原発の運転期間の定め 国会審議で岸田首相が「運転期間の定めは安全規制」と認めた意味
みなさまへ(転載歓迎)
原発の運転期間の定めについて、規制委で基本方針が決まりましたが、2月21閣議決定は延期され、規制委では高経年化した原発の安全規制についての会合が開かれることになりました。石渡委員も参加予定です。第1回は22日(水)14:00~16:00です。
第1回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チーム
閣議決定できない状況は、国会の審議からも明らかです。肝心の立法事実について、まともに説明できないのです。
今回の法改正は
運転期間の定めを安全規制側の炉規法から利用政策側の電事法に移すことが前提になっています。
山中委員長らがその根拠に挙げているのが
令和2年7月29日規制委見解に「運転期間の定めは利用政策判断であるから規制委は意見を述べるべき事柄ではない」
との文言があることだけです。
★政府側の最大の弱点はこれを政府見解にできないことです。
それは「運転期間の定めは利用政策判断である」に嘘があるからです。
現状の運転期間の定めが利用政策判断なのか安全上の観点なのか、2月15日の予算委員会で立憲の枝野さんがストレートに聞いています。
枝野議員「原発の稼働期間の上限はなぜ設けられたのか?
岸田首相「原発の利用の観点から議論の結果定められた」
…と述べるが……すぐに修正…
枝野議員「利用の観点か?安全性ではないのか?原発が劣化して安全性が損なわれてはいけない、だから上限を定めているのではないか?」
岸田首相「60年という制限については、安全性の観点から設けられたものである」
岸田首相はその後の答弁でも
「今回の、原子力発電所の高経年化に関しては、これは新たな科学的・技術的な知見の存在を踏まえて改正するものではありません。これは、構造的なエネルギー需給のひっ迫への対応といった利用政策の観点から、運転期間に関する定めを設けて、これに対応した安全規制を厳格にしようというものであります。従来から、運転期間については、安全の観点から定めが設けられておりましたが、これについて、利用政策の観点から、これを議論しているわけですが、その中にあっても、安全性の観点は、原子力規制委員会の基準をクリアしたものでなければならない、これは全く変わらないという形で維持をされております」
と、運転期間については安全の観点から定めが設けられていたことを明確に認めています。
2月20日のれいわのくしぶち万里議員の国会質問でも山中委員長はしどろもどろです
衆議院・予算委員会 第6分科会 環境省・原子力規制庁(2023年2月20日 10:00頃~)
https://www.youtube.com/live/rR1-rp2XUKM?feature=share&t=426
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阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
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