田村バイオマス控訴審第1回法廷で思わぬ展開に
6月17日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第1回口頭弁論が開かれました。
開廷早々、石栗正子裁判長から予想外の発言がでました。
裁判長は被告に対して、①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点を要求したのです。
これは原告が控訴理由書で求めたものそのものです。坂本弁護士によれば控訴審は1回目で結審することも多いそうです。これまで被告側は具体的資料を一切しめさず、言い逃れ、言葉のスリカエ、論点そらしに終始してきました。こうした流れからすれば画期的な一歩前進です。
放射能汚染木を燃料とする田村バイオマス裁判では、本田仁一(前)田村市長が、住民の反対が強いため通常のバグフィルタの後段に高性能のHEPAフィルタを設置し「国内最高レベルの安全対策」をすると説明して約11億4千万円の補助金を支出しました。このHEPAフィルタが本来の性能を果たさない虚偽のものである、という点が争点になっています。そのほか、100Bq/kg以下の自主基準を設けた燃料チップの測定が極めてずさんな実態が住民の監視により明らかになりました。
更に昨年9月には、定期点検と称して、HEPAフィルタ内を「バキュームカーで掃除」するという驚きの実態が明らかになりました。バキュームカーとは糞尿や汚泥、汚水を吸い取るものです。μm以下の粒子の漏れを99.7%(JIS規格)で捕捉しなければならない、繊細な設備で何故バキュームカーで掃除するような事態になったのでしょうか。
田村バイオマスはこれまで、一貫して具体的な設計資料などをださず、「安心のため設置した」など言葉のスリカエや論点そらしに終始してきました。福島地裁はこれらの経過を一切無視して、「効果を果たさないとまでは言えない」と漫然と被告側の主張を認めて却下しました。
仙台高裁の裁判長は少なくとも、原告側の控訴理由書をしっかり読み込み、これまでの双方のやり取りの資料に目を通したと考えられます。
坂本弁護士は原告側にリップサービスをしておいて、酷い判決を書く場合もあるので油断できないと原告団を引き締めました。確かに油断はできませんが一歩前進したことは間違いありません。
次回、第2回控訴審期日は8月26日(金)15:30からと決まりました。是非ご注目と支援をお願いします。
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