報告:環境省行政交渉<除去土壌の再生利用を止めてください>録画記録と書き起こし
8月30日、参議院議員会館において行政交渉(除去土壌の再生利用を止めてください>が行われました。福島みずほ参議院議員と同事務所の御協力によるものです。
「放射能拡散に反対する会」はこれまで、2回のヒアリングを行いました。しかし環境省側がまともに答えず不明確な部分が多々あり、第三回目の環境省質問状を送りましたが期限の16日を過ぎても調査を理由に回答がありませんでした。今回は、本会主催で福島みずほ議員による行政交渉を行うことになりました。
行政交渉の録画が公開されましたので紹介します。
今回の行政交渉で明かになったのは主要には以下の点です。
・8月21日の集中豪雨により新宿御苑の実証事業予定地周辺がひざ丈まで水没したにも関わらず、環境省は当日(30日)まで、その事実を把握しておらず、後日「事実経過と対策を報告する」という実態。かねてから除去土壌(汚染土)の再生利用(再利用)は、最近の集中豪雨、洪水、土砂崩れなどで放射能の再拡散の危険性や、それをどのように責任をもって防止、対処するのかという点については、当会も指摘してきました。環境省は「最後まで責任を持つ」と強調してきましたが、その内実を明らかにするような対応でした。
・放射能汚染廃棄物について8000Bq/kgまでは一般廃棄物と同等に扱ってよいとする汚染対処特措法の根拠は一般廃棄物は管理型処分場などで「適切に管理された状態」にあるからということでした。一方で汚染対処法における8000Bq/kg以上の(指定廃棄物)基準は、環境省に「申請することができる」という規定であり、申請義務でもなく、一部の自治体で申請しないで処理している実態があること。このことは、実質的に「適切に管理された状態」とは言えず、これまでのクリアランス基準である100Bq/kgとダブルスタンダード状態であること。
・所沢市では議会で全員一致で実証事業に反対する決議を上げているにも関わらず、環境省はそれを受けて撤回するとの態度を示していないこと。政府と自治体が同等であるというこをと無視する非民主主義的な姿勢であること。
・廃棄物処理法では「再生」と「処分」は明確に分けて規定していること。今回の除去土壌の再生利用については、汚染廃棄物特措法では「再生」とう文言は全くなく、同特措法の下で閣議決定された基本計画の中で「除去土壌については再生利用も検討する」と書かれているに過ぎないこと。環境省はこれを根拠にして、従来の法体系の考え方とは全く異なる、「処分に再生利用を含める」という解釈で進めようとしていること。
・汚染対処特措法は、その附則第5条で「この法律は施行後三年を経過した場合においてこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」、とされており第6条では「政府は放射性物質により汚染された廃棄物、土壌等に関する規制のあり方その他放射性物質に関する法制度のあり方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき法制の整備その他所要の措置を講ずるものとする」とされているにも関わらず、環境省はこれらの規定に基づいた措置をとらず、国会での審議も不要な省令改正で「除去土壌の再生利用」を進めようとしていること。
●当日のビデオ録画は下記をクリックしてください。
※開始~46分過ぎまでが大坂恵里東洋大学教授によるブリーフィング
47分以降が環境省との行政交渉になります。
●行政交渉直前に出された環境省からの回答はこちら
●行政交渉部分の録画書き起こしはこちら
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