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2020/01/23

福島県「聖火リレーコース線量調査」が示す放射能汚染状況

福島県は1月21日「聖火リレールートにおける環境放射能モニタリング結果」を発表しました[1]。その結果によれば、車道では「平均値は0.04~0.15マイクロシーベルト。測定地点の最大値の0.46マイクロシーベルトは郡山市で記録された」、沿道では「区間の平均値は0.04~0.25マイクロシーベルト。測定地点の最大値の0.77マイクロシーベルトは飯舘村だった」と報道されています。また飯舘村沿道の0.77マイクロシーベルト地点にかんして「ここに4時間滞在した場合の追加被ばく線量は0.003ミリシーベルトで、国の目安の年間1ミリシーベルトと比べて問題ない」との説明があったと報じられています。[2]

[1] 「東京2020オリンピック聖火リレールートにおける環境放射能モニタリング結果情報」
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/torch-mon-detail.html

[2]聖火リレー「問題なし」 福島県が放射線量を測定 河北新報2020.1.22
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202001/20200122_61002.html

これだけでは実態が良くわかりません。福島県発表のデータにもとづいて分析をしてみました。

先ず注目すべきは飯舘村の沿道の放射線レベルが極めて高いことです。下図が飯舘村の沿道調査個所合計404地点の線量の分布を示します。

1

図1 飯舘村沿道

福島県発表では平均は0.25μSV/hです。コース全体の平均が「汚染状況重点調査地域」にあたる0.23μSv/hを超えています。この値以上であれば国の責任で除染が必要な地域として指定される場所です。既に除染は「完了した」としているわけですがこのコース全体が依然として国が定める除染対象区域であることになります。図1からも分かるように0.2μSv/h未満の場所は半分以下の188箇所(47%)です。約半分の場所が国が決めた除染の基準を現在でも満たしていないことになります。

最高の値である0.77μSv/hについて福島県は「ここに4時間滞在した場合の追加被ばく線量は0.003ミリシーベルトで、県は国の目安の年間1ミリシーベルトと比べて問題ない」と説明したと報じられています。しかしここは住民が住んでいる場所です。4時間だけ滞在しているわけではありません。年間で計算すれば6.57mSvに相当します。しかもこれは飯舘村のメインロード脇です。更に放射線量の高いところはいくらでもあります。これが除染が完了し避難指定が解除された飯舘村の現実です。

Photo_20200123181701

図2 川俣村沿道

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図3 葛尾村沿道

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図4 南相馬市沿道

Photo_20200123181901

図5 福島市沿道

Photo_20200123181902

図6 郡山市沿道

図2から図6は今回の調査で比較的レベルの高い場所の線量の頻度分布です。人口の集中する福島市や郡山市でも0.2μSv/hの場所があります。低線量被ばくの影響は確率的です。線量が比較的低くとも被ばくする人口が増えればそれだけがんやその他の疾患になる人数は増えます。このことを考えれば「聖火リレー」は「問題ない」などと言うのは、オリンピックありきで、そこに住んでいる住民への配慮などしていないという姿勢の表れではないでしょうか。

今回の福島県の調査では聖火リレーコースのみに限定し、かつ地上1m高での空間線量率のみを測定しています。このため周辺住民の居住場所の実態やホットスポットの存在を見落としています。地上1cmの線量や土壌サンプリングによる土壌汚染密度の測定が必要です。

繰り返しになりますが聖火リレーコースは住民が住んでいる場所です。4時間滞在で0.003mSvであれば、住民にとっては年間6.57mSvとなります。聖火リレー時の滞在だけを問題にして住民の年間被ばくを無視することは住民の被ばくへの極めて不当な軽視であると考えます。

空間線量率による外部被ばくだけの評価も問題が大きいと考えます。聖火リレーが行われるのは3月下旬です。春先の乾燥時等に粉じんの吸入による内部被ばくを警戒すべきです。特にランナーや沿道での子どもの応援などに対しては放射能を含んだ粉じんの吸い込みをしないよう注意喚起が必要と考えます。もちろんこれも聖火リレーの時だけが問題ではありません。住民にとって放射能を含んだ粉じんを吸い込まないよう常に注意が必要となります。

安倍政権は「復興五輪」と称して聖火リレーのスタート地点をJビレッジにするなどオリンピックブームによってあたかも原発事故の被害は一掃され復興が進んでいるかのように国内外に発信しようとしています。

しかし今回の福島県の聖火リレーコース調査からでさえ、「復興五輪」と称するオリンピックの開催に無理があることを明らかにしたといえるのではないでしょうか。

 

 

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コメント

科学時代・現代の幽霊様が居られるようじゃのー?
放射能と言う亡霊じゃ!
いや
放射線と言う幽霊じゃな!

福島県の聖火リレーで皆さん健康になるんじゃ!
放射能<ラジウム>温泉みたいに!
北投石みたいに!

最近の国会の議論を見ていると、なんとも浅浅はかはかな!
あんべさんに「放射能を経験する会」でも主催してもらったら?
いや、「放射線を経験する会」だっちゃ!
賞金ペーさん、トラ寅ンぷーさんにも、
ぷープーちん陳さんにも。キムきむジョン序ン雲散にも!
もちろん自費だよ!

一寸は頭良くなるのでは?
20? 〇〇そにもならない。
生涯100でも、1000でも何でもない。
頭が良くなるよ!

北投石をお土産にやるか?

https://www.news-postseven.com/archives/20111024_66653.html

東京都世田谷区の民家で見つかった「放射能ビン」騒動は、当初、“東京ですごいホットスポットが見つかった”と、
市民運動家や反原発団体<<あの会かな??>>を大騒ぎさせた。
 <<何とか情報室じゃないの!?>>

市民団体の調査がきっかけで、民家前の道路で最大3.35マイクロシーベルト/時の放射線が計測され、
民家敷地内では8.4(同)、壁面で18.6(同)という高線量も検出された。
<<へー、結構高そうだね。何だったんだ??>>

原因は床下に保管されていた放射性ラジウムの入ったビンで、夜光塗料の原料だったと推定されている。 
<<ラジウムね;なるほどね 昔よく使っていたんだ。ラジウム温泉だったんだ>>

この騒ぎはいくつかの示唆的な教訓を残した。<<確かに>>

第一に、相変わらず「高濃度」「基準を上回る」「通常の○倍」といった、
国民にはほとんど意味のない修飾語をつけて報じる大マスコミの勉強不足である。

本誌・週刊ポストは何度も書いたが、改めてここで、最低限知っておくべき「危険な被曝か、
そうでないかの判断基準」を記す。 <<週刊ポストは勉強しているのかな>>

一般のニュースで使われる「マイクロシーベルト/時」という空間線量率を表わす単位から、
自分がどれだけ被曝するかを求めるには、その場所に居続けたと仮定して、
「8.766」を掛けると「年間被曝量」を「ミリシーベルト」で知ることができる。

<<ああ、8700倍ね;いやいや8.7倍だよ。ただし、単位ミリに変えるんだよ>>

今回の場合、この道路に居続けた場合の年間被曝量は、3.35×8.766=29.3661ミリシーベルトになる。
<<年30ミリシーベルトか!>>

安全な被曝量は「年間1ミリシーベルト以下」とされるから、30ミリ近く被曝することは問題である。
<<いやいや全然問題ないよ!>>

ただし、この場所に24時間365日、居続ける人はいない。
毎日この道を通り、行きも帰りも必ず1分間立ち止まるとしても、

年間被曝量は約0.04ミリにすぎない。これは胸のレントゲン検査1回分程度の被曝量であり、
もちろん安全基準上限を十分に下回る。

ちなみに、この民家に暮らしていた老女は、50年以上にわたり、
推定で年間30ミリの被曝をし続けたとみられるが、
90歳を超えて健在で、がんにもかかっていないそうだ。
<<かかるわけないよ!>>

民家前の道路で最大3.35マイクロシーベルト/時、←上の話はこれ!通行人の話
民家敷地内では8.4(同)、←老女はこれ! 60~90ミリ/年
  ということは、50年間で、×50=(60~90)×50(シーベルト)=
     3シーベルト~4.5シーベルト
壁面で18.6(同)←いや、老女はこれ!
     20として、x50は、10シーベルト
 まあ、数シーベルトは間違いなさそうだね。
人間て丈夫なんだね!
福島事故で、放射能とか、放射線とか、被曝とかバカ騒ぎだったね。

<以下略>

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