能登半島地震を踏まえた地域防災計画・避難計画に基づく「緊急時対応」についての国会答弁
みなさまへ
能登半島地震を踏まえた避難の問題について、規制委は今回の地震を踏まえた原子力災害対策指針の見直しは不要との姿勢ですが、地域防災計画・避難計画に基づいて策定される「緊急時対応」については、3月7日の参議院予算委員会で、「能登半島地震の教訓を踏まえて取り組む」「しっかりとした緊急時対応がない中で、原子力発電所の再稼働が実態として進むことはない」との政府の答弁がありました。質問したのは立憲の岸真紀子議員です。
岸真紀子議員 今ある原発立地自治体における避難について考える必要がありますが、残念ながら逃げることはできないし、ヨウ素剤など自治体が、発災直後には物資が届けられなかったように、被災者に届けるのは難しいと思います。東海第二原発では30キロ圏内に90万人を超える人がいる実態があって、そんな人数の避難計画など無理だと考えるのですね。今回の能登半島地震を踏まえれば、そもそも昨年、岸田政権は、原子力回帰ともとれる政策転換を打出しましたが、やっぱりこれ無理なのではないかと考えるのです。そのへん斎藤経産大臣に、能登半島地震を踏まえてもまだ突き進むつもりなのかどうかをお伺いします。
斎藤経産大臣 まず能登半島地震の後ですね、原子力規制委員会において、志賀原発については、原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原発についても、安全確保に影響がある問題は生じていないとのまず見解が示されています。そのうえで、地域の避難計画、それを含む緊急時対応につきましては、内閣府の原子力防災担当を中心に、地域原子力防災協議会を設置をして、その策定に取り組んでいるところであります。今後も、地域原子力防災協議会の枠組みのもとで、今般の地震で得られた教訓をしっかりと踏まえながらですね、緊急時対応のとりまとめ、あるいは不断の改善と充実を図りながら、原子力災害対応の実効性の向上に取り組んでいくということになります。いずれにしても、しっかりとした緊急時対応がない中で、原子力発電所の再稼働が実態として進むことはないと考えています。…(略)…
緊急時対応は、立地自治体と内閣府原子力防災担当による地域防災協議会の作業部会において、原発再稼働前に策定され、岸田首相が議長、山中委員長が副議長の原子力防災会議で承認される手はずになっています。
各地の状況は以下にあります。
https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/kyougikai/kyougikai.html
例えば、既に策定されている女川地域の緊急時対応をみると
自然災害等により道路等が通行不能になった場合の復旧策
□避難開始前の段階において、避難計画で避難経路として定められている道路等が自然災害等により使用できない場合、宮城県、女川町及び石巻市は、代替経路を設定するとともに、道路等の管理者は復旧作業を実施。
□直轄国道については、国土交通省東北地方整備局が早急に被害状況を把握し、迅速かつ的確な道路啓開、仮設等の応急復旧を行い、早期の道路交通の確保等に努める。
□災害発生時には、各管理道路のパトロールを実施し、被害の状況等を把握。
□道路の被害状況を踏まえ、国、県がそれぞれ建設業協会等と締結している協定等をもとに、応急復旧を実施。
PAZ内における状況に応じた対応
□自然災害等により予定していた経路による避難が実施できない場合は、迂回する陸路による避難や海路等といった避難を実施。なお、東北電力においても、ヘリコプターを確保し空路避難を支援。
□いずれの避難もできない場合には、屋内退避を実施し、避難態勢が整い次第避難を実施。
などとなっています。今回の地震ではこうした対応が現実には困難であることが明らかになったのだと思います。柏崎刈羽地域は案が出ている状況、東海地域は案も出ていない状況です。
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
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