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2025/04/19

原発の運転期間延長に関する電気事業法の審査基準について

審査基準といいますが、原子力規制委員会のそれとはまったく違い、中身はぺらぺらに薄く、運転延長に関わる部分はほんの数ページです。

 

まず、既に通った電気事業法ですが、原発の運転期間を40年としたうえで、延長の条件として以下の4項をあげています。

 

1.平和利用であること

2.原子炉等規制法に基づく運転の認可をえていること

3.非化石電源の促進と安定供給 に資すること

4.法令遵守の改善の取組み を行っていること

これに対応する審査基準は、1~3については電気事業法の記載以上のことはなしとしてなにもなく、4.についてだけ、「改善の取組みについて社内規定にあることを確認する」といったことが書かれています。社内規定に書いてあればいいのか?

という気もしますが。

続いて電気事業法は第5項に、延長期間は20年プラス停止期間を合算したを期間としたうえで、どのような場合に停止期間として合算ができるのかが書かれています。法令改定や運用基準の変更による停止などがあげられています。

中に「行政処分等で停止した期間のうち、停止する必要がなかったと認められる期間」というものがあるのですが、審査基準には、これに対応して「原子力発電事業者自らの不適切な行為の結果」として生じた停止期間は含めないよう注意を促す記載があります。これにより、生データの改ざんがあった敦賀2号炉と核防護上の違反行為があった柏崎刈羽原発については、停止期間を延長期間に合算することはできないとされ、それが報道されました。

これくらいです。

電気事業法の審査基準の薄っぺらさ、中身のなさは、そもそも運転期間の定めを安全規制から電気事業としての規制に移すことに問題があることのあらわれだと思います。老朽原発を鞭打つ60年超運転に改めて反対しましょう。

 

※意見募集(パブリックコメント)としては、高浜原発と女川原発の使用済核燃料の乾式貯蔵施設の審査書案について意見募集が行われています。こちらのほうが具体的な意見が書けると思います。老朽原発の運転継続を図る乾式貯蔵に反対意見を出しましょう。高浜原発の審査書案の問題点については以下に美浜の会がまとめたものがあり参考になります。

https://www.jca.apc.org/mihama/nuclear_waste/pubcomme20250402.pdf

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2025/04/17

三鷹市議会で意見書可決 -「放射能汚染土」の再利用の中止・撤回を求める意見書

3月27日、三鷹市議会で「「放射能汚染土」の再利用の中止・撤回を求める意見書」が可決されました。環境省が進めようとしている、無謀で強引な放射能のばらまきに反対する多くの人々を勇気づけるものです。

 

内容についても、
・パブコメに多くの意見が寄せられたこと
・放射性物質は集中管理すべきであること
・再利用はその作業のすべての段階で、ちり、ほこりとともに放射性物質が拡散すること
・汚染土の利用場所や用途の制限がされていないこと
・将来的な土砂崩れ、災害等での放射性物質の危険性があること
・基準がダブルスタンダードになること
・「復興再生利用」には法的根拠がないこと
・問題が山積みのままで、未来の世代にツケを残すものであること
など、問題点を全て網羅したような素晴らしいものです。

 

三鷹市議会のタイムリーで良識ある意見書可決に敬意と感謝を込めてここに全文を紹介いたします。各地での活動に是非役立ててください。

 

※賛成13名(野村羊子・立憲・共産・維新・参政他)、反対12名(自民・公明・都ファ)

 

2025/04/04

<共同声明>原子力規制委・屋内退避の報告書-複合災害時の被ばく防護を放棄するもの

みなさまへ(拡散希望)

 

共同声明

原子力規制委員会が原発事故時の屋内退避に関する報告書

能登半島地震の教訓を踏まえず、複合災害時の被ばく防護を放棄するもの

最悪の事態を避けるには原発を止めるしかない

https://kiseikanshi.main.jp/2025/04/03/223344555-2/

 

4月2日の原子力規制委員会の会合において、「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム会合報告書」にもとづき、検討の報告を受け、原子力災害対策指針(原災指針)の改定を含む方針を了承しました。

 

報告書は「原子力災害は、多くの場合は地震等の自然災害との複合災害の形で発生すると想定される」としながら、PAZ(原発から5キロ圏)では屋内退避をしても100ミリシーベルトを超える被ばくとなるシミュレーション結果を出しておきながら、自治体から「能登半島地震の経験から、複合災害のときには家屋が倒壊、道路が寸断され、屋内退避も避難もできないがどうするのか」と問われながら、これらを無視して、複合災害について、「自然災害対応が優先」の一言ですませ、具体的な放射線防護策について、検討すらしていません。

 

報告書及びQ&Aは屋内退避に関わるさまざまな問題、矛盾をはらんでいるのですが、まずは上記の複合災害に焦点をあてた共同声明を作成しました。ご一読いただき、拡散のほどお願いいたします。

 

http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2025/04/seimei-okunai-taihi20250403.pdf

 

屋内退避検討チーム報告書、Q&A、自治体からの意見書は以下にあります。Q&Aはわかりやすくひどいです。自治体からの意見書には規制委に無視された鋭い質問・意見もあります。自治体との交渉で使えるものもあると思います。

 

https://www.da.nra.go.jp/detail/NRA100009049

 

++++++++

 

共同声明

 

原子力規制委員会が原発事故時の屋内退避に関する報告書

能登半島地震の教訓を踏まえず、複合災害時の被ばく防護を放棄するもの

最悪の事態を避けるには原発を止めるしかない

 

 原子力規制委員会は4月2日の会合において、「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム会合報告書」にもとづき、検討の報告を受け、原子力災害対策指針(原災指針)の改定を含む方針を了承した。

 報告書は、「原子力災害は、多くの場合は地震等の自然災害との複合災害の形で発生すると想定される」(p.18)とし、「防護措置の考え方」の項には、「被ばく線量の低減と被ばく以外の健康等の影響を抑えることの双方を目指すべきであり、原災指針におけるそのような防護措置の考え方は有効である」(p.4)と記している。能登半島地震をうけて、複合災害により避難や屋内退避が困難な場合に、「双方」をどのようにして実現するのか、具体的な対応が検討されてしかるべきだった。

 

◆複合災害への具体的な対応策なし

 

 ところが報告書の「複合災害への対応」の項では、「原子力災害時には自然災害に対する安全の確保を優先する」との「基本的な考え方」を強調して論理をすり替え、「原災指針は複合災害にも対応できる基本的な考え方を示して」いる(p.5)として具体的な検討を避けた。これは、複合災害時における被ばく防護の放棄であり、「双方を目指す」とした原災指針にも反する。

 

 報告書は、「屋内退避に関して言えば、家屋が倒壊すれば屋内退避はできないのではないか」と問いを立てたうえで、「自然災害に対する安全確保を優先するという基本的な考え方の下で、自宅での屋内退避ができない場合は近隣の指定避難所等での屋内退避を行い、地震による倒壊等の理由で指定避難所等での屋内退避も難しい場合には、UPZ外へ避難をすることとなる。」(p.5)と回答している。回答はここまでだが、道路が寸断されて避難できない場合はどうなるのか、自然災害に対する安全確保が優先なので、被ばくは甘んじて受けよということになる。住民にこのような選択を迫ることがないようあらかじめ措置をしておくのが防災ではないのか。

 

◆PAZでは100mSvを超える被ばくを想定。避難できないのに「最適な被ばく防護措置」とは?

 

 報告書に添付されている「Q&A」には、「自然災害等により避難できずPAZ(予防的防護措置を準備する区域:原子炉施設から5km圏内)で屋内退避する場合に100mSvを超えて被ばくしてしまうのではないですか」との問い(p.39)がある。これは、今回検討チームが行った被ばくシミュレーションでは、原子炉の重大事故の際、格納容器の破損を防ぐ安全装置が効果的に機能したとし、屋内退避したとしても、PAZの一部で100

mSvを超える深刻な被ばくレベルとなったことによるものだ。回答は、「何らかの事情によりPAZから避難ができない場合には、被ばくによるリスクと、被ばく以外の健康等へのリスクを比較考慮して、最適な防護措置を判断することが重要であり、被ばくのリスクよりも重大なリスクがある場合には、それに対する避難行動をとることが優先されます」(p.39)とあるが、質問の回答にはなっていない。道路の寸断等で避難できないのに、何をもって「最適な被ばく防護措置」というのか。具体的な防護措置はなく、著しい被ばくを許すことになる。

 

◆自治体からの意見に応えず。「地震で道路が交通不可となる可能性が無視されている」等々

 

 原子力規制庁は報告書の案に対して原発30km圏の43の自治体から寄せられた約250の意見を公表したが、茨城県、石川県、新潟県柏崎市など、多くの自治体が、複合災害に際して具体的な検討がなされていないことを問題視している。京都府綾部市は「地震で道路が交通不可となる可能性が無視されている」「能登半島地震では避難路が使用できない事態が多数報告されている」「原子力災害は自然災害(地震)との複合災害を想定すべきであり、この前提なしでの避難計画の実効性は図れないのではないか」との意見を出している。新潟県は「住民が荒天時に屋内退避を行う場合にIAEA基準(引用者注:実効線量100mSv/週)を超えることについて、どのように考えるのか、報告書等に記載すべき」としている。報告書はこれらに対し何ら応えるものにはなっていない。

 

◆都合のよい、非現実的な想定

 

 報告書は、複合災害における家屋倒壊や道路寸断により、屋内退避が自宅でも避難所でもできなくなる可能性を無視しているという根本的な問題があるが、それ以外にも、屋内退避の継続に関して、非現実的で都合のよい想定を前提としている。屋内退避中の住民の生活を支えるためにライフラインや物流、小売りが機能しており、民間事業者が活動継続していることを「期待」していることがその典型である(p.17)。これは屋内退避に関して非現実的で甘い想定であるのみならず、そうした活動に従事する人が被るリスクを無視した想定であり、看過できない。

 

◆複合災害時には住民の被ばく防護を確実に実施することはできない

 

 原子力規制委員会が複合災害時に放射線防護措置を図る具体的な検討を避けているのは、策がないからである。「原子力災害は、多くの場合は地震等の自然災害との複合災害の形で発生すると想定される」状況で、複合災害時には、住民の被ばく防護を確実に実施することができないことが明らかになったのである。

 最悪の事態を避けるためにも、直ちにすべての原発の稼働及び再稼働を停止すべきである。

 

2025年4月3日

原子力規制を監視する市民の会

規制庁・規制委員会を監視する新潟の会.

国際環境NGO FoE Japan

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

 

連絡先 162-0822東京都新宿区下宮比町3-12-302

原子力規制を監視する市民の会 03-5225-7213

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