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2019/06/01

再送<政府交渉報告>原子力防災・安定ヨウ素剤配布のここが問題!

みなさまへ(拡散希望)

5月28日午後に参議院議員会館にて、原子力防災(安定ヨウ素剤の配布及び避
難退域時検査について)に関する院内集会と政府交渉が行われました。
http://kiseikanshi.main.jp/2019/05/30/114499/

パブコメを出そう
http://www.jca.apc.org/mihama/bousai/pubcomme_siryo20190514.pdf
FFTV https://youtu.be/k-fmxqmONrQ

集会には、浪江町から兵庫県に避難された菅野みずえさん、福井県おおい町の宮
崎さん、米子市議の土光さん、関西から、黒田さん、増田さん、島田さんが来ら
れ、会場には、武藤類子さん、松本徳子さんもみえていました。設定をお願いし
た福島みずほ議員には政府交渉にご参加いただきました。

<院内集会>

院内集会では、まず菅野みずえさんから、福島第一原発事故の避難の状況をお話
いただきました。避難所での放射線測定(スクリーニング)において、10万カウ
ントの針が振り切れるような状況であったのに、名前も聞かれず、記録もとられ
なかったとのことでした。

その後、交渉の内容に関わる問題について、宮崎さん、土光さん、避難計画を案
ずる関西連絡会、原子力規制を監視する市民の会からお話がありました。

<政府交渉>

交渉には、原子力規制庁放射線防護グループから、竹本泰子氏(課長補佐)、渡
邊裕貴氏、新井知大氏(被ばく医療防災専門職)の3名が、内閣府原子力防災担
当から、林田浩一氏(参事官補佐)と藪本順一氏(専門官)の2名が参加しまし
た。規制庁は主に竹本氏、内閣府は主に林田氏が対応しました。

◆「40歳以上は服用の必要なし」について

・「チェルノブイリ原発被ばく者の調査では、40歳以上でもリスクはある」と認
める
・WHOガイドライン2017には「40歳以上は服用の必要なしとは書かれていな
い」と認める

安定ヨウ素剤の配布について、現在パブコメ中の解説書の改定案に「40歳以上は
服用の必要なし」と書かれた件について、市民側はこの文言の撤回を求めて問い
ただしました。規制庁の竹本氏は、「子どもや妊婦を優先させる。40歳以上でも
希望者には配布する、配布しないわけではない」と何回も繰り返しました。

市民側は、原子力安全委員会に提出された、40歳以上でも相対リスクが上昇して
いることを示すチェルノブイリ被ばく者の調査資料を示しながら確認をとりまし
た。規制庁は、この資料から40歳以上でもリスクはあることが示されていること
を認めました。

また、改定案に「40歳以上は服用の必要なし」との根拠として「WHOガイドラ
イン2017年版においては、40歳以上の者への安定ヨウ素剤の服用効果はほとんど
期待できないとされている」と記されているが、WHOガイドライン2017年版に
はそのような文言がないことについて聞きました。

規制庁は「40歳以上の人は安定ヨウ素剤投与の有益性はより低くなる可能性が高
い」との文言があると回答しました。しかし「服用効果はほとんど期待できな
い」とは意味が全く違います。他にあるのかと聞くと、他に挙げることはできず、
WHOガイドライン2017年版には「40歳以上は服用の必要なしとは書かれていな
い」ことを認めました。

◆UPZ(30キロ圏)の住民への安定ヨウ素剤の事前配布について

・緊急配布が困難な場合は、地方公共団体が必要と認めれば事前配布できる
 「普通の解釈では、地方公共団体とは、市町も含まれる」
 「しかし、緊急時安全対策交付金の制度上、県が申請することになっている」
・被ばく前から直後までの服用が有効と周知することに
 →UPZでは被ばく後でないと安定ヨウ素剤が配布されない矛盾

UPZでの事前配布について、解説書では、原則緊急時配布となっていますが、
それでは効果のある被ばく前の摂取は不可能です。UPZについても事前配布と
すべきだという立場で質疑をしました。

解説書では、緊急時配布が困難な住民に対し、地方自治体が必要と判断した場合
という条件付きで、UPZでの事前配布を認めています。米子市、境港市、鳥取
県の判断により、希望者への事前配布が実現していますが、福井県では、市町が
必要性を認めても、福井県が動かず、事前配布ができない状況となっています。

米子から、解説書の文言「地方自治体が必要と判断した場合」とある地方自治体
には、市町村は含まれるのか、市町村だけでも必要と判断した場合は、国費によ
る事前配布ができるのかとの質問が出ました。

回答した内閣府は、文言にある「地方自治体」は普通に解釈すれば市町村も含ま
れるが、交付金の制度上、県に交付することになっているので、市町村に交付す
ることはできないと述べました。市民側は「地方自治体」に市町村が含まれるの
であれば、解説書の趣旨に従い、市町村の判断だけで国費による事前配布ができ
るようにすべきだとし、検討を求めました。

今回の解説書の改定案では、安定ヨウ素剤の服用のタイミングについての記載が
膨らみ「放射性ヨウ素にばく露される24時間前からばく露後2時間までの間に安
定ヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を
抑制することができる。」「安定ヨウ素剤の服用効果を十分に得るためには、服
用のタイミングが重要であり、平時から住民に適切な服用のタイミングについて
周知する必要がある。また、安定ヨウ素剤の備蓄、事前配布、緊急時の配布手段
の設定等の平時からの準備が必要となる」との文言が追加されました。

これに従えば、今後は平時から、安定ヨウ素剤は被ばく前から被ばく直後までに
服用するよう平時から周知することになります。ところが、UPZでは、安定ヨ
ウ素剤を避難時に一時避難所やスクリーニングポイントで受け取ることになって
おり、その避難指示は、500μSvという高い値が観測されて始めて出ることにな
っています。被ばくしてからでないと避難できず、安定ヨウ素剤も受け取れない
のです。指針そのものに矛盾があります。

規制庁は、被ばく前の服用を周知することを認めました。矛盾の指摘については
何も答えられませんでした。市民側は改めて事前配布の拡大を求めました。

◆避難退域時検査について

・内部被ばくの把握については判断基準もマニュアルもなく今後の検討課題
・現状のスクリーニングの基準は甲状腺の内部被ばくは考慮されていない

避難所で行われる被ばく測定(スクリーニング)については、福島第一原発事故
直後に、13,000カウントの基準が10万カウントにひきあげられただけでなく、当
時のマニュアルでは行われるはずだった、内部被ばくを把握するための、鼻スメ
アや甲状腺測定を含む2度目のスクリーニングが行われなくなってしまい、内部
被ばくの把握というスクリーニングの主目的が失われてしまいました。

これに対し、現状の指針では、スクリーニング(避難退域時検査)について、目
的に中には「内部被ばくの抑制」がうたわれ、内部被ばくが疑われる場合には、
鼻スメアや甲状腺スクリーニングなどが行われると書いてあります。しかし、具
体的にどのような場合に内部被ばくを疑うのか、鼻スメアや甲状腺スクリーニン
グの判定基準は何なのか、このような測定をどこでやるのかが書いておらず、マ
ニュアルにも記載がありません。これでは何も実行されないことになります。

規制庁の回答は、鼻スメアや甲状腺スクリーニングは拠点病院で行う、内部被ば
くを疑うのは、鼻や口元で放射能が検出されたらというものでした。福島第一原
発事故以前のマニュアルでは、避難所で行う検査を、各県に3か所程度の拠点病
院でないと行わないというのは大きな後退です。それに、鼻や口元の放射能をど
うやって検知するのでしょうか。そのような話は初耳です。

現状の指針では、ガイガーカウンターによる体表面汚染のスクリーニングでは、
①頭部・顔面、②手指及び掌、③靴底の三か所を測定することになっています。
鼻や口元の放射能の検出というのは、このうちの①頭部・顔面の測定を指してい
るのか?どこに書いてあるのか?体表面汚染のスクリーニングは4万カウントが
基準だが、今の話は、基準はいくらなのか?結局規制庁は何を聞いても答えられ
ず、今後の検討課題だと回答しました。内閣府に聞いても首を横に振って聞いた
ことがないと言いました。

4万カウントの根拠について聞くと、IAEAの体表面スクリーニングの基準が6万
カウントで、それよりも小さい値にしたとの回答でした。しかしIAEAの基準は甲
状腺の内部被ばくを考慮したものではありません。福島第一原発事故当時のマニ
ュアルに記載の13,000カウントは、甲状腺等価線量100ミリシーベルトに相当す
るものでした。IAEAは甲状腺防護のための包括判断基準を甲状腺等価線量で50ミ
リシーベルととしていますから、これに合わせるのであれば、13,000カウントよ
りも厳しくしなければいけないはずです。40,000カウントでは、甲状腺等価線量
で300ミリシーベルトにもなり、甲状腺の内部被ばくを考慮したものではありま
せん。これに対し規制庁からは何ら反論はありませんでした。

さらに、現状の指針とマニュアルでは、ガイガーカウンターによる測定は、車両
だけを測り、40,000カウントを下回れば、乗車した全員が検査なしで通過してし
まいます。これでは、人の内部被ばくの把握などできようがありません。これに
ついては、各地から、このようなやり方を変えるよう要求がありました。

★交渉を通じて、特に「40歳以上は服用の必要なし」の解説書の文言に根拠がな
いことが明確になりました。パブコメでこの文言の撤回を求める意見を集中しま
しょう。また、解説書に追加された「服用のタイミング」の記載に照らしても、
UPZでも事前配布を原則とすること、避難退域時検査については、内部被ばく
把握のための検査内容とするよう、指針の見直しを求めていきましょう。

<パブコメを出そう!>********************

是非パブコメに意見を集中しましょう。以下に避難問題を案ずる関西連絡会と原
子力規制を監視する市民の会で作成した文例がありますので参考にしてください。
http://www.jca.apc.org/mihama/bousai/pubcomme_siryo20190514.pdf

「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」のパブコメはこちらから
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198019201&Mode=0

「原子力災害対策指針」のパブコメはこちらから
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198019103&Mode=0

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

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