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2022/08/28

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(1)

8月26日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第2回口頭弁論期日がありました。この内容を複数回に分けて報告したいと思います。

2022_0826

写真は仙台高裁近くの宮城合同労組の部屋をお借りしての支援者・傍聴者への報告会

控訴審第1回期日では、裁判長から被告側に釈明を求める驚きの展開になりました。①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点の説明要求に対して、被告側は「控訴審第1準備書面」を出してきました。

その内容が、技術的に見ればオウンゴール連発、ツッコミどころ満載のものでした。裁判所や原告をこの程度のものでごまかすことができると考えたのでしょうか。早速、反論の意見書を作成、その内容も含んで坂本弁護士が原告「控訴審準備書面(2)(3)」を提出しました。

開廷前に坂本弁護士は「今日で結審になるかもしれない」との可能性を口にしましたが、結局裁判長は「被告は原告の準備書面に反論しますか?」と問い掛け、被告側弁護士が「はい、2か月ほど時間をいただきたい」ということで、次回口頭弁論期日は11月18日(金)14時30分からと決まりました。

被告側はウソにウソを重ねて収拾がつかない状態になっています。多岐にわたりますので、その象徴的な事例をいくつか紹介したいと思います。

●稼働後2か月でHEPAフィルタが目詰まりした!?
被告側は上記②の説明要求に対して、令和3年6月にHEPAフィルタを交換したとして交換したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書を提出しました。令和3年6月とは田村バイオマスが稼働開始2か月後のことです。原告は(そして当然裁判所も)6月にHEPAフィルタを交換したという事実は承知していません。原告が問題にしたのば令和3年9月にHEPAフィルタダクトにバキュームカー(糞尿や汚泥を排出するもの)を持ち込んで掃除したという事実です。被告はよほどこの事実の説明を避けたい事情があるのでしょう。1μm(1ミリの千分の1)以下の超微粒子を捕捉する繊細なHEPAフィルタをバキュームカーで掃除するなど、およそ異常な行為です。

推測ですが、被告はこのバキュームカー掃除の説明を避けるために、令和3年6月のHEPAフィルタ交換の説明で「お茶を濁そう」と考えたのではないでしょうか。ところで、令和3年6月といえば、田村バイオマスが4月に稼働してからわずか2か月しかたっていません。バグフィルタが微粒子を十分補足できないために短期間でHEPAが目詰まりを起こす、それを防止するためにはプレフィルタというやや目の粗いフィルタを上流側に付けなければならないが、それがついていないということは、第1審の福島地裁で原告がHEPAフィルタが本来の機能を果たさない偽物である根拠として主張をしてきたところです。

当然、原告側はこの点をついて、わずか2か月でHEPAが目詰まりを起こしたのは、原告が主張してきた通りのことを証明するものではないか、との反論を意見書と準備書面で指摘したのです。法廷期日直前にこの反論を受けた被告側弁護士はそうとうウロタエたと考えられます。

何と、法廷の冒頭で被告控訴審第1準備書面中の「令和3年6月」の記載は「令和3年9月」の誤りだと口頭で告げたのです。・・・・しかし、被告が証拠として提出したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書にはしっかりと「2021年6月9日」の日付が記載されているのです。

この証拠として提出された納品書と請求書が偽造書類なのでしょうか、それともうろたえた被告側弁護士が早まって「令和3年9月の誤り」と言ってしまったのでしょうか。ウソにウソを重ねるから答弁に辻褄が合わなくなってボロをだしてしまうのです。被告側はウソの積み重ねに収拾がつかなくなっていることを示す一幕ではありました。

田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(2)
田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(3)
田村市バイオマス発電住民訴訟・甲116(甲113に対する追加意見書)

※(2)に続く

2022/08/04

報告:ちくりん舎オンライン学習懇談会~田村バイオマス訴訟

7月27日ちくりん舎主催でオンライン学習懇談会~田村バイオマス訴訟とは?福島地裁での不当判決と仙台高裁での予想外の展開~が開かれました。

学習会には北海道から福岡まで各地から延べ30名以上の方が参加されました。

学習会ではちくりん舎の青木一政から約40分の報告がありました。その後、田村市の「大越町の環境を守る会」の皆さんから、裁判にかけた思いや、稼働後の最近の状況などの報告がありました。田村バイオマスがある工業団地の調整池にはヘドロ状の白や黄緑色の浮遊物が浮いており、それが周辺水路へ流れ出し農作物などへの影響を心配する声が上がりました。

原告代理人の坂本博之弁護士からは、「裁判所を信じてはいけない。原告に寄り添った姿勢を見せながら目茶苦茶な判決を出す裁判官も多い」と、今回の高裁の対応にあまり浮かれないよう一同を引き締める発言がありました。またこれまで以上に、証人尋問と裁判官の現地検証の要請を強めていく決意が語られました。

質疑応答、懇談の中では、福島県伊達市の梁川町工業団地でバイオマス発電が問題になっていること、住宅地にも近く、住民は反対の意見が多く出ていることが報告されました。木質バイオマス発電と言いながら、住民説明会では「建築廃材60%、廃プラ40%」が燃やされるとの説明が有ったこと、これではバイオマス発電の名を借りた産廃焼却場ではないか、この点を問題にしたらどうかなどの意見が出されました。

学習懇談会の録画は以下から見ることができます。

 

 

ちくりん舎青木の報告資料はこちらからDLできます。

 

 

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