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2010/07/20

【事故7】福島第一2号外部電源全喪失事故の真の原因を 隠蔽する動きに対する抗議文

東京電力株式会社社長 清水 正孝 様

福島第一・2号「外部電源全喪失事故」の真の原因を
隠蔽する動きに対する抗議文

2010年7月20日 
東京電力と共に脱原発をめざす会 
代表世話人 東井 怜

 去る6月17日、福島第一原発2号機で「外部電源全喪失事故」があり、貴社は7月6日に事故原因の調査結果と対策について発表しました。外部電源「全」喪失事故とは、非常に稀な事故であり、対応を誤れば炉心溶融の大事故につながりかねない深刻な事故です。
ところが貴社は法令に規定される報告事故ではないとして、今回の調査報告で了とし、無謀にも16日深夜再起動してしまいました。これに対し保安院の対応も他の事故と比べ全く異例であり、規制は機能していません。情報公開とはほど遠いものです。

 

当会では6日の発表を受けて、9日に本社で緊急に説明を求めました。原因と対策と称するその内容はとても納得のいくものではありませんでしたが、その根本原因は外部電源切り替えができなかった点にあることが認められました。すなわち所内側遮断機「OFF」になってから外部電源を「ON」にする制御シーケンス上の「AND」条件が成立しなかったという説明でした。これはシステム設計上の問題であって、インターロックの内包する欠陥という普遍性をもつ、たいへん深刻なものです。他のプラントはもとより、国内、海外にも水平展開すべき重大事故であったのです。問題の深刻さを技術者なら当然認識しているに違いありません。

 しかしこうした深遠なる事実を前に、貴社はおよそ誠実とはほど遠い態度で、時系列、パラメータ推移等具体的な証拠を何ら示すことなく、「推定」や「可能性」を前面にあえて解りにくいプレス文を公表し、事故原因を人為ミスとして真の原因を隠蔽してしまいました。

 2号機は、92年に全給水喪失によりECCS作動事故を起こした炉です。その折、81年にも同様の事態に陥りECCSが作動したこと、じつは2回目のECCS作動事故であることを公表し、隠蔽していたことを謝罪したものです。今回は隔離時冷却系で急速注水していますから、3回目の高温の原子炉への冷水であり、加圧熱衝撃による過大熱応力後遺症が危惧されます。ECCSではないと弁明したところで、後遺症が消滅するというものではありません。

 透明性、安全最優先、…と言いつつこのような2号機を早々に再起動する、あるいは誰もが否定できない根本原因にフタをするという、貴社の体質と救いようのないシステムには、原子力発電所という複雑なシステムを制御する資格などありません。ここに強く抗議するとともに、以下要求いたします。

一、「外部電源全喪失事故」の真の原因を究明すること
一、そのために、利害関係者を含まない、第三者による事故調査委員会を立ち上げ、その調査に対しては全面的に協力すること
一、過去に2回もECCS作動事故を経験し、今回で3回目の急速冷水注水による加圧熱衝撃を受けた2号機の再起動を即刻断念し、廃炉とすること
一、第一・第二原発のすべてのプラントについて、次回定検を待たず直ちに停止すること
一、制御システムの欠陥に対する抜本的な対策を講じるまで、いずれも再起動しないこと

以上

2010/07/15

【事故6】2号機原子炉外部電源全喪失事故に関するレポート(東電共の会)

2号機原子炉外部電源全喪失事故に関するレポート
6.17/7.9東電本社ヒアリングをもとに

2010.7.15 東京電力と共に脱原発をめざす会 

1.事故の概要

・今回の原子炉「自動停止」は、10.06.17(14:52頃)発電機界磁遮断器「トリップ警報」に始まり、「発電機」「タービン」「原子炉」の順に自動停止した。
・しかし、その後外部電源に切り替わらなかったため、外部電源全喪失の事態となった。
・これを受けて、ただちに非常用ディーゼル2基が自動起動し、非常用交流電源は回復した。
・運転員は原子炉トリップによる原子炉水位の低下に備えて、タービン駆動による隔離時冷却系を手動起動した。水位は14:53頃-800mmに達し、そのまま横ばいで推移し14:58には水位回復した。

2.外部電源の遮断に至る

・当初の東京電力の発表では、原因を発電機界磁遮断器の故障とした。
・ところがその後、所内電源(常用系交流電源)A・B2系統の所内側遮断器がともに何らかの原因で同時に遮断されたことが判明した。
・内部電源が絶たれたさいには、B系が2号機送電線より、もしくはA系が1号機より、外部交流電源の供給を受けることになっている。1号機は定期検査中であったため、A系も1号機送電線により、2号機と同じ大熊変電所から送電されるはずであった。ところがこの2系統の外部電源もともに遮断されており、こうして外部電源「全」喪失に至った。
・すなわち2号機の所内電源は常用系交流電源・非常用系交流電源ともに遮断され、制御室も一瞬停電となった。

3.事故の経緯と東電による調査結果

a.内部電源A・B系遮断器が同時に作動した原因

・東京電力では「系統安定化装置」系の電源切替用「補助リレー」の「誤動作」により起きたと「推定」している。
・「系統安定化装置」とは、発電の需要と供給の安定化を図るもので供給オーバー時に原発を停止させるための装置(自動選定か否か不明)である。
・「補助リレー」の作動により、所内電源側遮断器は「切断OFF」、外部電源側遮断器が「入るON(接続)」にならなければならない。すなわち、所内電源A系・B系をともに遮断した上で、外部電源に切り替わる。
・この「系統安定化装置」からの信号により、電源切替用「補助リレー」は、A系・B系ともに作動するようになっている。
・したがってA系・B系のいずれかが作動した場合にも、所内電源はA系・B系がともに遮断される回路となっている。(多重化したシステムが破られる)
・ただし現在は系統安定のため「補助リレー」は使用されておらず、電源は切られコイルも外してあった(但し回路はそのまま生きていた)。

b.「補助リレー」の「誤動作」

・「誤動作」の原因は、B系「補助リレー」の脇で作業していた作業員の接触等の衝撃で、「補助リレー」の回路が接触して「誤動作(2:52)」したものと東京電力は『推定』。
・『補助リレーの動作時間が極めて瞬間的であると、所内側遮断器のみが「切」状態になり、外部電源側の遮断器は「入」状態にならず、発電機からの受電が外部電源からの受電に切り替わらない可能性があること』が、判明したとしている。
・さらに「補助リレー」の打振試験で、極めて瞬間的(3~7ミリ秒)に動作することが確認されたとしている。
・ただし協力会社作業員は接触、衝撃を否定している。
・B系「補助リレー」が誤動作した証拠、記録等のデータ確認不明。「系統安定化装置」のデータ確認の有無不明。★
・A系「補助リレー」は別のところにあり、当時作業はしていなかった。

c.所内遮断器A・B「切」でも外部電源2系統のいずれも「入らず」、外部電源全喪失に。

・所内遮断器A・B「切」でも発電機の「界磁遮断器」は、まだ「切」になっていないため、ダブル接電となるのを避けて接続できないようになっている(インターロック)。200ミリ秒程度のタイムラグがある。  
・外部電源がONにならないため、常用系交流電源2系統、非常用系交流電源ともに停止。外部電源全喪失状態となる。

d.外部電源全喪失に続く事態

(1)原子炉トリップ★
・「常用系電源2系統が停止」したことにより、「励磁制御装置」の冷却ファン停止。
・冷却ファン停止のため、発電機「界磁遮断器」が作動して「切」状態となり、発電機「自動停止」。
・発電機「自動停止」によりタービンが「自動停止」、続いて原子炉「自動停止」。この間3~4秒。

(2)原子炉内水位の低下★
・「常用系電源2系統が停止」したことにより、原子炉へ冷却水を戻す「給水ポンプ停止」、冷却水が戻らないため原子炉水位が低下。逃し安全弁も作動(複数回開閉)。
・原子炉水位低下(2:53、-800mm)により、代替ポンプの「原子炉隔離時冷却系」ポンプを「手動起動」して、「復水貯蔵タンク」より給水開始。自動起動のレベルには至っていないが、水位低下は予見されたので手動で起動した。【注:通常ECCS系および隔離時冷却系は、基準の水位レベルにより自動起動する設定】
・水位は2:58まで5分間ほど-800mmの横ばい状態であったが、以後水位回復。
・3:40には「原子炉隔離時冷却系」の自動停止レベル(水位「高」=L8)に達したため注水はストップされた。「原子炉隔離時冷却系」の流量は毎時95~100m3。

(3)非常用ディーゼル発電の起動★
・「常用系電源2系統が停止した」ことにより、常用系交流電源から受電している「非常用交流電源」も停止したため、「非常用ディーゼル発電設備」が直ちに「自動起動」した。基準内(=10秒以内)の起動であった。一部に十数分後という報道があったが、間違い。
・その後( : )「非常用交流電源」により代替の復水ポンプが起動し給水開始? 
・外部電源の復帰はA系統母線が3:25、B系統母線は3:55であった。

4.東電説明の問題点、疑問点

a.「作業員による接触」を原因と「推定」しているが、消去法によるもので、原因は未解明。
→◆Q1

・B系「補助リレー」の誤動作という証拠、記録などは示されていない。
・「作業員接触」を原因とするならば、非常にお粗末な装置ということになる。東電発表の「4.対策」によれば、「ケースに収納されておらず」と剥き出し状態を窺わせる。東電の示した写真によれば「補助リレー」の回路は箱に覆われており、回路は透明カバーがあると説明した。
・カバーがなければ問題、あっても作業員の接触程度で「原子炉停止」してしまう装置を放置していたことになる。原子炉停止は数億円の損失となる。「原子炉停止」を何だと思っているのか(燃料漏洩では停止させず運転継続している)。
・作業員の接触程度で「誤動作」するデリケートな装置が、84年に設置して以来、今日まで同様の「誤動作」をしなかったとは信じられない(この「誤動作」は電源ON,OFFは関係ない)。何故、今まで「誤動作」(地震、定期検診・点検等)が起きなかったのか? 
・前例がないことの方が不思議だといえる。と考えると今回の原因は、「補助リレー」の「誤動作」との調査結果には懐疑的になる。他の可能性についての検討過程と結果を公表するべき。

b.所内遮断器A・B「切」でも外部電源「入らず」は、制御システム設計の問題ではないのか。→◆Q2

・発電機系の故障で発電機停止となった場合、外部電源側遮断器「入る」になるはず。今回タイムラグと言っても「発電機停止時点」で別途、外部電源側遮断器「入る」のパス(信号)があっても良いのではないのか。今回は、この欠陥が大きな問題なのではないのか。
・「系統安定化装置」系の電源切替用「補助リレー」の正常作動ステップを聞いておく必要がある。
・発信パスが違うとはいえ「発電機停止時」に同じ対応をしないのは、制御システムの設計ミス。
・今回の事故(非常に稀)に非常用ディーゼル発電設備の故障(東電によれば非常に簡単に起きる)が重なっていたらどうなっていたのか。
・この制御システムの設計欠陥は他号機も一緒のはず。
・「対策」として「近づかない」「注意喚起の表示」でよいのか。意図的に人為ミスとしようとしているが、制御システムの問題でありシステム変更の対策が必要。

5.情報公開を求める★

・時系列と計器類チャートの公表
・作業フローの公表
・他号機の状態の公表

6.事故報告について

・今回の事故はおそらくわが国初の「外部電源全喪失事故」であり、『原子炉等規制法第62条の3の規定に基づき原子力事業者から規制行政庁に報告され、』『規制行政庁は同法第72条の3第2項の規定に基づき安全委原子力安全委員会に報告する』事故に該当することは間違いない。
・しかし東電も保安院も『法令に基づく報告対象ではない』としている。
・原因究明は、全く不十分である。中間報告でしかない。
・なんらかの文書があるのか、保安院に提出したのか、明らかにしていない。
・およそ事故経緯を物語る時系列も無ければパラメータの推移を示すチャートも、一切公開されていない。

a.事故報告書とは言えない→◆Q3

・東電は発生直後の6/17のプレスリリースの時点では「重要事象」として認識していた。『本事象は公表区分I(法律に基づく重要な事象など)としてお知らせするものです。』とある。
・ところが7月6日のプレスリリースにおいては、保安院に報告したと明記されていないし、およそ事故調査報告といえるような内容ではない。事故調査報告はあるのか、ないのか。
・いっぽう保安院は、「原子炉の自動停止の原因及び対策について、本日、報告を受けました。」とし、その報告をもって「妥当とする」とした。保安院に提出した報告とは何か。
・事故報告書、及び保安院に提出した事故報告書を開示されたい。

b.明らかに『法令に基づく報告対象』である→◆Q4

・「原子炉停止」において、停止目的をもって意識的に正常な工程により「停止」した場合は「日常運転」という。しかし、停止目的、意思もなく自動的に「原子炉停止」した場合は、「非日常運転」であり何か「異常が起きた」ということであり、原因には「故障」「事故」が想定される。
・つまり「原子炉自動停止」には報告義務が生じる。まして今回の「停止原因」は、「常用系電源」「非常用交流電源」A・B2系統の共倒れ電源喪失。辛うじて「非常用ディーゼル発電」の自動起動で電源を確保した「非常事態」であった。「報告の必要なし」とは如何なる解釈なのか。
・「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第19条の17「事故故障等の報告」2項「原子炉の運転中において、原子炉施設の故障により、原子炉の運転が停止したとき」とある。
・「事故故障等の報告」の「等」は、トラブルを含む重要事項については報告をせよとの解釈が妥当。今回の電源喪失という「非常事態」による「原子炉自動停止」は、「原子炉施設の事故故障等」によるものである。
・「規則」の第二条ニ項に記載の「原子炉施設」の中の「安全保護回路」に属す。そうでなくても最後の「その他原子炉の付属施設」には属すと考える。「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」によれば、「原子炉及びその付属施設」=「原子炉施設」という定義である。
・新しい「原子力実務六法」「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」(以下、「規則」)
によれば、今回の「事象(←東電の表現)」は十日以内に所轄大臣へ報告しなければならない対象であると解釈せざるをえない。
・なぜ、東電はそれを否定するのか。明確な回答を求める。

c.事故の原因と対策はいずれも未完である。中間報告でしかない。→◆Q5

・電気事業法、実用発電用原子炉技術基準を定める省令第24条の2「原子炉制御室等」2項では、「原子炉制御室には、・・・原子炉を安全に運転するための主要な装置を集中し、かつ、誤操作することなく適切に運転操作することができるように施設しなければならない。」とある。制御室は原子力施設であり、そこには重要な装置があり、そこでの「誤作動」「誤操作」は許されない。今回の発電機界磁遮断機「トリップ警報」は、「誤作動」なのか「誤操作」か、「故障」なのか「事故」なのか、原因究明は未了である。
・少なくとも外部電源に切替ができず、「不必要に」全電源喪失に至ったことは、制御システムの欠陥ではないか。「原子炉施設の事故故障等」による「原子炉自動停止」である。
・「作業員の接触」という推論を是としても、「作業員の誤操作」ということ。「誤操作」しないように施設しなければならない。
・真の原因は制御システムの欠陥であり、真の対策はその欠陥の是正ではないのか。
・他のプラント、他社のプラント、海外にも水平展開すべきと考える。原子力の安全を保障するべく東電の責任を全うされよ。

2010/07/13

【事故5】7月9日東電本社における聞き取りから(東電共の会)

福島第一・2号「外部電源全喪失事故」が提起した深刻な欠陥
~7月9日東電本社における聞き取りから~

2010.7.12 
東京電力と共に脱原発をめざす会 

当会では、6日の東電の発表を受けて、9日に本社で説明を受けました。原因と対策と称するその内容は、たいへん深刻なものであり、またその対策はとても納得のいくものではありませんでした。

○原因究明が全くできていない。すべて推定にすぎない。
○時系列、チャート等具体的な証拠がなにも示されていない。
○真の原因は、外部電源切り替えができなかったこと
○外部電源のシステムエラーであるが、インターロックの内包する欠陥という普遍性をもつ
○他のプラントはもとより、全国、海外にも水平展開すべき重大事故。

このまま起動準備に入るとは、あまりにも無謀です。
しかし報道もおよそ満足ではなく、県民に事実が知らされていません。
何より保安院の規制が機能していません。(他の事故と比べ全く異例の対応)

■以下に、9日東電本社における質疑で明らかになった問題点を列挙します。

1)発端は人為ミスというが、到底原因とはいえない。

系統安定化装置は1年半以上前までに撤去しており、補助リレーの電源はoff,コイルもはずしてあった。作業員が触れたくらいで補助リレーが作動するとは考えられない。(作業員は接触を否定しているという、記憶に無いほどの接触)
打振試験で作動したというが、よほど強い打振をしなければ作動しないはず。再現できたのか。
作動できたのであれば、地震動程度でも作動してしまう恐れがある。

2)制御システムの抱える欠陥が根本原因

所内側遮断機は多重化しているにもかかわらず、同時に動作する必要性のある場合であった。
所内側遮断機OFFにより外部電源がONになるまでにタイムラグがある。そのため外部電源が入らなかった(インターロックの内包する欠陥)
この問題意識はとうぜん社内でも認識しているとのこと。しかしオモテに出していない。

3)福島原発は全機停止して、早急に水平展開すべき

福島原発は、第一、第二ともすべて系統安定化装置を撤去しており、今回とまったく同じ不安を抱える。即刻全機停止して対応すべきではないか。
また、同装置以外にもインターロックにおける同様の欠陥はないか。

4)法令に基づく事故報告としての扱いがなされていない

新しい原子力実務六法「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則によれば、今回の「事象」は10日以内に所轄大臣へ報告しなければならない。
なぜ東電がそれを否定するのかについて、明確な回答はなかった。
保安院としてもどう考えているのか。

5)自動停止と隔離時冷却系の注水による後遺症/2号機は3回目の冷水

2:52~3:40まで約48分間、冷水を注水。(流量は95~100トン/時)
しかし落雷による自動停止と同等の扱いで、再起動しようとしている

2010/07/06

【事故4】東電が原因を公表…作業員が電源装置に接触したせいに

東電から事故原因の発表がありました。

東電のプレス

調査結果として「作業員が送電線の系統安定化装置の補助リレーに接触した等、何らかの衝撃が補助リレーに加わり、瞬間的に誤動作した可能性が考えられる」としています。

多重化しているはずの系統が人為ミスによって同時に倒れるのも問題ですが、所内側しゃ断器A、B系が「切」状態となった後、外部電源からの受電に切り替わらず常用系電源2系統が停止する事象が発生するのも問題です。後者の原因については言及がなく、推定すらありません。

東電は、「原子炉にかかるものではなかったので、法律に基づく報告対象トラブルではありませんでした。」とも。しかし、電源喪失が、原子炉水位の低下と、実質的にECCSと同じ炉の急冷を行う事態を招いたわけですから、原子炉に関わるものではないと済ませるわけにはいかないでしょう。この点は福島県も問題しており、国に意見を伝えたとのことです。

国は「注意喚起」の文書を公表しています。

国の注意喚起

また、2号機のECCSを過去2回作動させた履歴があり、今回が3回目の冷水であること、第一原発の2~5号機は、ECCS配管が再循環系配管に直結されており、冷水による熱衝撃の問題があります。この点についても検証が必要です。

2010/06/22

【事故3】福島県への要請行動/東電本社での聞き取り

福島県へ緊急の要請

 本日、福島のみなさんとともに福島プルサーマルについて、福島県議会への陳情と、福島県原子力安全対策課への要請および記者会見を行いました。県への要請の際に、福島第一2号機の電源喪失・水位低下事故についても緊急の要請を行いました。提出した要請文は最後につけます。

 対応した福島県原子力安全対策課長は電源にトラブルはあったが、非常用ディーゼル発電機は問題なく立ち上がったと聞いている、注水に使った隔離時冷却系ポンプはタービン駆動で立ち上がったとのことでした。今朝の福島民報には、県が東電に対し原因究明の徹底を要請した記事があり、その中で安全対策課長のコメントとして、安全上問題であったが法令違反ではなかった旨の記述がある点については、そう言ったつもりはなく、法令違反の可能性も含めて現状は不明だとのことでした。東電に対しては中間段階でも状況の報告を求めていくとのことでした。

東電本社での聞き取り

 同じ時間に高木さんや東井さんが東電本社に行って話を聞いてきました。以下のような話だったとの事です。

・事故の発端は、外部電源を取り入れるための遮断機が、バックアップをいれて4台あるものがすべて止まったこと。原因は不明だがこれが一番深刻。
・非常用ディーゼル発電機はすぐに立ち上がった。十数分間起動しなかったような報道があるがそうではない。
・外部からの電源がストップし、常用の電源が切れ一時制御室も停電した。非常用ディーゼル発電機が立ち上がり、非常用の電源は使えた。
・復水ポンプは2台とも停止し、炉内圧力が上昇。圧力逃し弁が開閉し、蒸気が逃げ、水位が低下した。
・タービン駆動の隔離時冷却系ポンプにより水位を回復させた。
・あと40センチ水位が下がればECCS(高圧注水系)が作動した。今回はECCSではないが、冷水により急冷した点は同じ。

3度目の急冷ということになります。今のところ4台ある外部電源からの遮断機が全部下りてしまったことが問題ですが、原因は全くわかっていないようです。

*********************

2010年6月22日
福島県知事 佐藤 雄平様

炉心溶融一歩手前の福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故及び同型の3号機でのプルサーマル実施に関する緊急要請書

ストップ・プルサーマル!ふくしま
ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会
東京電力と共に脱原発をめざす会
空と海の放射能汚染を心配する市民の会
ストップ・ザ・もんじゅ東京
浜岡原発を考える静岡ネットワーク
福島老朽原発を考える会

 6月17日に発生した福島第一原発2号機における電源喪失・水位低下事故は、このまま水位低下が止まらなければ、炉心が溶融し、大量の放射能が放出される重大事故に至りかねないものでした。発電機停止後、外部電源への切り替えに失敗し、非常用ディーゼル発電機の即時の起動にも失敗して、所内は十数分にわたり電源喪失(ステーション・ブラックアウト)の状態が続いたとのことです。電源を失った十数分間がどんな時間であったか、炉内で何が起きていたのか、操作室の運転員たちはどうであったのか、想像するだけでも私たちは恐怖を感じざるをえません。
 2号機は過去二度もECCS(緊急炉心冷却装置)が作動する事故が発生しています。三度目の急冷で原子炉へのダメージが心配されます。
 東電は事故の詳細について明らかにしていません。18日に行われた福島県原子力関係部長会議で東電は、事故原因について誤った情報を伝えていたとの報道もありました。徹底した原因の究明と徹底した情報公開が求められます。
 隣の3号機ではプルサーマルが予定されています。2号機と同型炉で出力も同じです。電源喪失に至る同じ欠陥を抱えているかもしれません。昨年8月には電源ケーブルでトラブルが発生しています。もしプルサーマル実施中に重大事故が発生すれば、被害は一層深刻なものになります。今はとてもプルサーマルどころではありません。2号機の事故の解明を優先すべきです。
 この件に関し、以下を緊急に要請いたします。

要 請 事 項

一.炉心溶融一歩手前だった福島第一原発2号機の電源喪失・水位低下事故について原因の徹底究明に努めてください。東電・国に原因究明と情報公開を徹底させてください。

一.この事故について県民への説明会を開催してください。

一.2号機の事故の解明を優先し、プルサーマルに関する県の検討を中断してください。

一.同型で同じ事故の危険をもつ3号機でのプルサーマル実施を止めてください。

連絡先/東京都新宿区神楽坂2-19-405AIR 03-5225-7213/福島老朽原発を考える会

2010/06/20

【事故2】外部電源供給不具合/非常用電源起動失敗/過去のECCS作動

 福島民友やNHKの情報では、事故は 発電機の不具合による自動停止→外部電源への切り替え失敗 ではなく、外部電源を供給するシステムの不具合がそもそもの原因で、自動停止に至ったようです。原子力関係部長会議を開いた福島県には誤った情報を伝えていたようです。東電のHPにあいかわらず抽象的な報告があるだけです。

外部電源の不具合原因/第1原発2号機の自動停止(福島民友)
http://www.minyu-net.com/news/news/0619/news4.html

 東京電力福島第1原発2号機(大熊町)が自動停止し冷却水の水位が低下した問題で、自動停止の原因が同号機へ外部電源を供給するシステムの不具合だったことが18日、東電への取材で分かった。報告を受けた県は、佐藤雄平知事が同日開いた原子力関係部長会議で東電に対し原因究明と再発防止の徹底を求めるよう指示するなど、県民の安心確保にかかわる事態とみている。 (2010年6月19日 福島民友ニュース)

原発トラブルの原因究明を(NHK)

 17日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉が自動停止した問題で、福島県の佐藤知事は、「徹底的にトラブルの原因を究明するよう東京電力に求める」という考えを示しました。この問題は、17日の午後、運転中だった福島第一原発2号機で発電機の異常を知らせる警報が鳴って発電機が停止し、原子炉も自動停止したものです。
 この問題を受けて佐藤知事は、18日開かれた県の関係部長会議で「徹底的にトラブルの原因を究明するよう東京電力に求める。二度とこのようなことが起こらないようしっかりと確認作業を進めてほしい」と述べました。
 またこの会議の中で県の担当者は、東京電力側が当初、発電機が停止した原因を「発電機そのもののトラブル」と説明していたことについて、18日になって「外部からの電源の供給が何らかの原因でストップしたため保護装置が働いて発電機が止まり、その結果、原子炉の自動停止に至った」と県に報告があったと明らかにしました。東京電力はこの件について報道機関などへは発表していませんでしたが、「今後の再発防止対策などとあわせて発表するつもりだった」と説明しています。  06月19日 07時52分

非常用ディーゼル発電機の起動について(新潟・金子さんより)

 今回の事故では、非常用ディーゼル発電機の起動に十数分かかったとされています。しかし、外部電源喪失のとき、保安規定では10秒以内に非常用ディーゼル発電機を起動しなければなりません。その後、崩壊熱を冷やす残留熱除去系ポンプが2秒以内に起動。

 外部電源喪失を模擬した柏崎刈羽1号機系統機能試験のデータがあります。発電機起動が7,6秒、残留熱除去系ポンプ起動0,3秒でした。試験結果送ります。
http://www.tepco.co.jp/nu/material/files/s10012902.pdf
(25ページから)

→上記資料には、「判断基準として、起動信号により非常用ディーゼル発電機(以下「D/G」)が自動起動し、以下の時間内にD/Gの遮断機が投入されること。・D/G(A)(B):10秒」とあります。非常用ディーゼル発電機は、起動信号から10秒以内に起動することが要求されているのです。

◎地震で緊急停止したときの水位、温度、圧力の変化
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/taishinpjc/taishinpjc004/siryo4-5.pdf

過去二度のECCS(緊急炉心冷却装置)作動について(東井さんより)

 92年9月29日、水位が3.1mも下がってECCS作動。その折に、過去に隠していたECCS作動事故(誤作動と称して)を白状。81年5月12日真夜中のことでした。水位は2.4m下がり、ECCS作動。
 給水ポンプ・復水ポンプの異常から全給水を失い水位低下したものです。ECCS(高圧注水系&隔離時冷却系)による給水を続けるも、圧力逃がし弁が開いたため(?)減圧沸騰が起こり、水位は激しく上下。17分余りでようやく給水回復したのでECCSを手動解除(TMI教訓に反する)
 このとき、ECCS作動は伏せられて、単なる自動停止事故と報告。そのためECCS事故だったことは92年の事故の折にやっと出てきた報告書から判明したものです。それまでは91年の美浜事故が国内初のECCS作動事故とされていました。
 92年当時、かなり追及したのでしたが、真相は途中までとなっています。警報記録やチャートがきちんと残って(残して?)いなかったのです。
 92年の事故も、給水・復水ポンプの故障から始まっています。このポンプは、炉心に冷却水を戻してやるためのポンプです。ですからこれらのポンプが停止すれば、空焚きの危険性→炉心溶融です。
 81年の事故では、タービン停止に伴う電源切り替えのさいに、瞬時に高圧復水ポンプが停止してしまったとのことでした。今回の事故(まだ詳細はわかりませんが)と重ねると、
この電源切り替えの信頼性が乏しいような・・・・?
 そして外部電源遮断により、非常用ジーゼルが起動→給水回復(隔離時冷却系は直流電源で作動)この外部電源、東北電力からなどと書いている報道がありましたが、かつてリスク対策として、隣のプラントから持ってくるように共有化して信頼性を高めたのではなかったかと思うのですが・・・・?

2010/06/18

【事故1】炉心溶融の可能性があった電源喪失水位低下事故

事故は、発電機の停止→原子炉緊急停止(スクラム)→外部電源への切り替えに失敗→非常用ディーゼル発電機がすぐに立ち上がらず一時電源喪失→給水ポンプが停止し炉内水位が2メートル低下→非常ディーゼル発電機がようやく立ち上がり隔離時冷却系ポンプによる注水により水位回復…という経過をたどったようです。

事故について、東電HPには昨日6月17日の段階で以下のプレスリリースがアップされていました。

http://www.tepco.co.jp/cc/press/10061703-j.html

しかしここには、「この事象にあわせて当該プラントの電源が停止し、非常用ディーゼル発電設備が自動起動するとともに、原子炉へ給水するポンプが停止したことから、原子炉の水位が一時的に低下しましたが、代替のポンプである原子炉隔離時冷却系を起動して給水を行い、現在、原子炉の水位は通常の範囲内で安定しております」と書いてあるだけで、詳しいことはわかりません。今日になって報道記事により、ようやく深刻な状況の一端が明らかになったのです。

http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9632070&newsMode=article
http://www.minyu-net.com/news/news/0618/news5.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100618-00000142-mailo-l07

原子炉は、緊急停止に成功しただけでは収まりません。核分裂は止まっても、燃料からは崩壊熱が発生するので、冷却水で冷やし続けなければなりません。もし電源喪失が長引き、水位がさらに低下すると、燃料棒がむき出しとなり、崩壊熱により燃料が溶けてしまう(メルトダウン)最悪の事態となります。米国スリーマイル原発ではここまで事態が進みました。溶けた燃料の塊が水に触れて爆発する(水蒸気爆発)が起これば、チェルノブイリ原発事故のように大量の放射能が環境中に放出されてしまいます。今回はそのような恐ろしい可能性をもった事故でした。

それにしてもまだ疑問が多々あります。

・発電機が止まった後、外部電源への切り替えに失敗したのはなぜか?
・非常用ディーゼル発電機の起動に時間がかかったのはなぜか?
・水位が2メートル下がったというが、正確に把握できているのか?
・緊急の炉心冷却は今回で3度目だが、炉の急冷による影響はどうなっているのか?
・隣の福島第一原発3号機をはじめ同型炉にも同じ問題があるのではないか?
・東電のプレスリリースでは事故の深刻さは伝わらないのではないか?県や国にはきちんと伝わっていたのか?

福島第一原発のような沸騰水型原発では炉内の水位の把握が難しく、水位計の信頼性については前から議論がありました。緊急炉心冷却系の作動は設計では、生涯で3回以内だったように思います。もちろん、同型炉の3号機でのプルサーマル実施などもってのほかです!!!