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2021/08/11

証人尋問申請も実地検証も全て「却下」-田村バイオマス訴訟第10回法廷

昨日8月10日、田村バイオマス訴訟第10回期日が福島地裁において開かれました。田村バイオマス(田村BE)は福島県内の放射能汚染チップを燃料として使う(自主基準100Bq/kg以下)ことを公言しています。
 
田村バイオマス訴訟は、本田仁一前田村市長が、住民の放射能に対する不安が強いため「国内最高レベルの安全対策」と称して、「バグフィルタの後段にヘパフィルタを設置」すると議会で説明し、設置されたHEPAフィルタが、実際は役に立たないものであり、田村市が支出した11億6300万円の補助金は詐欺又は錯誤によるものであるから、田村BEに対し返還請求をせよ、との訴えを起こしたものです。
 
これまで、原告側が提出してきたHEPAフィルタの数々の問題点について、被告側は一切具体的なデータや図面を出しての反論をせず、HEPA設置は「安心のため設置」「集塵率など具体的な数値を出す必要はない」などとして、言い逃れに終始してきました。
 
本日の裁判期日では、「原告側が提出した証人尋問は全て却下、現地検証も却下、10月4日に結審するので、その2週間前までに被告側反論、原告側最終準備書面を出すように」と裁判長が述べてあっけなく終了しました。
坂本弁護士が「現地検証もしないでまともな判決が書けるとは思えない」と反論しましたが、「これまでの陳述で十分です。却下します」と、あくまでも事務的に通告がありました。
 
現場も見ようとせず、原告側が申請した、原告2人(久住、吉川)、証人4人(筒井(プラントエンジニアの会)、青木(ちくりん舎)、本田仁一前田村市長、小檜山前田村BE社長)の尋問も一切行わないという驚くべき訴訟指揮です。
 
10月4日結審で、判決は恐らく年明けになりそうです。
 
これまで、被告側は法廷では「具体的反論をする」、「図面等で反論」すると言いながら、実際は争点ずらしの主張や、「安心のため設置」などという言いのがれをくりかえてきました。その結果、被告側は、半年以上裁判を事実上停滞させ、引き延ばしを図り、一方で、現地では工事、試運転を進め、4月から本稼働に入りました。
今回、その試運転、稼働後のデータ(HEPAフィルタが無くても実現できる、環境省の緩い基準のデータや信憑性の疑わしい燃料チップ測定データ)を出すことで、もともと、田村バイオマスには何も問題がなかった、ということを裁判所に印象付けようとした可能性があります。
 
計画予算の具体的内容を示さないまま、HEPAフィルタは田村BEが自主的に付けたものでそれは補助金とは関係ない、というような主張もしており、それを踏襲した判決になる可能性もあります。
 
虚偽の「HEPAフィルタ設置」により、市議会と住民を騙して補助金支出の予算案を通したという、本訴訟の主要な争点が捻じ曲げらてしまう可能性があります。
 
原告、傍聴者はここまでとは、全く予想もしていなかった展開で目が点になりました。法廷後の坂本弁護士の説明で、ようやく全貌が分かった人がほとんどです。
 
坂本弁護士からは、まだ少し早いかもしれないが、高裁への控訴を考えるべきだとの発言がありました。
裁判長は今年4月から交替になりました。そして、その新裁判長のもとで2回目の裁判期日でこのような展開になりました。裁判所には、これでの訴訟の趣旨や、裁判での原告被告双方の主張を冷静、客観的に判断して欲しいと考えます。

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