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2023/12/01

<報告>原子炉圧力容器の脆化の監視問題で規制庁とオンライン会合

みなさまへ(転載歓迎)

誤認等あればお知らせください

 

〇監視試験片の再生技術は確立していない。東海第二は再稼働すべきではない

〇60年以上先のデータが既に得られているというが過小評価でない根拠は示されず

〇母材と溶接部のデータをごちゃまぜにして評価する方法について問題を指摘

 

11月30日の午後、原子炉圧力容器の劣化の監視問題について原子力規制庁とのオンライン会合が開催されました。原発ゼロの会の阿部知子議員に設定をお願いしました。オンラインにて約60名の方に参加いただきました。技術的に立ち入った内容でしたが、多くの方に最後までご参加いただきました。近藤昭一議員には最後までお付き合いいただきました。ありがとうございました。

 

事前解説では、元原発技術者で原発老朽化問題研究会の服部成雄さんから、40年超運転で圧力容器の照射脆化を監視できるのか?というタイトルで以下の内容で解説をしていただきました。

 

・圧力容器の照射脆化という劣化を監視するために監視試験片を入れているが、原発の寿命40年を想定していたために数が足りなくなっており、そのため一度使った試験片を再生して使うことにしている。

・シャルピー衝撃試験では、母材、溶接金属、熱影響部の三種類の監視試験片が必要。母材については再生試験片をつくる技術は確立しているが、溶接金属の再生は困難、熱影響部の再生は不可能である

・電力会社は、熱影響部は母材で代表できるとして、熱影響部の監視は不要とする動きもみせているが、科学的な裏付けはなく、逆に必要なことを示す根拠が論文で示されている

 

その後、規制庁から3名(技術基盤課、企画調整課、審査部門)が加わり、90分にわたり、事前質問書に基づき質疑が行われました。以下の3点でやりとりがありました。

 

1.試験片再生技術の未確立と監視試験片が尽きている東海第二原発の再稼働について

 

東海第二原発は運転開始時に入れた4セットの監視試験片の取出しがすべて終わっていて、炉内には、試験済みの試験片が入れてあるだけとなっています、事業者の原電は、2018年に、まもなく再生試験片の技術が確立するとしたうえで、40年超の運転期間延長認可を受けています。

 

しかしその後、再生試験片の技術が確立したとの報告はなく、逆に、事業者から再生が困難であるとの情報が規制委にあがっていることが、今年5月国会でも問題になったため、規制庁の認識を聞きました。

 

規制庁の回答は、審査では、その時点で技術基準に従っているかどうかを確認するだけで、再生試験片の作成技術がどうなったかについては確認しておらず、その後も確認していないというものでした。やりとりをしているうちに、規制庁側から、今現在、電力会社は共同研究で再生技術の確立を進めている、規格(JEAC4201)の改訂版に取り込もうとしているが、少なくとも1~2年はかかるとの話が出てきました。

 

そのうえで、次の取出し試験に際して、試験片を取り出しても再生ができないとなったら不合格とするということです。ではいつ取り出すのか。規制庁によると、取出し時期について技術基準に規定はあるが明確な規定ではないとのことでした。

 

市民側から、2018年の認可は見切り発車ではないか。東海第二原発については再生試験片の技術が確立する前提て認可を受けたのだから、少なくとも再稼働前の使用前検査の際に、再生試験片の技術が確立しているかどうかの検証をすべきだとの意見が出ました。

 

2.川内原発の「加速照射」による監視試験片データの信頼性について

 

山中委員長は「60年を超える運転において圧力容器が受ける監視試験データが得られている」旨の発言を繰り返していますが、その例として挙げられているのが、川内原発の第5回の監視試験結果について、九州電力が定格出力相当で114年に該当するとしていることです。

 

川内原発の第5回の監視試験片は、定格出力相当で26年に行われていますが、監視試験片が評価対象である炉の内面よりも炉心に近く、炉の内面の約4倍の中性子を浴びているので26年の4倍先の114年後の状態がわかると言いたいのです。

 

ところが、敦賀原発や福島第一原発では、炉心に近く、中性子量がさらに大きい「加速照射」の試験片による試験の結果、中性子量に比べて脆化が小さく、過小評価になることが明らかになっています。

 

BWRとPWRの違いや監視試験片の位置による中性子量の比率の違いなどもあるのですが、照射速度の違いにより、ゆっくり照射を受けた場合はより脆化が進み、速く照射を受けた場合にはより遅く脆化が進むのであれば、4倍の違いでも過小評価となる可能性があるのではないかという趣旨で質問しました。

 

質問の趣旨を確認するのに時間がかかりましたが、規制庁側の回答は、炉の内面ではなく炉壁表面との比較で、BWRの「加速照射」は中性子量が10倍以上であるのに対し、PWRは1~3倍程度なので照射速度の違いは問題にならないというものでした。川内原発1号炉の場合、炉壁表面との比較で監視試験片の位置での中性子量は2.7倍とのことでした。

 

市民側は、BWR10倍に対して川内は2.7倍と小さいことはわかったが、2.7倍でもそれに応じた過小評価が起こりうるのではないか。それを否定する根拠はあるのかと質しました。規制庁は、裏付ける根拠はたくさんありますよ、国際的にそのようにしています、というだけで具体的な根拠は示されませんでした。

 

3.母材のデータと溶接部のデータをごっちゃにして評価してよいのか

 

高浜原発などで、破壊靭性試験について、母材だけの試験と溶接部だけのデータを交互にとっている件が問題になりました。規制庁から、破壊靭性試験については、そもそも規格が、母材と溶接部のデータを区別せずに評価する建てつけになっているので問題ないとの回答があり、そこから、母材と溶接部のデータをごっちゃにして評価することの問題点が議論になりました。

 

原発老朽化問題研究会の井野博満さんから、シャルピー衝撃試験では、母材と溶接部と熱影響部の3つを別々に評価している。破壊靭性試験について、規格には、ごっちゃにしてよいとも悪いとも書いていない。データが少ないのをごまかしているだけではないかとの指摘がありました。

 

さらに、シャルピー衝撃試験で得られた移行温度についてのデータを、破壊靭性試験による加圧熱衝撃評価にそのままもちいることにより、過小評価が生じている問題についても指摘がありました。この辺については、改めて議論することとしました。

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

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