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2023/10/05

大崎市放射能ごみ焼却住民訴訟で不当判決

10月4日、仙台地裁において大崎市農林業系放射能汚染廃棄物の一斉焼却の中止を求める住民訴訟第一審の判決言い渡しがありました。判決は「原告らの請求をいずれも棄却」するという不当判決でした。

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 争点は以下の三点でした。原告らの住民組織との①覚書違反、②申し合わせ違反、③放射能汚染ごみ焼却により周囲に放射性セシウムを含んだ微小粒子が拡散することによる人格権侵害(平穏生活権)、①の覚書について、「重金属物質を含まない」という文言がある点について、セシウムは重金属に当たらない、という極めて形式的判断でこれを退けました。②の覚え書き「機能・設備を変更する場合は住民の合意を得る」に対して、放射能ゴミ焼却はそれに当たらないと、これも極めて形式的判断で棄却。また同申し合わせの「住民から不安・疑問が出された場合は直ちにその改善に努めます」という文言についても、努力義務を定めたものにすぎないとしました。③の放射性微粒子の拡散により住民の平穏生活件が侵されているという主張に対しては、環境省やICRPの主張を鵜呑みにして権威にすがって棄却。原告が主張した放射性微粒子の吸入による内部被ばくの危険性についての科学論争には、踏み込むことを避けました。

 また、原告の主張で実現した、f実際の放射能ごみ焼却中の排ガス検査(環境省の定めた「公定法」の時間延長)結果で、ばいじんが被告側の依拠する国立環境研大迫論文の3~12倍漏れていることが判明、環境省の説明の99.9%捕捉論の根拠が崩れたにもかかわらず、そのことを無視しています。

 原告団は、本判決が「穴だらけ」のものであるとして、即刻控訴することを表明。原告団長も即刻控訴することを表明しました。

 原告団・弁護団声明はこちらからDLできます。

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 青木正芳弁護団長からは、覚え書きや申し合わせは、いずれも公害防止のためのもの。締結当時の経緯、趣旨、目的に沿って理解しなければいけないと指摘。だから玉造CCでダイオキシンが問題になった時、覚え書きの趣旨に沿って止めたではないか。裁判所は放射能の問題になると対応がおかしくなる…どうしてこうなるのか、と指摘されました。

 バグフィルタからの微小粒子漏れ、実際の焼却炉での公定法の時間延長による排ガス調査など、技術面で全面的に協力してきた、ちくりん舎・青木一政にも発言を求められ、「汚染水の海洋放出、汚染土(除去土壌)の全国での再利用など、政府は放射能ばらまきを本気で進めている。薄めて流せば害はない、というのは20世紀の考え方だ。地球規模で人間の活動による影響がでている。私たちの主張は横断幕にある「放射能 拡散させるな!」ということそのものだ。環境省が根拠とする大迫論文の99.9%捕捉論が、原告主張の方法でデータで突き崩したことは大きな成果だ。こうした積み上げの元に控訴審でも共に頑張りましょう」との発言をしました。

 

2023/09/15

【報告】ちくりん舎オンライン学習・懇談会「福島復興の暗い闇」

9月8日ちくりん舎オンライン学習・懇談会「福島復興の暗い闇」が開催されました。

当日は約40名のご参加がありました。参加されたみなさまありがとうございました。

 

ちくりん舎の青木から、福島第一原発汚染水海洋放出に関する問題点の説明があり、その後、放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会の和田央子氏が、政府のずさんな放射能ごみ処理の問題点、「福島イノベーションコースト構想」なるものの実態を説明されました。

 

イノベ―ションコースト構想とは原発事故被害者への補償や救済を置き去りにしたまま、有り余る「復興予算」に群がる企業群(なんんと東電下請け企業や東電出身者も暗躍している)や政府系NPOなどが数々のハコモノ建設推進、その中には軍事研究と関連するようなものまで含まれていることなど、まさにショックドクトリンそのものであることを説明されました。

 

また若者をターゲットに絞って巨額の金を使った「安全」「復興」キャンペーンがすすめられていること。そして、なんと、これらの構想の下敷きになっているのが、米国でプルトニウム生産と水爆開発を行って汚染された地域を「復興」と称して汚染処理はそのままに「新たな街づくり」進めた「ハンフォオード・モデル」であることなどが報告されました。ち密で広範な調査に基づく氏の報告は大変貴重なものでした。

 

◉当日のZOOM録画はこちらからご覧になれます。

Zoom

 

◉和田央子氏のプレゼン資料はこちらからDLできます

 

◉当日参加された皆さんからのアンケートを、ご本人の了解を得て紹介させていただきます。
 こちらをクリックしてDLできます。

 

2023/06/06

SAVE the 御苑デモ!ー汚染土も汚染水も拡散しないで

6月4日(日)に「SAVE the 御苑デモ!」が行われました。

新宿駅東口アルタ前から出発。新宿歌舞伎町前の靖国通りを新宿御苑を目指して100人以上が参加。新宿御苑を訪れた人や新宿駅周辺の多くの人に、環境省が計画している福島県の除染土(汚染土)の新宿御苑への持ち込み(実証事業)に反対を訴えました。

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道行く人々のほとんどがこの計画を知らないようで、外国人も含め注目を集めました。

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デモスタート前にはちくりん舎からも少しだけアピールさせていただきました。中間貯蔵施設では既に埋立の終わっている汚染土をわざわざほじくり返して「実証事業」と称して新宿御苑など首都圏でのバラマキを踏み台にして全国に放射能汚染土をばら撒く計画の危険性をお話ししました。

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同じく実証計画が発表された所沢からも駆け付けた仲間からのアピールがありました。

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反対行動は今後も続きます。是非ご注目と御協力を!

新宿御苑への汚染土持ち込みに反対する会のツイッターをフォローしてください。

2023/06/01

大崎市放射能ごみ焼却住民訴訟が結審(その2)

 前回に引き続き、大崎市放射能ごみ焼却住民訴訟最終口頭弁論期日の報告です。

 本裁判の主要争点は、大崎市の一般ごみ焼却施設(3箇所)において、8000Bq/kg以下の汚染稲わら、汚染牧草等の焼却が、地元自治会や水利組合との協定違反に当たるかどうか、という法的争点に加え、放射能ごみ焼却によりセシウムを含む微小粒子の周辺への拡散が、がんやそのたの疾病リスクを高めるため周辺住民の平穏生活権を侵害する点が争点になっています。

法廷では前回ブログで紹介した「バグフィルターはセシウムを含む微小粒子を捕捉できない」とのビデオ証言に加え、矢ケ崎克馬琉球大名誉教授の、「低線量内部被ばくによる危険性」のビデオ証言が放映されました。

矢ケ崎名誉教授のビデオ証言を紹介します。(下記の画像をクリックすると証言ビデオが見れます)

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2023/05/30

大崎市放射能ごみ焼却住民訴訟が結審(その1)

5月29日仙台地裁において、大崎市放射能ごみ焼却住民訴訟口頭弁論が開かれました。

前回期日において、裁判長が結審するような発言をしたため、原告弁護団が次々に発言に立ち科学者の証人尋問をすべきだとの主張を展開しました。その結果、裁判長は証人尋問そのものは認めなかったものの、科学者2名のプレゼンテーションを法廷でビデオで上映することまで譲歩し結審が、今回まで延期になりました。

科学者のプレゼンテーションとして、原告弁護団は2人の科学者のプレゼンビデオを用意しました。

(1)「バグフィルタはセシウムを含む微小粒子を捕捉できない」 青木一政 (ちくりん舎副理事長)
(2)「放射線と内部被ばくの危険性」 矢ケ崎克馬 (琉球大名誉教授)

どちらも、本裁判の核心部分です。法廷で流されたビデオを2回に分けて紹介します。今回は(1)のビデオです。(下記の画像をクリックするとプレゼンビデオが見られます)

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次回判決は10月4日(水)13:30から仙台地裁で行われます。ご注目下さい。

2023/04/05

【報告】田村バイオマス控訴審の不当判決と放射能ごみ焼却を考えるオンライン・カフェ

3月30日 燃やすな放射能汚染木-田村バイオマス控訴審の不当判決と放射能ごみ焼却を考えるオンライン・カフェが開かれました、当日は九州から北海道、さらには米国からの参加もあり、内容の濃いものになりました。

プログラムは下記のようなものです。

◆報告:19:30~20:50
①福島の山林汚染とバイオマス発電による放射能のばらまき(放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会:和田央子)
②訴訟に至った経過と住民の思い(原告代表:久住秀司)
③控訴審判決内容と批判(ちくりん舎:青木一政)
④訴訟の意義と成果。産廃焼却炉の隠れ蓑としての「バイオマス発電」の問題点(弁護士:坂本博之)
◆休憩:20:50~21:00
◆質疑と意見交換:21:00~21:30

当日のZOOM録画記録とプレゼン資料をアップしご報告とします。

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画は画像をクリックすると見ることができます。

プレゼン資料は下記からDLできます。

福島の山林汚染とバイオマス発電による放射能のばらまき(放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会:和田央子)

訴訟に至った経過と住民の思い(原告代表:久住秀司)

控訴審判決内容と批判(ちくりん舎:青木一政)

チャットの抜粋は下記からDLできます。

チャット抜粋

 

2023/03/11

オンライン・カフェ:田村バイオマス控訴審の不当判決と放射能ごみ焼却を考える

2023330日(木) 19:3021:30

  • ZOOMを用いたオンライン・カフェ。
  • 15分前くらいから開場します。
  • 参加費無料

参加希望の方は、こちらをクリックしてください。 

または下記のQRコードからでも可能です。3月29日までに申し込みをお願いします。

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●報告:19:30~20:50

①福島の山林汚染とバイオマス発電による放射能のばらまき
(放射能ごみ焼却を考えるふくしま連絡会:和田央子)

②訴訟に至った経過と住民の思い(原告代表:久住秀司)

③控訴審判決内容と批判(ちくりん舎:青木一政)

④訴訟の意義と成果。産廃焼却炉の隠れ蓑としての「バイオマス発電」の問題点
(弁護士:坂本博之)

●休憩:20:50~21:00

●質疑と意見交換:21:00~21:30

チラシはこちらからDLできます。オンラインカフェ申込チラシ

2023/02/18

田村バイオマス住民訴訟判決-仙台高裁は民主主義の破壊者となり下がった

根拠もデータも示さない行政と業者を全面擁護

2月14日、仙台高裁において田村バイオマス住民訴訟の控訴審判決が石栗正子裁判長によって読み上げられた。「判決主文、本件控訴をいずれも棄却する」との言い渡しに、傍聴席の一同は一瞬唖然とし、傍聴席は静まり返り、10秒程度だろうか傍聴者は誰も席を立とうとせずフリーズした。石栗裁判長は、あろうことか、そのあと右手で振り払うようなしぐさを見せ、傍聴者の退席を促した。小声で「次の法廷がありますから」とか言ったという人がいたがほとんど聞こえなかった。

 

 この裁判の原告の主張は、放射能汚染木の焼却に不安を覚える住民に対して、本田仁一田村市長(当時)が「住民の放射能への不安が強いから」「バグフィルタの後段に高性能フィルタを付け、国内最高レベルの安全性を確保する」と議会で答弁。この高性能フィルタ(HEPAフィルタ)が実は、その名に値しない、まがい物で、議会と住民をダマしたというものであるから、田村市は田村バイオマスに支出した15億4千万円の補助金の返還請求をせよ、というものである。

 

 結論から言えば、政治家が業者との結託し虚言を吐き、蓋を開けてみれば、全く異なるものになっている、残念ながらこの国でよくあるパターンが繰り返されたことがこの裁判を通じて明らかになった。まさに議会制民主主義の問題である。法廷で被告は、上記の原告主張を、意図的に捻じ曲げ、バグフィルタで安全は確保されており、「安心のため設置」と言い換え、HEPAフィルタの「集塵率は数値化しているものではない」とまで主張した。そして裁判官もこれに載ったのである。

 

 放射性廃棄物の焼却炉用のHEPAフィルタにはJIS規格(Z 4812)がある。この規格のポイントは現場に設置した状態でその集塵率を測定することである。1μm(1ミリの千分の一)以下の細かな粒子まで捕捉するためには、工場出荷時の試験だけでは不足で、輸送や設置、施工時の変形などで漏れが生じる恐れがあるからである。「放射能への不安」対策として「国内最高レベルの安全性」と言うのであれば当然、このJIS規格に従って集塵率の値を示すべきだ。

 ところが判決は、本施設は原子力施設ではないから、放射能焼却炉用フィルタのJIS規格に則ったものと「説明した証拠はない」として、原判決を踏襲した。つまり「放射能対策用HEPAフィルタを設置したとは説明していない」という居直り、「勝手にJIS規格に則った確実なものを設置すると解釈したあなたがたが悪い」ということだ。これこそ詐欺師やペテン政治家の手法だ。高裁はそれにお墨付きを付けたのである。

 

 判決は、原告が主張したHEPAフィルタの固定方法の欠陥(米国エネエルギー省核排気清浄化ハンドブックに基づく)について「不適切な設計であるというにとどまり、これにより・・・放射性物質をより高度に捕捉できず、放射性物質の拡散防止対策を万全にするとの説明が虚偽」ではないとしている。微小な隙間の存在が許されないHEPAフィルタユニットの固定という、設備の根幹にかかわる部分が「不適切な設計」であっても、「対策は万全」というのはウソとは言えない、という驚くべき判断、牽強付会というべきものだ。

 

 判決があえて触れていない部分がある。本施設のHEPAフィルタは縦横60cm、厚さ30cmのHEPAフィルタユニットを6列5段に並べて一体のものにしている。当然、この30個のHEPAユニット間の隙間からの微小粒子漏れを防がねばならない。ところで、第1審で被告は、この30個のユニットは工場で組み立て、漏れがないことをチェックしてから現地で設置するから漏れはないと説明した。ところが第1審判決後の、21年9月にフィルタが目詰まりを起こしたうえ、それを「定期点検」と称して交換したと説明した。工場から再度、30ユニット一体のものを持ち込んで入れ替えるにはダクトの解体が必要だが、その形跡はない。明らかに第1審判決後に発生した事象について、説明がつかず都合が悪いから無視したのだ。

 

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第2審で裁判長の指示で被告が提出した写真では、バグフィルタとHEPAフィルタの間の床に、飛灰らしきホコリ状のものが積もっており、足跡やホースでこすられた跡まである。これこそバグフィルタからの漏れの証拠だ、という追及に対し、判決は「上記写真のみでは・・バグフィルタを通過した排ガスから生じたものであるということはできず」と堂々と居直っている。それでは、どこからこのホコリはやってきたのか。被告はもちろん、判決でも何も説明していない。なんと被告に優しい判決であることか。

 

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燃料チップの放射能測定のサンプリングでは、荷台の異なる4箇所から深さ150mm程度までスコップでチップを採取するとの説明であったが、実際の作業では、作業員は自分の足元周辺から採取するのみであることを写真とビデオの証拠を付けて追及した。しかし判決は「仮にそのようなことがあったとしても・・すべてにおいて不十分な検査にとどまっていたということはできない」と被告を擁護している。

 

さらに事前の説明では、上記4箇所からのサンプルを混合して、その中から1検体分を取り出す(縮分という)と説明していたが、被告提出の作業手順書ではその工程そのものが、欠落しており、実際も上記のように足元周辺のみのサンプル採取である。それに対して判決は縮分が、試料の「ばらつきを補正するのに有用であるとしても、採取した試料の全量を検査することにしたことにより」杜撰な検査ではないと強弁する。被告はダンプの荷台の1箇所のサンプル採取ではダンプ荷台の大量のチップの濃度のばらつきを見過ごす恐れがあるから「縮分」法を提示したはずだ。説明ではまっとうに見えることを実際にはやらず、「採取した試料を全量検査」だから杜撰でないとの言い訳はペテン師のやり方だ。高裁はこの言い訳にお墨付けを与えた。高裁もペテン師のグルとしか言いようがない。

 

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その他、原告が指摘した問題点は数々ある。チップ放射能濃度測定時間が異様に短いこと、チップ燃焼では800℃以上にした排ガスをバグフィルタ手前では170℃まで冷却しなければならないが、その根拠となるデータを一切提出しておらず、バグフィルタの健全性が保障できていない点など、挙げればキリがない。

 

高裁判決はこれら全てについて、問題はないとデータや根拠なしの被告の主張をそのまま認めた。

 

石栗正子裁判長は、控訴審1回目で原告側が求めた点について、説明するよう被告側に指示するなど、被告に寄り添うような姿勢を見せた。しかし幻想は見事に打ち砕かれた。本訴訟に限らず、裁判所は政治家、行政、大企業など権力の強いものに甘く、権力のない民衆の利益をまもる公正な立場に立たないことが、またしても証明された。しかし、例外的にではあるがまっとうな判決を出す場合もあることも事実だ。

 

高裁判決は棄却となり、原告の敗訴となった。しかし本裁判は様々な事実を白日のもとにさらした。「国内最高レベルの安全性」というのが放射能焼却炉用のJIS規格も満たさない設備であり、集塵率も出すことができない虚偽の説明だったことが明らかになった。集塵率も出すことが出来ず不適切な設計で設置されているHEPAフイルタは全く本来の機能を発揮せず、実質的にガランドウということができる。そのうち形だけ取り付いているかもしれないHEPAフィルタを取り外しても誰も気づかない。燃料チップの検査では、田村バイオマスは事前説明通りのチェックさえしていないのに、堂々と居直る、全く信頼のおけない会社であることが明らかになった。HEPAフィルタだけでなく、バグフィルタから排ガスによる飛灰が漏れていることが写真で明かにされた。田村バイオマスという会社の技術力の低さ、環境対策に無頓着無関心で不誠実な会社であることが裁判を通して明らかにされた。このまま田村バイオマスが稼働を続けるならば、周辺環境の悪化は避けられない。住民の監視が絶対に必要であることなどである。

 

「まけないことは諦めないこと」。誰が書いたのか、辺野古のテントに書かれていたスローガンを噛み締めよう。

 

※控訴審判決はこちらからダウンロード できます。

 

田村バイオマス訴訟支援の会・ちくりん舎

青木一政

 

2023/01/31

2月14日:田村バイオマス訴訟高裁判決-傍聴と報告会にご参加ください

福島県田村市大越町に建設された田村バイオマス(以下田村BE)は県内の放射能汚染木を燃料として使うことを公言しているバイオマス発電所です。地元大越町の住民は「大越町の環境を守る会」を結成、田村市が田村BEに支出した補助金14億6千万円の支出を不当としてその返還を求める裁判です。

2月14日(火)いよいよ判決を迎えます。

2023214日(火)仙台高裁 1320

●記者会見と報告集会
記者会見 14:30~

報告集会 15:00~
仙台戦災復興記念館 4 階第 4 会議室(仙台高裁より徒歩8分)仙台市青葉区大町2丁目12−1

チラシはこちらからダウンロードできます

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2022/12/25

報告:中間貯蔵施設と伊達市バイオマス発電施設見学ツアー(その2)

ツアー2日目午前は、福島県伊達市梁川町に建設中のバイオマス発電の現地視察を行い、午後から木質バイオマス発電についての学習会で講師としてお話しをしました。

梁川町バイオマス発電は群馬県の産廃業者の株式会社ログが進めている事業です。福島県伊達市梁川町の工業団地の一画にあり、すでに建設はすすんでいます。発電所は福島バイオパワーとなっています。

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現場は工業団地ですが、すぐ近くには民家があり住宅街が広がっています。この問題を察知して伊達市議会議員の勉強会でレクチャーをしたのが2020年10月です。

株式会社ログによる市幹部や市会議員への説明会では、建築廃材6割、廃プラ4割を燃料とするとの説明をしました。事情を知った梁川地域の住民は「梁川市民のくらしと命を守る会」を結成し、誘致反対の署名を9000筆集めて市議会に提出、市議会も昨年、全員一致で反対決議を上げました。

須田博行伊達市長は「建設については法令上、市が関与できないが、引き続き住民から要望があれば説明を求めていきたい」として事実上容認の立場です。

学習会には70人以上の住民が参加し熱のこもったものになりました。

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「バイオマス発電は」隠れ蓑、実際は産廃処分のためのごみ焼却炉

今回の学習会の事前準備の中で疑問だったのは「木質バイオマス発電」としてFIT認定を受けた事業が、どうして「建築廃材6割、廃プラ4割」などと堂々と説明できるのか、という疑問でした。そして分かったことは「バイオマス発電」は隠れ蓑で、実際は産廃焼却炉であるようなものを「木質バイオマス発電」として住民をダマして受け入れさせるような仕組みになっている、ということです。

FIT(再生エネルギー固定価格買取制度)では木質バイオマス発電について「建築廃材、一般廃棄物」も燃料として対象に含めています。ここでいう一般廃棄物とはどのようなものでしょうか。経産省によるFITの説明では、一般廃棄物として「剪定枝・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、黒液」を例示して説明しています。廃プラなどの産廃ごみは明示されていません。

ところが、環境省が発行している「廃棄物処理施設における固定価格買取制度(FIT)ガイドブック」という資料があります。この資料のQ2-8「バイオマス発電おける一般廃棄物発電設備においては、バイオマス比率を毎月1回算定することとあるが、具体的には何をどうやって測定すれば良いか?」という設問に対して、「廃棄物中の紙類、厨芥類、草木類(木、竹、わら類)、布類、プラスチック類(ビニール、合成樹脂、ゴム、皮革類)」の熱量ベースでのバイオマス比率を算定して、報告することと、説明しています。

さすがに、FIT制度ではプラスチック、合成樹脂等はバイオマスの算定には入っていないようですが、業者からの「月1回の報告」だけですので実際のところ現場でいいかげんな数字を出してもチェックしようがありません。

それよりも何よりも、こうしたQ&Aがあること自体が意図的に、実態は発電目的ではなく産廃業者の焼却炉であるにもかかわらず「木質バイオマス発電」としてFIT認定して、住民の反対をごまかすような枠組みになっていることが明らかになりました。

地元の住民はこんな設備を許してはいけない、ということで、産廃問題に詳しい坂本博之弁護士とオンラインでつなぎ、今後の進め方について協議をしました。

※当日の青木のプレゼン資料はこちらからDLできます。

※当日の「市民のくらしと命を守る会」資料はこちらからDLできます

 

 

 

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