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2021/12/14

論文「福島原発事故による南相馬市の住民の尿中放射性セシウム濃度測定による内部被ばく調査」が発行されました

第22回環境放射能研究会の論文集Proceedings(査読付き)に「福島原発事故による南相馬市の住民の尿中放射性セシウム濃度測定による内部被ばく調査」(英文)が発行されました。

英文タイトル:Internal exposure survey by urinary radioactive Cesium concentration measuring on residents of Minamisoma City caused by Fukushima nuclear accident 

 

論文はこちらからご覧になれます(p.159) 
https://lib-extopc.kek.jp/preprints/PDF/2021/2125/2125002.pdf

広く世界に福島原発事故10年の現状の汚染実態を知ってもらうために英文で執筆しました。

 

オリジナルの和文はこちらに掲載しますのでご覧ください。尚、オリジナル和文はProceedingsの編集規定に従って図表数、文字数などの制約、また英訳の過程での細かな表現の変更などがありますので、全く同一ではないことにご留意ください。

https://onl.tw/dF5JHan

論文化にあたりご協力いただいた、南相馬20ミリシーベルト基準撤回裁判原告の皆様と鈴木譲東大名誉教授、グリーンコープ生活協同組合連合会の皆さまに感謝申し上げます。

 

 

フクロウの会放射能測定プロジェクト・ちくりん舎 青木一政

2020/06/13

南相馬20ミリ裁判原告の方の尿検査結果最終報告

 

ちくりん舎では南相馬20ミリ裁判原告の皆さんの尿検査による内部被ばく調査結果行ってきました。このたび最終結果をまとめました。
 

原告の方については2018年始め頃から、比較調査のためのグリーンコープ会員有志の方には
2019年4月頃からご協力いただきました。
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南相馬20ミリ裁判原告の皆さんの尿検査結果はこちらからダウンロードできます。


 
 
改めてデータを見てみると、南相馬原町区での生活が内部被ばくリスクを抱えている
ことが分かります。
データをその都度返送することや、原告団学習会で2回程度、結果についてで直接お話した
ことで大分低下した事例もあります。
 
しかし、一方で時間が経つと警戒が緩んでしまうことはコロナ対策と同様です。
引き続き、秋のキノコや獣肉の季節、春の山菜シーズンなどで定期的に継続した
方が良いのではないかと考えております.

2019/07/04

やりました!安定ヨウ素剤の配布・服用について・40歳以上の服用否定を事実上撤回!

みなさまへ(拡散希望)

本日行われた規制委員会において「安定ヨウ素剤の配布・服用にあたって」の改
定について了承されました。

最大の問題であった40歳以上の服用については、パブコメで「40歳以上の服
用の必要はない」との文言の撤回を求めるパブコメが集中し、変更されました。

 

(変更前)
40歳以上の者は安定ヨウ素剤を服用する必要はないが、40歳以上であっても
妊婦及び授乳婦は…服用を優先すべき対象者である。

 

(変更後)
40歳以上の者は安定ヨウ素剤を服用する必要性は低いが、40歳以上であって
も妊婦及び乳幼児は…服用を優先すべき対象者である。

 

必要はない→必要性は低い、と文言としてはわずかな変更ですが、「必要なし」
の前提がが「必要あり」の前提に劇的に変わりました。

UPZへの事前配布拡大については、屋内退避で問題なしとし、採用しませんで
した。引き続き要求していきましょう。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2019/01/19

早野龍五・東大名誉教授は論文を撤回すべきだーデータ不正使用と被ばく過少評価過論文

早野龍五・東大名誉教授らによる伊達市民のガラスバッジ測定データの不正使用、被ばく過少評価の誤り論文(宮崎・早野論文)が問題になっています。

2019年1月18日、南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回裁判報告集会において、この問題の概要を解説しました。この問題をより多くの方に理解していただくために当日のプレゼン資料をアップしました。ぜひ、ダウンロードしてお読みください。

 

「早野龍五・東大名誉教授らによる伊達市個人データの不正使用と被ばく過少評価論文」をダウンロード

 

 

ガラスバッジによる個人被ばく線量は空間線量率から予測される被ばく線量に比べてはるかに低いから、避難基準などに使われる空間線量率をもっと下げるべきだという動きは今回の宮崎・早野論文以前からあります。こうした動きに対しては私たちは以前から批判を行ってきました。

 

ガラスバッジは原発労働者など放射線管理区域内で働く労働者が作業のため放射線管理区域内に立ち入るときに、身に着け、管理区域内での作業による追加被ばく量を測定するために使われるものです。現在の福島などのような体の全方位から放射線が飛んでくるような場所での使い方を想定したものではありません。まして住民の被ばく量を測定するためのものではありません。伊達市民のガラスバッジデータをもとに放射線量基準を緩和するなどあってはならないことです。

 

原子力規制委員会、放射線審議会などの動きを監視し、こうしたことが行われないよう声を挙げてゆきましょう。

2018/12/12

飯山市長が木質バイオマス発電誘致計画の撤回を表明

※転載自由、拡散希望※

みなさま、飯山市から嬉しいニュースが入りました。

本日、12月12日飯山市議会定例会の冒頭で、足立正則市長が木質バイオマス発電誘致の撤回を表明しました。

 

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長野県飯山市の木質バイオマス発電計画をめぐっては、計画が明らかになった昨年夏ころから、地元の常盤区区長会を中心に、環境影響懸念や風光明媚な観光地の真ん中への立地による景観問題、地下水枯渇の問題など懸念、不安の声がでていました。

 

私たちちくりん舎にも問い合わせや相談がありました。そして今年、3月に初めて現地を訪問して、地元、常盤地域の皆さんに、木質バイオマス発電の問題点のお話をしてきました。

 

私たちは、木質バイオマス発電に福島県や周辺の放射能汚染木材が使われる危険性や、バグフィルターでは微小粒子は捕捉できず、周辺へセシウムを含む微小粒子が拡散する可能性、盆地である飯山市の立地での大気汚染の危険性などを指摘してきました。

 

その後も、5月と8月に飯山市のより広い地域の皆さんを対象に、学習会で講演を行ってきました。

 

これらの行動を通じて、地元常盤地区の皆さんをはじめ、飯山市内で木質バイオマス発電の問題点と飯山市の将来の姿を真剣に考える人々と信頼関係を築いてきました。

 

10月末には、前市会議員の江沢岸生氏が市長選に立候補し、環境を守るために「木質バイオマス発電誘致白紙撤回」を明確に掲げて立候補されました。残念ながら江沢氏は市長選では敗れました。しかし、地元の皆さんの自主的な調査や学習、江沢氏の選挙活動を通じた訴えは結果として大きなちからとなりました。

 

私たちも今年3月から飯山市の皆さんと一緒に活動し、このような結果を生み出せたことを大変心強く、また誇らしく感じています。

 

飯山市でのこの勝利をステップに、各地で進む大型木質バイオマス発電計画をはじめとする放射能ごみ焼却、放射能ごみのバラマキにストップをかける動きを強めていきたいと思います。

 

 

 

さっそく、前飯山市会議員、市長選候補者の江沢岸生氏からのメッセージが届きましたのでご紹介します。

 

 

 

「誘致撤回の判断を評価し歓迎します。市当局の誘致発表から1年半。市当局や進出希望企業に翻弄されながらも、私心なく真剣に地域を思い、学び、行動された多くの方々に感謝します。私も10月の市長選に際し「環境を守る、地下水を守る、景観を守る。そのため白紙撤回する」と公約。選挙には負けましたが、私への6,304票(得票率48%)はこれで生きました。」

 

江沢岸生(前飯山市議会議員)

 

2018/10/05

南相馬20ミリ基準撤回訴訟に保養による内部被ばく低減(尿検査結果)を準備書面として提出

10月3日、南相馬20ミリ基準撤回訴訟の第13回法廷が開かれました。この法廷では、原告の平田安子さんの2か月間の長期保養前後の尿検査結果が準備書面として提出されました。また法廷で準備書面説明として平田安子さんご本人が裁判長の前で発言をされました。

 

 尿検査の結果を説明する準備書面はちくりん舎が作成したものです。平田安子さんの説明は長期保養で内部被ばくが低減された経験と、南相馬の生活では内部被ばくが避けられないこと。国として避難や移住の権利を認めること、保養など十分な補償を切々と訴える説得力のあるものでした。

 

 ちくりん舎が作成した準備書面と、平田さんが法廷で発言された言葉をご紹介します。

 

準備書面をダウンロード

 

平田安子さんの発言をダウンロード

 

 

今回の法廷ではこのほか、被告である国の放射線リスクを肥満や野菜不足、喫煙によるものと同列に並べる主張への反論、化学物質のクリアランスレベルと比較して年間20ミリシーベルトによる基準がいかにリスクの高いものであるか、について弁護団長である福田弁護士からの説得力ある説明もなされました。

 

 これらについては、「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」のHPに資料や報告がありますのでそちらもご覧ください。

 

 

南相馬・避難20ミリ基準撤回訴訟支援の会

 

支援の会「弁護団より」のページ 

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法廷開始前に経産省前で原告の方と一緒にアピール

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報告集会での福田弁護士の説明

2018/04/20

高専生の洗脳教育?廃炉ロボコン今年もやるようです

みなさま
こんなものを入手しました。

 

先日の「ばらまき体感ツアー」で見た子供だましの工専生洗脳教育ではないかと思われる廃炉ロボコン、今年もやるようで、全国の工業高専に通知が回っています。

 

※廃炉ロボコン実施施設の環境創造センターについてはこちら。
http://chikurin.org/wp/?p=4910
 

 

呼びかけ元が福島工業高専校長で、廃炉措置人材育成 工専等連携協議会なるわけの分からない協議会の会長をしています。事務局も福島工業高専です。

 

実施要項 「jissiyoukou.pdf」をダウンロード を見てください。放射線の「ほ」の字も出てきません。

廃炉処理の難しさ深刻さは何をおいても強烈な放射線です。そのために通常の電子機器など使えません。何よりも強烈な放射線との闘いでまず学ばなければならないのは放射線の危険性、低線量被ばくの危険性です。

 

こういったことに一切触れずに、「わくわくドキドキ」(福島県イノベーション構想の言葉でしたっけ??)で高校生を巻き込むのは大変大きな問題があると考えます。

 

みなさん・・どう思われますでしょうか??

 

 

2018/03/23

【原子力規制委員会】モニタリングポスト撤去方針に反対して申し入れ

みなさま(拡散歓迎)

原子力規制委員会が福島県設置のモニタリングポストの撤去方針を決めたとの報道がなされています。
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2018/03/post_15936.html 

本日、私たち6団体は原子力規制委員長に対して要請分を提出しました。

要請文をダウンロード



報道によれば撤去の理由は「線量に大きな変動がなく安定しているため、継続的な測定の必要性は低いと判断した」という、全く理解不能な理由です。

福島県内の自治体や反対や批判の声がでており、個人的に原子力規制庁へ電話で抗議や反対の申し入れをしたとの情報も入っています。電話をした方によれば、「無理矢理撤去するつもりではなく住民の意向に沿いたい。声は市町村に届けてほしい」と回答があったということです。

みなさまにお願いです。

福島県内の各自治体に撤去反対の旨の要請を電話、メール、Faxなどで集中していただくようお願いします。福島県内自治体は抗議先ではありませので、味方につけるよう要請をお願いします。

 

原子力規制庁への抗議、要請の連絡先はこちらとなります。

https://www.nsr.go.jp/cgi-bin/contact/ 

電話:03-3581-3352(代表)

FAX番号:03-5114-2275

 

【よびかけ団体】(あいうえお順)

NPO市民放射能監視センター(ちくりん舎)
風下の会 福島
国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
放射能ゴミ焼却を考える福島連絡会
ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト

(代表連絡先)青木一政 090-7245-7761 fukurounokai@gmail.com 

2018/01/09

ちくりん舎 第5回シンポジウム バラ撒かれる放射能汚染

ちくりん舎 第5回シンポジウム(拡散歓迎 重複はご容赦ください)

バラ撒かれる放射能汚染

~除染ごみ焼却・木質バイオマス発電を考える~

案内チラシはこちらからダウンロードできます。

2018年 2月10日(土)
13:30~16:30 (開場13:15) 
国分寺Lホール (JR国分寺駅南口 駅ビル8階)・資料代500円

お話

●福島県での放射能ごみ焼却とリサイクルの動き

和田央子さん (放射能ごみ焼却を考える福島連絡会)

●木質バイオマス発電反対運動・塙町他の事例から

金澤光倫さん(塙町木質バイオマス発電問題連絡会)

●三条市のバイオマス発電

鶴巻俊樹さん(みどりの里の環境を守る会)

●バグフィルターはセシウムを含む微小粒子を回収できない

青木一政(ちくりん舎)

主催:ちくりん舎(NPO法人 市民放射能監視センター) 

後援:認定NPO法人高木仁三郎市民科学基金

●詳しくは、HPをご覧ください。

http://chikurin.org

〒190-0181

東京都西多摩郡日の出町大久野7444 

Tel/Fax:042-519-9378   

2017/11/26

浪江町山火事で放射能拡散-福島県交渉(2回目)報告

 11月9日に浪江町山火事の件で福島県危機管理部と2回目の交渉と意見交換を行いました。浪江町で2017年5月に発生した山火事の対応をめぐっては、7月19日に4項目の要望事項と5項目の質問事項を福島県危機管理部に提出しました。質問状には41の市民団体から賛同がありました。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2017/07/post-ed89.html 

 質問項目については8月2日に福島県からの回答がありましたが、不十分と考え10月3日に再質問状を提出しました。この再質問状について11月9日に福島県危機管理部と2回目の交渉と意見交換の場を持ちました。

 

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山火事など放射能「再拡散」に対して避難基準は「ない」
 今回の交渉で明らかになったことは、帰還困難区域の山火事など放射能拡散が懸念される事態に対して、避難指示などの明確な基準がないことを福島県が明らかにした点です。今回、あらためて帰還困難区域の山林火災時の屋内退避や一時移転、避難指示などの体制や避難発出手順とその法的根拠について質問しました(再質問2-1、2-2)。それに対して、「屋内退避・一時避難等の指示発出の法律上の明確な定めはない」、「由来が発電所ではないものについては決めがない」との言明がありました。


 確かに、前回(8月2日付け)の福島県の回答でも、「住民の避難基準について」の項で、「万が一、避難指示区域を越えて高い空間線量が確認された場合には、原子力災害における防護措置に準じて屋内退避や一時移転の措置をとることが妥当」としています。官僚的文書で意味する本当のところが分かりにくかったのですが、「原子力災害における防護措置に準じて」というのは、発電所由来でない放射性物質拡散に対しては、法律上の「決めがない」から、原子力災害に「準じて」というわけです。問題になっている放射能汚染は福島原発由来のものであることは疑いありませんが、いったん原発外へ出てしまったものは、再拡散しても「原発由来でない」というのもおかしな話です。


福島県では、過去にも伊達市霊山など高濃度に汚染した山林の山火事が発生しています。また山火事だけでなく指定廃棄物を保管していた倉庫の火災によりフレコンバッグの焼却灰200袋近くが燃えた事件も起こっています。放射能汚染物が周辺に存在する住民にとって、このことは極めて切実な問題です。

 

相変わらず「放射線量に変化なし」に固執する福島県
 最初の質問状で、私たちの懸念は火災による放射性物質の再拡散であり、放射性物質を吸い込むことによる内部被ばくの問題であることを明らかにしています。第1回目の交渉においては趣旨説明の文書で、「空間線量率の変化なし」をもって安全とすることについての問題を指摘しました。しかし2回目の交渉においても、依然として空間線量率のみを問題にする姿勢は変わっていません。

 

 前述の避難指示についての質問でも、「山火事などが発生したときは原則、既存のモニタリングポストで監視できると考えている」、「空間線量率のモニタリングはしていきたい」、「人がいるところで万が一高い空間線量率が計測された時には・・県、国、市町村が協議して対応」などの説明がありました。

 

 福島原発事故で福島県周辺は高濃度に汚染され、現在でも空間線量率(バックグラウンド)が高い状態にあります。このような状況の中で「空間線量率に変化なし」ということに固執して周辺への放射能再拡散はないというのは極めて大きな問題であると考えます。

 

ダストサンプラ調査で更新頻度アップ、検出限界改善などの努力を約束
 2回目の交渉でわずかですが改善につながる前進もありました。福島県では独自に県内49か所で空気中粉じんの放射能を調査するダストサンプラ調査を毎月行っています。しかしこの測定結果が福島県のホームページ上では半年以上も更新されない事態が続いていました。今回の山火事との関連でこのデータが長期間に渡って更新されていないことを指摘し、改善を要求しました。今回、この更新遅れの説明と改善の説明がありました。(質問4-1,4-2)。更新が遅れていることに対して、「解析に時間がかかった、これは全然理由にならないので今後ならないようにする」として今後は遅くとも2か月後までには全てのデータを公開することを約束しました。

 

 またこの49か所のうち、9か所については検出限界が0.3ミリベクレル/㎥と他の40か所に比べて10倍程度高い場所がありました。この9か所は主に福島第一原発に近い地域ですのでなおさら問題です。これについて説明と改善を要望しました。

 

 当初の説明では、「全体の傾向に大きな影響はない」、「あまり下限値を低くしてもナンセンス」などと説明していましたが、参加者の丁寧な説明や鋭い追及の結果、9か所は設置場所の制約があり設備的に十分なものが設置できていないことを認めました。県側の発言で「我々の方でも努力が足りないところがあるので頑張ってやるようにします」、「事故前の状態ですがこれこれの範囲の変動だった、ということをきちんとお伝えしていかないと、正しい判断ができない」との発言がありました。

 

 福島県の継続した努力により調査体制と広報について、言葉だけでなく具体的に改善がみられるかどうか引き続き監視が必要と考えます。

 

揺れる県の立場―ICRP基準で「問題はない」、一方で継続する廃炉作業リスクへの不安
 また今回の交渉では国の姿勢と県民の立場との間で微妙な立場をとっている県の状況の一端も明らかになりました。その例として、大気中浮遊じんの評価の姿勢があります。前述した空間線量率への固執もそうですが、ダストサンプラ調査の検出限界の説明においても、明らかに国が放射線防護の根拠としているICRPを(ICRPと言葉には出しませんが)前提とした説明でした。「調査で発表しているのはミリベクレル/㎥で出しているが逆で、この下のところで変化が激しいとかいうのはナンセンス」、「センシティブであればあるほど近くの舞い上がりを吸っても数値が上がる」、「住民に影響を及ぼすレベルなのかどかというのが問題」というような説明です。

 

 これに対して、参加者からフィルターのオートラジオグラフィを示して、「数値にならなくてもこのように放射線を発する粒子を吸い込んでいることが問題」という指摘や、南相馬市が独自に調査しているダストサンプラー調査では山火事があった5月以降継続して、それまで0.1ミリベクレル/㎥以下だったものが、0.1以上の値を継続していることの説明、事故前と比べると現在の福島県では大気中浮遊じんの放射能は1000倍とか1万倍のオーダーになっており、そのことを県民に正しく伝えることの重要性などの指摘が丁寧に行われました。これらの説明や意見に対しては、県の担当者も正面からの反論はできず「おっしゃることは分かります」との反応がありました。

 

 一方で県としては国や原子力規制委員会などの言いなりになっているわけではないとの説明がありました。その例として、2013年に発生したフクイチ3号炉屋根の工事により、粉塵が南相馬まで飛散しコメの汚染として発覚した問題です。県はこの問題を受けて大気中浮遊じんの調査体制をそれまでの4局体制から49か所に大幅に拡充したというものです。その結果、40か所のダストサンプラの検出下限が0.03ミリベクレル/㎥で整備されたということです。また未だにフクイチからの飛散であることを認めない原子力規制委員会には「抗議した」との発言もありました。

 

 こうした県の努力を私たちは無視したり否定したりするわけではありません。しかしそうであれば尚のこと、県民の不安や危惧を正面から受けて、国や環境省の一方的な説明や方針をうのみにせず住民の立場から活動して欲しいものです。

 

法律的根拠なく業務としての被ばくを強要される消防団員※1
 さらに今回明らかになったことが消防団員の被ばく防護の問題です。消防団員の被ばく防護の体制について質問したところ(質問1-4)、「福島県広域消防相互応援協定に基づく避難指示区域の広域応援活動方針」に基づいて行っているとの説明がありました。それによれば。消防団員の被ばく限度は年間10mSvであり、電離則で定める放射線業務従事者の5分の一、5年間で50mSvで放射線業務従事者の2分の一だとの説明がありました。この「活動方針」は消防本部内で決めたものだとのことです。

※1: 双葉消防本部に尋ねたところ、消防団員は避難指示区域では消火活動に当たらないことと総務省から指示が出ているそうです。福島県側の応答は消防隊員を指すと思われます。(2017.11.27追記)

 しかしこれも問題があります。電離則が定める放射線業務従事者は放射線を取り扱うことを前提として職業に就き、それを前提として賃金を受けとっているわけです。それでも健康リスクなどの問題が大きくならないように被ばく量の上限の制限だけでなく、特別教育や健康診断などを受けることが法律で義務付けられています。しかし消防団員は被ばくをうけることを前提とした職業ではありません。消火のためだからといって、放射線業務従事者より少ないとは言え、被ばくを前提とした業務を行わなければならない義務はないはずです。本来、消防団員は一般住民と同じ公衆被曝限度年間1ミリのもとで生活する権利があるはずです。そもそも年間20mSvを下回ったら避難指定を解除されて何の保障も受けない一般住民も同様の問題を抱えていますが、汚染地域で消火作業にあたらなければならない消防団員は更に大きなリスクにさらされることになります。消防団員のリスクの問題は、今後引き続き課題となると考えます。

 

最初の質問状に対する福島県からの回答

再質問状

2回目交渉の議事要旨

福島県から国への要請文(福島県から当日配布された資料)

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