日必着)パブリック・コメントに
かけています。
http://www.env.go.jp/press/100098.html
この「当面の施策」はたいへん問題の多いものです。
・甲状腺がん以外のさまざまな疾病に対応した健診や、福島県外の健診につ
いては盛り込まれていません。
・福島県健康調査については、「疫学的追跡調査として充実させることが望
ましい」としており、個人の 保健目的が縮小されるのかという懸念が生じ
ます。
・福島県で実施された甲状腺検査の2巡目で検査結果が確定した約6万人の子ど
もたちから、甲状腺がんの疑いの子どもが4人見出されたという深刻な事態を踏
まえていません。この結果が公開する前に、環境省専門家会議は、傍聴者を排除
してまで大急ぎでまとめた感があります。本来であれば、この重大な事態を受け
て、再度検討をしなおすべきであり、県外にも健診を拡大すべきです。

「当面の施策」の問題点について、パブコメの文例としてまとめたものを添
付します。以下のURLからもダウンロードできます。拡散していただければ幸い
です。
http://www.foejapan.org/energy/action/141231.html

また、1月7日には、緊急セミナーを開催します。ぜひお誘いあわせの上、ご来
場ください。
【緊急セミナー】 切迫する放射線被ばくの健診対策
http://www.foejapan.org/energy/evt/150107.html

◆日時:2015年1月7日(水)  18:30~20:45
◆会場:東京しごとセンター(東京都千代田区飯田橋3丁目10-1)5Fセミナー室
最寄駅:飯田橋駅東口より徒歩約5分
◆内容(予定)
1.環境省の「専門家」会議と福島県県民健康調査の最新情報
2.発癌リスクは「識別できない」のウソ
3.議論されなかったこと…癌以外のリスクと県外のリスク
4.UNSCEARとWHOの報告書について
5.パブコメのポイント
6.質疑
※ゲスト:
 崎山比早子さん(高木学校、元放射線医学総合研究所主任研究官)
 吉田由布子さん(チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長)
 瀬川嘉之さん(高木学校)
 阪上武さん(フクロウの会)
◆参加費:500円
◆主 催:FoE Japan
◆問合せ:FoE Japan (エフ・オー・イー・ジャパン) 
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
(当日連絡先:090-6142-1807)

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