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2018/10/05

南相馬20ミリ基準撤回訴訟に保養による内部被ばく低減(尿検査結果)を準備書面として提出

10月3日、南相馬20ミリ基準撤回訴訟の第13回法廷が開かれました。この法廷では、原告の平田安子さんの2か月間の長期保養前後の尿検査結果が準備書面として提出されました。また法廷で準備書面説明として平田安子さんご本人が裁判長の前で発言をされました。

 

 尿検査の結果を説明する準備書面はちくりん舎が作成したものです。平田安子さんの説明は長期保養で内部被ばくが低減された経験と、南相馬の生活では内部被ばくが避けられないこと。国として避難や移住の権利を認めること、保養など十分な補償を切々と訴える説得力のあるものでした。

 

 ちくりん舎が作成した準備書面と、平田さんが法廷で発言された言葉をご紹介します。

 

準備書面をダウンロード

 

平田安子さんの発言をダウンロード

 

 

今回の法廷ではこのほか、被告である国の放射線リスクを肥満や野菜不足、喫煙によるものと同列に並べる主張への反論、化学物質のクリアランスレベルと比較して年間20ミリシーベルトによる基準がいかにリスクの高いものであるか、について弁護団長である福田弁護士からの説得力ある説明もなされました。

 

 これらについては、「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」のHPに資料や報告がありますのでそちらもご覧ください。

 

 

南相馬・避難20ミリ基準撤回訴訟支援の会

 

支援の会「弁護団より」のページ 

Photo
法廷開始前に経産省前で原告の方と一緒にアピール

Photo_2
報告集会での福田弁護士の説明

2018/10/02

フクイチ汚染水・小委員会が公聴会後初の会合

みなさまへ(拡散希望)
http://kiseikanshi.main.jp/2018/10/02/13445/

経産省講堂にて、ALPS処理水小委員会の会合が開かれました。福島第一原発
のタンク中の汚染水について、トリチウム以外の放射能が多量に含まれているこ
とが明らかになり、また8月末の公聴会で海洋放出への批判が相次いだ後のはじ
めての会合です。傍聴してきました。今日は主にトリチウム以外の放射能の現状
について東電から説明がありました。


http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/010_haifu.html

〇ストロンチウムは出口で告示限度の最大数十万倍/タンクで約2万倍
〇東電…再度のALPS処理は環境への放出が前提
〇濃度でしか議論せず…総量をリスクとして捉えて議論すべき

会合では、公聴会で寄せられた意見のまとめのあと、トリチウム以外の放射能に
ついてタンク水の現状について東電から報告を受けました。

会合に先立って、東電は既にタンク水中のトリチウム以外の放射能について発表
しており、昨日までに、最大で告示濃度限度の2万倍のストロンチウムが含まれ
ているなどと報道されていました。

東電は会合で、放射性ヨウ素などの放射能が、告示濃度限度を超えたのは、2013
~2015年度までの時期と2017年度~の時期で、原因は、2013~の時期は、性能が
不十分であったこと、不具合があったこと、敷地境界1ミリ以下を達成するため
に吸着材の交換頻度を下げたこと、2017~の時期はフランジ型タンク内の水の処
理を急いだためにやはり吸着材の交換頻度を下げたことだと説明しました。

2014年には設備の不具合のために前処理ができずにストロンチウムがスルーした
ものがあり、出口濃度で告示濃度限度の数十万倍(資料からの読み取り)、タン
ク内で約2万倍となったものもあったと。

東電は、委員にも国民にも説明が不十分だったと陳謝しました。委員から、国民
の関心時であるのに、問題はトリチウムだけと聞かされていた、なぜ知らせよう
としなかったのかと詰め寄りましたが、東電は、関心がずれていたというだけで
した。

会合では、告示濃度限度を超えるものがタンク内に送られたことについて、規制
上の取扱いも問題になりました。会合に参加していた規制庁の今井氏は、ALP
Sの実施目的に告示濃度限度以下に低減するとの記載があり、告示濃度限度を超
える処理水が生じることは適切ではないと回答しました。委員から、であれば、
薄めて告示濃度限度以下にすればよいとの更田委員長の発言は問題ではないかと
問いましたが、今井氏は答えることはできませんでした。

また、東電は会合で、処理水の二次処理についても言及しました。放射性ヨウ素
などを告示濃度限度以下にするため、ALPSに再度通すないしは逆浸透膜装置
を通すというものですが、東電が会合で示した資料には「環境へ放出する場合は
処分前に…二次処理を実施」とあり、環境への放出が前提となっています。

委員はこの点をスルーして、処理水を二次処理してまたタンクに戻すとの意味合
いでとらえて前向きに評価し、説明にあたった東電の松本氏もそのような理解で
よいと回答していました。会場から、環境への放出を前提とするとの記載に対し
て疑問の声があがりました。

山本委員長も二次処理の方針を持ち上げて終わったのですが、不安を感じた委員
から、終了直後に発言があり、タンクの保管について今後検討することの確認が
ありました。結局、二次処理について、環境への放出を前提にするのかは不透明
なままでした。

放射能のリスクについては、濃度ではなく総量で議論すべきという意見が公聴会
でも多数でました。しかし会合では、トリチウム以外の放射能については、総量
も示されず、濃度の議論に終始しましました。それでは薄めて放出するのも二次
処理も同じことになってしまいます。ストロンチウムやヨウ素は、環境中に出る
と生体濃縮がすぐに問題になる放射能です。総量を明らかにしたうえで、総量を
リスクとして捉えないと、二次処理についての議論はできないと思います。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

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