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2月14日:田村バイオマス訴訟高裁判決-傍聴と報告会にご参加ください

福島県田村市大越町に建設された田村バイオマス(以下田村BE)は県内の放射能汚染木を燃料として使うことを公言しているバイオマス発電所です。地元大越町の住民は「大越町の環境を守る会」を結成、田村市が田村BEに支出した補助金14億6千万円の支出を不当としてその返還を求める裁判です。

2月14日(火)いよいよ判決を迎えます。

2023214日(火)仙台高裁 1320

●記者会見と報告集会
記者会見 14:30~

報告集会 15:00~
仙台戦災復興記念館 4 階第 4 会議室(仙台高裁より徒歩8分)仙台市青葉区大町2丁目12−1

チラシはこちらからダウンロードできます

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2022/12/25

報告:中間貯蔵施設と伊達市バイオマス発電施設見学ツアー(その2)

ツアー2日目午前は、福島県伊達市梁川町に建設中のバイオマス発電の現地視察を行い、午後から木質バイオマス発電についての学習会で講師としてお話しをしました。

梁川町バイオマス発電は群馬県の産廃業者の株式会社ログが進めている事業です。福島県伊達市梁川町の工業団地の一画にあり、すでに建設はすすんでいます。発電所は福島バイオパワーとなっています。

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現場は工業団地ですが、すぐ近くには民家があり住宅街が広がっています。この問題を察知して伊達市議会議員の勉強会でレクチャーをしたのが2020年10月です。

株式会社ログによる市幹部や市会議員への説明会では、建築廃材6割、廃プラ4割を燃料とするとの説明をしました。事情を知った梁川地域の住民は「梁川市民のくらしと命を守る会」を結成し、誘致反対の署名を9000筆集めて市議会に提出、市議会も昨年、全員一致で反対決議を上げました。

須田博行伊達市長は「建設については法令上、市が関与できないが、引き続き住民から要望があれば説明を求めていきたい」として事実上容認の立場です。

学習会には70人以上の住民が参加し熱のこもったものになりました。

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「バイオマス発電は」隠れ蓑、実際は産廃処分のためのごみ焼却炉

今回の学習会の事前準備の中で疑問だったのは「木質バイオマス発電」としてFIT認定を受けた事業が、どうして「建築廃材6割、廃プラ4割」などと堂々と説明できるのか、という疑問でした。そして分かったことは「バイオマス発電」は隠れ蓑で、実際は産廃焼却炉であるようなものを「木質バイオマス発電」として住民をダマして受け入れさせるような仕組みになっている、ということです。

FIT(再生エネルギー固定価格買取制度)では木質バイオマス発電について「建築廃材、一般廃棄物」も燃料として対象に含めています。ここでいう一般廃棄物とはどのようなものでしょうか。経産省によるFITの説明では、一般廃棄物として「剪定枝・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、黒液」を例示して説明しています。廃プラなどの産廃ごみは明示されていません。

ところが、環境省が発行している「廃棄物処理施設における固定価格買取制度(FIT)ガイドブック」という資料があります。この資料のQ2-8「バイオマス発電おける一般廃棄物発電設備においては、バイオマス比率を毎月1回算定することとあるが、具体的には何をどうやって測定すれば良いか?」という設問に対して、「廃棄物中の紙類、厨芥類、草木類(木、竹、わら類)、布類、プラスチック類(ビニール、合成樹脂、ゴム、皮革類)」の熱量ベースでのバイオマス比率を算定して、報告することと、説明しています。

さすがに、FIT制度ではプラスチック、合成樹脂等はバイオマスの算定には入っていないようですが、業者からの「月1回の報告」だけですので実際のところ現場でいいかげんな数字を出してもチェックしようがありません。

それよりも何よりも、こうしたQ&Aがあること自体が意図的に、実態は発電目的ではなく産廃業者の焼却炉であるにもかかわらず「木質バイオマス発電」としてFIT認定して、住民の反対をごまかすような枠組みになっていることが明らかになりました。

地元の住民はこんな設備を許してはいけない、ということで、産廃問題に詳しい坂本博之弁護士とオンラインでつなぎ、今後の進め方について協議をしました。

※当日の青木のプレゼン資料はこちらからDLできます。

※当日の「市民のくらしと命を守る会」資料はこちらからDLできます

 

 

 

2022/12/20

報告:中間貯蔵施設と伊達市バイオマス発電施設見学ツアー(その1)

12月10日から11日にかけて福島へ調査ツアーに出かけました。今回のツアーの目的は下記のようなものです。

(1)中間貯蔵施設の現状見学
(2)伊達市梁川町のバイオマス発電現地調査と地元住民学習会での講演
(3)伊達市内の汚染状況実態調査と土壌サンプリング

 中間貯蔵施設とは大熊・双葉両町にまたがる広大な施設でフクイチをとりかこむような形に位置しています。施設を運営しているJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)の案内で構内に入り見学をしました。

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中間貯蔵施設の場所

 

 中間貯蔵工事情報センターで10分程度の案内ビデオ視聴とブリーフィングのあと、JESCOのマイクロバスで構内を回りました。前回(2021年4月)は双葉町側を一周するコースでしたが、今回は大熊町側を一周するコースでした。

 構内に入ってまず驚いたのは、既にほとんどの「除去土壌」=汚染土の搬入と処理は終了していたことです。処理のために建設した受け入れフレコンバック解体施設、土壌分級施設、可燃物焼却炉、1.5kmにもおよぶ長大なコンベアラインのほとんどが解体、撤去されていました。

 汚染土壌の埋め立て工事もほぼ終了状態です。

 

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汚染土埋立場所(緑のシートは雨よけ)この上に覆土をする

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見学用展望台での線量1.18μSv/h

 

 

 工事に必要な道路や施設周辺の除染してあるが、未契約の土地(中間貯蔵施設として使えない)、工事に不要な土地などは全く除染していないとのこと。JESCOの説明では道路脇の森林などは20-30μSv/h程度はあるそうだ。

 大熊、双葉両町にまたがる広大なエリアのうち約7%が未契約状態のため、そこは飛び地のような形で手を付けていない。残りの93%のうち、約10%が賃貸契約、90%は国が買い取りとのこと。

 仮に30年後に汚染土を県外に全て移動させることができたとしても、広大な国有地(国が買い取った部分)となり、その中に個人所有地が点在した形となる。点在する個人所有地で普通の生活や個人的な有効活用ができるとは考えられない。

 環境省は「中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了する」とした日本環境安全事業株式会社(JESCO)法により、「減容化」「再利用」「土壌は重要な資源」として県外各地での処分に必死になっている。最近発表された所沢市や新宿御苑などでの「再利用」実証試験はそのための地ならし。

 たとえ受け入れるところがあったとしても、膨大な量の汚染土壌を再びほじくり返し、受け入れ現地まで輸送するために膨大な費用と輸送中の事故による汚染土拡散などのリスクが生ずる。

 法を改正して、中間貯蔵施設を最終処分場とすべきことが今となっては最も合理的ではないか。

 

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大熊町老人デイサービスセンター(事故直後に避難したしのままの状態)

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デイサービスセンター駐車場の車もそのまま

 

 

2022/11/22

石栗正子裁判長が結審を宣言ー田村バイオマス住民訴訟

11月18日14時30分から田村バイオマス住民訴訟の第3回口頭弁論期日が開かれました。

 

被告から第2準備書面、こちらから準備書面(4)(5)などを提出しました。

 

近日までに提出された書類の確認をした後、裁判長が、「これまでに提出された資料から、この事件の判決を書くことが可能だと思う。控訴人から出されている人証の申請、検証申立、文書提出命令申立、調査嘱託申立は、必要がないと考えるので、却下します。本日で結審します。判決の言い渡しは、来年2月14日(火)午後1時20分~に指定します」と言いました。

 

この裁判は、結局、証人尋問も現地検証もしないで結審ということになりました。
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被告は原告側が指摘した様々な具体的指摘に対して「否認する」と主張するだけで、何ら具体的な説明は在りませんでした。それどころか、HEPAフィルタは「安心のために設置したもの」との主張を繰り返し、「HEPAフィルタの集塵率(漏れテスト)のデータは「存在しない」と開き直ったような主張を行いました。

石栗正子裁判長は、これまでの経過から既に田村バイオマスが設置したというHEPAフィルタが、その機能、性能を保証できない「偽物」「お飾り」であることが十分に明らかになったとして、結審を宣言したのでしょうか。

それとも、一応、原告側の言い分を聞いて、原告に寄り添うようなポーズをとり、田村BEにそれなりの資料を出させ、行政と業者を擁護する作文ができると判断したのでしょうか。

 

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繰り返しになりますが、被告側はこれまで一貫して具体的データや資料を出さず言いのがれ、論点そらしに終始しました。控訴審でようやく資料のようなものが出てきましたが、これとてツッコミどころ満載の資料でした。最後に出てきたのは「安心のため設置した」のだから「集塵率(漏れテスト)データは存在しない」という、技術的には絶対スジの通らない居直り宣言です。

判決は2023年2月14日13時20分からとなりました。判決後は記者会見を兼ねて報告会を開きます。

詳細が決まりましたらご連絡します。注目をお願いします。

2022/09/11

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(3)

シリーズでお伝えしてきた控訴審第2回期日の報告も3回目(最終回)です。

高裁裁判長の指示により、ようやく被告らが設置したというHEPAについての報告書が、ダクト内はガランドウではなく、何かが付いているらしい雰囲気を示すだけのものであり、技術的にみると、ダクトの溶接と漏れ確認はメーカーの資料を抜粋したものですが、内部に設置されているというHEPAフィルタの写真は田村バイオマスが写した写真であり、異様に接近したアングルで写されており、撮影日時の記録もなく、これが本当に田村BEのダクト内に設置されたものであるかどうかさえ疑わしいものであることは、前回までに報告しました。

ここでは、そのその写真の信憑性の問題は保留し、その写真が田村BEに設置されているものだとして技術的に仔細な点を見てゆくと、更にいろいろな問題が出てきます。

●バグフイルタの出口部分(つまりHEPAフィルタの入口部)はホコリまみれ

被告が提出した「写真撮影報告書」(乙第46号証)の写真をみるとHEPAフィルタの入口側から写した写真があります(4p)。下記の写真がそれです。

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        HEPAフィルタを上流側から写した写真

 上記写真がHEPAフィルタを上流側から、つまりバグフィルタ出口部分の写真です。皆さんはこの写真のどこに注目しますか?多分、HEPAフィルタユニットらしきものが多数、並べられて設置されているところに注目するでしょう。しかし注目すべきところはそこではありません。奥の方に脚立がおいてある床面を見てください。随分とホコリが層をなしていることが判ります。ホースでこすられてホコリの層が払われたり、ホコリの層の上に足跡らしきものまでついています。

バグフィルタは99.99%まで煤塵を捕捉する(国立環境研 大迫論文)からバグフィルタで十分安全は確保されていると言いますが、HEPAフィルタの床にこのようなホコリが堆積するということは、かなりの量の煤塵がバグフィルタでは捕捉しきれず実際には漏れていることになります。

逆説的ですが、HEPAフィルタの大敵は煤塵なのです。粒径1μm(1ミリの千分の一)以下の粒子を捕捉するため排ガスの煤塵量(米エネルギー省発行の核空気洗浄ハンドブック(NACH)では0.23mg/㎥以下としている)が多いと短時間で目詰まりを起こしてしまいます。このための対策として、HEPAフィルタの上流側にやや目の粗いプレフィルタの設置が必要となります。原告側は既にこのことを、第1審で指摘しています。

被告側は、「バグフィルタが十分な煤塵の捕捉をするため、プレフィルタの役割を果たしている」と主張していたのです。その結果の写真がこのような状態なのです。被告側は原告の追究にその都度、言葉のすり替え、論点そらしで対応してきました。HEPAフィルタを設置して維持することの難しさを知っていれば、この写真を証拠資料として提出するのは「まずい」、「床の煤塵層を掃除してから写真を撮れ」というでしょう。私が被告の立場であれば必ずそのように指示します。被告側は、苦し紛れに屁理屈、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。ひょっとしたら、このプレフィルタに関する議論を忘れたのかもしれません。ウソはウソを呼びます。原告側は控訴審第2回期日においてこの点を指摘しました。被告はまたつじつま合わせしなければならない理由を増やしてしまいました。

●HEPAフィルタの固定方法は重大な設計不良

更にこれらの写真を検証すると重大な設計不良がみつかりました。HEPAフィルタユニットの設置方法についての問題です。

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                                 HEPAユニットの固定方法の欠陥

重大な設計不良とは上記写真のA部、B部の部分のことです。A部では上下2つのHEPAユニットの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。B部においては、取り囲まれる4個のHEPAユニットの4つの角を1枚の押さえ板と1個のボルトで固定しています。これは図で示した部分だけではなく、6列5段の30枚のHEPAユニットの固定全体で行われています。

問題は、例えばA部において下部のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響は下部ユニットのみではなく上部ユニットにまで影響が及ぶことになります。B部においては1個のHEPAユニットの角の固定を強くしようとして締め付けると、その影響が他の3か所にも及ぶことになります。
こうして、1箇所の緩みや締めすぎを調整しようとしても、それが連結する周辺のHEPAユニットの固定に影響を及ぼすことになるのです。

1箇所のみを調整しなけれればならない場合は容易に発生すします。例えばHEPAユニット本体の微妙な歪み、HEPAユニットを固定し保持する後方のフレーム(写真では見えない)のわずかな曲がり、後方のフレームとHEPAユニット間に漏れ防止として挟み込まれていると想定されるガスケット(フレームとHEPAユニットの平面の間に挟み込む漏れ防止のためのクッション材、写真では見えない)の微妙な厚み差や硬度差、そして押さえ板の曲がりなどです。
これに対する対策は極めて簡単でHEPAユニットの角を固定する押さえ板とボルトを共有せず、独立にすれば良いだけでのです。
これは機械設計者からみれば極めて常識的な話ですが、そのようになされていないことは、「お飾り」だからついていれば良しとして、構造を簡略化しコストダウンしたためと推定できます。何度も繰り返すように1μm以下の粒子がフィルタ本体を通過せず、HEPAユニットとフレームの接合部の隙間から漏れてしまうような事態を避けるためには、全てのHEPAフィルタユニットがガスケットを均等な圧力で押さえつける必要がある。そのためには、すべてのHEPAユニットの角が独立して適正な締め付け圧で設置されなければなりません。その観点からすると極めて不適切な設計です。

このことは、先述したNACHの第4章「ハウジングの設計とレイアウト」の4.4.6「フィルタのクランプ(締め付け)とシーリング(封止)」節内の図4.15「HEPAフィルタの取り付けフレーム(2つのクランプ設計を示す)」として、推奨されない例(悪い例)として示されています。

●高裁における控訴審で初めて出て来た資料が示すもの

福島地裁での第1審では、被告は徹底して設計図面やHEPAフィルタ交換の手順書、漏れテストデータ、集塵率データなど技術的な資料を一切出さず、言い逃れ、論点そらしに終始してきました。仙台高裁での控訴審第1回期日で石栗正子裁判長が被告側に資料提出をもとめました。その結果、出て来た資料の主なものが、この3回シリーズで解説したものです。紙面の都合で書ききれませんが、これ以外にも出て来た資料から、原告の主張の正しさを証明するものが出てきました。

仙台高裁においては、これらの資料と原告の主張を虚心坦懐に見ていただきたいものです。

2022/09/03

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(2)

前回に引き続き、仙台高裁での第2回口頭弁論期日でのツッコミどころ満載の実態を紹介したいと思います。前回紹介したように、裁判長からの被告への釈明要求の一つである「①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。」に応えて田村バイオマスエナジー(以下田村BE)は「報告書」(乙43号証)なる書面を出してきたのです。
 
●奇妙な報告書の構成
 
この報告書を見ると2-3ページには(a)日立三菱パワーシステムズインダストリーの名称が入った据付記録が付いています。(b)3ページ以降14ページには田村BEがHEPAフィルターの中に入って撮ったという写真がついています。(c)15-17ページには近藤工業㈱のフィルタ総合カタログからの抜粋がついています。
 
一見すると、HEPAダクト内はガランドウではなく、それらしきものが付いているという印象を持ちます。しかし技術的に見るとこれは極めて奇妙な構成になっているのです。
 
(a)は確かに日立三菱パワーシステムズインダストリーの名称が入った図面であり、しっかりしたもののような印象を与えます。しかしこの据付記録は、あのラグビーボールのような奇妙な形をしたダクトを定位置に設置し溶接しシャワーテストという漏れ確認を行ったというだけのものです。肝心のHEPAユニットが(図面上では描かれていますが)設置されたということを証明するものではありません。
 
(b)は田村BEがダクトの中に入って写したという写真がついています。この写真は撮影日付記録もなく、また必要以上に近接して写しているため、田村BEのダクト内のHEPAユニットであることは確認できません。
 
そもそも、何故据付記録はメーカーの記録を出しているのに、HEPAフィルタユニットの取り付け状態を示す図面や写真はメーカの資料から抜粋して出さないで、信憑性の乏しい写真を撮らなければならないのでしょうか。こうしたプラントでは、設備メーカは設備引き渡し時に設備完成図書として、細かい部分の設計施工図面やテスト結果、その過程を示した明瞭な写真記録を出しているるはずです。これを抜粋して出さないで何故わざわざ田村BEが写真を撮って提出しなければならないのでしょうか。
 
●奇妙さを通り越して笑いたくなるような証拠写真
 
下図がHEPAフィルタの型式を示したと思われる写真です。
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田村BEは今回の控訴審第1準備書面で、フィルタの型式が「1LFU-190」であることを明らかにしました。上記写真がそれを示すつもり?の写真なのでしょうか。まるで情報開示請求でよく出てくるノリ弁状態の写真と見まがうような真っ黒な写真です。かすかに読み取れるのは「・・UTE FILTER」の文字が読み取れるだけで、上述した型式を確認することはできません。全く疑念を晴らそうとしないで、「疑ってくれ」と言わんばかりの写真です。皆さんはこの写真を見てどう思いますか?何を説明したいがために、こんな写真を裁判所と原告に提出したのでしょうか。奇妙さを通り越してこっけいにも感じる証拠写真です。

●近藤工業㈱フィルタ総合カタログを都合の良いところだけ抜粋して証拠として提出

被告はHEPAフィルタの型式が「1FU-190」であることを明らかにして、近藤工業㈱フィルタ総合カタログの60–61ページだけを抜粋して証拠として提出しています(前述「報告書」の14-17ページ)。

ところで近藤工業㈱のフィルタ総合カタログはウエブ上で公開されていて誰でも見ることができます。このカタログの76ページ以降に「原子力施設用フィルタJIS Z 4812適合)の製品が紹介されています。

なぜこれらJIS Z 4812適合のものを使わないのでしょうか。そもそも被告の本田仁一市長(当時)が「住民の放射能に対する不安が大きいのでバグフィルタの後段に高性能フィルタを付ける」「国内最高レベル」と議会で答弁しているのです。放射能対策用のフィルタがあるのにそれを選択せずクリーンルーム用のフィルタを付けたというのは、住民と議会をダマすために「何かそれらしきものが着いていれば良い」と相談した?ことを証明するようなものです。

●必要なところは抜粋せず、それらしい「雰囲気」を示す程度の証拠ではダマされない

仙台高裁の裁判長や裁判官には是非、原告の主張と被告の主張を虚心坦懐に読み込んでいただきたいと思います。第1審の福島地裁では「そもそもHEPAフィルタは、JISにも規格が設けられた性能を有するエアフィルタであり放射性廃棄物の減容化施設でも用いられているものであり、・・放射性物質を捕捉できないものであるとは認められない。」などの暴論を踏襲しないでいただきたいものです。

被告側提出:控訴審第1準備書面
被告側提出:田村BE作成「報告書」(乙第43号証)

 

2022/08/28

ウソにウソを重ねて収拾がつかなくなる被告-田村バイオマス控訴審第2回期日(1)

8月26日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第2回口頭弁論期日がありました。この内容を複数回に分けて報告したいと思います。

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写真は仙台高裁近くの宮城合同労組の部屋をお借りしての支援者・傍聴者への報告会

控訴審第1回期日では、裁判長から被告側に釈明を求める驚きの展開になりました。①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点の説明要求に対して、被告側は「控訴審第1準備書面」を出してきました。

その内容が、技術的に見ればオウンゴール連発、ツッコミどころ満載のものでした。裁判所や原告をこの程度のものでごまかすことができると考えたのでしょうか。早速、反論の意見書を作成、その内容も含んで坂本弁護士が原告「控訴審準備書面(2)(3)」を提出しました。

開廷前に坂本弁護士は「今日で結審になるかもしれない」との可能性を口にしましたが、結局裁判長は「被告は原告の準備書面に反論しますか?」と問い掛け、被告側弁護士が「はい、2か月ほど時間をいただきたい」ということで、次回口頭弁論期日は11月18日(金)14時30分からと決まりました。

被告側はウソにウソを重ねて収拾がつかない状態になっています。多岐にわたりますので、その象徴的な事例をいくつか紹介したいと思います。

●稼働後2か月でHEPAフィルタが目詰まりした!?
被告側は上記②の説明要求に対して、令和3年6月にHEPAフィルタを交換したとして交換したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書を提出しました。令和3年6月とは田村バイオマスが稼働開始2か月後のことです。原告は(そして当然裁判所も)6月にHEPAフィルタを交換したという事実は承知していません。原告が問題にしたのば令和3年9月にHEPAフィルタダクトにバキュームカー(糞尿や汚泥を排出するもの)を持ち込んで掃除したという事実です。被告はよほどこの事実の説明を避けたい事情があるのでしょう。1μm(1ミリの千分の1)以下の超微粒子を捕捉する繊細なHEPAフィルタをバキュームカーで掃除するなど、およそ異常な行為です。

推測ですが、被告はこのバキュームカー掃除の説明を避けるために、令和3年6月のHEPAフィルタ交換の説明で「お茶を濁そう」と考えたのではないでしょうか。ところで、令和3年6月といえば、田村バイオマスが4月に稼働してからわずか2か月しかたっていません。バグフィルタが微粒子を十分補足できないために短期間でHEPAが目詰まりを起こす、それを防止するためにはプレフィルタというやや目の粗いフィルタを上流側に付けなければならないが、それがついていないということは、第1審の福島地裁で原告がHEPAフィルタが本来の機能を果たさない偽物である根拠として主張をしてきたところです。

当然、原告側はこの点をついて、わずか2か月でHEPAが目詰まりを起こしたのは、原告が主張してきた通りのことを証明するものではないか、との反論を意見書と準備書面で指摘したのです。法廷期日直前にこの反論を受けた被告側弁護士はそうとうウロタエたと考えられます。

何と、法廷の冒頭で被告控訴審第1準備書面中の「令和3年6月」の記載は「令和3年9月」の誤りだと口頭で告げたのです。・・・・しかし、被告が証拠として提出したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書にはしっかりと「2021年6月9日」の日付が記載されているのです。

この証拠として提出された納品書と請求書が偽造書類なのでしょうか、それともうろたえた被告側弁護士が早まって「令和3年9月の誤り」と言ってしまったのでしょうか。ウソにウソを重ねるから答弁に辻褄が合わなくなってボロをだしてしまうのです。被告側はウソの積み重ねに収拾がつかなくなっていることを示す一幕ではありました。

田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(2)
田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(3)
田村市バイオマス発電住民訴訟・甲116(甲113に対する追加意見書)

※(2)に続く

2022/08/04

報告:ちくりん舎オンライン学習懇談会~田村バイオマス訴訟

7月27日ちくりん舎主催でオンライン学習懇談会~田村バイオマス訴訟とは?福島地裁での不当判決と仙台高裁での予想外の展開~が開かれました。

学習会には北海道から福岡まで各地から延べ30名以上の方が参加されました。

学習会ではちくりん舎の青木一政から約40分の報告がありました。その後、田村市の「大越町の環境を守る会」の皆さんから、裁判にかけた思いや、稼働後の最近の状況などの報告がありました。田村バイオマスがある工業団地の調整池にはヘドロ状の白や黄緑色の浮遊物が浮いており、それが周辺水路へ流れ出し農作物などへの影響を心配する声が上がりました。

原告代理人の坂本博之弁護士からは、「裁判所を信じてはいけない。原告に寄り添った姿勢を見せながら目茶苦茶な判決を出す裁判官も多い」と、今回の高裁の対応にあまり浮かれないよう一同を引き締める発言がありました。またこれまで以上に、証人尋問と裁判官の現地検証の要請を強めていく決意が語られました。

質疑応答、懇談の中では、福島県伊達市の梁川町工業団地でバイオマス発電が問題になっていること、住宅地にも近く、住民は反対の意見が多く出ていることが報告されました。木質バイオマス発電と言いながら、住民説明会では「建築廃材60%、廃プラ40%」が燃やされるとの説明が有ったこと、これではバイオマス発電の名を借りた産廃焼却場ではないか、この点を問題にしたらどうかなどの意見が出されました。

学習懇談会の録画は以下から見ることができます。

 

 

ちくりん舎青木の報告資料はこちらからDLできます。

 

 

2022/06/22

田村バイオマス控訴審で驚きの展開ーその後

放射能汚染木を燃やす田村バイオマス発電訴訟控訴審で驚きの展開になったことは前回報告しました。しかし・・・驚きの展開は実はそれだけではありませんでした。

控訴審第1回法廷の当日、被告側の補助参加人(裁判の一方の側に利害関係を持つものが補助として参加すること)である田村バイオマスエナジ―(田村BE)が、HEPAフィルタ設備についての見積仕様書を「所持していない」という理由で提出を拒否する意見書を提出していました。

驚愕するような対応です。数千万円かひょっとすると数億円にもなる設備について、発注者である田村BEは、設備建設メーカから見積もり仕様書もとらず、ハイよッと気前よく支払ったのでしょうか。家を建てる時でも、車を買うときでも、(発注者、受注者どちらが作るかはともかく)見積仕様書が無ければ物は発注できませんよね。風呂場はこの場所にこの広さでとか、1300㏄のセダンで色は白、カーナビ付けてとか、いろいろあるでしょう。タケエイと田村BEは、数千万、数億円かかるかもしれない設備を、何の仕様書もなく、請求書だけではいよっ!て払うのでしょうか。随分気前の良いというか杜撰な会社ですね。

そもそも、HEPAフィルタ設備についての見積もり仕様書は、原告側が控訴に当たって事実を明らかにすべく、裁判所に対して「文書提出申立書」として請求していたものです。これを「所持していない」というのであれば、考えられるのは、①田村BEがおそろしく気前の良い会社でありまたHEPAフィルタの性能に関して全く関心がない(どちらも極めて杜撰な経営ともいえる)、②本田仁一市長が「HEPAを付ける」と言っちゃったので、「形だけそれらしいものを付けて」と口約束で頼んだ、の2点が考えられます。

それ以外にも設計図について、「プラントは複雑で設計図も数百ページにおよぶ、該当部分だけ抜き出すことはできない」などと理屈にならない理由で提出を拒否しています。HEPAフィルタはバグフィルタダクトと煙突の間に挟まった形で接続した独立した設備です。設計者は前後の接続部分の情報をもとに、HEPAフィルタの設計図を書きます。前後の情報のことを技術者は「取り合い」という言葉で言います。どうしても設計図を出したくない子供だましの言い訳をしているとしか考えらえません。

はてさて、この田村BEの対応を裁判長はどう受け止めるか。次の期日までに、何か資料を出してくるのか、注目されるところです。

やっぱり、HEPAフィルタはラグビーボールのような奇妙な形のダクトだけで、中はガランドウだとの確信が強まった一件でした。

 

2022/06/19

田村バイオマス控訴審第1回法廷で思わぬ展開に

6月17日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第1回口頭弁論が開かれました。
開廷早々、石栗正子裁判長から予想外の発言がでました。
 
裁判長は被告に対して、①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点を要求したのです。
 
これは原告が控訴理由書で求めたものそのものです。坂本弁護士によれば控訴審は1回目で結審することも多いそうです。これまで被告側は具体的資料を一切しめさず、言い逃れ、言葉のスリカエ、論点そらしに終始してきました。こうした流れからすれば画期的な一歩前進です。
 
放射能汚染木を燃料とする田村バイオマス裁判では、本田仁一(前)田村市長が、住民の反対が強いため通常のバグフィルタの後段に高性能のHEPAフィルタを設置し「国内最高レベルの安全対策」をすると説明して約11億4千万円の補助金を支出しました。このHEPAフィルタが本来の性能を果たさない虚偽のものである、という点が争点になっています。そのほか、100Bq/kg以下の自主基準を設けた燃料チップの測定が極めてずさんな実態が住民の監視により明らかになりました。
 
更に昨年9月には、定期点検と称して、HEPAフィルタ内を「バキュームカーで掃除」するという驚きの実態が明らかになりました。バキュームカーとは糞尿や汚泥、汚水を吸い取るものです。μm以下の粒子の漏れを99.7%(JIS規格)で捕捉しなければならない、繊細な設備で何故バキュームカーで掃除するような事態になったのでしょうか。
 
田村バイオマスはこれまで、一貫して具体的な設計資料などをださず、「安心のため設置した」など言葉のスリカエや論点そらしに終始してきました。福島地裁はこれらの経過を一切無視して、「効果を果たさないとまでは言えない」と漫然と被告側の主張を認めて却下しました。
 
仙台高裁の裁判長は少なくとも、原告側の控訴理由書をしっかり読み込み、これまでの双方のやり取りの資料に目を通したと考えられます。
 
坂本弁護士は原告側にリップサービスをしておいて、酷い判決を書く場合もあるので油断できないと原告団を引き締めました。確かに油断はできませんが一歩前進したことは間違いありません。
 
次回、第2回控訴審期日は8月26日(金)15:30からと決まりました。是非ご注目と支援をお願いします。

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