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2022/06/22

田村バイオマス控訴審で驚きの展開ーその後

放射能汚染木を燃やす田村バイオマス発電訴訟控訴審で驚きの展開になったことは前回報告しました。しかし・・・驚きの展開は実はそれだけではありませんでした。

控訴審第1回法廷の当日、被告側の補助参加人(裁判の一方の側に利害関係を持つものが補助として参加すること)である田村バイオマスエナジ―(田村BE)が、HEPAフィルタ設備についての見積仕様書を「所持していない」という理由で提出を拒否する意見書を提出していました。

驚愕するような対応です。数千万円かひょっとすると数億円にもなる設備について、発注者である田村BEは、設備建設メーカから見積もり仕様書もとらず、ハイよッと気前よく支払ったのでしょうか。家を建てる時でも、車を買うときでも、(発注者、受注者どちらが作るかはともかく)見積仕様書が無ければ物は発注できませんよね。風呂場はこの場所にこの広さでとか、1300㏄のセダンで色は白、カーナビ付けてとか、いろいろあるでしょう。タケエイと田村BEは、数千万、数億円かかるかもしれない設備を、何の仕様書もなく、請求書だけではいよっ!て払うのでしょうか。随分気前の良いというか杜撰な会社ですね。

そもそも、HEPAフィルタ設備についての見積もり仕様書は、原告側が控訴に当たって事実を明らかにすべく、裁判所に対して「文書提出申立書」として請求していたものです。これを「所持していない」というのであれば、考えられるのは、①田村BEがおそろしく気前の良い会社でありまたHEPAフィルタの性能に関して全く関心がない(どちらも極めて杜撰な経営ともいえる)、②本田仁一市長が「HEPAを付ける」と言っちゃったので、「形だけそれらしいものを付けて」と口約束で頼んだ、の2点が考えられます。

それ以外にも設計図について、「プラントは複雑で設計図も数百ページにおよぶ、該当部分だけ抜き出すことはできない」などと理屈にならない理由で提出を拒否しています。HEPAフィルタはバグフィルタダクトと煙突の間に挟まった形で接続した独立した設備です。設計者は前後の接続部分の情報をもとに、HEPAフィルタの設計図を書きます。前後の情報のことを技術者は「取り合い」という言葉で言います。どうしても設計図を出したくない子供だましの言い訳をしているとしか考えらえません。

はてさて、この田村BEの対応を裁判長はどう受け止めるか。次の期日までに、何か資料を出してくるのか、注目されるところです。

やっぱり、HEPAフィルタはラグビーボールのような奇妙な形のダクトだけで、中はガランドウだとの確信が強まった一件でした。

 

2022/06/19

田村バイオマス控訴審第1回法廷で思わぬ展開に

6月17日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第1回口頭弁論が開かれました。
開廷早々、石栗正子裁判長から予想外の発言がでました。
 
裁判長は被告に対して、①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点を要求したのです。
 
これは原告が控訴理由書で求めたものそのものです。坂本弁護士によれば控訴審は1回目で結審することも多いそうです。これまで被告側は具体的資料を一切しめさず、言い逃れ、言葉のスリカエ、論点そらしに終始してきました。こうした流れからすれば画期的な一歩前進です。
 
放射能汚染木を燃料とする田村バイオマス裁判では、本田仁一(前)田村市長が、住民の反対が強いため通常のバグフィルタの後段に高性能のHEPAフィルタを設置し「国内最高レベルの安全対策」をすると説明して約11億4千万円の補助金を支出しました。このHEPAフィルタが本来の性能を果たさない虚偽のものである、という点が争点になっています。そのほか、100Bq/kg以下の自主基準を設けた燃料チップの測定が極めてずさんな実態が住民の監視により明らかになりました。
 
更に昨年9月には、定期点検と称して、HEPAフィルタ内を「バキュームカーで掃除」するという驚きの実態が明らかになりました。バキュームカーとは糞尿や汚泥、汚水を吸い取るものです。μm以下の粒子の漏れを99.7%(JIS規格)で捕捉しなければならない、繊細な設備で何故バキュームカーで掃除するような事態になったのでしょうか。
 
田村バイオマスはこれまで、一貫して具体的な設計資料などをださず、「安心のため設置した」など言葉のスリカエや論点そらしに終始してきました。福島地裁はこれらの経過を一切無視して、「効果を果たさないとまでは言えない」と漫然と被告側の主張を認めて却下しました。
 
仙台高裁の裁判長は少なくとも、原告側の控訴理由書をしっかり読み込み、これまでの双方のやり取りの資料に目を通したと考えられます。
 
坂本弁護士は原告側にリップサービスをしておいて、酷い判決を書く場合もあるので油断できないと原告団を引き締めました。確かに油断はできませんが一歩前進したことは間違いありません。
 
次回、第2回控訴審期日は8月26日(金)15:30からと決まりました。是非ご注目と支援をお願いします。

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