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2022/09/11

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(3)

シリーズでお伝えしてきた控訴審第2回期日の報告も3回目(最終回)です。

高裁裁判長の指示により、ようやく被告らが設置したというHEPAについての報告書が、ダクト内はガランドウではなく、何かが付いているらしい雰囲気を示すだけのものであり、技術的にみると、ダクトの溶接と漏れ確認はメーカーの資料を抜粋したものですが、内部に設置されているというHEPAフィルタの写真は田村バイオマスが写した写真であり、異様に接近したアングルで写されており、撮影日時の記録もなく、これが本当に田村BEのダクト内に設置されたものであるかどうかさえ疑わしいものであることは、前回までに報告しました。

ここでは、そのその写真の信憑性の問題は保留し、その写真が田村BEに設置されているものだとして技術的に仔細な点を見てゆくと、更にいろいろな問題が出てきます。

●バグフイルタの出口部分(つまりHEPAフィルタの入口部)はホコリまみれ

被告が提出した「写真撮影報告書」(乙第46号証)の写真をみるとHEPAフィルタの入口側から写した写真があります(4p)。下記の写真がそれです。

Hepa_20220911161301

        HEPAフィルタを上流側から写した写真

 上記写真がHEPAフィルタを上流側から、つまりバグフィルタ出口部分の写真です。皆さんはこの写真のどこに注目しますか?多分、HEPAフィルタユニットらしきものが多数、並べられて設置されているところに注目するでしょう。しかし注目すべきところはそこではありません。奥の方に脚立がおいてある床面を見てください。随分とホコリが層をなしていることが判ります。ホースでこすられてホコリの層が払われたり、ホコリの層の上に足跡らしきものまでついています。

バグフィルタは99.99%まで煤塵を捕捉する(国立環境研 大迫論文)からバグフィルタで十分安全は確保されていると言いますが、HEPAフィルタの床にこのようなホコリが堆積するということは、かなりの量の煤塵がバグフィルタでは捕捉しきれず実際には漏れていることになります。

逆説的ですが、HEPAフィルタの大敵は煤塵なのです。粒径1μm(1ミリの千分の一)以下の粒子を捕捉するため排ガスの煤塵量(米エネルギー省発行の核空気洗浄ハンドブック(NACH)では0.23mg/㎥以下としている)が多いと短時間で目詰まりを起こしてしまいます。このための対策として、HEPAフィルタの上流側にやや目の粗いプレフィルタの設置が必要となります。原告側は既にこのことを、第1審で指摘しています。

被告側は、「バグフィルタが十分な煤塵の捕捉をするため、プレフィルタの役割を果たしている」と主張していたのです。その結果の写真がこのような状態なのです。被告側は原告の追究にその都度、言葉のすり替え、論点そらしで対応してきました。HEPAフィルタを設置して維持することの難しさを知っていれば、この写真を証拠資料として提出するのは「まずい」、「床の煤塵層を掃除してから写真を撮れ」というでしょう。私が被告の立場であれば必ずそのように指示します。被告側は、苦し紛れに屁理屈、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。ひょっとしたら、このプレフィルタに関する議論を忘れたのかもしれません。ウソはウソを呼びます。原告側は控訴審第2回期日においてこの点を指摘しました。被告はまたつじつま合わせしなければならない理由を増やしてしまいました。

●HEPAフィルタの固定方法は重大な設計不良

更にこれらの写真を検証すると重大な設計不良がみつかりました。HEPAフィルタユニットの設置方法についての問題です。

Hepa_20220911161501

                                 HEPAユニットの固定方法の欠陥

重大な設計不良とは上記写真のA部、B部の部分のことです。A部では上下2つのHEPAユニットの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。B部においては、取り囲まれる4個のHEPAユニットの4つの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。これは図で示した部分だけではなく、6列5段の30枚のHEPAユニットの固定全体で行われています。

問題は、例えばA部において下部のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響は下部ユニットのみではなく上部ユニットにまで影響が及ぶことになります。B部においては1個のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響が他の3か所にも及ぶことになります。
こうして、1箇所の緩みや締めすぎを調整しようとしても、それが連結する周辺のHEPAユニットの固定に影響を及ぼすことになるのです。

1箇所のみを調整しなけれればならない場合は容易に発生すします。例えばHEPAユニット本体の微妙な歪み、HEPAユニットを固定し保持する後方のフレーム(写真では見えない)のわずかな曲がり、後方のフレームとHEPAユニット間に漏れ防止として挟み込まれていると想定されるガスケット(フレームとHEPAユニットの平面の間に挟み込む漏れ防止のためのクッション材、写真では見えない)の微妙な厚み差や硬度差、そして押さえ板の曲がりなどです。
これに対する対策は極めて簡単でHEPAユニットの角を固定する押さえ板とボルトを共有せず、独立にすれば良いだけでのです。
これは機械設計者からみれば極めて常識的な話ですが、そのようになされていないことは、「お飾り」だからついていれば良しとして、構造を簡略化しコストダウンしたためと推定できます。何度も繰り返すように1μm以下の粒子がフィルタ本体を通過せず、HEPAユニットとフレームの接合部の隙間から漏れてしまうような事態を避けるためには、全てのHEPAフィルタユニットがガスケットを均等な圧力で押さえつける必要がある。そのためには、すべてのHEPAユニットの角が独立して適正な締め付け圧で設置されなければなりません。その観点からすると極めて不適切な設計です。

このことは、先述したNACHの第4章「ハウジングの設計とレイアウト」の4.4.6「フィルタのクランプ(締め付け)とシーリング(封止)」節内の図4.15「HEPAフィルタの取り付けフレーム(2つのクランプ設計を示す)」として、推奨されない例(悪い例)として示されています。

●高裁における控訴審で初めて出て来た資料が示すもの

福島地裁での第1審では、被告は徹底して設計図面やHEPAフィルタ交換の手順書、漏れテストデータ、集塵率データなど技術的な資料を一切出さず、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。仙台高裁での控訴審第1回期日で石栗正子裁判長が被告側に資料提出をもとめました。その結果、出て来た資料の主なものが、この3回シリーズで解説したものです。紙面の都合で書ききれませんが、これ以外にも出て来た資料から、原告の主張の正しさを証明するものが出てきました。

仙台高裁においては、これらの資料と原告の主張を虚心坦懐に見ていただきたいものです。

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