【賛同団体募集】飯舘村 放射性物質汚染木材を燃やすバイオマス発電計画の撤回を求める要請文
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1.裁判報告
6月2日(火)福島地裁にて第四回目の裁判が開かれました。原告からは前回の裁判長の求めに応じて、HEPAフィルタが虚偽であることの根拠を分かりやすく整理した形の準備書面を提出しました。田村バイオマスエナジーはいまだに一切の資料提出を拒否したまま、「HEPAフィルタは安心のために設置するものであり個別の集じん性能を数値化※するものでない」
などと、居直ったような主張をしています。
しかしこの日、裁判長は「被告側は安心のためHEPAフィルタを設置したと主張している。放射性物質の検査やバグフィルタの機能的欠陥があるかどうかが詐欺の要件に当たるかどうかに関わってくる」とし、すでにこれまで原告側が批判してきた汚染木材の検査方法やバグフィルタの問題点についてさらに説明を求め、被告側の論理に引きずられたかのような印象がありました。
※「安心」というのは人の主観に基づくもので数値化できません。「安全」というのは危険の程度を客観的な数字で示さなければなりません。被告側が「安心のため」とすり変えているのは、まさにHEPAが偽物であり集じん率を数字で示せない(示したくない)ことを表しています。
裁判の論争の分かりやすい解説はちくりん舎HP http://chikurin.org/wp/?p=5747 をご覧下さい。
2.田村市への寄附金
大越町の環境を守る会が田村市へ情報開示請求を行い、過去5年間の田村市への寄附金を調べたところ、田村市と田村BEが土地賃貸借契約を締結した直後の2019年度に5百万円~5千万円の大口寄附金17件(寄附者は非開示)が集中して寄せられていることが明らかとなりました。不透明な使途につながっていないかどうか、市議会議員が調査権を使って明らかにする必要があるのではないでしょうか。
3.飯舘村蕨平仮設焼却炉跡地利用計画
飯舘村は蕨平で稼働する環境省の仮設焼却炉の今年10月での運転終了に合わせ、その後の跡地利用として木質バイオマス発電を計画していることを議会に伝えました。
村内国有林を燃料とし、先行事例として田村バイオマス事業を参考とするとしています。
放射性物質に汚染された森林を焼却すれば放射性物質の再拡散となり、呼吸によって肺の奥へ取り込まれた放射性物質は長く体内にとどまり、全身のさまざまな疾患をひき起こすことが指摘されています。特に子どもたちへの影響ははかり知れません。
みなさまへ(拡散希望)
本日、参議院議員会館にて、六ヶ所再処理工場の安全上、経理上の問題について、
規制庁及び経産省との交渉を行いました。交渉にはオンラインで美浜の会の小山
英之さん、岩手の会の永田文夫さん、龍谷大の大島堅一さんはじめ、50名近い
方にご参加いただきました。会場には福島みずほ議員、菅直人議員、宮川伸議員
がみえました。オンラインでもご参加いただきました。
動画
https://youtu.be/nwFec_CA6PQ
◆トリチウム放出の告示濃度基準は再処理工場にも適用すべき
・トリチウムの放出について、原発では告示濃度限度として1リットル当たり6
万ベクレルという基準があります。ところが六ケ所再処理工場には限度がなく、
アクティブ試験の実績では1500倍に相当する1リットル当たり9千万ベクレルが
放出されました。本格稼働すれば、福島第一原発で海洋放出が問題になっている
汚染水を大きく上回る量が日常的に放出されることになります。
・規制庁は、再処理工場では、食べ物など放出放射能による影響で一般公衆年間
1ミリの基準を超えないことを確認しているから問題ないと説明しました。しか
し、原発の告示濃度限度も、敷地境界で空気や水を摂取し続けても年間1ミリを
超えないことから定められたものです。再処理工場で同じ基準を適用しないのは
なぜか。
・規制庁は驚いたことに、再処理工場の危険性を語りはじめます。原発では放射
能は燃料の中に閉じ込められており、放出される核種は限られている。しかし再
処理工場は、燃料を切断してあらゆる核種の放射能が出てくる。あらゆる核種が
出てくるので各種ごとに告示濃度限度を定めるのは大変だから適用しないと。
・ありとあらゆる核種が出てくるのであればなおさら、規制を厳しくしなければ
ならないはずです。再処理工場が告示濃度限度を定めないために基準が緩くなっ
ていることを認めるかと問うと、結果的に緩くなっていることを認めました。市
民側は、改めて濃度基準を設けずに大量放出を行うべきではないと主張しました。
◆放出放射能の低減を求める基準21条にも違反する
・トリチウム、クリプトンや炭素14については、放出放射能を低減する設備は
なく、全量放出が方針となっています。これは、放出放射能の低減を求める基準
21条に違反します。このことを質すと、ただ、管理目標値(年50マイクロシー
ベルト)を下回ればよいというだけでした。
◆ガラス固化の構造的欠陥が明らかになったアクティブ試験について評価せず
・アクティブ試験ではガラス固化でトラブルが続出し、放射能漏れ事故を起こし
て止まってしまいました。構造的欠陥が明らかになったのですが、今回、規制委
員会による審査では、アクティブ試験については結果の確認は行っていないとの
ことでした。
・なぜ確認しないのかと聞くと、今回の事業指定許可では基本設計をみる。アク
ティブ試験については、後段の詳細設計(工事計画認可及び使用前検査)でみる
とのこと。しかしガラス固化の欠陥は構造的なもので、基本設計にもかかわるは
ずです。それについて議論したのかと聞くと返事はありませんでした。
◆高レベル廃液貯槽等でプルトニウムが臨界事故を起こす可能性
・高レベル廃液貯槽と不溶解残渣廃液貯槽を特定して、プルトニウムが臨界事故
を起こす可能性を検討したのか、具体的に聞いたのですが、規制庁側は、一般的
に臨界事故対策としてどのような審査を行ったのか述べるだけでした。具体的に
高レベル廃液貯槽と不溶解残渣廃液貯槽を臨界事故の評価から外した理由につい
て改めて聞くことになりました。
◆再処理計画は破綻している
・再処理の事業計画について、40年で32,000トンの再処理を行うことが前提とな
っていることを確認したうえで、再稼働が進まず、電力会社からの拠出金が不足
することや、プルサーマルは危険で反対が強く、原子力委員会決定により再処
理が進まないことを問題にしました。
・経産省は、将来のことはわからない、再処理機構と原燃の間の契約上の話だか
ら機構に聞いてくれと逃げました。
・核燃料サイクルは全体が破綻しており、再処理もプルサーマルもやめるべきだ
と述べて終わりました。
質問事項
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200617_Q.pdf
資料(濃度規制、アクティブ試験、ガラス固化体など)美浜の会の小山さんの資
料より
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200617_shiryo.pdf
資料(財務的側面)
https://www.foejapan.org/energy/stop_restart/pdf/200608_oshima.pdf#page=47
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
http://chikurin.org/wp/?p=5747
6月2日、福島地方裁判所において田村バイオマス訴訟の第4回法廷が開かれました。コロナ感染拡大防止で傍聴者の人数制限もあるため、主に福島県内の方に傍聴参加を呼びかけました。13:10分からの法廷には原告および支援者が約15名集まりました。
【裁判長の発言に変化?】
法廷では原告側から準備書面(2)が提出されました。前回の裁判長の発言で、原告側の請求原因の整理をして欲しいとのことで、あらためて原告側の主張の整理と前回提出された被告側準備書面(1)(2)への反論が盛り込まれたものです。
法廷で裁判長から、「次回、あらためて原告側から燃料として放射性物質の付着したものが持ち込まれる可能性や事前検査についての問題点、およびバグフィルタでは放射性物質が捕捉が機能しないこと主張を整理して出して欲しい」との発言がありました。これに対して原告代理人からは「この裁判では被告が設置するとしているHEPAフィルタが本来の性能を果たせない虚偽のものであり詐欺であることが争点」「燃料への放射能の付着やバグフィルタの欠陥については今回の準備書面(2)でも触れている」との反論がありました。
それに対して裁判長の反応は、「被告側は安心のためHEPAフィルタを設置したと主張している。放射性物質の検査やバグフィルタの機能的欠陥があるかどうかが詐欺の要件に当たるかどうかに関わってくる」という旨の説明がありました。
これは従来の法廷での裁判長の一連の発言と随分異なるものです。裁判長は1回目法廷で「この裁判はHEPAフィルタが争点となる。どういうものか分からないので、その説明を含めて主張を整理してい欲しい」との発言がありました。2回目法廷では「HEPAフィルタの問題点について改めて原告側の主張を整理して欲しい」との発言がありました。原告側はそれらの発言に応えた準備資料や証拠書類を提出してきた経緯があります。
今回の裁判長の発言は、被告側の「HEPAフィルタは『安心のため設置』」との主張をそのまま引用するなど、被告側の論理に引きずられたかのような印象もあります。一方で原告・被告双方の主張を対応させて並列に引き出そうとも考えられます。次回の裁判は8月18日(火)14時~と決まりました。
【報告集会では今後の進め方について議論】
法廷終了後、近くの福島市民会館にて報告集会が開かれました。報告集会では司会の和田央子さんの挨拶のあと、ちくりん舎の青木からこれまでの法廷での論争のポイントの紹介がありました。
田村バイオマス訴訟の経緯と新たな展開はこちらからダウンロードできます
その後、坂本弁護士から今回の法廷でのやり取りなどについて解説がありました。裁判長はこれまで本裁判がHEPAフィルタの虚偽性が争点になることを繰り返し発言してきた、今回はそれと異なっているという説明がありました。原告側の主張からすれば、たとえ仮にバグフィルタに欠陥がないとしても、HEPAフィルタが本来の性能を発揮しない虚偽のものであれば問題だとする立場だとの説明がありました。次回法廷に向けては、被告側が住民に向けてバグフィルタについてどれだけ説明してきたのか、も含めて、燃料の放射能汚染、検査の問題、バグフィルタの欠陥について準備書面を用意してゆくとの説明がありました。
原告代表の久住秀司さんからは、情報開示で田村市への寄付金の状況を調査した結果が報告されました。それによると500万円以上の大口寄付が、田村バイオマスが動き出す2018年に集中していることが報告されました。(寄付者は黒塗りのため不明)。田村市議会議員への裁判情況のレクチャー・学習会の計画などが必要との議論もありました。
飯館村からは佐藤八郎村議が参加されました。飯館村では蕨平の仮設焼却炉の跡地にバイオマス発電計画が予定されているようで、その計画について環境省からの説明会があった旨の報告がありました。この問題についても注目が必要で今後連携をして欲しいとの発言がありました。
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