新潟県の技術委員会で基準地震動の「ばらつき」について質疑
みなさまへ
風雲急を告げている柏崎刈羽原発についてです
新潟県の技術委員会で、一方的に解任の方針が告げられている新潟大名誉教授の
立石雅昭さんが、昨年12月に、大阪地裁での大飯原発設置許可取消しの判決を
受けて、柏崎刈羽原発の基準地震動の「ばらつき」の考慮について質問を出して
いて、東電からの回答が新潟県のHPにアップされています。
立石さん解任の動きはこうした議論を封じるものでもあります。解任に反対し柏
崎刈羽原発の安全性や避難計画の実効性についての検証作業を継続させなければ
と思います。
<FFTV
動画>立石さんの解任問題と基準地震動の見直しについて(資料あり)
http://kiseikanshi.main.jp/2021/01/26/16788/
https://youtu.be/9U0yJXf001I
東電は25日から柏崎刈羽原発の安全対策工事について地元説明会を開始してい
ますが、他人のIDで操作室に入った問題に加えて、実は安全対策工事が終わって
いなかった問題が浮上し紛糾しています。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
**********************************
新潟県技術委員会 令和2年度第7回
資料No.2 P29
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/246592.pdf
耐震評価
(立石委員
令和2年度第6回技術委員会 追加コメント
2020年12月7日)
12月4日に大阪地裁で出された関西電力大飯原子力発電所の設置許可は違法とす
る判決について,原子力規制委並びに東京電力の見解を問うとともに,規制委の
審査が違法とされた論拠「経験式のバラツキ」に対して,東京電力は柏崎刈羽原
子力発電所の基準地震動算定の際にどのような考慮を行ったのか,又,原子力規
制委はこの東京電力の算定を妥当だと判断した経緯を明らかにされたい。
(回答)
・国に対する行政訴訟であること,また,他社の発電所に関しての訴訟であるこ
とから,当社は判決について見解を申し上げる立場にはありません。
・柏崎刈羽原子力発電所の基準地震動は,断層をさらに保守的に連動させたケー
スも考慮するなど,平均より大きな規模の地震も考慮して保守的な評価となるよ
う策定しています。
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大阪地裁での裁判において、国側は東電と同様の主張を行いました。判決にも
「参加人(関電)は、本件申請において…断層が連動する場合も考慮することと
したため、震源断層面は、参加人が当初設定しようとしたものよりも、不確かさ
(ばらつき)を考慮して大きく設定されている」とあります。
しかし双方が主張立証した結果、判決は「このような不確かさ(ばらつき)は、
本件ばらつき条項の第2文において問題とされている、経験式が『平均値として
の地震規模』を与えることから考慮を要請される地震規模(地震モーメント)の
ばらつきとは相当異質なものであ」る(判決P130~131)としています。
最終的に「本件ばらつき条項の第2文は、不確かさを考慮して設定された複数の
震源断層面積について、それぞればらつきを考慮した地震モーメントの値を算出
するか、他の震源特性パラメータの設定に当たりこれと同視し得るような考慮な
ど、相応の合理性を有する考慮をして基準地震動を策定すべき旨の定めであると
解するのが相当である」(判決P133)と結論しています。「不確かさ」と「ばら
つき」は別々に考慮しなければならないということです。
判決文
http://www.jca.apc.org/mihama/ooisaiban/hanketu1_20201204.pdf
東電は、不確かさを考慮して設定された複数の震源断層面について、それぞれ経
験式のばらつきを、地震モーメントに標準偏差を上乗せするなどして考慮した地
震モーメントの値を用いた評価を行う必要があると思います。
柏崎刈羽原発の基準地震動(Ss-1~Ss-8)のうち、長岡平野西縁断層帯の地震の
断層モデルによる地震動であるSs-4については、裁判で主要に問題になった経験
式である入倉・三宅式が用いられています。ばらつきを考慮した場合、周期によ
っては他のどの基準地震動よりも大きくなる領域が生じることになり、基準地震
動の見直しは必至となります。
また、長岡平野西縁断層帯の連動による地震の断層モデルによる地震動であるSs
-6についても、入倉・三宅式と同様の経験式が使われており、同じく、基準地震
動の見直しが問題となります。
さらに、中越沖地震を起こしたとされるF-B断層の地震の断層モデルによる地震
動について、経験式を用いた評価については、他の基準地震動を上回る周期領域
がないことから、基準地震動に採用されていませんが、ばらつきを考慮した場合
には、他のどの基準地震動よりも値が大きい周期領域が生じる可能性があり、そ
の場合には、基準地震動として追加しなければなりません。
いずれにしろ、定量的な評価を提示して説明すべきです。
原子力規制を監視する市民の会による考察
http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2021/01/kashiwazaki-kariwa-kijunjishindo.pdf
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