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2024/09/07

報告:環境省行政交渉<除去土壌の再生利用を止めてください>録画記録と書き起こし

8月30日、参議院議員会館において行政交渉(除去土壌の再生利用を止めてください>が行われました。福島みずほ参議院議員と同事務所の御協力によるものです。

「放射能拡散に反対する会」はこれまで、2回のヒアリングを行いました。しかし環境省側がまともに答えず不明確な部分が多々あり、第三回目の環境省質問状を送りましたが期限の16日を過ぎても調査を理由に回答がありませんでした。今回は、本会主催で福島みずほ議員による行政交渉を行うことになりました。

行政交渉の録画が公開されましたので紹介します。

 

今回の行政交渉で明かになったのは主要には以下の点です。

・8月21日の集中豪雨により新宿御苑の実証事業予定地周辺がひざ丈まで水没したにも関わらず、環境省は当日(30日)まで、その事実を把握しておらず、後日「事実経過と対策を報告する」という実態。かねてから除去土壌(汚染土)の再生利用(再利用)は、最近の集中豪雨、洪水、土砂崩れなどで放射能の再拡散の危険性や、それをどのように責任をもって防止、対処するのかという点については、当会も指摘してきました。環境省は「最後まで責任を持つ」と強調してきましたが、その内実を明らかにするような対応でした。

・放射能汚染廃棄物について8000Bq/kgまでは一般廃棄物と同等に扱ってよいとする汚染対処特措法の根拠は一般廃棄物は管理型処分場などで「適切に管理された状態」にあるからということでした。一方で汚染対処法における8000Bq/kg以上の(指定廃棄物)基準は、環境省に「申請することができる」という規定であり、申請義務でもなく、一部の自治体で申請しないで処理している実態があること。このことは、実質的に「適切に管理された状態」とは言えず、これまでのクリアランス基準である100Bq/kgとダブルスタンダード状態であること。

 

・所沢市では議会で全員一致で実証事業に反対する決議を上げているにも関わらず、環境省はそれを受けて撤回するとの態度を示していないこと。政府と自治体が同等であるというこをと無視する非民主主義的な姿勢であること。

 

・廃棄物処理法では「再生」と「処分」は明確に分けて規定していること。今回の除去土壌の再生利用については、汚染廃棄物特措法では「再生」とう文言は全くなく、同特措法の下で閣議決定された基本計画の中で「除去土壌については再生利用も検討する」と書かれているに過ぎないこと。環境省はこれを根拠にして、従来の法体系の考え方とは全く異なる、「処分に再生利用を含める」という解釈で進めようとしていること。

 

・汚染対処特措法は、その附則第5条で「この法律は施行後三年を経過した場合においてこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」、とされており第6条では「政府は放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制のあり方その他放射性物質に関する法制度のあり方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき法制の整備その他所要の措置を講ずるものとする」とされているにも関わらず、環境省はこれらの規定に基づいた措置をとらず、国会での審議も不要な省令改正で「除去土壌の再生利用」を進めようとしていること。

 

●当日のビデオ録画は下記をクリックしてください。
※開始~46分過ぎまでが大坂恵里東洋大学教授によるブリーフィング
47分以降が環境省との行政交渉になります。

Photo_20240907100201

●行政交渉直前に出された環境省からの回答はこちら
●行政交渉部分の録画書き起こしはこちら

2024/09/02

むつ中間貯蔵に反対~六ヶ所再処理の延期と敦賀2号機不許可に際して

みなさまへ(転送歓迎)

 

阪上です。六ヶ所再処理の延期および敦賀原発2号機の不許可に際して、むつ中間貯蔵は計画を白紙に戻すべきとの署名に賛同いただいたみなさんに流したメールを転送させていただきます。

 

**************

 

六ヶ所再処理工場について、事業者の日本原燃は8月29日、2年半の完工延期を発表しました。これで27回目の延期です。しかし新たな目標も達成は困難です。むつ中間貯蔵施設に貯蔵される使用済み核燃料の搬出先はありません。六ヶ所再処理工場の稼働の見通しがないことは、7月の県民説明会の段階でわかっていたはずです。発表の時期を遅らせ、県民をだますようなやり方で事を進めようとした青森県宮下知事に抗議するとともに、改めて、むつ中間貯蔵への使用済み核燃料の搬入をやめるよう求めたいと思います。

 

六ヶ所再処理工場の完工は、2024年9月の予定が2年半延びて2027年3月になりました。規制委員会での審査に1年半、その後、使用前検査等で9か月~1年を要するという内容です。難航を極めている工事計画の審査が1年で終わるとは思えません。その後の使用前検査では、試運転時に失敗を重ねたガラス固化体の製造試験が含まれます。試運転のときに放射能で汚染され、入室が困難な「レッドセル」の検査はどうするのでしょうか。新たな完工目標もとても無理だと思われます。

 

青森県宮下知事は、8月9日に行われたむつ中間貯蔵の操業を前提とした安全協定の締結に際して、経産大臣から搬出先を六ヶ所再処理工場と想定するとの言質を取ったことを強調し、搬出先が不明確との県民の懸念は一定程度払しょくされたなどと述べていました。審査後の検査だけでも少なくとも9か月を要することからも、六ヶ所再処理工場の9月完工などとても不可能であり、延期が必至であることは、7月に行われた県民説明会の段階でもすでにわかっていたはずです。六ヶ所再処理の事業者は延期の発表時期を遅らせ、県民説明会では、国も東電もむつ中間貯蔵の事業者も、六ヶ所再処理工場の早期稼働を前提に、核燃料サイクルを「しっかりとやっていく」などと述べていました。

 

宮下知事も六ヶ所再処理工場の延期が必至なことはよくよく承知していたはずです。宮下知事は、8月29日の延期発表に際して、「あたかも(厳しさを)隠すようなやり方は絶対やめた方がいい。明確にしたプロセスの中、延長が見えてきた時点で相談することを考えてほしい」「新工程を示しても直ちに信頼することはできない」などと述べていますが、延長を隠していたのは知事自身ではありませんか。県民をだますようなやり方で安全協定締結に動いたのです。強く抗議したいと思います。50年後に六ヶ所再処理へ搬出との虚構は崩れました。改めて、むつ中間貯蔵への使用済み核燃料の搬入をやめるよう求めたいと思います。

 

また、むつ中間貯蔵の親会社である原電(日本原子力発電株式会社)が持つ敦賀原発2号機について、原発直下にある断層が活断層であることを否定することはできないとされ、審査に不合格となることが確実になりました。審査の過程で生データを書き換える不正が明らかになっています。原電が所有するもう一つの東海第二原発についても、防潮堤で手抜き不正工事が内部告発により明らかになり、安全対策工事が中断し、工期の大幅延長が見込まれています。内部告発者は原電に訴えても聞く耳を持たなかったと述べています。

 

原電には原発を動かす能力も資格もありません。原発のパイオニアとしての役割を終えた、関電、東電を含む電力5社は原電のためにいつまで負担を続けるのかといった論調が大手マスコミでも流れています。原電を支えるためのお金は電気料金として電力消費者の負担しています。まったく無駄なことです。敦賀原発2号機は廃炉が必至です。東海第二原発も廃炉にすべきでしょう。むつ中間貯蔵に使用済み核燃料を搬出する必要はなくなりました。計画は白紙に戻すべきでしょう。

 

原子力規制を監視する市民の会

阪上 武

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