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2022/09/23

茨城県が避難所のスペースについて県民から意見募集

みなさまへ

お世話になっております。

茨城県が、東海第二原発の避難所のスペース問題等について県の防災計画の原子
力編を一部改定するにあたり、9月30日期限で県民から意見募集を行っています。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/203509
意見募集のサイトは以下です。
https://www.pref.ibaraki.jp/bousaikiki/genshi/kikaku/r4bousaikeikakukaitei.html

メインは避難所のスペースについてで、県の原子力防災指針に避難所について
「1人当たり3m2以上とする」との文言を追加することです。

東海第二原発の避難所のスペースについては、県外の避難先も含めて、従前は1
人当たり2平米で受け入れる避難者の人数を算出していました。

一昨年に、これが居住できない階段などを含めて計算されていたことが問題とな
り、県が各自治体に再計算を要請しました。その過程で、一人2平米では狭すぎ
ることが問題となりました。

私たちは茨城県内や千葉県の受け入れ自治体の市民団体とも連携して、県庁に足
を運び、避難スペースの見直しを求めてきました。茨城県議会でも問題になり、
昨年の知事の見直し発言に至りました。

従来の1人2平米から3平米以上に拡大したことは一歩前進だと思います。しか
し、2つの点で問題があると思います。

一つが通路の問題です。県の防災指針を具体化したマニュアルを見ると、居住面
積に通路を含めるという姑息なやり方で、実際の居住面積を狭めています。

茨城県がつくった「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所運営マニュ
アル作成指針」にあるレイアウト例をみると、1人あたりの居住面積(通路含
む)約3.0m2/人とあります。通路を含めているので、拡大したのは通路分だけ
で、実際の居住スペースは1人あたり2平米のままとなってしまっています。
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/bousaikiki/bousai/korona_taiou/documents/hinanzyounneisisin.pdf

「通路には居住できません!」という当たり前の意見を言わなくてはいけないと
いう状況だと思います。

もう一つが「3平米」でよいのかという問題。再計算の要請のあった受け入れ自
治体の千葉県松戸市は、1人2平米を4平米に変更し、受け入れ人数を半分にし
た結果を茨城県に回答しました。福井県のマニュアルにある避難所のモデルをみ
ると、通路を除いた居住スペースが1人4平米となっています。また、避難民の
人権保護を定めた国際基準(スフィア基準)は居住スペースとして1人3.5m2以
上としています。3平米ではなく、少なくとも「4平米以上」とすべきでしょう。

今回の意見募集は茨城県の住民及び勤務先が茨城県の方が対象となっています。
この間、茨城県への要請など一緒に行ってきた原子力防災を考える会@茨城のみ
なさんと相談して、以下の2つの意見を提出することにしました。

引き続き、茨城県に対しては、実質的な避難スペースの拡大を求めていきたいと
思います。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武

意見********************************

今回の改定により追加するとした以下の文言について

また、避難所を確保する際の面積の目安については、感染症対策やプライバシー
の確保等に配慮し、県が定めた「市町村避難所運営マニュアル基本モデル」や
「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所運営マニュアル作成指針」等
を踏まえ、1人当たり3m2以上とする。


<意見1>
「1人当たり」を「1人当たりの通路等を除く居住面積を」に変更すべき。

<理由>
 上記の表現では階段や通路、トイレ前や受付近くなど、居住にふさわしくない
場所までカウントされ、実際の居住スペースが狭くなってしまうおそれがある。
 令和3年版防災白書にある「健康な人の避難所滞在スペースのレイアウト
(例)」によっても、パーテーション内でも人と人の距離を1~2m確保するこ
ととしている。
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r03/zuhyo/zuhyo_t002.html
 被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準であるスフィア基準で
は、避難所内では「1人あたり最低3.5m2の居住スペース」を確保するよう求め
ている(以下の254ページ)
https://jqan.info/wpJQ/wp-content/uploads/2019/10/spherehandbook2018_jpn_web.pdf
 茨城県の「新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた避難所運営マニュアル作
成指針」のレイアウト例についても、通路を含めた計算をしているので、実際の
居住スペースは1人当たり2m2となっている。これについても再考を要すると考
える。

<意見2>
「3m2以上とする」を「4m2以上とする」に変更すべき。

<理由>
 松戸市は、原発事故の際、水戸市からの避難者の受入れに際して、受け入れ人
数の算出にあたり、1人当たり4m2を前提としている。
 また、福井県が作成した「原子力災害における新型コロナウイルス感染症対策
ガイドライン」にある【避難所レイアウト例】(以下12ページ)
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kikitaisaku/genshiryoku-saigai_d/fil/corona-g.pdf
 でも、1人当たり4m2を前提としている。
 被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準であるスフィア基準で
は、避難所内では「1人あたり最低3.5m2の居住スペース」を確保するよう求め
ている(以下の254ページ)
https://jqan.info/wpJQ/wp-content/uploads/2019/10/spherehandbook2018_jpn_web.pdf

2022/09/14

<報告>岸田政権の原発推進方針の撤回を求める要請・政府交渉

みなさまへ(拡散希望)

9月12日に行われた岸田政権の原発推進方針の撤回を求める要請行動・政府交
渉にご協力いただきありがとうございました。今後も各地と繋がりながら撤回を
求めていきましょう。簡単にご報告させていただきます。

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武

2022年9月12日******************
原子力推進方針の撤回を求める要請・政府交渉報告
http://kiseikanshi.main.jp/2022/09/14/12222222-2/

〇福島県民の気持ちを逆なでしている。事故の被害に向き合うべき(福島から)
〇福島原発の廃炉も進まない、核のゴミの処分も決まらない状況で原発推進など
ありえない。ただちに撤回すべき(市民側)
〇再稼働について「国が前面に立つ」中身を説明できず→住民の議論に国が介入
すべきではない。この方針は撤回すべき(市民側)
〇原発は止まっていてもコンクリートなどで劣化は進む(規制庁)→停止中は運
転期間にカウントしなどありえない(市民側)
〇原発方針は経産省の審議会で検討予定(エネ庁)→原子力村の推進派で占める
審議会では住民の意思は反映されない(市民側)
〇新増設・リプレースは「依存度を下げる」とのエネルギー基本計画の方針とは
矛盾しない(エネ庁)→どう考えても矛盾する(市民側)
〇福島原発事故以降に建てた原発「次世代革新軽水炉」(エネ庁)→従来の技術
にすぎず革新でもなんでもない(市民側)

当日の映像をこちらにアップいたしました。
https://youtu.be/E297HqjqqFI

交渉の冒頭で原発推進政策の撤回を求める要請書を提出しました。要請書には
901人、223団体の賛同をいただきました。ありがとうございました。
提出した本文と団体名のみ記載ものはこちらをご覧ください。
https://foejapan.org/wpcms/wp-content/uploads/220912.pdf

要請書には引き続き賛同を募集しています(2022年12月末まで)
ご賛同はこちらのフォームから(個人・団体)
https://forms.gle/JvdTjCgBuNgHVQJC7

要請・交渉には、オンライン75名、会場約50名、合わせて120名以上の参加があ
りました。国会閉会中でしたが、今回の設定をお願いした社民の福島みずほ議員
の他、立憲の逢坂誠二議員、菅直人議員、共産の岩淵友議員、れいわの櫛淵万理
議員にご参加いただきました。

◆前段集会

前段集会では、来年夏以降に「国が前面に立って」再稼働を進めるとされた7基
の原発の含む地元、女川原発(日野正美さん)、東海第二原発(美澤道子さん)、
柏崎刈羽原発(山田秋夫さん)、美浜・大飯・高浜原発(石地優さん)、島根原
発(芦原康江さん)、玄海原発(石丸初美さん)からご報告いただきました。名
古屋で老朽炉の廃炉を求めて裁判を闘う草地妙子さんからも報告を受けました。

各地で原発再稼働反対の声が強くあり、避難計画の実効性について課題山積の状
況であり、安全対策工事も進まず、とても再稼働ができる状況にはないことが報
告されました。

島根の芦原さんから、住民の意見を反映して欲しいと住民投票の実現するための
取組みをしてきたが、取組みの最中に、周辺自治体の同意手続きが一気に進んで
しまった。その背景に国会議員を含め、国による圧力があったと聞いているとし、
住民の同意(不同意)手続きに国が介入する危険性が訴えられました。

福井の石地さんからは、関電の原発がトラブルが絶えず、にもかかわらずいそい
で再稼働しており、さらに危険を高めていること、問題を周辺の住民に訴える取
り組みを関西と連携して行っていることなどが報告されました。

名古屋の草地さんは、40年を超える高浜原発では圧力容器の劣化が進んでおり、
蒸気発生器が破断して緊急冷却装置がはたらいたときに、圧力容器が破壊される
最悪の事態も起こり得るとし、老朽炉のさらなる運転延長の危険性を訴えました。

次世代炉の問題点や、検討している原子力小委員会が推進派で占められている問
題について、原子力資料情報室の松久保さんから報告がありました。

◆交渉

要請書の提出のあと、資源エネルギー庁から3名、原子力規制庁から1名参加し、
事前質問に従って交渉を行いました。

〇7基の再稼働「国が前面に立つ」説明できず

来年夏以降7基の原発再稼働について「国が前面に立ちあらゆる対処」を行うと
した政府方針について、対処の中身を聞きましたが、国が国民に説明すると言う
だけで中身のないものでした。市民側は、島根の例を挙げながら、地元の議論に
国が介入するようなことはあってはならないとし、方針の撤回を求めました。

〇原発は止まっていても劣化は進む(規制庁)

原発の運転期間のさらなる延長について、原発の停止期間を運転期間にカウント
しないことによって延長する策が検討されていることについて、エネ庁は今後検
討としていましたが、原子力規制庁に停止中でも劣化が進むのではないかと聞く
と、コンクリートを例にあげて、停止中でも劣化が進む機器があると回答しまし
た。停止中はカウントしないなどありえないことです。

〇推進派で占める審議会で検討すべきではない

原発方針について、エネ庁は、経産省の審議会の場で検討するつもりだとし、そ
の場で住民の意見を反映させると述べました。しかし次世代炉の検討を行ってい
る原子力小委員会は、圧倒的に推進側(19対2)で占められ、経産省にさらなる
推進圧力をかける場となっています。このような場で住民の意見が反映されるは
ずもないとし、市民側は反発しました。

〇原発増設方針はエネルギー基本計画にも反する

新増設・リプレース方針が原発の「依存度を下げる」としたエネルギー基本計画
に反するのではないかと聞きました。エネ庁は増設しても事故前よりは依存度は
減るなどと回答していましたが、どう考えても矛盾しています。

〇次世代革新軽水炉は名前だけ

次世代炉については、最も現実性が高いとされる「革新軽水炉」について、柏崎
刈羽原発や大間原発で採用されているABWRが含まれるか聞きました。あいまいな
回答でしたが、福島原発事故後に建てるものはすべて「革新軽水炉」のようです。
既存の技術を「革新」と名乗るだけで安全を装っているとしか思えません。

〇原発推進方針の撤回を

市民側から、福島原発事故の廃炉も進まず、核のゴミ処分も進まない状況で原発
推進などありえないとの指摘がありました。エネ庁は六ヶ所再処理の話を持ち出
しましたが、計画は延期延期で動かず、動いたところでやっかいな核のゴミが増
えるだけでなんの解決にもなりません。

今回は脱被ばく裁判と日程が重なったため、福島からの発言は予定していなかっ
たのですが、途中から入られた郡山の蛇石さんに発言いただきました。原発推進
方針は原発事故で被害にあった福島県民の気持ちを逆なでするもの、事故の被害
をきちんと向きあうべきというものでした。浪江町から避難されている菅野みず
えさんからも避難者がいるなかでなぜ推進するのかとの発言がありました。あら
ためて原発推進方針の撤回を要求して交渉を終えました。

2022/09/11

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(3)

シリーズでお伝えしてきた控訴審第2回期日の報告も3回目(最終回)です。

高裁裁判長の指示により、ようやく被告らが設置したというHEPAについての報告書が、ダクト内はガランドウではなく、何かが付いているらしい雰囲気を示すだけのものであり、技術的にみると、ダクトの溶接と漏れ確認はメーカーの資料を抜粋したものですが、内部に設置されているというHEPAフィルタの写真は田村バイオマスが写した写真であり、異様に接近したアングルで写されており、撮影日時の記録もなく、これが本当に田村BEのダクト内に設置されたものであるかどうかさえ疑わしいものであることは、前回までに報告しました。

ここでは、そのその写真の信憑性の問題は保留し、その写真が田村BEに設置されているものだとして技術的に仔細な点を見てゆくと、更にいろいろな問題が出てきます。

●バグフイルタの出口部分(つまりHEPAフィルタの入口部)はホコリまみれ

被告が提出した「写真撮影報告書」(乙第46号証)の写真をみるとHEPAフィルタの入口側から写した写真があります(4p)。下記の写真がそれです。

Hepa_20220911161301

        HEPAフィルタを上流側から写した写真

 上記写真がHEPAフィルタを上流側から、つまりバグフィルタ出口部分の写真です。皆さんはこの写真のどこに注目しますか?多分、HEPAフィルタユニットらしきものが多数、並べられて設置されているところに注目するでしょう。しかし注目すべきところはそこではありません。奥の方に脚立がおいてある床面を見てください。随分とホコリが層をなしていることが判ります。ホースでこすられてホコリの層が払われたり、ホコリの層の上に足跡らしきものまでついています。

バグフィルタは99.99%まで煤塵を捕捉する(国立環境研 大迫論文)からバグフィルタで十分安全は確保されていると言いますが、HEPAフィルタの床にこのようなホコリが堆積するということは、かなりの量の煤塵がバグフィルタでは捕捉しきれず実際には漏れていることになります。

逆説的ですが、HEPAフィルタの大敵は煤塵なのです。粒径1μm(1ミリの千分の一)以下の粒子を捕捉するため排ガスの煤塵量(米エネルギー省発行の核空気洗浄ハンドブック(NACH)では0.23mg/㎥以下としている)が多いと短時間で目詰まりを起こしてしまいます。このための対策として、HEPAフィルタの上流側にやや目の粗いプレフィルタの設置が必要となります。原告側は既にこのことを、第1審で指摘しています。

被告側は、「バグフィルタが十分な煤塵の捕捉をするため、プレフィルタの役割を果たしている」と主張していたのです。その結果の写真がこのような状態なのです。被告側は原告の追究にその都度、言葉のすり替え、論点そらしで対応してきました。HEPAフィルタを設置して維持することの難しさを知っていれば、この写真を証拠資料として提出するのは「まずい」、「床の煤塵層を掃除してから写真を撮れ」というでしょう。私が被告の立場であれば必ずそのように指示します。被告側は、苦し紛れに屁理屈、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。ひょっとしたら、このプレフィルタに関する議論を忘れたのかもしれません。ウソはウソを呼びます。原告側は控訴審第2回期日においてこの点を指摘しました。被告はまたつじつま合わせしなければならない理由を増やしてしまいました。

●HEPAフィルタの固定方法は重大な設計不良

更にこれらの写真を検証すると重大な設計不良がみつかりました。HEPAフィルタユニットの設置方法についての問題です。

Hepa_20220911161501

                                 HEPAユニットの固定方法の欠陥

重大な設計不良とは上記写真のA部、B部の部分のことです。A部では上下2つのHEPAユニットの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。B部においては、取り囲まれる4個のHEPAユニットの4つの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。これは図で示した部分だけではなく、6列5段の30枚のHEPAユニットの固定全体で行われています。

問題は、例えばA部において下部のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響は下部ユニットのみではなく上部ユニットにまで影響が及ぶことになります。B部においては1個のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響が他の3か所にも及ぶことになります。
こうして、1箇所の緩みや締めすぎを調整しようとしても、それが連結する周辺のHEPAユニットの固定に影響を及ぼすことになるのです。

1箇所のみを調整しなけれればならない場合は容易に発生すします。例えばHEPAユニット本体の微妙な歪み、HEPAユニットを固定し保持する後方のフレーム(写真では見えない)のわずかな曲がり、後方のフレームとHEPAユニット間に漏れ防止として挟み込まれていると想定されるガスケット(フレームとHEPAユニットの平面の間に挟み込む漏れ防止のためのクッション材、写真では見えない)の微妙な厚み差や硬度差、そして押さえ板の曲がりなどです。
これに対する対策は極めて簡単でHEPAユニットの角を固定する押さえ板とボルトを共有せず、独立にすれば良いだけでのです。
これは機械設計者からみれば極めて常識的な話ですが、そのようになされていないことは、「お飾り」だからついていれば良しとして、構造を簡略化しコストダウンしたためと推定できます。何度も繰り返すように1μm以下の粒子がフィルタ本体を通過せず、HEPAユニットとフレームの接合部の隙間から漏れてしまうような事態を避けるためには、全てのHEPAフィルタユニットがガスケットを均等な圧力で押さえつける必要がある。そのためには、すべてのHEPAユニットの角が独立して適正な締め付け圧で設置されなければなりません。その観点からすると極めて不適切な設計です。

このことは、先述したNACHの第4章「ハウジングの設計とレイアウト」の4.4.6「フィルタのクランプ(締め付け)とシーリング(封止)」節内の図4.15「HEPAフィルタの取り付けフレーム(2つのクランプ設計を示す)」として、推奨されない例(悪い例)として示されています。

●高裁における控訴審で初めて出て来た資料が示すもの

福島地裁での第1審では、被告は徹底して設計図面やHEPAフィルタ交換の手順書、漏れテストデータ、集塵率データなど技術的な資料を一切出さず、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。仙台高裁での控訴審第1回期日で石栗正子裁判長が被告側に資料提出をもとめました。その結果、出て来た資料の主なものが、この3回シリーズで解説したものです。紙面の都合で書ききれませんが、これ以外にも出て来た資料から、原告の主張の正しさを証明するものが出てきました。

仙台高裁においては、これらの資料と原告の主張を虚心坦懐に見ていただきたいものです。

2022/09/10

9/12<要請・交渉>岸田政権の原発推進方針の撤回を求めて!

みなさま(重複失礼、拡散歓迎)

岸田政権の原発推進方針の撤回を求めて、9月12日午後に院内集会と政府交渉
を行います。政府交渉の冒頭で賛同募集中の要請書の提出を行います。

リアルでもオンラインでもご参加可能です。みなさまのご参加をお待ちしてお
ります。要請書への賛同(団体・個人)もまだの方はお願いします!

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武

*************************
◆原発推進政策の撤回を求める集会&政府交渉(9/12)
http://kiseikanshi.main.jp/2022/09/06/1800/
*************************

日時:2022年9月12日(月)

<院内集会>14:00~15:00
<政府交渉>15:10~16:40(調整中、相手方:経済産業省、原子力規制庁)

場所:参議院議員会館B109

※13:30から14:00まで参議院議員会館ロビーにて通行証を配布予定です。
※オンライン参加の方は以下からご登録ください。
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZYkduirqDkpG9CEdTsM47tBi9teGultcCRD

参加無料

<集会>
各地からの報告(女川原発、東海第二原発、高浜原発、美浜原発、柏崎刈羽原発、
島根原発など周辺地域の方々からの発言を予定)次世代革新炉のまやかしほか

<政府交渉(調整中)>
以下について事前に提出した質問に沿って質疑を行う予定です。
1.原発推進方針の検討プロセスについて
2.7基の追加再稼働について
3.運転期間の延長について
4.原発の新設・リプレースについて

主催:国際環境NGO FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会/原子力資料情報室

※要請書への賛同も募集中です。

【賛同募集】要請書「原発推進方針の撤回を」
http://kiseikanshi.main.jp/2022/09/06/1800/
賛同はこちらのフォームから(個人・団体)
https://forms.gle/JvdTjCgBuNgHVQJC7
(フォームの最初の画面に必要事項を記入し、「次へ」を押し、次の画面を記入
したら「送信」を押してください)

2022/09/06

<賛同募集>要請書 原子力推進方針の撤回を!

みなさまへ(拡散歓迎・重複ご容赦)

政府は8月24日のGX実行会議において、原発の「7基追加再稼働」や原発の運
転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新設やリプレースの検討など、
原発推進方針を表明しました。

これに対し、FoE
Japan、原子力規制を監視する市民の会、原子力資料情報室の
3団体は、撤回を求める以下の要請書への個人・団体の賛同の呼びかけを開始ま
した。一次締切は9月12日の朝8:00です(同日の午後に提出予定です。オンライ
ンでの政府交渉もアレンジ中です)
ぜひ多くの皆さまにご賛同いただければ幸いです!

原子力規制を監視する市民の会 阪上 武

++++++++++++

【賛同募集】要請書「原発推進方針の撤回を」
http://kiseikanshi.main.jp/2022/09/06/1800/

賛同はこちらのフォームから(個人・団体)
https://forms.gle/JvdTjCgBuNgHVQJC7
(フォームの最初の画面に必要事項を記入し、「次へ」を押し、次の画面を記入
したら「送信」を押してください)

要請書の本文は以下の通りです。
------------------------------
内閣総理大臣 岸田文雄 様
経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣 西村
康稔 様

■要 請 書
■原発推進方針の撤回を

政府は8月24日「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、原発
の「7基追加再稼働」や原発の運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発
の新増設やリプレースの検討など、原発推進方針を表明した。
私たちはこれに強く抗議し、撤回を求める。

政府はいままでも原発のコストやリスクを無視し、原発維持の方針を示してきた。
しかし、原発に対して慎重な世論を考慮し、原発の新増設やリプレースメントに
ついてはエネルギー基本計画等には盛り込まず、「原発依存を可能な限り低減す
る」としてきた。今回の方針ではじめて原発の新増設やリプレースの検討が明記
された。公開の場での議論をつくすこともせず、このような重大な方針変更を、
いきなり打ち出すこと自体、大きな問題である。

◆原発事故の被害と痛みに向き合うべき

11年半前の東日本大震災に端を発した福島第一原発事故は未だ収束していない。
多くの人たちが故郷を失い、生業を失い、生きがいを失った。
政府はこの被害そして痛みに向き合い、被害者の救済や事故の原因究明、福島第
一原発施設の安全確保、事故の教訓の伝承をこそ最優先で進めるべきである。
実際には、避難者への支援は相次いで打ち切られ、帰還や移住が促進された。莫
大な復興予算は、除染や焼却施設、インフラ建設にあてられた。産業拠点が建設
され、元のふるさとは失われた。「復興」の掛け声のもとで、被ばくや汚染とい
った言葉を口にすること自体がはばかられる空気も醸成されている。原発事故被
害の「見えない化」が確実に進んでいる状況である。

◆再稼働が判断できる状況ではない

規制委の審査が終了した7基の原発について、「国が前面に立ち」、来夏以降に
再稼働させる政府方針が示されている。住民の反対の声を背景に、地元自治体は、
独自の検証作業を慎重に行うなどしているが、国がこれに介入し、圧力を加える
ようなことはあってはならない。
また、地元自治体が策定する広域避難計画について、裁判所から運転禁止命令が
出た東海第二原発を含め、実効性がないことが明らかになっており、とても再稼
働が判断できる状況ではない。

◆運転期間「原則40年」を骨抜きにするな

老朽原発を動かすことは極めて大きな危険を伴う。運転により原子炉が中性子に
さらされることによる劣化もあり、運転休止中も時間の経過に伴い、配管やケー
ブル、ポンプ、弁など原発の各設備・部品が劣化する。交換できない部品も多く、
電力会社の点検や規制委の審査も限定的である。休止期間を運転期間から除外す
るということは、老朽化のリスクを度外視したものだ。
福島第一原発事故後、原発の運転期間を「原則40年」とすることが原子炉等規制
法に盛り込まれた。「原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り延長するこ
とができる」とされている。当時はこの1回の延長は、「例外中の例外」とされ
ていた。それがいつの間にか骨抜きになった。運転期間の延長は、住民の安全を
脅かす暴論である。

◆原発は電力需給ひっ迫の解決にはならない

原発は一基あたりの出力が大きい電源ではあるが、柔軟に止めたり動かしたりし
することはできず、出力調整も難しい。また、トラブルが多く、計画外に停止す
れば広範囲に大きな影響をもたらす。隠蔽や改ざんなどの不祥事や訴訟リスクも
高い。つまり原発は不安定な電源である。
需給調整のための仕組みづくり、省エネの導入、デマンド・レスポンスの強化、
持続可能性に配慮した再エネ電源の整備などが、経済合理性があり、効果的で現
実的な解決方法である。
原発がもつ様々な問題を無視して原発を推進することは、国民に不必要な経済的
負担とリスクを押し付けるものである。

◆新増設・リプレース方針の撤回を

原発の新増設・リプレースについて、政府は原発推進を声高に叫ぶ原子力産業の
代弁者で占められた閉じた審議会での限られた検討だけで、住民や国民世論を無
視してこれまでの方針を覆そうとしている。
「次世代革新炉」などと言葉だけが躍るがその内容や実現可能性はあいまいであ
り、巨額の税金を投入したあげく、廃止となった、もんじゅやふげんなどの二の
舞になることは目に見えている。
原発新増設には計画から少なくとも10~20年かかる。つまり、現在の電力需給に
何ら貢献することはない。CO2排出量削減についても同様である。さらに、原発
を新増設すれば、その後、少なくとも40年は稼働することになる。その間のエネ
ルギー政策を縛り続ける。
原子力産業の生き残りのために賭博的な構想に多額の税金を投入することは許さ
れない。

◆原発は電力需給ひっ迫の解決にはならない

原発は一基あたりの出力が大きい電源ではあるが、柔軟に止めたり動かしたりし
することはできず、出力調整も難しい。また、トラブルが多く、計画外に停止す
れば広範囲に大きな影響をもたらす。隠蔽や改ざんなどの不祥事や訴訟リスクも
高い。つまり原発は不安定な電源である。
需給調整のための仕組みづくり、省エネの導入、デマンド・レスポンスの強化、
持続可能性に配慮した再エネ電源の整備などが、経済合理性があり、効果的で現
実的な解決方法である。

◆原発推進を撤回して脱原発へ

ずさんな安全管理により事故が頻発している。老朽原発の運転は事故の危険をさ
らに高める。原発の「持続的活用」により、ライフサイクルにわたる放射能汚染
を引き起こし、将来世代に核のごみを一層押し付けることになる。政府は原発推
進方針を撤回し脱原発に舵を切るべきである。

2022/09/03

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(2)

前回に引き続き、仙台高裁での第2回口頭弁論期日でのツッコミどころ満載の実態を紹介したいと思います。前回紹介したように、裁判長からの被告への釈明要求の一つである「①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。」に応えて田村バイオマスエナジー(以下田村BE)は「報告書」(乙43号証)なる書面を出してきたのです。
 
●奇妙な報告書の構成
 
この報告書を見ると2-3ページには(a)日立三菱パワーシステムズインダストリーの名称が入った据付記録が付いています。(b)3ページ以降14ページには田村BEがHEPAフィルターの中に入って撮ったという写真がついています。(c)15-17ページには近藤工業㈱のフィルタ総合カタログからの抜粋がついています。
 
一見すると、HEPAダクト内はガランドウではなく、それらしきものが付いているという印象を持ちます。しかし技術的に見るとこれは極めて奇妙な構成になっているのです。
 
(a)は確かに日立三菱パワーシステムズインダストリーの名称が入った図面であり、しっかりしたもののような印象を与えます。しかしこの据付記録は、あのラグビーボールのような奇妙な形をしたダクトを定位置に設置し溶接しシャワーテストという漏れ確認を行ったというだけのものです。肝心のHEPAユニットが(図面上では描かれていますが)設置されたということを証明するものではありません。
 
(b)は田村BEがダクトの中に入って写したという写真がついています。この写真は撮影日付記録もなく、また必要以上に近接して写しているため、田村BEのダクト内のHEPAユニットであることは確認できません。
 
そもそも、何故据付記録はメーカーの記録を出しているのに、HEPAフィルタユニットの取り付け状態を示す図面や写真はメーカの資料から抜粋して出さないで、信憑性の乏しい写真を撮らなければならないのでしょうか。こうしたプラントでは、設備メーカは設備引き渡し時に設備完成図書として、細かい部分の設計施工図面やテスト結果、その過程を示した明瞭な写真記録を出しているるはずです。これを抜粋して出さないで何故わざわざ田村BEが写真を撮って提出しなければならないのでしょうか。
 
●奇妙さを通り越して笑いたくなるような証拠写真
 
下図がHEPAフィルタの型式を示したと思われる写真です。
Hepa

田村BEは今回の控訴審第1準備書面で、フィルタの型式が「1LFU-190」であることを明らかにしました。上記写真がそれを示すつもり?の写真なのでしょうか。まるで情報開示請求でよく出てくるノリ弁状態の写真と見まがうような真っ黒な写真です。かすかに読み取れるのは「・・UTE FILTER」の文字が読み取れるだけで、上述した型式を確認することはできません。全く疑念を晴らそうとしないで、「疑ってくれ」と言わんばかりの写真です。皆さんはこの写真を見てどう思いますか?何を説明したいがために、こんな写真を裁判所と原告に提出したのでしょうか。奇妙さを通り越してこっけいにも感じる証拠写真です。

●近藤工業㈱フィルタ総合カタログを都合の良いところだけ抜粋して証拠として提出

被告はHEPAフィルタの型式が「1FU-190」であることを明らかにして、近藤工業㈱フィルタ総合カタログの60–61ページだけを抜粋して証拠として提出しています(前述「報告書」の14-17ページ)。

ところで近藤工業㈱のフィルタ総合カタログはウエブ上で公開されていて誰でも見ることができます。このカタログの76ページ以降に「原子力施設用フィルタJIS Z 4812適合)の製品が紹介されています。

なぜこれらJIS Z 4812適合のものを使わないのでしょうか。そもそも被告の本田仁一市長(当時)が「住民の放射能に対する不安が大きいのでバグフィルタの後段に高性能フィルタを付ける」「国内最高レベル」と議会で答弁しているのです。放射能対策用のフィルタがあるのにそれを選択せずクリーンルーム用のフィルタを付けたというのは、住民と議会をダマすために「何かそれらしきものが着いていれば良い」と相談した?ことを証明するようなものです。

●必要なところは抜粋せず、それらしい「雰囲気」を示す程度の証拠ではダマされない

仙台高裁の裁判長や裁判官には是非、原告の主張と被告の主張を虚心坦懐に読み込んでいただきたいと思います。第1審の福島地裁では「そもそもHEPAフィルタは、JISにも規格が設けられた性能を有するエアフィルタであり放射性廃棄物の減容化施設でも用いられているものであり、・・放射性物質を捕捉できないものであるとは認められない。」などの暴論を踏襲しないでいただきたいものです。

被告側提出:控訴審第1準備書面
被告側提出:田村BE作成「報告書」(乙第43号証)

 

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