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2024/03/17

能登半島地震と原発周辺の活断層の過小評価

みなさまへ(転載歓迎)

 

能登半島地震と原発の地震動評価、特に活断層の過小評価について整理してみました。誤認等あればお知らせください。

・隆起量の大きい海成段丘面の先の海底には隆起をもたらした断層がある

・地形による認定が採用されず音波探査を過度に重視する過小評価が行われてきた

・原発・原子力施設においても同様の過小評価がまかり通ってきた

というのが趣旨です。

 

志賀原発に加えて柏崎刈羽原発と下北半島(むつ使用済核燃料中間貯蔵施設)をとりあげています。柏崎刈羽原発を問題にしたのは、いま再稼働が問題になっていること、国・東電は、音波探査の限界を事実上認め、音波探査ではみえない海底活断層の存在を認めながらも、音波探査を根拠に長さを切り縮める過小評価を行っていることからです。

 

下北半島北部については、大間原発の審査において国・電源開発は、下北半島北部の隆起を説明するために、音波探査で否定した海底断層を「仮想的」に想定せざるをえなくなり、やはり音波探査の限界を事実上認めていること、それでも長さを切り縮めていること、他方でむつ使用済核燃料中間貯蔵施設については、そうした海底断層を一切考慮していないことからです。むつの施設は2024年度に操業開始予定となっており、最初の搬入は柏崎刈羽原発からとなっています。すなわち、柏崎刈羽原発の再稼働に関係しているのです。

 

六ヶ所再処理工場や泊原発などなど、他にも問題になるところはあると思います。全国の原発・原子力施設を止めて再審査が必要だと思います。

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

 

**************************

能登半島地震と原発周辺の活断層の過小評価

http://kiseikanshi.main.jp/2024/03/17/11223344-4/

 

◆珠洲原発の建設予定地でも激しい隆起

 

能登半島地震は激しい隆起が特徴でした。建設予定地が震源に近いところにあった珠洲原発がもし稼働していたら…揺れにより内部の機器が損傷しただけでなく、激しい隆起による地盤の変位により、建屋が傾いていたかもしれません。取水口が隆起により干上がり、取水ができなければ冷却に困難をきたし、炉心溶融に至る可能性もあったでしょう。想像しただけでも背筋が凍ります。

 

〇能登の海岸調査の写真(ストーリーマップ) 石山達也(東大地震研)ほか

https://storymaps.arcgis.com/stories/40e7a9d10dd446279e465845b93339d2

〇令和6年能登半島地震による海岸地形変化の検討結果(日本地理学会調査グループ)

http://disaster.ajg.or.jp/files/202401_Noto008.pdf

 

◆隆起量の大きい海成段丘面の海底に横たわる活断層

 

珠洲原発の予定地は海成段丘面でした。海成段丘面は海岸沿いの段々畑のような平らな面です。能登半島は海岸沿いに多くの海成段丘面が分布し、特に北側の段丘面の標高が高いことが知られています。その場合、さらに北側の海底に長大な海底活断層が横たわり、地震活動による隆起が繰返されることによって海成段丘面が形成されたと考えられます。

 

〇東京新聞2024年2月4日 能登半島地震 繰り返された大規模隆起 新たな海岸段丘が出現

https://www.tokyo-np.co.jp/article/307296

 

◆音波探査による海底活断層の過小評価

 

防災の基礎データとなる海底活断層の調査では音波探査を重視するやり方が採用されてきました。活断層学会会長の鈴木康弘教授(名古屋大)は、海岸近くの活断層を音波探査で調べることは難しい、活断層は短く認定されがちで能登半島北岸沖の断層も短い断層に分割されてしまう、海底でも地形から活断層を認定する技術は既にあり、能登半島でも長大な活断層を見つけていた、それが防災に活用されなかったことが問題だと指摘し、活断層の再評価を求めています。

 

〇問題提起 M7級想定できた-沿岸活断層、認定急げ 鈴木康弘

https://jsaf.info/jishin/items/docs/20240110081056.pdf

〇能登半島沖の海底の変動地形 後藤秀昭(広島大)

https://jsaf.info/jishin/items/docs/20240103182202.pdf

 

原発は冷却に海水を使い、津波の影響を避けるため、海岸のある程度の標高がある平らな面が適地となります。そのため、隆起量の大きい海成段丘面に立地する原発・原子力施設が多くあります。そうした原子力施設の海底活断層の評価において、音波探査を過度に重視することにより、活断層を短く分割する、あるいは活断層がないことにする過小評価がまかり通ってきました。

 

◆志賀原発…目前に横たわる海底活断層が見逃されている

 

海成段丘面は能登半島の西岸にも広がっており、その中に志賀原発が立地しています。渡辺満久教授(東洋大)ら変動地形学者は以前から、志賀原発のすぐ沖に海底活断層が横たわっている可能性を指摘していました。北陸電力はごく短い海底活断層しか評価していません。鈴木、渡辺教授は、今回の地震後の調査で、原発から10キロほど北にある富来川南岸断層が動いた形跡を見つけました。これが志賀原発の目前の海底活断層に繋がる可能性を改めて指摘しています。

 

〇富来川南岸断層に沿う地震断層の発見 鈴木康弘 渡辺満久

http://disaster.ajg.or.jp/files/202401_Noto011.pdf

〇能登半島南西岸変動地形と地震性隆起 2015 渡辺満久ほか

https://www.jstage.jst.go.jp/article/grj/88/3/88_235/_pdf/-char/ja

「調査地域の隆起運動は,南東~東傾斜の逆断層運動によってもたらされたと考えられる.このため,富来川南岸断層は沿岸から3~4

km沖合にある海底活断層に連続する可能性がある」

 

◆柏崎刈羽原発…音波探査の限界が露呈するも音波探査を理由に断層を短く評価

 

2007年の中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発も海成段丘面に立地しています。中越沖地震は原発の目前に横たわる海底活断層によって起こされたものでした。中越沖地震の前、東電・国は、政府系の産業技術総合研究所(産総研)による音波探査を根拠に、原発の目前の海域において海底活断層はないとしていました。産総研の研究員は中越沖地震の後の調査結果からも、地震を起こした活断層を確認することはできませんでした。音波探査の限界が露呈したのです。

 

〇日本海東縁の地質構造と震源断層との関係 2010 岡村行信(産総研)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/116/11/116_11_582/_pdf

「2007年中越沖地震…震源域は海底地質データの少ない水深100

m以浅に位置していたことから,地震に関連した地質構造もはっきりしていなかった.地震後に取得された高分解能マルチチャンネル反射断面でも震源域内には明瞭な活断層は認められていない」

 

渡辺教授らは、音波探査と海底地形の連続性から、中越沖地震を引き起こした活断層を特定し、佐渡海盆東縁断層と名付けました。この一部が動いてM6.8の中越沖地震をもたらした、全長は50km以上と認定され、60kmとすると全体が動いた場合の地震はM7.5以上になる、と指摘しました。渡辺教授らは、音波探査でみえないからといって活断層がないとはいえない、中越沖地震を起こした活断層が音波探査でみえないことが何よりの証拠だと指摘しました。

 

〇佐渡海盆東縁断層と2007年中越沖地震 2010 渡辺満久ほか

https://www.jstage.jst.go.jp/article/afr/2010/33/2010_27/_pdf

「『音波探査で断層構造が見えない』ことと,『活断層がない』こととは同義ではない.…断層が存在すべき2007年中越沖地震の余震域において,音波探査では断層構造は見えていないのである.音波探査記録に『見える・見えない』だけを根拠に,断層がないと結論することは,明らかに間違いである」

「柏崎刈羽原子力発電所が…『想定を遥かに超える地震動』に見舞われた大きな理由の1つは,活断層の見落としにある.活断層の存在が見落とされたのは,活断層の認定・評価に関して,変動地形学的知見を取り入れた適切な解析手法が採用されなかったためである.本論文で明らかにしたように,東電・政府の見解には佐渡海盆東縁断層Aの連続性に関する過小評価が残っており,今なお,活断層の認定・評価が適切に行われていないことを示している」

 

東電・国はどうしたか。さすがに活断層はないとはいえず、音波探査で確認した褶曲(しゅうきょく)や中越沖地震の余震分布などから推定した36kmだけを認定しました。残りの部分は、産総研の研究員の見立てに従い、活断層はないとしました。音波探査の限界が露呈し一部を認めたのですが、音波探査に基づいて残りを退けたのです。基準地震動はM7.0となりました。

 

〇第215回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合

https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11242280/www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tekigousei/power_plants/00000012.html

 

〇3秒グリッドDEMから作成した日本海東縁部の3D海底地形 2014 泉紀明(海上保安庁海上調査課)ほか

https://www1.kaiho.mlit.go.jp/kenkyu/report/rhr51/rhr51-TR10.pdf

「佐渡海盆の東縁の崖でも反射断面に地層の撓みが認められ,変動崖として認定され地下に逆断層が存在すると推定される.この変動崖は盆地西部で少なくとも30km,佐渡海盆全体では50km以上の長さとなる.2007年中越沖地震は,佐渡海盆東縁の逆断層と盆地南部中央の逆断層が活動したものである.これに対して,原子力安全・保安院(2009)は,盆地南部中央の断層が東縁断層に接近する場所より北では反射断面には地層の撓みは認められず,崖は堆積構造(プログラデーション)によって形成されたとしている.岡村(2013)の活断層図には佐渡海盆南東部においても,活断層は認定されていない.」

 

◆下北半島・大間原発…音波探査で活断層を否定するが隆起が説明できず同じ場所に「仮想的断層」を想定

 

下北半島には、六ヶ所再処理工場、東通原発、むつ使用済核燃料中間貯蔵施設、大間原発と原子力施設が林立しています。災害時に避難が困難な状況は能登半島に似ていますが、周囲を海成段丘面が取り囲み、海底地形から半島の北側や東側の海底に長大な活断層が認定されること、にもかかわらず、原子力事業者らが音波探査を根拠にこれを否定する構図もよく似ています。

 

大間原発は特に隆起量の大きい半島北端の海成段丘面に建設中です。渡辺教授らは、海底地形から半島北側の津軽海峡に海底活断層が確認され、長さ40kmの活断層を想定すれば北へ行くほど隆起量が大きくなる半島の隆起が説明できるとしています。これに対し事業者の電源開発は音波探査を根拠に、渡辺教授らが指摘する断層は活断層ではないと否定。しかしそれでは半島の隆起を説明できないことから、規制庁の指示で「仮想的断層」と称する活断層を渡辺教授らが指摘する同じ場所に地形を無視する形で想定しました。しかし規制庁が隆起量の大きい地域を下北半島北部の狭い領域に限定し、隆起量を評価するために用いた水準点の測量記録の一部を意図的に無視したため、仮想的断層は長さ20kmしかありません。

 

〇下北半島北西端周辺の地震性隆起海岸地形と海底活断層 2012 渡辺満久ほか

https://www.jstage.jst.go.jp/article/afr/2012/36/2012_1/_pdf/-char/ja

「弁天島の北方海域に,南傾斜の海底活断層を想定すれば,これらの変動地形の分布を説明することができる.海底の急崖地形の連続性からみて,この活断層の長さは40

km以上に達すると推定できる」

「明瞭な活断層が陸上で確認できないとしても,高度の高い海成段丘面が分布する場合は,その地域が海底活断層の活動によって隆起している可能性を否定できない.とくに,海成段丘面の存在に加えて,海岸部に離水ベンチが見られる場合は,地震性隆起が卓越すると考えるべきであろう.日本の沿岸部の地殻変動を検討する際には,これらのことを念頭に置く必要がある」

 

◆下北半島・むつ使用済核燃料中間貯蔵施設の審査では海底活断層は考慮されていない

 

むつ使用済核燃料中間貯蔵施設は下北半島北部にあり、2024年度にも操業開始予定です。許可は既に下りていますが、事業者は海底活断層を全く考慮せず、周辺の海域に活断層はないことになっています。長さ40kmの海底活断層を想定すれば、基準地震動を作り直さなければならず、再審査が必要です。操業開始となれば最初に搬入されるのは柏崎刈羽原発の使用済核燃料です。これは柏崎刈羽原発の稼働を続けるためのものです。

 

渡辺教授らは下北半島の東側の海底にも長大な活断層を確認しています。枝分かれした断層は陸地に向かい、六ヶ所再処理工場の直下に達します。しかし事業者は音波探査を理由にこれを否定し地震動評価では考慮されていません。音波探査を重視する過小評価は全国の原子力施設で行われてきました。原発を止めて再審査を要求しましょう。

 

〇下北半島南部における海成段丘の擁曲変形と逆断層運動 2008 渡辺満久ほか

https://www.jstage.jst.go.jp/article/afr1985/2008/29/2008_15/_pdf/-char/ja

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