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2017/11/27

東海第二原発の寿命延長許さない!破たん企業・原電の危険な暴走を止めよう!

みなさまへ

東海第二原発の寿命延長申請に際して、経理もモラルも破たんしながら、自らの
存続のために暴走する原電とそれを止められない規制委、逆に後押しする経産省
について、官邸前チラシに書いた文面に加筆したものです。

************************************

東海第二原発の寿命延長許さない!
破たん企業・原電の危険な暴走を止めよう!

http://kiseikanshi.main.jp/2017/11/27/11123/

◆東海第二原発の審査は「経理的基礎」が問題に

11月24日、日本原子力発電(原電)は規制委に対し、東海第二原発の寿命延長の
申請を行いました。来年11月30日に40年を迎える東海第二原発は、それまでに寿
命延長審査に合格しなければ再稼働はできません。その前段となる原子炉設置許
可の審査は、ほぼ審査を終え、間もなく審査書案が出ることになっていました。
ところが、ここへきて「経理的基礎」の問題が浮上してきました。

◆足りない安全対策費・東電が保証人に!?

原電は、原発をもつ他の電力会社とは異なり、原発以外の発電所を持たず、原発
で電気をつくり、東電や関電に売るだけの原発専門会社です。原発推進の先頭を
切るためにつくられた会社です。東海原発、東海第二原発と敦賀1・2号機を所
有していますが、3・11以降一基の発電所も稼働させることができず、発電に
よる収入はゼロです。

東海原発は廃炉作業中、敦賀原発1号機も既に廃炉が決まっており、原電が再稼
働を望んでいた敦賀原発2号機も、直下の破砕帯が活断層であることが規制委の
検討チームによって二度も確定しています。原電はそれでも抵抗し、審査を受け
るとしていますが、再稼働は困難な状況です。

東海第二原発を再稼働させるためには、安全対策費が1,700億円必要だといわれ
ています。原電はこれを銀行から借り入れるとしていますが、銀行は保証人を立
てるよう要求し、その保証人に東電と東北電の名前が挙がっているのです。その
ような金が調達できるのであれば、福島第一原発の廃炉や賠償に投入すべきでし
ょう。河北新報は、債務保証の協議難航もと伝えています。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201711/20171125_11009.html

◆廃炉に積み立てた費用を勝手に取り崩して再稼働のためにあてていた

さらに、原電が法律に基づき、廃炉のために積み立ててきた費用1,800億円の大
半を勝手に取り崩して、こともあろうに敦賀原発3・4号機の建設費に充ててい
たことが明らかになりました。

http://www.asahi.com/articles/ASKCJ5G4LKCJULFA01F.html

残った現預金は187億円しかないとのことです。東海第二原発についても530億円
を積み立てていましたが、これも使ってしまったのです。許しがたいことです。

電気事業法に基づく廃炉引当金についての省令は、第四条で目的外で取り崩すこ
とを明確に禁じています。

<原子力発電施設解体引当金に関する省令>
第四条
4 対象発電事業者は、前条の規定により積み立てられた原子力発電施設解体引
当金について、前三項の規定により取り崩す場合を除き、当該引当金を取り崩し
てはならない。

原電は、法令違反を事実上認めていますが、電気事業法の会計上の措置だから問
題ないと開き直り、監督官庁である経産省も、実際の運用では一時的な流用はあ
りうるし、一般企業でもやっているなどと述べ、違法行為を容認しています。こ
れまた許しがたいことです。

経産省がベトナムへの原発輸出のための調査費用に国費を投入し、震災復興費用
を流用したことが問題になりましたが、そのとき調査に入った企業が原電でした。
原電救済の意味合いがあったのでしょうか。原電はトルコでも調査に入りました
がその後、ベトナムの計画はとん挫し、トルコも進んでいません。

◆破たん企業・原電に原発再稼働の資格なし

規制委の更田委員は「経理的基礎」について公開の場で審査するとしながら、審
査対象を安全対策費の調達に限定することを強調し、保証人から話を聞いて終わ
るとしています。それでは全く不十分です。

とうの昔に役割を終えた企業が、自らの存続のためにだけに暴走し、それを経産
省も規制委も止められないでいます。廃炉に必要な費用も積み立てられず勝手に
誰も認めていない原発の建設費に使ってしまう。このような経理もモラルも破た
んした企業原電に、原発再稼働の資格はありません。東海第二原発の再稼働に反
対しましょう。東電もそうですが、原電もきちんと破綻処理をすべきです。

原子力規制を監視する市民の会(11月27日)

2017/11/26

浪江町山火事で放射能拡散-福島県交渉(2回目)報告

 11月9日に浪江町山火事の件で福島県危機管理部と2回目の交渉と意見交換を行いました。浪江町で2017年5月に発生した山火事の対応をめぐっては、7月19日に4項目の要望事項と5項目の質問事項を福島県危機管理部に提出しました。質問状には41の市民団体から賛同がありました。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2017/07/post-ed89.html 

 質問項目については8月2日に福島県からの回答がありましたが、不十分と考え10月3日に再質問状を提出しました。この再質問状について11月9日に福島県危機管理部と2回目の交渉と意見交換の場を持ちました。

 

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山火事など放射能「再拡散」に対して避難基準は「ない」
 今回の交渉で明らかになったことは、帰還困難区域の山火事など放射能拡散が懸念される事態に対して、避難指示などの明確な基準がないことを福島県が明らかにした点です。今回、あらためて帰還困難区域の山林火災時の屋内退避や一時移転、避難指示などの体制や避難発出手順とその法的根拠について質問しました(再質問2-1、2-2)。それに対して、「屋内退避・一時避難等の指示発出の法律上の明確な定めはない」、「由来が発電所ではないものについては決めがない」との言明がありました。


 確かに、前回(8月2日付け)の福島県の回答でも、「住民の避難基準について」の項で、「万が一、避難指示区域を越えて高い空間線量が確認された場合には、原子力災害における防護措置に準じて屋内退避や一時移転の措置をとることが妥当」としています。官僚的文書で意味する本当のところが分かりにくかったのですが、「原子力災害における防護措置に準じて」というのは、発電所由来でない放射性物質拡散に対しては、法律上の「決めがない」から、原子力災害に「準じて」というわけです。問題になっている放射能汚染は福島原発由来のものであることは疑いありませんが、いったん原発外へ出てしまったものは、再拡散しても「原発由来でない」というのもおかしな話です。


福島県では、過去にも伊達市霊山など高濃度に汚染した山林の山火事が発生しています。また山火事だけでなく指定廃棄物を保管していた倉庫の火災によりフレコンバッグの焼却灰200袋近くが燃えた事件も起こっています。放射能汚染物が周辺に存在する住民にとって、このことは極めて切実な問題です。

 

相変わらず「放射線量に変化なし」に固執する福島県
 最初の質問状で、私たちの懸念は火災による放射性物質の再拡散であり、放射性物質を吸い込むことによる内部被ばくの問題であることを明らかにしています。第1回目の交渉においては趣旨説明の文書で、「空間線量率の変化なし」をもって安全とすることについての問題を指摘しました。しかし2回目の交渉においても、依然として空間線量率のみを問題にする姿勢は変わっていません。

 

 前述の避難指示についての質問でも、「山火事などが発生したときは原則、既存のモニタリングポストで監視できると考えている」、「空間線量率のモニタリングはしていきたい」、「人がいるところで万が一高い空間線量率が計測された時には・・県、国、市町村が協議して対応」などの説明がありました。

 

 福島原発事故で福島県周辺は高濃度に汚染され、現在でも空間線量率(バックグラウンド)が高い状態にあります。このような状況の中で「空間線量率に変化なし」ということに固執して周辺への放射能再拡散はないというのは極めて大きな問題であると考えます。

 

ダストサンプラ調査で更新頻度アップ、検出限界改善などの努力を約束
 2回目の交渉でわずかですが改善につながる前進もありました。福島県では独自に県内49か所で空気中粉じんの放射能を調査するダストサンプラ調査を毎月行っています。しかしこの測定結果が福島県のホームページ上では半年以上も更新されない事態が続いていました。今回の山火事との関連でこのデータが長期間に渡って更新されていないことを指摘し、改善を要求しました。今回、この更新遅れの説明と改善の説明がありました。(質問4-1,4-2)。更新が遅れていることに対して、「解析に時間がかかった、これは全然理由にならないので今後ならないようにする」として今後は遅くとも2か月後までには全てのデータを公開することを約束しました。

 

 またこの49か所のうち、9か所については検出限界が0.3ミリベクレル/㎥と他の40か所に比べて10倍程度高い場所がありました。この9か所は主に福島第一原発に近い地域ですのでなおさら問題です。これについて説明と改善を要望しました。

 

 当初の説明では、「全体の傾向に大きな影響はない」、「あまり下限値を低くしてもナンセンス」などと説明していましたが、参加者の丁寧な説明や鋭い追及の結果、9か所は設置場所の制約があり設備的に十分なものが設置できていないことを認めました。県側の発言で「我々の方でも努力が足りないところがあるので頑張ってやるようにします」、「事故前の状態ですがこれこれの範囲の変動だった、ということをきちんとお伝えしていかないと、正しい判断ができない」との発言がありました。

 

 福島県の継続した努力により調査体制と広報について、言葉だけでなく具体的に改善がみられるかどうか引き続き監視が必要と考えます。

 

揺れる県の立場―ICRP基準で「問題はない」、一方で継続する廃炉作業リスクへの不安
 また今回の交渉では国の姿勢と県民の立場との間で微妙な立場をとっている県の状況の一端も明らかになりました。その例として、大気中浮遊じんの評価の姿勢があります。前述した空間線量率への固執もそうですが、ダストサンプラ調査の検出限界の説明においても、明らかに国が放射線防護の根拠としているICRPを(ICRPと言葉には出しませんが)前提とした説明でした。「調査で発表しているのはミリベクレル/㎥で出しているが逆で、この下のところで変化が激しいとかいうのはナンセンス」、「センシティブであればあるほど近くの舞い上がりを吸っても数値が上がる」、「住民に影響を及ぼすレベルなのかどかというのが問題」というような説明です。

 

 これに対して、参加者からフィルターのオートラジオグラフィを示して、「数値にならなくてもこのように放射線を発する粒子を吸い込んでいることが問題」という指摘や、南相馬市が独自に調査しているダストサンプラー調査では山火事があった5月以降継続して、それまで0.1ミリベクレル/㎥以下だったものが、0.1以上の値を継続していることの説明、事故前と比べると現在の福島県では大気中浮遊じんの放射能は1000倍とか1万倍のオーダーになっており、そのことを県民に正しく伝えることの重要性などの指摘が丁寧に行われました。これらの説明や意見に対しては、県の担当者も正面からの反論はできず「おっしゃることは分かります」との反応がありました。

 

 一方で県としては国や原子力規制委員会などの言いなりになっているわけではないとの説明がありました。その例として、2013年に発生したフクイチ3号炉屋根の工事により、粉塵が南相馬まで飛散しコメの汚染として発覚した問題です。県はこの問題を受けて大気中浮遊じんの調査体制をそれまでの4局体制から49か所に大幅に拡充したというものです。その結果、40か所のダストサンプラの検出下限が0.03ミリベクレル/㎥で整備されたということです。また未だにフクイチからの飛散であることを認めない原子力規制委員会には「抗議した」との発言もありました。

 

 こうした県の努力を私たちは無視したり否定したりするわけではありません。しかしそうであれば尚のこと、県民の不安や危惧を正面から受けて、国や環境省の一方的な説明や方針をうのみにせず住民の立場から活動して欲しいものです。

 

法律的根拠なく業務としての被ばくを強要される消防団員※1
 さらに今回明らかになったことが消防団員の被ばく防護の問題です。消防団員の被ばく防護の体制について質問したところ(質問1-4)、「福島県広域消防相互応援協定に基づく避難指示区域の広域応援活動方針」に基づいて行っているとの説明がありました。それによれば。消防団員の被ばく限度は年間10mSvであり、電離則で定める放射線業務従事者の5分の一、5年間で50mSvで放射線業務従事者の2分の一だとの説明がありました。この「活動方針」は消防本部内で決めたものだとのことです。

※1: 双葉消防本部に尋ねたところ、消防団員は避難指示区域では消火活動に当たらないことと総務省から指示が出ているそうです。福島県側の応答は消防隊員を指すと思われます。(2017.11.27追記)

 しかしこれも問題があります。電離則が定める放射線業務従事者は放射線を取り扱うことを前提として職業に就き、それを前提として賃金を受けとっているわけです。それでも健康リスクなどの問題が大きくならないように被ばく量の上限の制限だけでなく、特別教育や健康診断などを受けることが法律で義務付けられています。しかし消防団員は被ばくをうけることを前提とした職業ではありません。消火のためだからといって、放射線業務従事者より少ないとは言え、被ばくを前提とした業務を行わなければならない義務はないはずです。本来、消防団員は一般住民と同じ公衆被曝限度年間1ミリのもとで生活する権利があるはずです。そもそも年間20mSvを下回ったら避難指定を解除されて何の保障も受けない一般住民も同様の問題を抱えていますが、汚染地域で消火作業にあたらなければならない消防団員は更に大きなリスクにさらされることになります。消防団員のリスクの問題は、今後引き続き課題となると考えます。

 

最初の質問状に対する福島県からの回答

再質問状

2回目交渉の議事要旨

福島県から国への要請文(福島県から当日配布された資料)

2017/11/16

柏崎刈羽原発の再稼働にNo!院内集会&政府交渉報告

みなさまへ

昨日行われた柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働に反対する院内集会&政府交渉に
ついて簡単にご報告いたします。

http://kiseikanshi.main.jp/2017/11/15/1111-2/

参議院議員会館に約100名の方にご参集いただきました。ありがとうございま
した。


<院内集会>

・新潟から…現状報告と首都圏への訴え
・福島から…東電の無責任ぶりについて報告
・新潟県選出議員からも再稼働止めようと力強い挨拶

冒頭、新潟県選出の菊田議員から挨拶があり、新潟は反自民で4勝2敗であった
こと、柏崎刈羽原発の再稼働問題が最大の争点であり、反対の意思が示されたこ
となどお話しがありました。新潟での勝利の立役者である森裕子議員からも力強
い挨拶がありました。他に、民進・真山議員、民進・山崎議員、共産・武田議員
から挨拶を受けました。

交渉の設定にご尽力いただいた福島みずほ議員には、政府交渉に参加いただきま
した。

院内集会は、新潟・津南からかけつけた小木曽茂子さんから、県内の状況につい
て報告がありました。十日町、長岡からも4名の方がかけつけ、挨拶を受けまし
た。

続いて福島の武藤類子さんより、東電のこれまでの無責任ぶりについて報告があ
りました。阪上から、東電の適格性と審査書の問題点について報告しました。

刈羽村の武本和幸さんから、電力需給からしても原発の電気は必要ないこと、ま
た、この間、地元の専門家グループとして行った断層調査などから、敷地直下の
断層が活断層ではないとする東電の評価は誤りであることについて解説がありま
した。


<政府交渉>

1.東電の適格性について(相手方:規制庁・東電)

・福島第一原発の廃炉作業の実態について、具体的な検討はしておらず、規制委
員の感触だけで判断した

東電が柏崎刈羽原発を運転する適格性について規制委は審査の対象とし、福島第
一原発の廃炉をやりきる覚悟と実績等を要求しました。福島第一原発の実態をみ
れば、やりきる実績などないことは明らかです。

規制庁は、適格性の審査は、原子炉等規制法の規定にある審査項目のうち、原子
炉の設置と運転の技術的能力に係るものであるとしたうえで、判断基準はないが、
廃炉作業における東電のこれまでの実績に照らしても、技術的能力がないとはい
えないと判断したと回答しました。

市民側は、判断の根拠について具体的に問い質しました。規制庁は、これまで廃
炉作業について、東電ともやりとりをしていた委員(更田委員のこと)が、サブ
ドレンやトレンチの水抜きなどは東電でなければできないことだった、などこれ
までの東電の実績を評価したことを挙げました。

市民側は、最新の監視・評価検討会でも、遮水壁の効果が確認できず、溶融燃料
(デブリ)の取出しについては、規制庁側が、調査におけるサンプル採取と変わ
らず、取出しとは言えないと指摘され、言葉を失う状況であったことを挙げなが
ら、「やりきる実績」を問題にするのであれば、少なくとも地下水対策とデブリ
取出しの見通しを立てなけれならないと指摘しました。

審査に際して、監視・評価検討会で議論されているようなことを検討したのかと
聞くと、規制庁は驚いたことに、監視・評価検討会の内容を含めて、具体的な検
討は行っておらず、委員の感触だけで判断していることを認めました。市民側は、
それでは技術的能力の審査にはならないとし、判断を変えるよう求めました。

タンクのトリチウム汚染水の海洋放出問題については、東電に対し、規制委の要
求に対する東電の回答書にもあるように、市民に対して説明会を開催するように
と福島から訴えがありました。東電は漁業者に対して説明を行うだけで、市民か
らの説明会開催の求めには応じていません。東電は検討すると回答しました。


2.柏崎刈羽原発の審査書~緊急時対策所について(以下相手方:規制庁)

・基準に「免震機能等により」とあるのは福島第一原発事故の教訓である
・緊急時対策所は「必要な指示を行う」ことができなければならない
・揺れが激しい状況でこの機能が維持できるかどうかは確認していない

柏崎刈羽原発6・7号機の緊急時対策所は、当初、3号機そばの免震重要棟に設
定されていましたが、これが基準地震動に耐えられないことが明らかになり、3
号機建屋内の緊急時対策所と併用することにしました。その後、1~4号機は防
潮堤の液状化により水没するおそれが明らかになったことから、5号機建屋内に
変更されました。

免震重要棟は、中越沖地震の教訓から設置され、福島第一原発にも設置されまし
た。これが福島第一原発事故時の指揮所として使われました。緊急時対策所は免
震でなければならないというのは、福島第一原発事故の大きな教訓です。しかし、
柏崎刈羽原発6・7号機の緊急時対策所は、上記の経緯により、免震ではない5
号機建屋内となりました。

交渉では、基準規則61条をめぐって議論になりました。61条は、緊急時対策
所について「基準地震動に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失
しないようにする」ことを要求しています。規制庁は、条文は必ずしも免震重要
棟を要求しているわけではない。免震ではなく耐震であっても同等の機能が確認
されればよいと回答しました。

では緊急時対策所に必要な機能とは何か。条文には「重大事故等に対処するため
に必要な指示を行うこと」との記載があります。そのためには、単に広さや線量
だけでなく、揺れないことが要求されているのではないか、わざわざ「免震機能
等により」と入れたのは、福島第一原発事故の教訓から、事故に対処するための
指揮を行うためには、免震でなければならないと痛感したからではないのか。そ
れを東電が一番わかっているはずではないのかと問いました。

規制庁は「免震機能等により」との文言が福島第一原発事故の教訓によるもので
あることを認めました。さらに、緊急時対策所の機能として「必要な指示を行
う」ことが含まれること、審査では、揺れが激しい状況でこの機能が維持できる
かどうかは確認していないことを認めました。であれば、6・7号機の設置許可
を認めることはできないはずです。


3.柏崎刈羽原発の審査書~高濃度汚染水の放出防止策がない

・対策の必要性を認めながら今後のことと先送り
・高濃度汚染水による放射能拡散の防止策はまだ明らかでない
・今後の基準改定時に知見を取り込むことになるだろう

交渉では、格納容器下部の破損による原子炉冷却水の流出と、それが高濃度汚染
水という形で施設外への放射性物質の異常な水準の放出をもたらす事態について
の対策が何もないことについても議論しました。

福島第一原発事故において、そのような高濃度汚染水がどの程度放出されたのか
をまず聞くと、約13万テラベクレルが放出されたとの東電による評価が示され
ました。地下から直接海に放出されてしまい、把握されないものを含めると実際
にはもっと大量の放射能が拡散した可能性があります。

基準規則第55条は、格納容器の破損に至った場合「工場等外への放射性物質の
拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない」としていますが、東
電の対策は、格納容器上部が破損し、気体の放射能が放出した場合、それを放水
砲で叩き落とすというだけです。

規制庁の最初の回答は、そのような高濃度汚染水が発生しないよう対策をとって
いますというものでした。それでは55条は必要なくなります。炉心溶融が起き
ないようにするのは当然で、それが万が一起きてしまっても格納容器から放射能
が出ないようにする、それが万が一出てしまったら、拡散を抑制するというのが
深層防護の考え方です。規制庁の回答は、安全神話の世界に逆戻りです。

そのように指摘すると、規制庁は、高濃度汚染水による放射能拡散がどのように
起こるのか、どのような設備で抑制するのかまだ明らかでない、基準は常に改定
していくもので、今後基準を改定しながらそういった知見も取り込んでいくこと
になるだろう、と開き直りにもみえる回答をしました。

高濃度汚染水による放射能拡散が福島第一原発で既に起きているのは、先に規制
庁が述べた通りです。これへの対処の必要性を認めながらも、今後のこととして
先送りしているのです。いますぐ対処できないのであれば、柏崎刈羽原発6・7
号機の審査を合格させることはできないはずです。


4.柏崎刈羽原発の審査書~直下の活断層問題

・東電の評価の誤りは審査に直接影響するものであると指摘

地元の専門家による調査から、東電の断層調査や評価には問題があり、敷地内断
層が活断層である可能性が指摘されているにもかかわらず、東電がきちんと反論
しないままでいます。東電の見解だけで審査すべきではないとの問題提起があり
ました。

規制庁は、東電の断層調査や評価について問題提起がある点については、直接柏
崎刈羽原発6・7号機の審査には影響しないとの回答でしたが、新潟の武本さん
から、東電の評価の誤りは、審査に直接影響するものであることについて説明が
ありました。この問題については、継続して議論することになりました。

交渉では、柏崎刈羽原発1~4号機側の地盤で液状化が生じ、防潮堤が機能せず
に水浸しになる問題、それと関連して、中越沖地震のときに、敷地内のあちこち
で地盤の液状化が発生し、電源車や熱交換器など、重大事故対処用の可搬型設備
の移動ができない可能性があることについても議論がありました。

2017/11/01

福島第一原発廃炉作業の実情(規制庁・特定原子力施設監視・評価検討会より)

みなさまへ(拡散希望)

福島第一原発の廃炉作業の実情です。

昨日30日に規制庁で特定原子力施設監視・評価検討会が開催されました。特定
原子力施設というのは福島第一原発のことです。

会議資料

https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/00000050.html
映像
https://youtu.be/lwexYx7Dvc4

以下が内容ですが、どの項目をみても、柏崎刈羽原発で審査対象となった「廃炉
を主体的にやりきる覚悟と実績」について、東電の資格、適格性について疑問を
いだかずにはいられません。東電は、最初の説明では、高濃度汚染水対策もデブ
リ取出しもさもうまくいっているように話すのですが、規制庁や福島県にちょっ
と指摘をされただけでしどろもどろになってしまっています。そのことをもって
しても、東電には原発運転の資格はないと思います。

11月14日の院内集会・交渉では、こうした実情を踏まえて、東電の資格、適
格性について問いたいと思います。ぜひご参集ください。

http://kiseikanshi.main.jp/2017/10/26/171114/

<建屋内の貯留水で放射能濃度上昇>

 建屋内に貯留する高濃度汚染水について、東電はくみ上げて移送することによ
り、水位を下げて放射能レベルも下げる作業を行っています。来年4月までに放
射能レベルで10分の1にする計画でしたが、最近になって逆に10倍に上昇し
ています。

 東電は、復水タンクへの移送が原因で、放射能上昇は一時的なものであると説
明、ただその一方で、それだけが原因ではないとも。規制庁幹部の山形氏が、原
因について定量的な説明を要求すると、東電は急にしどろもどろに。復水タンク
への移送が原因なら、すぐに戻るはずのところ戻っていないと。他の原因が考え
られると言いますが、それもきちんと説明できずじまいでした。

<遮水壁閉合したのに地下水位さがらず>

 建屋内への地下水の流入を減らすため、東電はくみ上げ井戸(サブドレン)を
稼働させています。さらに問題解決のために、つくられたのが遮水壁で、ゼネコ
ンの技術で氷の柱を立てるものでした。これが完成し、完全に閉合できるように
なったと報道もされています。しかし現実には地下水の流入は続いています。

 東電は、陸側遮水壁については、まだ閉合過程にあり、効果を確認するのに時
間がかかると説明しました。規制庁の山形氏は、すでに閉合が確認されているは
ずの海側について、雨水でしみこむ以上に地下水位が上昇しているが、これはな
ぜかと聞きました。するとまたしどろもどろになり、何らかの原因で地下水が流
入しているようだ、と首をかしげるだけでした。

<地下水位の設定ミスはなぜ見逃されたのかも不明>

 地下水位の管理は非常にデリケートで、単純に下げればよいというものではあ
りません。地下水位が、建屋内の高濃度汚染水の水位よりも下回ってしまうと、
こんどは中の高濃度汚染水が建屋の外に出てしまいます。これは絶対に避けなけ
ればなりません。サブドレンも遮水壁も実は完全に地下水を止めるわけにはいか
ないのです。
 
 サブドレンを用いた地下水位の管理について、地下水位の設定にミスがあり、
この半年間で何度か、地下水位が建屋内の水位を下まわり、高濃度汚染水が外部
に漏れた可能性がある状態だったことが明らかになりました。

 この件で東電は、震災により地盤の海抜が70センチ下がったことから、海抜
の基準が震災前と後で混乱しないようOP(小名浜基準)からTP(東京基準)
に変更したがそれが徹底していなかったことが原因だとし、マニュアルを変えか
らもう大丈夫だと説明しました。
 
 これに対し、規制庁山形氏は、設計段階で行われた検討会議で誰もチェックで
きなかったことを問題視。なぜ誰も指摘できなかったのか?形だけの会議ではな
かったのか?これに対して東電は言葉を失っていました。

<デブリ取出し計画…それは取出しとは言わない!>

 廃炉事業のメインとなるデブリ(溶融燃料)の取出しについて、東電は、調査
を継続しながら、まずは安全性を考えて小規模の取出し、その後、大規模な取出
しと、段階的に取り出す計画だとした上で、小規模の取出しについて説明しまし
た。その内容は、既存の貫通孔を使って小さなロボットでデブリを吸引しかき出
すのだと。

 その説明を聞いた規制庁櫻田氏は、落ちている溶融物の破片をかき集めるだけ、
これはデブリ取出しではないと指摘。今行っている調査のためのサンプル取出し
と何が違うのか、わざわざ別にやる意味はあるのかと質問。するとこれまで意気
揚々と説明していた東電は急に、具体的な作業内容は何もきまっていない、ロボ
ットもこれから設計するとトーンダウン。エネ庁も、何も決まっていないことを
強調していました。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

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