原発の運転期間延長に関する電気事業法の審査基準について
審査基準といいますが、原子力規制委員会のそれとはまったく違い、中身はぺらぺらに薄く、運転延長に関わる部分はほんの数ページです。
まず、既に通った電気事業法ですが、原発の運転期間を40年としたうえで、延長の条件として以下の4項をあげています。
1.平和利用であること
2.原子炉等規制法に基づく運転の認可をえていること
3.非化石電源の促進と安定供給 に資すること
4.法令遵守の改善の取組み を行っていること
これに対応する審査基準は、1~3については電気事業法の記載以上のことはなしとしてなにもなく、4.についてだけ、「改善の取組みについて社内規定にあることを確認する」といったことが書かれています。社内規定に書いてあればいいのか?
という気もしますが。
続いて電気事業法は第5項に、延長期間は20年プラス停止期間を合算したを期間としたうえで、どのような場合に停止期間として合算ができるのかが書かれています。法令改定や運用基準の変更による停止などがあげられています。
中に「行政処分等で停止した期間のうち、停止する必要がなかったと認められる期間」というものがあるのですが、審査基準には、これに対応して「原子力発電事業者自らの不適切な行為の結果」として生じた停止期間は含めないよう注意を促す記載があります。これにより、生データの改ざんがあった敦賀2号炉と核防護上の違反行為があった柏崎刈羽原発については、停止期間を延長期間に合算することはできないとされ、それが報道されました。
これくらいです。
電気事業法の審査基準の薄っぺらさ、中身のなさは、そもそも運転期間の定めを安全規制から電気事業としての規制に移すことに問題があることのあらわれだと思います。老朽原発を鞭打つ60年超運転に改めて反対しましょう。
※意見募集(パブリックコメント)としては、高浜原発と女川原発の使用済核燃料の乾式貯蔵施設の審査書案について意見募集が行われています。こちらのほうが具体的な意見が書けると思います。老朽原発の運転継続を図る乾式貯蔵に反対意見を出しましょう。高浜原発の審査書案の問題点については以下に美浜の会がまとめたものがあり参考になります。
https://www.jca.apc.org/mihama/nuclear_waste/pubcomme20250402.pdf
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)
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