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2024/05/17

<原発の避難問題・災害派遣>千葉県柏市との質疑の報告

みなさまへ(転載歓迎)

 

阪上です。福島第一原発事故によりホットスポットとなった千葉県東葛地域で活動する「エナガの会」の一員として、先日5月14日に千葉県柏市の職員と質疑を交わす場に参加しましたのでご報告します。

 

 

◆能登半島地震の災害派遣と原発事故について

 

事前質問の中に、能登半島地震での柏市からの災害派遣の状況と、原発事故との複合災害で放射能が出た場合の派遣判断について聞くものがありました。

 

柏市からは50名の事務職員や保健師が千葉県からの要請で派遣されたとのことです。

派遣は以下にある総務省の「応急対策職員派遣制度に関する要綱」に従うとのことでした。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000734707.pdf

 

しかし原発事故との複合災害については、要綱に記載はなく、被ばく基準や被ばく管理をどうするかなどは不明。実際のところどうするのか?と聞くと、ん~。派遣は同意した職員だけなので…といった回答でした。

災害派遣も放射能も人命に関わる問題です。道路を開通させるために民間人も動員されることになります。自然災害対応が優先だから原子力対応は何も変えなくてよいと簡単に言い放つ原子力規制委員会が腹立たしく感じました。

 

 

◆東海第二原発のの事故による避難所のスペース問題

 

柏市を含む東葛地域は、東海第二原発で事故が発生した際に水戸市からの避難先になっています。

 

避難所のスペースについて、茨城県は1人あたり2平米で確保していましたが、私たちは、国際基準は3.5平米であること、コロナ禍で柏市は自市の災害時には1人4平米に広げようとしており隣接する松戸市は原発の避難に際しても4平米にすべきだとしていること、などから、少なくとも4平米にすべきだと要請してきました。

 

その後、茨城県は昨年、2平米を3平米にすると決めた経緯があります。2が3になったのは1歩前進ですが、3平米は通路も含んでおり、居住スペースは2平米なのでそれでもまだ不十分だと考えています。

 

柏市に現状を聞きました。昨年のうちに、茨城県から2平米を3平米することにしたとの通知があったとのこと。避難人数が3分の2になるので、避難所を増やすか、他の自治体で避難先を確保するのかしなければなりませんが、そのあたり具体的なことは県からも水戸市からも話は来ていないとのことでした。

 

 

◆茨城県による東海第二原発での事故による被ばくシミュレーション

 

避難計画の検証のためにとして茨城県が行った東海第二原発の被ばくシミュレーションについて、柏市としてどのように受け止めているのかを聞きました。精査しているとしか回答はありませんでした。

 

シミュレーションは想定する事故の規模で結果が大きく変わります。以前茨城県と交渉した際に、茨城県は、重大事故を想定する、例えば福島第一原発の事故と言っていました。ところが今回の想定は、100分の1規模の100テラベクレルに過ぎません。避難が必要な人数は、96万人から17万人に減りました。水戸市長はこれに従う事なく、全市避難の前提は変えないとしています。

 

想定は規制委の経緯に沿ったものだと思われます。規制委は当初は、福島第一原発の事故を想定したシミュレーションを行い、UPZを30キロとしたのですが、その後、指針を具体化する過程で、想定を100テラベクレルと小さくしました。しかしそれでも、5キロ圏では、屋内退避やヨウ素剤摂取によっても、確定的影響が問題になる100ミリシーベルトを超える被ばくが想定され、だからPAZは事前避難となって、能登半島地震は、複合災害では事前避難などとてもできないことが明らかになったという関係かと思います。

 

柏市(東海第二原発から80キロ)に対しは、他人事ではない、福島第一原発事故レベルの事故により、自市が影響を受ける場合を想定して、市民をいかにして守るか、東海第二原発を再稼働させてしまってよいのか、一緒に考えて欲しいと訴えました。

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

 

2024/03/14

能登半島地震を踏まえた地域防災計画・避難計画に基づく「緊急時対応」についての国会答弁

みなさまへ

 

能登半島地震を踏まえた避難の問題について、規制委は今回の地震を踏まえた原子力災害対策指針の見直しは不要との姿勢ですが、地域防災計画・避難計画に基づいて策定される「緊急時対応」については、3月7日の参議院予算委員会で、「能登半島地震の教訓を踏まえて取り組む」「しっかりとした緊急時対応がない中で、原子力発電所の再稼働が実態として進むことはない」との政府の答弁がありました。質問したのは立憲の岸真紀子議員です。

 

岸真紀子議員 今ある原発立地自治体における避難について考える必要がありますが、残念ながら逃げることはできないし、ヨウ素剤など自治体が、発災直後には物資が届けられなかったように、被災者に届けるのは難しいと思います。東海第二原発では30キロ圏内に90万人を超える人がいる実態があって、そんな人数の避難計画など無理だと考えるのですね。今回の能登半島地震を踏まえれば、そもそも昨年、岸田政権は、原子力回帰ともとれる政策転換を打出しましたが、やっぱりこれ無理なのではないかと考えるのです。そのへん斎藤経産大臣に、能登半島地震を踏まえてもまだ突き進むつもりなのかどうかをお伺いします。

 

斎藤経産大臣 まず能登半島地震の後ですね、原子力規制委員会において、志賀原発については、原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原発についても、安全確保に影響がある問題は生じていないとのまず見解が示されています。そのうえで、地域の避難計画、それを含む緊急時対応につきましては、内閣府の原子力防災担当を中心に、地域原子力防災協議会を設置をして、その策定に取り組んでいるところであります。今後も、地域原子力防災協議会の枠組みのもとで、今般の地震で得られた教訓をしっかりと踏まえながらですね、緊急時対応のとりまとめ、あるいは不断の改善と充実を図りながら、原子力災害対応の実効性の向上に取り組んでいくということになります。いずれにしても、しっかりとした緊急時対応がない中で、原子力発電所の再稼働が実態として進むことはないと考えています。…(略)…

 

緊急時対応は、立地自治体と内閣府原子力防災担当による地域防災協議会の作業部会において、原発再稼働前に策定され、岸田首相が議長、山中委員長が副議長の原子力防災会議で承認される手はずになっています。

 

各地の状況は以下にあります。

https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/kyougikai/kyougikai.html

 

例えば、既に策定されている女川地域の緊急時対応をみると

 

自然災害等により道路等が通行不能になった場合の復旧策

□避難開始前の段階において、避難計画で避難経路として定められている道路等が自然災害等により使用できない場合、宮城県、女川町及び石巻市は、代替経路を設定するとともに、道路等の管理者は復旧作業を実施。

□直轄国道については、国土交通省東北地方整備局が早急に被害状況を把握し、迅速かつ的確な道路啓開、仮設等の応急復旧を行い、早期の道路交通の確保等に努める。

□災害発生時には、各管理道路のパトロールを実施し、被害の状況等を把握。

□道路の被害状況を踏まえ、国、県がそれぞれ建設業協会等と締結している協定等をもとに、応急復旧を実施。

 

PAZ内における状況に応じた対応

□自然災害等により予定していた経路による避難が実施できない場合は、迂回する陸路による避難や海路等といった避難を実施。なお、東北電力においても、ヘリコプターを確保し空路避難を支援。

□いずれの避難もできない場合には、屋内退避を実施し、避難態勢が整い次第避難を実施。

 

などとなっています。今回の地震ではこうした対応が現実には困難であることが明らかになったのだと思います。柏崎刈羽地域は案が出ている状況、東海地域は案も出ていない状況です。

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2024/02/07

能登半島地震と原子力防災 省庁の回答の整理

みなさまへ 阪上です。長文ご容赦ください

 

原発を止めよとの要請書に全国から賛同いただきありがとうございました。また1月31日の要請行動にご参加いただきありがとうございました。31日は、能登半島地震を踏まえて原子力防災について、規制庁及び内閣府と交渉を行い、いくつか驚くべき回答がありました。その一つが「能登半島地震を踏まえて原災指針を見直しはしない」という規制庁の回答なのですが、この件で、今日の東京新聞のこちら特報部が報じていました。この件を含めて以下の3件について、指針や規制委の議事録なども確認して整理してみました。 

 

1.規制庁「能登半島地震を踏まえて原災指針を見直しはしない」

2.規制庁「避難するとき被ばくの可能性はある」「被ばくゼロは安全神話」

3.内閣府「複合災害を想定して緊急時対応を取りまとめている」

 

前提として

 

原子力規制委員会が原子力災害対策指針(指針)を策定、指針に基づいて地方自治体が避難計画を策定、内閣府原子力防災担当がこれを支援しながら地域ごとに「緊急時対応」という文書をつくり、これを首相が議長の原子力防災会議で承認することになっている。

 

現行の指針は、PAZ(5km圏)は放射能放出前に避難、UPZ(5~30km圏)は屋内退避が原則。UPZでもモニタリングの数値が毎時20μSvを超えると一時移転、毎時500μSvを超えると即時避難となる。安定ヨウ素剤はPAZでは事前配布だがUPZについては避難途中か避難先で受け取ることになっている。

 

北野さんの話などから、能登半島地震による避難は困難を極めた。陸路がふさがれ、港が干上がり海路が使えず、ヘリが下りる場所がなく空路も使えなかった。孤立集落の住人は4市町で最大3,345人を数え、志賀原発の30キロ圏に限っても約400人が8日間孤立状態となった。珠洲市では指定避難所16施設のうち11施設で定員を超え、4施設では2倍近い人が押し寄せた。ビニールハウスや車中泊の人もいたが、自主避難所には支援物資が届かなかった。感染症が広がったが医療が受けられず、避難所で亡くなる方も。

 

原発事故が重なっていたら。避難ができない、屋内退避もままならない、安定ヨウ素剤も受け取れない、モニタリングポストが壊れて放射能の把握すらできない。現行の指針では複合災害に対応できない。

今回の地震は、指針が絵にかいた餅であり、指針に基づく避難計画が機能しないことをみせつけた。原発を止めるしかない。

 

1.規制庁「能登半島地震を踏まえて原災指針を見直しはしない」

 

規制庁の回答は以下の流れでした

(1)複合災害では自然災害への対応を優先するのが基本という考え方がある

(2)能登半島地震から自然災害への備えが重要である

(3)原子力災害対策指針の放射線防護の基本的な考え方は変える必要はないというのが委員の共通認識だった

(4)原子力規制庁としても原子力災害対策指針の見直しはしない

(5)屋内退避について意見があったので能登半島地震とは別に検討を行う

 

疑問1 原子力災害対策指針の放射線防護の基本的な考え方に「自然災害への対応を優先する」との記載はあるのか?→そのような記載は見当たらない???

 

原子力災害対策指針

(4)放射線被ばくの防護措置の基本的考え方

原子力災害が発生した場合には、前記(3)で述べた原子力災害の特殊性を踏まえた上で、住民等に対する放射線被ばくの防護措置を講ずることが最も重要である。基本的考え方としては、国際放射線防護委員会等の勧告、特にPublication109、111やIAEAのGSR

Part7等の原則にのっとり、住民等の被ばく線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被ばくを直接の要因としない健康等への影響も抑えることが必要である。

https://www.nra.go.jp/data/000459614.pdf

 

疑問2 1月17日の規制委において、原子力災害対策指針の放射線防護の基本的な考え方は変える必要はないとの共通認識は本当に示されたのか?

 

〇山中委員長(問題提起) 能登半島の地震の状況下での屋内退避の問題、あるいは先日の女川原子力発電所の地元の自治体の方々から御意見等がございました屋内退避の期間等について、原子力規制委員会として検討すべきところがあるのではないかと私自身も考えておりますので、是非とも本日は少し皆様と議論をさせていただいて、スタートしてみたい

 

※能登半島の地震の状況下での屋内退避の問題と女川原発の地元自治体から出た屋内退避の期間等について検討すべきか?という問題の立て方

 

○杉山委員 先週の土曜日、私も山中委員長と共に女川の地元の自治体の方々との意見交換会に出席させていただきまして、その際に、今回の能登半島地震を踏まえて、屋内退避というものがそもそも成立するのかということ、それと孤立地域に対してどうやって対応するかというようなことの問題を提起されました。

 

※女川原発の地元自治体から出た意見もは、能登半島地震を踏まえて屋内退避は成立するのか?というものだった。

 

○杉山委員 まずは自然災害に対する備えがある程度ないと、これを個人住宅に求めることは無理だとしても、地域の避難所のようなものが耐震性を備えたものがまずあってほしい

その上で、屋内退避という手段も、これも何度も言われていることではありますけれども、いつまでもその状態を続けられるものではないということで、何らかの判断の下で解除する

 

※まずは自然災害。地域の避難所に耐震性をもたせないといけない。放射線防護は??屋内退避はいつ解除するかだけが問題。山中委員長のまとめに即した意見。

 

○伴委員 家屋が倒壊してしまって、そういう人たちを収容する場所がないとしたら、そのこと自体がまず問題なので、そこをそれぞれの地域の実情に応じて手当てしていただく。その上で、プラスアルファとして必要に応じてそういった施設に放射線防護対策を施していくというのが、これまでもそういう考え方だったと思いますし、そこは変更はない

 一方で、屋内退避という防護手段を最も有効な形で使うために今の指針で十分なのかというと、そこはやはり議論の余地がある…屋内退避をお願いするタイミング、どの範囲に対してそれをお願いするのかというのは、どうするのが一番いいのかというのは改めて議論する必要があるのかなと。

 プラントの状態を見て、今この範囲に対して屋内退避を要請すべきではないかということになってくるとすると、この議論はEAL(緊急時活動レベル)にも跳ねてくる可能性があるのです。だから、そう簡単に、それこそ数か月で結論を出すということにはならないかもしれない

 

※家屋倒壊に対する手当が優先、そのうえで必要に応じて施設の放射線防護対策という考え方でよい、一方で屋内退避について今の指針で十分かというとそうではない。これも山中氏のまとめに近いが、屋内退避の検討はそう簡単ではないとも。

 

〇田中委員 複合災害のときにどう考えればいいのかというのは大きな問題でもあるし、逆に言うと、複合災害のときにどこにどう避難するかということとも関連して、国全体として考えていかなければいけないのかなと思います。

 

〇石渡委員 今回の能登の被害を見ていると、とにかく自然災害が起きた場合の避難ということがまず大前提になっていて、その上で原子力災害が発生した場合にということを考えるべきなのだと思うのです。そういう意味で、今までの原災指針(原子力災害対策指針)は、そういう方面の考えが少し足りなかったのではないかなという感じはいたします。

 

※自然災害の避難が前提でよいが、そういう意味で、原災指針は考えが足りない。

 

〇山中委員長(まとめ) 皆さんの御意見を伺いますと、私もそのように考えるのですけれども、今回の能登半島の地域の状況から、原子力災害と自然災害の複合災害があった場合の屋内退避の防護の基本的な考え方に、特にこれまでと何か大きく変更する必要がないという皆さんの御認識だったと理解をしておりますし、私も同じように考えております。

 

ただ、今回の地震とは直接関係しませんけれども、伴委員からも御意見いただきましたし、杉山委員からも御意見いただきましたけれども、一律に屋内退避が開始されること、あるいは屋内退避をいつまで続ける必要があるのかということについては、これから屋内退避のタイミングあるいは期間に対する考え方など、再検討をした方がいいというところもあるかと委員の方の御意見を聞いていると思いました。

 

○片山長官 

長官の片山でございます。承知をいたしました。論点はいろいろあろうかと思いますので、少し整理にお時間を頂いて、事務方で整理した上で原子力規制委員会にお諮りして、御議論を頂ければと思っております。

 

※「複合災害があった場合の屋内退避の防護の基本的な考え方は大きく変更する必要がないという皆さんの御認識」と強引なまとめ。屋体退避は今回の地震とは直接関係しないものとしてタイミングや期間だけ再検討。「能登半島地震を踏まえた指針の見直しはしない」とはっきりとは言っていないが、記者会見の場で、聞かれてはじめてそのように答えている。GXの運転期間延長と同様、だまし討ちのやり方。どうしても能登半島地震を踏まえたくない、踏まえて見直したら原発を止めざるをえなくなるからであろう。

 

疑問3 なぜ「原子力災害対策指針の放射線防護の基本的な考え方」だけを問題にするのか?指針そのものについての委員の認識を問題にしないのか?→指針そのものについて議論をはじめると、指針の不備が明確になり、能登半島地震を踏まえた見直しが必至の流れになってしまう。それを避けたかったのではないか。

 

2.規制庁「避難するとき被ばくの可能性はある」「被ばくゼロは安全神話」

 

自然災害を優先すれば放射線防護はどうなるのか。交渉の場で「放射線防護を放棄するつもりか」と追及を受けた規制庁は、「原発事故で被ばくは避けられない」「被ばくゼロは安全神話でありそのような考え方はしない」と開き直った。

 

芦原さんからの指摘…現状の指針は、原発事故だけでも被ばくは避けられない。UPZは屋内退避であり、毎時500μSvという非常に高い線量で即時避難となるが、いずれも被ばくが強いられる。

 

島田さんからの指摘…PAZは放射能放出前の「事前避難」とされているが、全面緊急事態の判断基準には「毎時5μSv以上の放射線が10分間継続」して観察される条件も入っており、避難時にはやはり被ばくが強いられる可能性がある。

 

大石さんからの指摘…複合災害時には、特にPAZにおいて事前避難ができない場合、急性障害が問題になる高いレベルの被ばくが強いられる恐れがある。想定される被ばく線量を公表すべき

 

※規制委の開き直りを許してはならない。言質をとって、規制委の姿勢を各地で問題に。

 

3.内閣府「複合災害を想定して緊急時対応を取りまとめている」

 

内閣府は、地域ごとに作成する「緊急時対応」において、既に複合災害に対応していると回答。しかしその内容は、近くの指定避難所に避難、それが困難な場合は広域避難、複数の避難経路を確保、道路啓開(けいかい)に着手しつつ海路避難や空路避難を行う、必要に応じて屋内退避、といったもので、いずれも今回の地震で実際にはできないことがわかったことばかり。

 

中垣さんからの指摘、PAZの線量が高い地域が被災したり孤立集落となったりした場合、救援活動をどうするのかという問題もある。

 

内閣府の「自然災害及び原子力災害の複合災害にかかる対応について」という文書

https://www8.cao.go.jp/genshiryoku_bousai/keikaku/pdf/03_fukugousaigai.pdf

には、自然災害への対応を先行するとあり、PAZにも消防などの「実働組織」を送る手はずになっている。福島第一原発事故のとき、原発周辺で避難指示が出たのは地震から約15時間後だった。そのような時間で救援、道路啓開、避難まで完了することはとうていできない。請戸の浜の悲劇が繰り返されることになる。

 

交渉の場で内閣府は、地震の教訓を志賀地域の今後の緊急時対応の策定に反映させるつもりであることを強調。志賀地域に矮小化したい。しかしこれは全国で問題になること。内閣府は既にある緊急時対応についても検証し直さなければならない。

 

2024/02/01

<要請行動報告>能登半島地震により原子力防災の欠陥が露呈 原発を動かすべきではないと要請行動

私からも報告させていただきます。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

 

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みなさまへ(拡散希望)

 

能登半島地震により原子力防災の欠陥が露呈

原発を動かすべきではないと要請行動

https://kiseikanshi.main.jp/2024/02/01/1222233/

 

原子力規制庁から驚きの回答

規制庁「自然災害のあとに原子力災害に対応すればよい」「指針の見直しはしない」

市民側「放射線防護の放棄ではないか」「被ばくを我慢しろということか」

規制庁「被ばくの可能性はある」「被ばくゼロの考え方を持っていない」

 

1月31日、能登半島地震により原子力防災の欠陥が露呈したためこれ以上原発を動かすべきではない、という趣旨の要請書を提出しました。呼びかけは国際環境NGO

FoE

Japanと原子力規制を監視する市民の会。全国から163団体、1373名の賛同がありました。参議院議員会館の会場には、市民やメディアら約30名、全国からオンラインでの参加者を含めて100名以上が集まりました。

 

要請書

https://kiseikanshi.main.jp/2024/01/20/20440/

 

東京新聞:実効性を欠いた原子力災害対策指針…市民団体が原発停止を要請 規制委の山中 委員長は「指針見直し必要ない」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/306518

朝日新聞:「避難計画は非現実的」 原発の停止求め、市民団体が首相らに要請 [能登半島 地震]

https://digital.asahi.com/articles/ASS106DNCS10ULBH00H.html

 

会場には島根から芦原さん、石川から中垣さんが駆け付けました。オンラインで、石川の北野さん、宮城の日野さん、新潟の武本さん、福井の石地さん、大阪の島田さん、茨城の大石さん、佐賀の石丸さんに発言いただきました。鹿児島の鳥原さんからメッセージをいただきました。

 

また、会場には立憲民主党の逢坂誠二議員、鎌田さゆり議員、社民党の大椿ゆう子議員、共産党の岩淵友議員が駆付けました。設定をお願いした社民党の福島みずほ議員は北陸電力への申入れで富山でした。

 

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署名提出先は原子力防災会議の議長でもある岸田首相と原子力規制委員会の山中首相でした。要請書の受取りに来た原子力規制庁と内閣府原子力防災担当と事前質問書に従って1時間ほど意見交換を行いました。

 

冒頭で珠洲市在住の北野進さんから、「珠洲市には原発計画があった、原発事故があれば全国から応援に誰も来ることはできなかった、孤立して放射能汚染にさらされる、道路はズタズタ、海や空からの避難もできず、悲惨な原発震災となったであろう、避難訓練は住民を欺くものだった、被害の実態と向き合って欲しい」との訴えがありました。

 

能登半島地震において原子力災害対策指針の欠陥が明らかになったが原子力規制庁としての受け止めを聞きたい、との事前質問について規制庁から、「規制委において、自然災害と原子力災害との複合災害に際しては、人命最優先の観点から、まず自然災害に対する安全が確保されたあとに原子力災害に対応することが重要であるという考え方が示された」「能登半島地震を踏まえて原子力災害対策指針を見直すことは考えていない」との驚きの回答がありました。

 

市民側から「被ばく防護は放棄するのか」との質問が飛ぶと、規制庁は否定せず、「被ばくの可能性はある」「被ばくをゼロにするという考え方を我々は持っていない」と、被ばくを前提とした開き直りの回答がありました。北野さんは、「避難が非現実的であることが明らかになった中で、被ばくをしろと言うのか!?」と怒りをあらわにしました。島根から参加された芦原さんは、「現状でも、UPZ(30キロ圏)は被ばくを前提とした計画となっている、これは無用の被ばくであり人権侵害だ、複合災害になればもっとひどい被ばくが強いられることになる」と述べました。

 

規制委が原子力災害対策指針における放射性防護の考え方を変える必要はないとしている点も問題になりました。規制庁は、規制委で決まった屋内退避の解除についての検討は、能登半島地震への対応ではないといいます。1月17日の規制委の会合でそのようになったとのことですが、このとき、規制委の山中委員長以外の委員らは、能登半島地震を踏まえた見直しについて言及していました。

 

避難ができない、屋内退避もできない状況があるのに、なぜ変える必要はないのか。内閣府の原子力防災担当は、屋内退避ができなければ、近くの自然災害用の避難所に避難して、そこで防護措置をとっていただく、複数の避難経路を設定するとか、道路が使えなければ海や空からの避難を行うといった複合災害に対応する措置を検討していると回答しました。

 

しかし現実には、孤立して避難所もない、避難所が満杯でビニールハウスに避難したなどの事例もあります。PAZ(5キロ圏)については、放射能放出前の避難ができなければ、場合によっては急性障がいが生じるレベルの被ばくが強いられるおそれもあります。

 

さらに、孤立した集落に対して逆に生活物資を送らなければならない場合に、放射能が高い状況で支援ができるのか、そのようなことが放射線防護の考え方のどこに書いてあるのかといった指摘もありました。石川から駆け付けた中垣さんは、「自然災害を優先すれば、自治体の職員に多大な被ばくを強要することになる、他県の救急車を多数みたが、放射能で行けないときはどうするのか」と指摘。複数の避難経路や海や空からの避難についても、それができないことが現実によって示されたというのが北野さんからの指摘でした。

2024/01/20

<オンライン企画のご案内>能登半島地震から考える原発と避難

みなさまへ(拡散希望)

 

<オンライン企画>能登半島地震から考える原発と避難

https://kiseikanshi.main.jp/2024/01/18/223344555/

 

今年元日に能登半島を震源とする最大震度7の地震が発生しました。周辺地域は甚大な被害にみまわれ、多くの方々が亡くなりました。今も命をつなぐための懸命の取り組みが続いています。

 

一方で、停止中の北陸電力志賀原発も強い揺れと3メートルの津波に襲われました。変圧器から約2万リットルの油が漏れ、外部電源の一部から受電ができなくなるなどのトラブルに見舞われました。地震により多くの家屋が倒壊し、広い範囲で道路が寸断されました。孤立した集落もあります。また、モニタリングポストが一部測定不能になりました。各地の自治体が策定する避難計画の前提となる原子力災害対策指針の非現実性がつきつけられた形となりました。

 

珠洲市では、1975年ごろから原発建設計画が持ち上がり、さかんな誘致活動が行われましたが、多くの人々による反対運動が盛り上がり、紆余曲折の結果、2003年建設計画は凍結されたという歴史があります。

 

今回の企画では、能登半島地震によって改めて問われる、原発の安全性と避難の問題について考えていきます。

 

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第1回 被災地で見た地震被害の実態は?

能登半島を取材された福島在住のジャーナリストの藍原寛子さんにお話しを伺います。

日時:2024年1月23日(火)18:00-19:30

申込み

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZwuc--rqzgvE9ZTL8WJy0qZRWD9IrSEN1-W#/registration

ゲスト:藍原寛子さん/ジャーナリスト

主催:国際環境NGO FoE Japan

 

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第2回 能登半島地震で問われたことは?

珠洲原発の建設反対運動にかかわり、志賀原発についても問題提起を続けてこられた、珠洲市にお住まいの北野進さんにお話しを伺います。また、金沢市に在住で、「北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会」の中垣たか子さんにコメントをいただきます。

日時:2024年1月30日(火)14:00-15:30

ゲスト:北野進さん/珠洲市在住、志賀原発を廃炉に!訴訟原告団長

コメント:中垣たか子さん/金沢市在住、北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会

申込み

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMrcO6vrjooG9zq2LcvTXHpfb5i257vLpBc

主催:国際環境NGO FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2023/09/19

高木基金22年度助成成果報告会で発表しました

9月17日「高木基金22年度助成成果報告会」において、「福島原発事故による放射能汚染地域に住む住民の尿検査による内部被ばく実態調査」というタイトルで報告させていただきました。

当日は、ネット環境の問題でオンライン視聴者には、一部音声が途切れるトラブルがあったようですが、基本的にプレゼン資料の読み上げなので、資料を読んでいただければ理解はできると思われます。

いずれ、高木基金のサイトでも、資料やZOOM録画が公開されると思われますが、こちらからも資料をダウンロードできるようにしましたので、ご関心のある方はDLしてご覧ください。

Photo_20230919091801

2023/01/29

<共同声明>東海第二原発 避難所の面積一人2平米では狭すぎる!<共同声明>東海第二原発 避難所の面積一人2平米では狭すぎる!

みなさまへ(拡散希望)


東海第二原発の避難所の面積について、一人2平米(畳1枚)では狭すぎるとして、私たちは茨城県に対して見直しを求めて交渉を重ねてきました。2021年10月の県議会で大井川知事が見直しを約束するところまでこぎつけました。


茨城県は昨年、県の原子力防災指針の改訂に着手し、県民からの意見募集を行い、2023年1月25日に改訂しました。避難所の面積について「一人あたり3平米以上」との文言が入ることになりました。「3平米以上」となったので拡大したように見えるのですが、「3平米以上」には通路も含まれており、専有面積でみると2平米も許容されるのです。非常にずるいやり方だと思います。意見募集では、通路等を除いた面積について一人4平米以上とすべきだとの意見を出したのですが、反映されませんでした。避難所の問題を検討するために県が設置した委員会でも同様の意見が出たようですが、これも無視されたことになります。


交渉を行ってきた団体の連名で共同声明を発出しました。東海第二原発はシミュレーションの公表問題もあるので、機会をみてまた交渉の場を持ちたいと思います。共同声明には資料も添付しました。東海第二原発の再稼働問題に関わるみなさん、また、全国で原発の避難問題に取り組むみなさんとも共有させていただきたいと思います。拡散のほどお願いいたします。


阪上 武


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共同声明 東海第二原発事故時の避難所の専有面積一人2平米では狭すぎる


原子力防災を考える会@茨城(茨城県)
エナガの会(千葉県東葛地域)
原発止めよう!東葛の会(千葉県東葛地域)
国際環境NGO FoE Japan(東京都)
原子力規制を監視する市民の会(東京都)


 茨城県は1月25日に県の地域防災計画(原子力災害対策計画編)の改定版を公表し、東海第二原発事故時の避難所の面積を避難者一人当たり「3平方メートル以上」にすると明記した。避難所の面積については、一人当たり2平方メートルを前提に策定された広域避難計画に対し、感染症予防や居住環境、プライバシー確保の観点から狭すぎるとの指摘が、議会や私たち市民団体を含めて各所でなされ、2021年10月の県議会において大井川知事が見直しを約束していた。
 改訂は「3平方メートル以上」となり、拡大したようにみえる。しかし茨城県が先行して2021年に改訂した「避難所運営マニュアル作成指針」によると、「3平方メートル以上」には通路も含まれている。避難者の専有面積(通路等を除いた居住面積)では、相変わらず一人当たり2平方メートルであり何ら改善されていないのである(資料1)。今回の改訂は以下の点で問題がある。


・ 避難者の専有面積一人当たり2平方メートルが許容されるが、これでは十分な感染症予防を図ることができない。国の基準をも下回っている(資料3)。
・ 水戸市の避難者の受入れ先である千葉県松戸市は、避難者の受入れ人数の算出にあたり、一人当たり4平方メートルを前提としている。避難先により一人当たり2平方メートルであったり4平方メートルであったりと「避難所格差」が生じてしまうことになる。
・ 福井県が作成した「原子力災害における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」【避難所レイアウト例】においても、一人当たり4平方メートルを前提としている(資料2)。
・ 被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準であるスフィア基準では、ブライバシーを確保するためにも避難所内では「1人あたり最低3.5m2の居住スペース」を確保するよう求めている。この場合「居住スペース」は通路等を除いた面積と解すべきである(資料4)。
・ 県は今回の改訂に際し意見募集を行った。県民から居住面積2平方メートルでは狭すぎるとの意見が出され、県が設けた委員会でも改善を求める声が出たがこれを反映しなかった。


 すべての避難者が等しく十分な感染症予防を図り、最低限の居住環境を確保できるよう、地域防災計画は、「1人当たり3m2以上とする」ではなく、少なくとも「1人当たりの専有面積(通路等を除いた居住面積)を4m2以上とする」とし、指針についてもそれを前提に見直しを図るべきである。
 また、こうした状況では、東海第二原発において重大事故が発生した場合の避難計画の実効性はないといえ、言うまでもなく東海第二原発の再稼働は許されない。


2023年1月28日


連絡先 162-0822東京都新宿区下宮比町3-12-302
原子力規制を監視する市民の会
(阪上090-8116-7155)

2021/12/22

<報告>原発の避難計画の実効性を問う院内集会&政府交渉

すみません。資料・映像記録のあるリンクが間違っていました。
こちらでお願いします。

みなさまへ(拡散希望)

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原発の避難計画の実効性を問う院内集会&政府交渉報告
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http://kiseikanshi.main.jp/2021/12/21/12223344/
↑資料・映像記録もこちらから

12月20日(月)に行われた原発の避難計画の実効性を問う院内集会&政府交渉に
ついてご報告します。オンラインで80名、会場に30名の参加がありました。会場
には交渉の設定をお願いした福島みずほ議員と新潟県選出の米山隆一議員が駆け
付けてくださいました。

原発の避難問題について、全国各地の取組みが紹介され、交流が進みました。交
渉では「避難計画はできている」と言いながら、問題を指摘すると「事故が起こ
ってから対応する」との回答を連発。原発の避難計画の実効性がないことを改め
て確認する機会となりました。

<院内集会>13:00~15:15

●茨城・千葉から

・エナガの会のメンバーで千葉県松戸市議の岡本さんから、水戸市からの受入れ
先自治体として、感染症対策の配慮から避難所のひとり当たりのスペースを拡大
し、収容人数が半減し、茨城県が計画見直しを迫られることになった経緯が報告
されました。松戸市、水戸市、茨城県の議員さんの見事な連携でした。

・原子力防災を考える会@茨城で水戸の美澤さんから、エナガの会と連携して行
った避難所の拡充を進めることを求める申入れ行動について報告がありました。
茨城県・水戸市とも協議を進めることを約束しました。

・東海第2原発運転差止め訴訟団長の大石さんから、水戸地裁判決の意義と控訴
審での課題について報告がありました。避難スペースの拡充の問題と共に、病院
や介護施設の避難時の救急車や福祉車両の不足など、要配慮者の避難の困難につ
いて解説がありました。

●福井・関西から

・避難計画を案ずる関西連絡会の井野さんから、滋賀県長浜市で避難先がどこに
なるのか住民に告げられておらず、住民が不安に感じていることが個別訪問から
明らかになったと報告がありました。

・同連絡会の増田さんから、避難訓練から明らかになった問題として、ふき取り
除染では十分に除染ができない問題、安定ヨウ素剤の配布時に問診などが行われ
ていない問題、事故時に災害対策本部となる市役所がUPZ内にあり避難先も決ま
っていない問題などについて報告がありました。

・災害対策本部がUPZ内にある件については、滋賀県高島市の住民の中平さんか
らも報告がありました。原発立地自治体の住民の方からも報告がありました。

●佐賀から

・玄海原発プルサーマルと全基を止める裁判の会の石丸さんから、避難先が決ま
っていない自治体がある問題、幼稚園や保育園の避難計画が明確に定められてい
ない問題、安定ヨウ素剤の事前配布が進んでいない問題などが報告されました。

●女川(石巻)から

・女川原発を抱える石巻から、女川原発再稼働差止訴訟団の団長の原さんと事務
局長の日野さんが参加されました。日野さんから、避難計画に絞り自治体を訴え
た裁判は実質審議なしで終わってしまったことから、東北電を相手に裁判を起こ
した経緯と、この間のやり取りについて報告がありました。避難計画に実効性が
ないことを具体的に立証していきたいとのことでした。

●新潟から

・新潟県津南町の町議でさよなら柏崎刈羽原発プロジェクトの小木曽さんから、
新潟県の検証委員会で避難問題も扱っているが、強引に終わらせようとしている
こと、市民側の取り組みとして、風船を飛ばす企画、検証委員会の傍聴と、傍聴
を続ける人たちで避難問題の勉強会を開催していることなどが報告されました。

●島根(鳥取)から

・島根原発を抱える鳥取から、原子力防災を考える県民の会の山中さんの報告が
ありました。特にPAZ内の重症者など避難が困難な方の対応について、医療・介
護スタッフのリスクや屋内退避がいつまで可能なのか、避難が必要になったとき
にどうするのかという問題提起がありました。

●屋内退避の内部被ばくリスクについて

・最後に主催者の原子力規制を監視する市民の会の阪上さんから、政府交渉のポ
イントについて解説がありました。

・屋内退避の内部被ばくリスクについては、最近規制委で木造家屋の被ばくリス
クについての委託研究報告が行われ、屋内退避により四分の一に低減されるとの
従来の見解と同様の結果がえられたとしているが、報告をよく読むと、比較的古
い木造家屋の場合は半分も低減せず、そうした家屋が3割以上存在するとある、
よって従来の見解を見直すべきであるとの報告がありました。

<政府交渉>15:30~17:20

内閣府原子力防災担当から3名、原子力規制庁から3名が参加し、事前質問に従
ってやりとりが行われました。

1.感染症対策による避難所の拡充について

・内閣府は、すでに緊急時対応ができている地域については「避難所は余裕をも
って確保しており、感染症対策を配慮した場合での避難所は足りている」との一
点張りでした。

・福井・関西から、自治体アンケートにより感染症対策を実施すれば避難所は足
りないとの回答があり、これを紹介すると内閣府は、具体的な避難先は「事故後
に調整すればよい」と。

・市民側は、混乱を防ぐためにも避難先は感染症対策を考慮した形で決めておく
べきだとし、見直しを求めました。また「避難所は足りている」との根拠につい
て資料を請求しました。

2.要配慮者の避難について

・救急車の代わりにストレッチャー用の福祉車両を使うことはしない、救急車や
福祉車両の不足については対処する、との回答がありました。

・在宅の要配慮者の支援について女川地区の緊急時対応で「支援できる体制を調
整中」とある件については、消防団や自治会などで対応すると回答がありました。
市民側から、民間にまかせるような方針でよいのか、いつ誰と調整して決めたの
かとの指摘があった。

3.避難訓練による問題

(1)車両の簡易除染について

・水なしと水ありでは「優位な差はない」「試験片で確認している」との回答が
ありました。研究結果については資料を請求しました。屋根の除染を行わないと
意味がないのではといった指摘がありました。

(2)~(4)安定ヨウ素剤の配布について

・避難訓練で「問診」がない件については、緊急時配布では問診しなければなら
ないということではないとの回答。事前配布について、内閣府は「取組みを推進
している」規制庁は事前配布の条件について指針の説明。

・運転手や検査所での行政要員については、事故後配布を受け、上司の指示によ
り服用すると回答。

・市民側は事故後では服用が間に合わない可能性が高いことから、事前配布を積
極的に進めるよう改めて要求しました。

(5)防災訓練での事故想定:

・「UPZの一部も汚染されたという想定」と言うくらいで、放射能放出量など
は回答がありませんでした。

(6)避難訓練時に職員が防護対策(タイベック等)をしていない点

・「放射線の低い地域でスクリーニング等をやるため必要なし」と回答。線量が
高い場合は検査所の場所をその時に変えるとのことでした。

4.避難所の公開・周知について

・避難所の候補を決めただけで紐づけしない場合もある、候補について公表して
いない自治体もあるが避難中継所は明記されているのでよい、と回答。避難所は
事故が起きてから役所に問合せて欲しいと。市民側から電話がつながる保証はな
く家族がバラバラになる可能性も高まる。避難先をきちんと決めるよう指導すべ
きとの指摘がありました。

5.避難時の渋滞や車中の耐久時間の検討について

・緊急時対応が定められている地域では、検査所での渋滞について問題ないこと
を確認していると回答。女川(石巻)から、根拠を示すよう要求がありました。

6.UPZ内にある役場・市役所が災害対策本部になっている問題:

・「役場が使用できない場合は移転先を決めておくことになっている」「自然災
害でもそうなっている」と回答。市民側から、また自然災害での避難先は市内の
別施設であったりして原子力災害には対応できないのではないかとの指摘。また、
実際には移転先が決まっていない事例が紹介された。

7.屋内退避での被ばく低減効果について:

・規制庁は、木造家屋への屋内退避により内部被ばくが「1/4以下に低減できる
というのは代表的な数字、条件によって異なる」としたうえで、「表現を変える
必要はない」と回答しました。これに対し、比較的古い木造家屋に住む在宅の避
難困難者を見捨てるものとの批判がありました。

追加質問 PAZの要援護者と支援者の防護対策施設での避難について:

・PAZ内の重症者などは放射能防護施設での屋内退避が基本。最大何日間そこで
屋内退避を続けるかは決めていない。ここでも「事故が起こってから状況をみて
判断する」との回答に終始しました。

最後に市民側から、避難先の特定など、事故が起こってから対応するとの回答が
多いが事前に定めるべき、また、緊急時対応の議論が行われる地域防災協議会作
業部会について議事録と資料を公開するよう求めて終わりました。

 

2021/09/17

<速報>東海第二原発避難一人2平米は狭すぎる問題 計画策定の見直しが必至な状況に

みなさまへ(拡散希望)
 
東海第二原発避難計画 一人2平米では狭すぎる
 
〇水戸市の県外避難先の松戸市は一人4平米で回答
〇2平米より広い回答した水戸市の県外避難先自治体は6つあった
〇水戸市「感染症対策は避難先の人数調整よりも優先すべき事項」
〇水戸市「感染症対策はコロナ禍の一過性のものではない」
〇水戸市「感染症対策についてヒアリングや視察を行う予定」
〇水戸市「原電の工事スケジュールには全く影響されない」
 
東海第二原発の広域避難計画では、現状では避難所のスペースがひとり2平米と
なっていますが、感染症対策が求められる中、あまりに狭すぎることが問題にな
っています。この問題で、避難受け入れ元の水戸市と受け入れ先の松戸市の2人
の市議さんの活躍により、計画策定の見直しが迫られる状況であることが明らか
になりました。
 
千葉県の松戸市は、水戸市の受け入れ先のひとつになっていますが、千葉県東葛
地域で活動するエナガの会とも一緒に活動されている立憲の岡本ゆうこ議員が議
会で質問したところ、9月1日の議会答弁において、避難者ひとり当たり2平米で
はなく4平米の基準で算定し直し、受け入れ人数も従前の約半分の人数とし、そ
の旨を茨城県と水戸市に回答していたことが明らかになりました。
 
これをうけて、水戸市議会立憲みとの萩谷慎一議員が9月14日に議会で質問した
ところ、市民協働部長からは、松戸市のようにひとり当たり2平米よりも広い基
準で算定した自治体は、調査した県外避難先の31の自治体のうち6つあった、感
染症対策は避難先の人数の調整に先立っておこなうべきものである、感染所対策
はコロナ禍の一過性のものではない、独自の基準で算定した自治体に対しては視
察やヒアリングなどの調査を行っていく、原電の再稼働に向けた工事スケジュー
ルとは全く無関係に進める、との答弁がありました。
 
感染症を考慮した避難計画については、県外避難先だけではなく、また水戸市の
避難先だけではなく、すべての避難先で問題にすべきことです。広域避難計画に
ついては全面的な見直しが必要です。
 
原子力規制を監視する市民の会 阪上 武
 
 
9月14日 萩谷慎一議員 質問58:50~ 答弁1:18:38~
 
 
以下文字に起こしたものです
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質問 萩谷慎一議員
 
原子力広域避難計画策定に係る受け入れ先避難施設への調査についてお伺いしま
す。本市では原子力災害時において、本市の避難者を受け入れていただく各自治
体の避難所の面積を、茨城県が示したひとり当たり2平方メートルの基準で調整
してきました。
 
しかし、避難先の各自治体から把握した面積が、単に建物の総面積である場合と
通路やトイレなど避難に適さない面積を除外した有効面積とが混在している状況
のため、今年4月16日に水戸市長名で各自治体宛て再調査を行ったことが、去る6
月9日に開催された千葉県松戸市議会の立憲民主党岡本ゆうこ議員の一般質問に
対する答弁で明らかになりました。
 
その際、岡本議員は松戸市に対し、感染症に配慮した調整を行うよう要請し、松
戸市側は、避難者ひとり当たりの面積を従来よりも広く確保することが望ましい
と答弁しました。
 
これを受けて岡本議員がこの9月1日の本会議で行った一般質問への答弁では、各
避難所の現状を再確認し、感染症防止対策を考慮し、避難者ひとり当たりの専有
面積を4平方メートルで算出し直し、受け入れ人数も従来の15,889人から半分以
下の7,162人に減らして7月9日付で水戸市に回答したことや、茨城県からも、7月
16日付で原子力災害時における避難所面積確認のため、避難所の平面図及び避難
所リストの提供依頼があり、8月16日付で避難所の図面を提供したことが明らか
になりました。
 
そこで質問の第一点目として、避難施設の面積及び受け入れ人数の再調査に至っ
た経緯についてお伺いします。今回の再調査はどのような経緯で行ったのでしょ
うか。水戸市独自の判断なのかあるいは県からの要請で行ったのでしょうか。茨
城県でも同様な調査を行っており二重の調査になっているようにも思われますが、
一体県とはどのような連携を図っているのでしょうか。
 
二点目は避難者ひとり当たりの専有面積を4平方メートルとした自治体と受け入
れ可能人数についてです。今回の避難施設調査において、松戸市の他にもひとり
当たり4平米もしくは県の基準の2平米を上回る専有面積で回答した自治体はあ
るのでしょうか。あるとすれば何自治体でそれぞれどのような基準を示している
のでしょうか。また、再調査の結果松戸市では、受け入れ人数が半減しており、
他の自治体でも、施設の有効面積の見直しに伴い、受け入れ人数に影響があった
と思われます。総数にしてどのくらいの減少があったのでしょうか。
 
三点目は今後の対応と、計画策定の見通しについてです。今回の再調査の結果は
本市の広域避難計画の策定に大きな影響を及ぼすものと考えます。まず、避難者
の受け入れ人数の減少についてどのように対応していくのでしょうか。受け入れ
施設を増やす必要が出てまいりますが、その場合、市からの派遣職員を増やすな
ど、人員や移動体制の見直しなども求められてきます。
 
また今後、感染症対策なども考慮し、ひとり当たりの有効面積を4平方メートル
にする考えはあるのでしょうか。その場合、本市は福島県いわき市の広域避難先
にもなっておりますが、こちらも見直す考えはありますでしょうか。
 
今回の再調査に伴い、計画策定に大きな課題が生じてまいりましたが日本原電は
早ければ来年秋口に東海第二原発の原子炉の試験運転のため、燃料装荷をはじめ
るとも言われています。今後の計画策定の見通しはどうなるのでしょうか。
 
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答弁 川上幸一市民協働部長
 
広域避難計画に係るご質問についてお答えいたします。
 
はじめに、水戸市が県外の広域避難先に対して実施いたしました避難所の有効面
積に関する再調査に係るご質問についてお答えいたします。
 
本年の1月から2月にかけて、水戸市を含め、東海第二発電所のUPZ圏が、避難
を予定しております県内自治体避難所のうち、いくつかの避難所において、避難
スペースとしては適さない通路やトイレなどの面積を受け入れ可能人数の算定に
含めているとの報道がなされました。
 
この報道を受け、茨城県においては、県が主体となって、県内避難所の図面調査
等を開始したところでございます。また、本市の31の県外避難先自治体について
は、茨城県との協議のもと、水戸市において確認作業を行うこととなり、本年4
月16日付で再調査のお願いの文書を送付いたしました。
 
そしてその後、6月中旬には茨城県において県外避難先の自治体についても図面
調査を開始したところでございます。これらの一連の再調査に関しましては、い
ずれも、水戸市と茨城県において、緊密に連携を図りながら進めているものであ
り、引き続き、情報の共有を図りながら、結果を取りまとめるとともに、今後の
対応について、協議をしてまいります。
 
次に、避難先自治体からの回答についてお答えいたします。本市が実施しており
ます再調査については、避難所の有効面積の確保を主たる目的としておりますが、
ひとり当たりの避難所面積を記載する欄も設けております。そして、その欄に記
載する数値につきましては、私どもが基本としております2平方メートル以外に
も、感染症対策を踏まえて、独自の基準を定めている場合は、その数値を記載し
ても差支えないことを依頼文に明記しておるところでございます。
 
なお、調査中の段階ではありますが、現時点で6の自治体から独自の基準で回答
をいただいております。本市がこのような回答欄を設けた理由は、今後、実効性
ある感染症対策を進めていくためでございます。本市においては、避難者に対し
て、万全の感染症対策を講じることが、原子力災害に関わらず、今後の災害対策
において、重要な課題であると認識し、それは決して、コロナ禍における一過性
のものではないと考えております。
 
今回の回答において、独自の基準を設けている自治体につきましては、今後、本
市で、視察やヒアリングを行うことを予定しており、その結果について、現在、
茨城県やUPZ圏の自治体で検討を進めている感染症対策に生かしてまいりたいと
考えております。
 
避難先自治体の感染症対策を理由とした受け入れ人数の減少につきましては、本
市を含めた、東海第二発電所UPZ圏の広域避難計画における感染症対策を確立さ
せたのちに調整すべき事項であると認識しており、まずは全力で、市民のみなさ
まが安心して避難所生活をおくることができる環境づくりに取り組んでまいりま
す。
 
また水戸市は、福島第一原子力発電所や福島第二原子力発電所で原子力事故が発
生した際にはいわき市からの避難者を受け入れさせていただく旨の協定を締結し
ており、感染症対策がまとまったのちには、いわき市とも情報を共有し受け入れ
る側としての対応を協議してまいります。
 
計画策定のスケジュールにつきましては、計画の完成時期を事業者の工事スケジ
ュールに合わせることは、全く考えておりません。実効性ある広域避難計画の策
定に向け、感染症対策をはじめ、錯綜しない避難ルートの設定や、避難所の運営
方法、安定ヨウ素剤等の配布体制など、各種課題の対応策をしっかりと積み上げ、
時期にとらわれることなく、市民目線に立った計画づくりを進めてまいります。

 

2021/07/11

いよいよ明日! 南相馬・避難20ミリ撤回訴訟の判決 7月12日、15:00~

みなさま(重複の際は失礼します。拡散歓迎です)
 
いよいよ明日です!
先のメールにて「傍聴券交付はせず先着順」と書きましたが、東京地裁の傍聴券
交付情報では整理券交付締切が2:40になってます。抽選になる可能性があります
ので、傍聴ご希望の方は東京地裁にて2:40までに整理券をお受け取りください。
お詫びして修正いたします。
 
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【いよいよ7月12日判決! 南相馬避難20ミリシーベルト撤回訴訟】
 
2014年12月、政府は、南相馬市の特定避難勧奨地点について、年間積算被ばく線
量が20ミリシーベルトを下回ることが確実になったとしてすべて解除し、その後
順次支援策や賠償を打ち切りました。
これに対して、地点に指定されていた世帯や近隣の世帯合計808名が、解除の取
消しなどを求めて、2015年4月および6月に、国(原子力災害対策現地本部長)を
相手取って提訴しました。
来る7月12日、この訴訟の判決がだされます。
立ち上がった南相馬の人々を応援してください。
ぜひご参加ください。
 
〇事前集会 13:10-14:10
 場所:日比谷コンベンションホール(東京地裁から徒歩10分ほどです)
 内容:訴訟の経緯とポイント、南相馬の放射能汚染の実態 など
 先着:100名
※FoE JapanのYouTubeにて配信予定です。
https://www.youtube.com/user/FoEJapan
 
〇判決 15:00 場所:東京地裁 103号法廷
 東京地裁の傍聴券交付情報では整理券交付締切が2:40になってます。抽選にな
る可能性がありますので、傍聴ご希望の方は東京地裁にて2:40までに整理券をお
受け取りください。
https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/detail?id=10897&list_id=15,18,19,20,21,22,23,24,25
 
〇報告集会 16:00頃~17:30 
 場所:日比谷コンベンションホール
 
※裁判では、年間20ミリシーベルトという基準による特定避難勧奨地点の解除の
是非が争われました。
原告は、年間20ミリシーベルト基準での特定避難勧奨地点の解除は、次の3点から違法であると主張し、その取消し等を求めています。
1)公衆の被ばく限度が年間1ミリシーベルトを超えないことを確保するべき国の義務に反する。
2)政府が放射線防護の基準として採用している国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に反する。
3)政府が事前に定めた解除の手続(新たな防護措置の実施計画の策定、住民等の意思決定への関与体制の確保)を経ることがないまま解除を強行した。
 
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満田夏花(みつた・かんな)
携帯:090-6142-1807
国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
TEL: 03-6909-5983  / FAX: 03-6909-5986