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2020/12/24

<政府交渉報告>大飯原発設置許可消しについての院内集会&対政府交渉

みなさまへ(拡散歓迎)

本日参議院議員会館にて、大飯原発設置許可取消し判決をめぐり院内集会と政府
交渉が行われました。

集会には、原告共同代表の小山さん、アイリーンさん、原告の島田さん、武藤さ
ん、福井の原告の石地さんも参加されました。FoEの満田さん、技術スタッフの
松本さん、会場には後藤さんとメディアのみなさん、院内集会に立憲の山崎誠議
員、政府交渉には設定をお願いした福島みずほ議員が参加されました。ズームと
YouTubeのオンライン参加を含めて80名近い参加となりました。

動画は以下で視聴できます
https://youtu.be/A1pCw9Exf6U

交渉には、原子力規制庁の法務部と実用炉審査部門と企画調整課から参加し、う
ち法務部と実用炉審査部門の地震担当の人が主に対応しました。


◆訴訟当事者であることを理由に発言を遮る原子力規制庁の法務部

法務部の人は決まり文句のように「本日は大飯原発の判決についての意見交換と
聞いているが、訴訟に関わる内容について、訴訟当事者が法定外で議論するのは
適切ではない」と繰り返し、回答を拒否する場面が何度もありました。

もともとこの場は、判決が出る前から準備をしていました。金曜日の判決後、次
の月曜日及び木曜日の設定に対しては、議論したことが証拠として不利に使われ
るおそれがあるので何も言うことができない、控訴の判断を期限までに行わなけ
ればならず担当者全員が忙しい、などという理由で断ってきました。控訴期限の
後に改めて設定してようやく実現したものです。

その一方で、更田委員長は「解釈がおかしい」「内向きのサービスでつくったガ
イドを勝手に解釈された」「理系でないとわからない」などと判決を小馬鹿にし
て言いたい放題。原子力規制委員会の名で「基準地震動の策定に係る審査につい
て」なる文書を出し、判決のはの字もないのに内容は判決を批判するものになっ
ていて、これも裁判外で言いたい放題。

こちらからは、「基準地震動の策定に係る審査について」については説明責任が
あるはず。更田委員長も言うように、被告は国であり、原子力規制委員会ではな
い。その事務方としての原子力規制庁と市民との意見交換であり、被告対原告の
場ではない、この場には原告でない人もいるが、原告が出て行けば話すのか、福
井に説明に行ったときも何も答えないのか?などと述べ、具体的な回答を求めま
した。最後は福島みずほ議員が「ここは国会です」「『なぜばらつきを考慮しな
かったのか』という単純な問いかけに明快に回答して欲しい。それくらいできる
でしょう」と一喝。

こうしたやりとりもあって、法務部の横にいった実用炉審査部門の地震担当が、
法務部の妨害をかわしながらかろうじて答えてくれました。


◆ばらつき条項が福島原発事故後に追加された意味

やりとりでは、まず「基準地震動の策定に係る審査について」にある「入倉・三
宅式を用いて地震モーメントを計算する際、式の基となった観測データのばらつ
きを反映して計算結果に数値を上乗せする方法は用いていない。」との文言につ
いて、上乗せしてばらつきの考慮することはやられていないことを確認。

そしてそれが、ガイドのばらつき条項に反するのではないかと。問題の条項はガ
イドの以下の2文。このうち第二文がばらつき条項です。

(1)震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模
を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が
十分に検討されていることを確認する。
(2)その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、
経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある。

実用炉審査部門の地震担当の人は、(1)と(2)は一体だとしながら、ばらつ
きについては触れず、経験式の適用範囲について、すなわち(1)についての説
明に終始しました。(2)については、(1)の経験式の適用範囲についての検
討に際して認識すべきことを述べただけにすぎないと。

これに対し原告・市民側は、(2)は当初はなかった。それが福島第一原発事故
を経験し、時間をかけた審議の結果、新規制基準として新たに追加された経緯を
考えて欲しい、(2)については、不確かさの考慮とは独立に、ばらつきの考慮
をそれはそれでやりなさいとしか解釈のしようがないと指摘。

地震担当の人は神妙な面持ちで聞いていました。いろいろと説明を試みて、真面
目な人のようですが、白を黒というために必死に説明するのはやめて、黒を黒と
認めてはどうかと思いました。

大阪地裁での裁判では、裁判所が、ばらつきを考慮した場合の定量的な評価と合
わせて、第二文のばらつき条項が、福島第一原発事故後に追加された意味を考え
よと、被告に釈明を求めたということですが、その意味について、私自身も理解
が進んだと感じました。

東日本大震災で被災し、放射能の恐怖を肌で感じた武藤さんから、ばらつき条項
が福島第一原発事故後に追加されたことの意味は大きいとする発言がありました。

ばらつきと不確かさの関係など、いくつかすっきりしたところがありました。そ
れと規制庁の現場が、説明がつかないことを説明しようとしてあくせくしている
こともわかりました。みなさんお疲れさまでした。ありがとうございました。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2020/12/03

12月2日大崎市放射能廃棄物焼却差し止め訴訟第10回期日が開かれました

12月2日、仙台高裁で開かれた大崎市放射能汚染廃棄物焼却差し止め訴訟(住民訴訟)第10回期日に急きょ傍聴参加してきました。

 

本訴訟では焼却による排ガスのセシウムが「不検出」のため問題ないとする被告側と、「不検出」はゼロということではなく内部被ばくの危険性があり住民の平穏生活権を脅かすとする原告側の主張が争点となっています。原告側はちくりん舎が行った試験焼却時のリネン吸着法による監視結果や県内各地のモニタリングポストの値が横ばいであること、焼却炉周辺土壌汚染の調査結果など様々な証拠資料を提出して、対象となる玉造クリーンセンターからの放射能粉じん漏れを立証してきました。

 

このような過程のなかで、裁判所としても環境省の定めた排ガス調査方法(公定法)にこだわらず、原告らの提案するやり方で焼却炉排ガス中のセシウム測定をしてみてはどうかと提案するにいたりました。

 

当日の法廷で被告側は焼却炉敷地内にリネンを設置する(煙突直下のため低い値となる)という姑息な提案をしてきました。原告は3つの測定方法を提案しています。①リネン布を煙突直上あるいは煙突内に設置して測定、②コールドトラップ法により排ガス中の微小粉塵を収集して測定する、③公定法の検出下限を下げて測定するというものです。

裁判所からの提案は公定法の延長である③をやってみてはどうかとの発言がありましたが、原告弁護団はそれぞれの方式に一長一短がある、調査時のトラブルなどの可能性もあり3つの方式を進めることを提案しました。説明に立った宇部弁護士の「三人寄れば文殊の知恵という言葉もある、裁判官の皆さんも三人ではないか」との説明は分かり易く説得力があり傍聴席からもどよめきがおこりました。

 

次回、進行協議で専門家・技術者を交えた具体的な方法についての検討をすること、その後、3月10日の法廷で内部被ばくの問題と進行協議の結果も踏まえた焼却炉現地での調査方法についての審議が行われることが決まりました。

 

法廷後、原告団、支援者、弁護団は近くの戦災復興記念館において報告集会を開き裁判詳細についての確認や今後の進め方などを確認しました。

 

※写真はいずれも日野正美さんによるものです。

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報告・資料<院内集会&政府交渉>原発の広域避難計画(感染症対策/屋内退避問題)

みなさまへ(拡散希望)

昨日12月1日に原発の避難計画問題で院内集会&政府交渉が開催されました。

テーマは、避難時の新型コロナ感染症対策と屋内退避問題の二つ。

質問書やプレゼン資料などは以下にアップします
http://kiseikanshi.main.jp/2020/12/01/12222222/
Zoomの画面を動画にしたものは以下です
https://youtu.be/YU-yY3q-Rlw

◆避難所のスペース問題・全国的に避難所倍増を明言

コロナ対策で内閣府原子力防災担当で福井県の担当者が、避難所のスペースは一
人当たりおおよそ4平方メートル、避難所の数は従来の二倍程度必要、避難所の
数は倍程度になる、これは福井県だけでなく全国的にそうだと明確に述べました。
これが最大の成果でした。再稼働を止める大きな材料となるものだと思います。

直ぐに問題になるのが東海第二原発を抱える茨城県です。94万人の避難先をこれ
以上増やすことはできないとし、現状の2平方メートルを増やすつもりはないよ
うですが、これでは感染症拡大を防止することはできません。早速指導するよう
求めました。茨城や避難先の千葉で活動されているみなさんがさっそく地元で問
題にしたいとのことでした。

◆バスの換気は誰が?

内閣府のガイドラインでは、バスや施設の換気について、基本は放射能対策で換
気はしないが、コロナ対策で30分に一回程度換気するという矛盾した対応を求
めています。もしプルームが来たらどうするのか?これについて内閣府は、事故
の発生状況からプルームについて本部が把握してバスに連絡するか、バスに線量
計を持っている職員が乗っていればそれをみて判断すると回答。これに対し、福
島事故の状況からしてもそのような対応は不可能だとの声が出ました。

◆屋内退避問題も全国的な課題に

屋内退避による内部被ばくの低減効果について、陽圧化装置を付けない限りは3
割程度しか効果がないとの内閣府の報告をめぐり、やり取りをしました。内閣府
の回答は、今の報告は暫定で、本格報告をまつ。沈着効果などが考慮されれば放
射能の低減効果が上がる可能性があるなどと回答がありました。

こちらからは、気密性が低い家屋の条件が加われば、低減効果がさらに下がる可
能性もある。現段階で、屋内退避の効果についてこれまでの前提がくずれたのだ
から、指針の改定を含めて屋内退避について抜本的な見直しを図るべき。また、
内閣府の報告に添付されているパンフレットについては、陽圧化装置がなくても
家に居さえすれば安全だとの誤解を生むものになっており、回収すべきだとしま
した。この問題についてははじめて詳細を聞く参加者も多く各地で問題にしてい
きたいとの声も聞かれました。

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会場には、石巻から原さん、新潟県の避難の検証委員会の委員をされている大河
弁護士、松戸市議の岡本さん、FoEの満田さん。

コロナ禍により、来場者30名、ズームが50人とズームが主体だったのですが、仙
台の日野さん、笹気さん、新潟の小木曽さん、茨城の美澤さん、魚津さん、千葉
の若井さん、関西の島田さん、久保木さん、増田さん、アイリーンさん、福井の
宮嵜さん、石地さん、広島の木原さん、佐賀の永野さん、石丸さん、鹿児島の高
木さんがズームで参加し、全国集会の様相。原子力防災の課題で東日本含めてこ
れだけ全国各地の皆さんが集まったのははじめてではないかと思います。

ズームの利点を最大限に活かすことができました。技術的なところはFoEの若い
スタッフに手伝っていただきました。おかげでストレスなくできました。設定は
福島みずほ事務所にお願いしました。みなさんありがとうございました。各地で
再稼働を止めていきましょう。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

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