<ご報告>柏崎刈羽原発 複合災害と避難問題で院内集会&政府交渉
誤認がありましたので訂正しました。阪上
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みなさまへ(拡散希望)
参議院議員会館にて柏崎刈羽原発の避難問題をテーマに再稼働を問う院内集会と政府交渉が開催されました。会場に40名、オンラインで90名。柏崎市から原発から3キロの宮川地区にお住いの吉田隆介さん、新潟市から桑原三恵さんが参加され、他にも新潟県内から4名が参加されました。院内集会には立憲の菊田真紀子議員(新潟)と波多野翼議員(福井)が参加、設定をお願いした福島みずほ議員も交渉の後半に駆けつけました。
東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/407398
〇高齢者が多くバスが必要だが果たしてバスは来るのか?
〇豪雪時は除雪に時間がかかり天候回復しても避難はできない
〇放射線防護対策施設(コミュニティセンター)はあるが収容しきれない
〇取り残される不安は消えない
院内集会では、吉田隆介さんから、原発から3キロの集落がおかれた厳しい状況についてお話いただきました。
PAZ(原発から5キロ圏)内は原発事故の際に放射能放出前の即時避難が要求されるが、集落は高齢者が多く、免許を返納して車を運転をしなくなった人も多い。バスを待つしかないが、バスの運転手が確保できず、何往復もするという話を聞く。運転手も被ばくは避けたいはず。バスが来ずに置き去りにされてしまう心配がある。
雪が降れば除雪に時間がかかる。一昨年の大雪の積雪は70センチだったが、除雪が完了してバスが通ったのは一週間後であった。集落の高浜コミュニティセンターが放射線防護対策施設になっている。30人が3日間過ごす想定で食料が備蓄されている。被ばくを避けるにはここに入るしかないが、集落の人口は180人ほど、原発に近い大湊地区の30人もここに入るしかないが、全員が入ることはとてもできない。
放射能を取り除く陽圧化装置が設置され、強力なフィルターが設置されているが、放射性の希ガスは素通りして入ってしまう。事故時に装置を誰が起動するのか、市役所の職員が駆けつけることになっているが、緊急時に遠方の市役所から来ることはできるのか。建物は古く、地震に耐えられるのかという心配もある。逆にこの施設があることにより避難が後回しになり、取り残される心配もある。このような心配をしないで済むよう再稼働はしないでほしい。
その後、阪上よりPAZの放射線防護について、交渉のポイント解説、桑原さんより、柏崎刈羽原発の再稼働を巡る諸問題について網羅的なお話がありました。FoEの満田さんより、先ごろ新潟県が示した原発事故時の放射能拡散シミュレーションについて、想定した事故の規模が福島原発事故の1万分の1程度しかなく、これをもとに避難計画を検証すべきではないこと。そうした非常に甘い想定でもPAZの一部でIAEA(国際原子力機関)の判断基準である100ミリシーベルトを超えてしまっていること、また公衆の被ばく限度である1ミリシーベルトを超える領域が広範囲に広がることがわかるといった解説がありました。
〇市民側…「除雪時のPAZ自宅退避は重篤な影響を及ぼす被ばくを強要するもの」
〇内閣府・規制庁…「重篤な確定的影響(急性障害)…回避でなく最小化でよい」
〇市民側…「指針やIAEA判断基準にも反する」「被ばくの強要許せない」
政府交渉(内閣府原子力防災担当・規制庁)では冒頭で署名付きの要望書を提出。交渉は主に、複合災害時のPAZにおける放射線防護について議論がありました。市民側からは以下の問題提起がありました。
・原子力災害対策指針(指針)は、放射線防護と放射線以外の健康影響を抑えることを同時に実施することを要求している。
・放射線防護について指針は「重篤な確定的影響(大量の被ばくによる造血機能低下など急性障害)を回避又は最小化する」ために即時避難が必要な地域をPAZとし、原発から5キロと定めている。これは、指針の策定時に規制委が行ったシミュレーションにより、5キロ圏ではIAEA(国際原子力機関)が「重篤な確定的影響を回避又は最小化する」ための判断基準として100ミリシーベルト/週を超えたことによる。
・避難が困難な要支援者については、放射線防護対策施設に屋内退避することにしている。
・柏崎刈羽地域の避難計画をまとめた「緊急時対応案」には、暴風雪や大雪との複合災害について「外出により命の危険が及ぶような場合は自宅等にて屋内退避」とある。これは、「人命のリスクが極めて高い場合は自然災害対応を優先する」との防災基本計画の考え方によるものと思われる。
・しかし「緊急時対応案」には続けて「天候が回復した場合でも除雪が完了するまでは屋内退避を継続する」とある。PAZなので自宅等への屋内退避では「重篤な確定的影響を回避又は最小化する」ことはできない。計画の段階でそのような被ばくを強要する計画は指針に照らしても違反であり、了承することはできないのではないか。
これに対し、内閣府原子力防災担当と規制庁は口をそろえて、被ばくを低下するできるだけの措置をとるよう書いてあるので計画として問題はないとの回答がありました。逃げられなければ甘んじて100ミリシーベルトを超える被ばくを受けよと、原発至近で不安を訴える住民の前で言ってのけたのです。
その理屈は「重篤な確定的影響を回避又は最小化する」と指針にあるうち、「回避」と「最小化」を切り離し、即時避難により「回避」、それができなければ「最小化」でよいというのです。しかしこれは屁理屈というものです。IAEAの判断基準(これそのものが甘すぎるのですが)は「重篤な確定的影響を回避又は最小化する」ための判断基準であり、「回避」だけではありません。「最小化」するためにも最低限守らならければならない、守らせなければいけない基準なのです。
そもそも、規制当局が、自ら採用した判断基準をないがしろにして、計画を了承するための理屈をこねくり回すことに対して憤りを感じました。緊急時対応が、住民の重篤な被ばくを避けることはできず、指針や指針が採用したIAEAの判断基準に照らしても要求を満たすことができないことから、了承しないよう改めて要求しました。吉田さんは、頭の中で考える前に、現場に足を運んでほしいと訴えました。
放射線防護対策施設については、事故の初期に放出される放射性希ガスについて、フィルターでは除去できないことを確認しました。特にフィルタベント使用時には大量に生じるので問題があると感じました。再稼働させてはなりません。
原子力規制を監視する市民の会
阪上 武
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