May 2024
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

2023/12/01

<報告>原子炉圧力容器の脆化の監視問題で規制庁とオンライン会合

みなさまへ(転載歓迎)

誤認等あればお知らせください

 

〇監視試験片の再生技術は確立していない。東海第二は再稼働すべきではない

〇60年以上先のデータが既に得られているというが過小評価でない根拠は示されず

〇母材と溶接部のデータをごちゃまぜにして評価する方法について問題を指摘

 

11月30日の午後、原子炉圧力容器の劣化の監視問題について原子力規制庁とのオンライン会合が開催されました。原発ゼロの会の阿部知子議員に設定をお願いしました。オンラインにて約60名の方に参加いただきました。技術的に立ち入った内容でしたが、多くの方に最後までご参加いただきました。近藤昭一議員には最後までお付き合いいただきました。ありがとうございました。

 

事前解説では、元原発技術者で原発老朽化問題研究会の服部成雄さんから、40年超運転で圧力容器の照射脆化を監視できるのか?というタイトルで以下の内容で解説をしていただきました。

 

・圧力容器の照射脆化という劣化を監視するために監視試験片を入れているが、原発の寿命40年を想定していたために数が足りなくなっており、そのため一度使った試験片を再生して使うことにしている。

・シャルピー衝撃試験では、母材、溶接金属、熱影響部の三種類の監視試験片が必要。母材については再生試験片をつくる技術は確立しているが、溶接金属の再生は困難、熱影響部の再生は不可能である

・電力会社は、熱影響部は母材で代表できるとして、熱影響部の監視は不要とする動きもみせているが、科学的な裏付けはなく、逆に必要なことを示す根拠が論文で示されている

 

その後、規制庁から3名(技術基盤課、企画調整課、審査部門)が加わり、90分にわたり、事前質問書に基づき質疑が行われました。以下の3点でやりとりがありました。

 

1.試験片再生技術の未確立と監視試験片が尽きている東海第二原発の再稼働について

 

東海第二原発は運転開始時に入れた4セットの監視試験片の取出しがすべて終わっていて、炉内には、試験済みの試験片が入れてあるだけとなっています、事業者の原電は、2018年に、まもなく再生試験片の技術が確立するとしたうえで、40年超の運転期間延長認可を受けています。

 

しかしその後、再生試験片の技術が確立したとの報告はなく、逆に、事業者から再生が困難であるとの情報が規制委にあがっていることが、今年5月国会でも問題になったため、規制庁の認識を聞きました。

 

規制庁の回答は、審査では、その時点で技術基準に従っているかどうかを確認するだけで、再生試験片の作成技術がどうなったかについては確認しておらず、その後も確認していないというものでした。やりとりをしているうちに、規制庁側から、今現在、電力会社は共同研究で再生技術の確立を進めている、規格(JEAC4201)の改訂版に取り込もうとしているが、少なくとも1~2年はかかるとの話が出てきました。

 

そのうえで、次の取出し試験に際して、試験片を取り出しても再生ができないとなったら不合格とするということです。ではいつ取り出すのか。規制庁によると、取出し時期について技術基準に規定はあるが明確な規定ではないとのことでした。

 

市民側から、2018年の認可は見切り発車ではないか。東海第二原発については再生試験片の技術が確立する前提て認可を受けたのだから、少なくとも再稼働前の使用前検査の際に、再生試験片の技術が確立しているかどうかの検証をすべきだとの意見が出ました。

 

2.川内原発の「加速照射」による監視試験片データの信頼性について

 

山中委員長は「60年を超える運転において圧力容器が受ける監視試験データが得られている」旨の発言を繰り返していますが、その例として挙げられているのが、川内原発の第5回の監視試験結果について、九州電力が定格出力相当で114年に該当するとしていることです。

 

川内原発の第5回の監視試験片は、定格出力相当で26年に行われていますが、監視試験片が評価対象である炉の内面よりも炉心に近く、炉の内面の約4倍の中性子を浴びているので26年の4倍先の114年後の状態がわかると言いたいのです。

 

ところが、敦賀原発や福島第一原発では、炉心に近く、中性子量がさらに大きい「加速照射」の試験片による試験の結果、中性子量に比べて脆化が小さく、過小評価になることが明らかになっています。

 

BWRとPWRの違いや監視試験片の位置による中性子量の比率の違いなどもあるのですが、照射速度の違いにより、ゆっくり照射を受けた場合はより脆化が進み、速く照射を受けた場合にはより遅く脆化が進むのであれば、4倍の違いでも過小評価となる可能性があるのではないかという趣旨で質問しました。

 

質問の趣旨を確認するのに時間がかかりましたが、規制庁側の回答は、炉の内面ではなく炉壁表面との比較で、BWRの「加速照射」は中性子量が10倍以上であるのに対し、PWRは1~3倍程度なので照射速度の違いは問題にならないというものでした。川内原発1号炉の場合、炉壁表面との比較で監視試験片の位置での中性子量は2.7倍とのことでした。

 

市民側は、BWR10倍に対して川内は2.7倍と小さいことはわかったが、2.7倍でもそれに応じた過小評価が起こりうるのではないか。それを否定する根拠はあるのかと質しました。規制庁は、裏付ける根拠はたくさんありますよ、国際的にそのようにしています、というだけで具体的な根拠は示されませんでした。

 

3.母材のデータと溶接部のデータをごっちゃにして評価してよいのか

 

高浜原発などで、破壊靭性試験について、母材だけの試験と溶接部だけのデータを交互にとっている件が問題になりました。規制庁から、破壊靭性試験については、そもそも規格が、母材と溶接部のデータを区別せずに評価する建てつけになっているので問題ないとの回答があり、そこから、母材と溶接部のデータをごっちゃにして評価することの問題点が議論になりました。

 

原発老朽化問題研究会の井野博満さんから、シャルピー衝撃試験では、母材と溶接部と熱影響部の3つを別々に評価している。破壊靭性試験について、規格には、ごっちゃにしてよいとも悪いとも書いていない。データが少ないのをごまかしているだけではないかとの指摘がありました。

 

さらに、シャルピー衝撃試験で得られた移行温度についてのデータを、破壊靭性試験による加圧熱衝撃評価にそのままもちいることにより、過小評価が生じている問題についても指摘がありました。この辺については、改めて議論することとしました。

 

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2023/11/13

11/30<オンライン会合>原子力規制庁に聞く・原子炉圧力容器の劣化監視問題

<オンライン会合>原子力規制庁に聞く

老朽原発の危険性~原子炉圧力容器の劣化監視問題~

https://kiseikanshi.main.jp/2023/11/13/1122334455/

 

Zoomの登録はこちら

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMvfuqhqj8tG9NC1hYVjQuks_WezvdMbc8r

 

老朽原発の60年超の運転延長に際し、原子炉圧力容器の劣化の程度を監視するための試験片が足りず、監視ができない問題が露呈しています。この間、市民側の専門家と規制庁とのやり取りが行われてきましたが、この度、原発の地元を含め、みなさんにご参加いただく形で開催することとしました。Zoomを使った完全オンライン形式になります。ぜひご登録のうえ、ご参加ください。

 

11月30日(木)

13:00~13:50 事前解説 服部成雄さん(元原発技術者)他

14:00~15:30 原子力規制庁との意見交換

 

主催:問合せ 原子力規制を監視する市民の会 090-8116-7155(阪上)まで

 

事前質問書 はこちら

http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2023/11/atsuryoku-yoki-kanshi.pdf

 

Zoomを使った完全オンライン形式になります。

以下からご登録ください。登録したメールアドレスにリンクが送付されます。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMvfuqhqj8tG9NC1hYVjQuks_WezvdMbc8r

2023/09/02

<老朽炉審査基準>パブコメ意見に規制委の回答は?原子炉圧力容器の脆化監視問題

みなさまへ(拡散希望)

 

本日(8月30日)行われた原子力規制委員会において、老朽炉の新たな審査(長期施設管理計画の審査)の審査基準等が承認されました(石渡委員はもとの法改定に反対との理由で反対)。パブコメに対する回答についても承認されました。問題提起をしていた原子炉圧力容器の中性子照射脆化について、現状の審査の問題についても回答があります。いくつかピックアップしてコメントしてみました。

http://kiseikanshi.main.jp/2023/08/30/1822334/

 

電気協会の規格の古さ、圧力容器のクラッドを評価しない理由、加速照射試験が現実を反映しない問題、高浜4号の電気ケーブル劣化による制御棒落下事故、そもそも40年ルールを炉規法から撤廃することの問題などについても回答がありますのでぜひご検討ください。(阪上)

https://www.nra.go.jp/data/000446607.pdf

 

◆監視試験カプセルの取出し時期について高経年化に対応した規定がない

 

<意見>

・監視試験片を取り出す時期を明示すべきである。

・運転開始30年を超える原発については、少なくとも10年以内ごとに、母材、溶接部、熱影響部の監視試験片を取り出し、試験を行うべきである。

・JEAC4201-2007に書かれている監視試験片の取り出しの時期は、40年を超えた原発に対応していない。

・JEAC4201-2007は、古すぎ、改定が必要であるのにもかかわらず、そのまま使われている。

 

<意見>

 高経年化検討チームの会合において、事業者は監視試験カプセルの取出しを、暦年ではなく照射量に応じたものにすることを要求しました。現状(運転期間延長認可運用ガイド)では、「運転開始後

30 年を経過する日から 10 年以内のできるだけ遅い時期」「運転開始後 40 年を経過する日から 10

年以内の適切な評価が実施できる時期」に、監視試験カプセルを取り出し試験を行うことを要求しています。事業者はガイドのこの要求を削除し、電気協会の規格「原子炉構造材の監視試験方法」JEAC4201

を採用するように求めました。

 規制委側はこれに応じ、新たな審査書案 15

頁に、「3一般社団法人日本電気協会「原子炉構造材の監視試験方法」(JEAC4201)等に基づき、運転を想定する期間において劣化を評価できる適切な時期に監視試験を実施する方針が示され、同方針に基づき長期施設管理計画の期間中に実施する必要がある監視試験に関する措置が具体的に定められていること。」と記載しました。

 現在審査で用いられているのは、福島第一原発事故前の 2007 年に策定された JEAC4201-2007ですが、事業者のプレゼン資料にはその

JEAC4201-2007

にある定格負荷相当年数による指標の表が掲載されています。それによると、…最小カプセル数は4個、取り出し時期は1)3年、2)6年、3)15

年、4)相当運転期間、の4回などとなっています。相当運転期間として推奨されているのは定格負荷相当年数で 32年です。稼働率

80%を想定した場合、定格負荷相当年数の32年は、暦年で40年に相当します。この規格は設計寿命40年を想定してつくられています。60年超運転に対応することはできません。

 

<規制委の回答>

JEAC4201-2007は長期監視試験計画として相当運転期間(特にことわりのない限り32EFPY)を超えて運転を行う場合の監視試験計画を規定しており、審査基準Ⅱ.3.③に規定しているとおり、「運転を想定する期間において劣化を評価できる適切な時期に監視試験を実施する方針が示され、同方針に基づき長期施設管理計画の期間中に実施する必要がある監視試験に関する措置が具体的に定められていること」が審査基準の要件であり、長期施設管理計画において監視試験に関する措置が具体的に定められているかは、審査において確認することになります。

 

<コメント>

JEAC4201-2007において、相当運転期間は特にことわりのない限り32EFPY(定格負荷相当年数で32年。稼働率

80%では定格負荷相当年数32年は暦年で40年に相当する)となっており、規格が寿命40年を想定していることを認めている。「(規格は)相当運転期間(特にことわりのない限り32EFPY)を超えて運転を行う場合の監視試験計画を規定して」いるともあるが、具体的な中身の説明がない。「『長期施設管理計画の期間中に実施する必要がある監視試験に関する措置が具体的に定められていること』が審査基準の要件」というが、現状の審査において「監視試験に関する措置が具体的に定められて」いないにもかかわらず、運転期間延長審査に合格しているものがあり、検証が必要。

 

◆監視試験片が足りない問題

 

<意見>

中性子照射脆化について、設計時の想定を超える長期運転により、監視試験片が足りなくなる問題が生じている。今年5月23日の参議院連合審査会の場で、川内原発1号炉では、運転開始時に6つ入れた監視試験片のカプセルのうち、既に5つが取り出されていること、東海第二原発では運転開始時に4つ入れた監視試験カプセルすべてが既に取り出されたこと、東海第二原発については再生試験片を入れたが、熱影響部については幅5ミリほどしかなく、事業者(ATENA)から、再生試験片を作成するのは困難との報告を受けていたことが明らかになった。東海第二原発には、現状で母材の再生試験片しか入っていない。(引用者注:実際は「残存試験片」)川内原発1号炉は残り1カプセルだが、これの取出し時期について、九州電力は明確な計画を示していない。高経年化した原発の安全性を確保するために、運転開始30年以降も、母材、溶接金属、熱影響部のそれぞれについて、試験及び評価を継続的に行う必要がある。そのことを審査基準の要求事項に明記したうえで、監視試験片のカプセルの不足によりそれができない場合は不合格とすべきである。東海第二原発は運転期間延長認可を取消すべきである。川内原発1号炉についても運転期間延長認可をすべきではない。

 

<規制委の回答>

監視試験については、技術基準規則解釈第22条において、日本電気協会「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC4201)」に「別記―6日本電気協会「原子炉構造材の監視試験方法(JEAC4201)」の適用に当たって」の要件を付したものにより実施することを規定しています。同規格に基づき使用済監視試験片を再装荷すること、同規格附属書Cに規定された方法で監視試験片の再生を実施することは認められています。

 

いずれにせよ、規制基準への適合を立証するのは事業者であり、仮に監視試験片が再生できない等の理由により適切な劣化評価が行えない場合は、規制基準に適合していることが立証できないことになります。

 

<コメント>

東海第二原発は運転開始時の監視試験片はすべて取り出しており、試験で2つに割れた残存試験片を入れてあるだけである。ここから監視試験片を作成する技術は確立しておらず、基準や規格もない。運転期間延長認可は見切り発車である。回答は、「仮に監視試験片が再生できない等の理由により適切な劣化評価が行えない場合は、規制基準に適合していることが立証できないことになります。」とし、見切り発車であることを認めている。事業者は、技術が確立するまで残存試験片の取出しを引き延ばすおそれがある。取出し計画を具体的に示せない現状で、不合格にすべきである。

 

2023/07/21

新たな審査パブコメセミナーやります!老朽炉の中性子照射脆化問題で欠陥を取り繕う規制緩和の動き??

みなさまへ(拡散希望)

 

GX法のうち原発の運転延長を実行するための規則案や審査基準案がパブコメにかかっています。気になっているみなさんも多いと思います。文例集は鋭意作成中です。少しお待ちください。

 

検討の過程で、原子炉圧力容器の中性子照射脆化について、監視試験片がなくなるという問題を取り繕うために、事業者の意向を取り込んで、こそこそと審査基準を緩和しようと動いていることが明らかになりました。規制の強化どころか緩和です。この問題を深堀りすると、老朽原発の致命的な欠陥が見えてきます。この問題を含めてパブコメセミナー(主催:FoE)を開催します。ぜひご視聴・ご参加ください。

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

パブコメセミナー:老朽原発の審査基準など

https://foejapan.org/issue/20230718/13536/

<第1回>7月20日(木)18:00-19:30 講師:まさのあつこさん(ジャーナリスト)

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZ0qcuCuqDMsGdV8mooZDBzZm9Y7ZHhFE7tS

<第2回>7月22日(土)11:00-12:30 講師:井野博満さん(東京大学名誉教授)

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUlf-mvqz4uGty6LxMVVorJZ7Xih9GncbDg

<第3回>7月29日(土)14:00-15:30 講師:阪上武さん(原子力規制を監視する市民の会)

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZAtceCqrTMtGNDLBLOpIWxpU1UMZjnRlqud

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

審査基準の変更は2点あります。

 

  • 変更1● 監視試験片を取り出し評価を行うタイミングを照射量に応じたものに

 

現行の高経年化評価ガイド

40年目の評価では30~40年のできるだけ遅い時期に、50年目の評価では40~50年のできるだけ遅い時期に取り出し試験を行うことを要求

新たな審査基準案

電気協会の規格に従い照射量に応じて取り出し試験を行うことを要求

 

★これにより、停止期間中は短い停止も含めて除外されるので、取り出し試験の間隔は広がります。「10年以内」となった評価期間の間に取り出し試験が行われない可能性も出てきます。停止期間中は中性子照射脆化が進まないことが前提になっていますが、これについては専門家からも疑問の声がでています。

 

  • 変更2● 加圧熱衝撃評価に「損傷のおそれがある場合」との条件を追加

 

現状の高経年化評価ガイド(中性子照射脆化の要求事項)

○加圧熱衝撃評価の結果、原子炉圧力容器の評価対象部位において静的平面ひずみ破壊靱性値が応力拡大係数を上回ること。

新たな審査基準案 (中性子照射脆化の要求事項)

〇加圧熱衝撃により原子炉圧力容器が損傷するおそれのある場合、加圧熱衝撃評価の結果、原子炉圧力容器の評価対象部位において静的平面ひずみ破壊靱性値が応力拡大係数を上回ること。

 

新たな審査基準案で追加された部分「加圧熱衝撃により原子炉圧力容器が損傷するおそれのある場合」は、損傷のおそれがない場合は加圧熱衝撃の評価は必要ないとも読めます。追加は認められないと思います。

 

新たな審査についての規制委検討チームの会合において、電気事業者側は「BWRプラントで想定される照射量はPWRに比べて2桁程度小さく、想定される運転期間における照射量の領域において十分なデータが取得されている」と主張し、評価の見直しを要求しています。

 

背景に、監視試験片がなくなる問題があります。BWRの東海第二原発では、運転開始時に入れた4つの監視試験片のカプセルを、40年目の審査までにすべて取り出していたことが国会答弁で明らかになっています。50年目には取り出す試験片はないのです。今回の変更は、この問題を救済するためのものではないかとの疑念が生じます。

 

★この件について規制庁は、東海第二原発では使用済の監視試験片から「再生試験片」をつくって入れてあるので問題ないとしています。しかし監視試験片の部位のうち、溶接の熱影響部については再生試験片をつくることは困難であることを電気事業者も認めています。溶接の熱影響部の試験片がなければ必要な試験を行うことはできません。それで既に「十分なデータが取得されている」などと主張しているのではないでしょうか。

 

★「十分なデータが取得されている」とある「データ」には、加速照射試験が含まれているはずです。炉心に近いところに置いた試験片は照射量が多く、60年を超える分の照射を受けているというのです。しかし、これまで敦賀1号炉や福島原発における評価結果から、加速照射による脆化の評価では、通常の照射より低い値しか出ず、過小評価になることが明らかになっています。「十分なデータが取得されている」とはいえないのです。

 

★電気事業者は今回BWRプラントを問題にしていますが、同じ問題がPWRプラントにもあります。川内原発1号炉は、6つ入れた試験片のカプセルのうち、既に5つを取り出しており、残りは1つしかありません。高浜原発では、運転開始時に8つの監視試験片のカプセルを入れてありますが、母材だけのカプセルと溶接部だけのカプセルがあり、交互に取り出しているといいます。10年毎に取り出し試験を行っても、部位ごとでは20年毎になってしまいます。これが基準に合致するのかという問題もあります。

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

パブコメセミナー:老朽原発の審査基準など

https://foejapan.org/issue/20230718/13536/

 

先般の国会でGX脱炭素電源法(原発回帰の束ね法)が成立しました。これに伴い、原発の運転期間を原則40年とする規定が「原子炉等規制法」から削除され、30年を超える原発の「長期施設管理計画」の認可に関する規定が盛り込まれます。

従来から30年超の原発に対する10 年ごとの劣化評価は、高経年化技術評価として行われてきました。今回、これが法律に格上げすることになります。

現在、長期施設管理計画の審査基準など一連の文書が、パブコメ(一般からの意見募集)にかけられています。

しかし、老朽原発の評価や審査は一筋縄でいくものではありません。規制委員会の審査で老朽原発の安全は守られるのでしょうか。

このたび、オンラインでパブコメセミナーを開催いたします。ぜひご参加ください。

 

<第1回>

日時:2023年7月20日(木)18:00-19:30

講師:まさのあつこさん(ジャーナリスト)

申込:以下からご登録ください。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZ0qcuCuqDMsGdV8mooZDBzZm9Y7ZHhFE7tS

 

<第2回>

日時:2023年7月22日(土)11:00-12:30

講師:井野博満さん(東京大学名誉教授)

申込:以下からご登録ください。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZUlf-mvqz4uGty6LxMVVorJZ7Xih9GncbDg

 

<第3回>

日時:2023年7月29日(土)14:00-15:30

講師:阪上武さん(原子力規制を監視する市民の会)

申込:以下からご登録ください。

https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZAtceCqrTMtGNDLBLOpIWxpU1UMZjnRlqud

 

※パブコメはこちらから。

 

1)脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則等の改正案等に対する意見公募について(締切:2023年8月4日)

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198023101&Mode=0

 

2)実用発電用原子炉の長期施設管理計画の記載要領(案)に対する意見公募について(締切:2023年8月3日)

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198023204&Mode=0

 

2023/02/21

原発の運転期間の定め 国会審議で岸田首相が「運転期間の定めは安全規制」と認めた意味

みなさまへ(転載歓迎)

原発の運転期間の定めについて、規制委で基本方針が決まりましたが、2月21閣議決定は延期され、規制委では高経年化した原発の安全規制についての会合が開かれることになりました。石渡委員も参加予定です。第1回は22日(水)14:00~16:00です。
 
第1回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する検討チーム
 
閣議決定できない状況は、国会の審議からも明らかです。肝心の立法事実について、まともに説明できないのです。
今回の法改正は
運転期間の定めを安全規制側の炉規法から利用政策側の電事法に移すことが前提になっています。
山中委員長らがその根拠に挙げているのが
令和2年7月29日規制委見解に「運転期間の定めは利用政策判断であるから規制委は意見を述べるべき事柄ではない」
との文言があることだけです。
★政府側の最大の弱点はこれを政府見解にできないことです。
それは「運転期間の定めは利用政策判断である」に嘘があるからです。
現状の運転期間の定めが利用政策判断なのか安全上の観点なのか、2月15日の予算委員会で立憲の枝野さんがストレートに聞いています。
枝野議員「原発の稼働期間の上限はなぜ設けられたのか?
岸田首相「原発の利用の観点から議論の結果定められた」
…と述べるが……すぐに修正…
枝野議員「利用の観点か?安全性ではないのか?原発が劣化して安全性が損なわれてはいけない、だから上限を定めているのではないか?」
岸田首相「60年という制限については、安全性の観点から設けられたものである」
岸田首相はその後の答弁でも
「今回の、原子力発電所の高経年化に関しては、これは新たな科学的・技術的な知見の存在を踏まえて改正するものではありません。これは、構造的なエネルギー需給のひっ迫への対応といった利用政策の観点から、運転期間に関する定めを設けて、これに対応した安全規制を厳格にしようというものであります。従来から、運転期間については、安全の観点から定めが設けられておりましたが、これについて、利用政策の観点から、これを議論しているわけですが、その中にあっても、安全性の観点は、原子力規制委員会の基準をクリアしたものでなければならない、これは全く変わらないという形で維持をされております」
と、運転期間については安全の観点から定めが設けられていたことを明確に認めています。
2月20日のれいわのくしぶち万里議員の国会質問でも山中委員長はしどろもどろです
衆議院・予算委員会 第6分科会 環境省・原子力規制庁(2023年2月20日 10:00頃~)
https://www.youtube.com/live/rR1-rp2XUKM?feature=share&t=426
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2023/02/16

<傍聴報告>石渡委員「炉規法は規制委が守るべき法律」と反対貫く・令和2年見解に疑義

みなさまへ(転載歓迎)
〇石渡委員「炉規法は規制委が守るべき法律」「科学的技術的でなく安全側でもない変更をすべきではない」
〇石渡委員「運転期間は利用政策判断」との文章の作成経緯に疑問。「金科玉条のように使うものではない」
〇山中委員長「石渡委員は根本的に異なる『心情』をお持ちだ」
報道にもあるように、昨日の原子力規制委員会の定例会合で、最後は4対1の多数決で、運転期間の定め(40年ルール)を炉規法から外し、60年超運転を認める変更が了解・決定されました。石渡委員は最後まで反対を貫きました。討論では4人の委員を圧倒していたと思います。
第72回原子力規制委員会臨時会議動画 2023年02月13日
石渡委員が一貫して主張されていたのは、炉規法を改定する積極的な理由がないということです。これに対し、山中委員長はいつものように令和2年7月29日の文書の「運転期間の定めは利用政策判断であり規制委が意見を述べるべき事柄ではない」との文言を持ち出します。
●石渡委員はこの文書の作成経緯を具体的に問題にしました。
石渡委員は、文書は表題にあるように「運転期間延長認可と長期停止期間中の原発の経年劣化との関係に関する見解」であり、規制委員会の場でもそのようなものとして出てきた。議題も「経年劣化管理に関わるATENA(原子力エネルギー協会:事業者団体)との実務レベルの技術的意見交換会の結果を踏まえた原子力規制委員会の見解(案)について」というものであった。意見交換会の6回議事録を全てみたが『原子力規制委員会が関わるべき事柄ではない』といった議論はなかった。どういう経緯でこの文書のこの部分が入ったのか、非常に疑問をもっている。規制委が議論を重ねて作られたものではない。などと述べました。
 
その場で石渡委員が他の委員に、「委員の中で一部でも執筆した人はいるか?」と聞きましたが誰も手を上げず。そのうえで、この文書を金科玉条のように使って、原子力規制委員会の全体の意思として、確固として決定された、というものではないのではないか。と述べました。さらに、これを根拠にして例えば炉規法の40年ルールをなくしてもいいとか、そういう議論にはならないのではないか。とも述べました。
 
山中委員長は様々な場での議論をまとめたものだとだけ述べました※
●また、石渡委員は(伴委員も同調したのですが)60年超の安全規制を具体的にどうするのかも決められずに60年超運転を許していいのかとも発言されました。事業者ではなくて、規制委の側の問題として、審査しきれるのかとの問題提起をされたのだと思います。
 
山中委員長は、50年目までは従来のもので問題ない、60年の審査については時間があるのでその時までに検討すればよいと逃げました。中性子脆化などが問題になるが、60年までは実機による試験結果と予測式による評価があるので問題ないとも。しかしこの問題では、予測式による評価結果と試験結果が合わず、評価結果に信頼性がないことが問題になっています。
 
●さらに石渡委員業は、審査を丁寧にやって長引くことにより、運転期間が延長され、高経年化したより危険な原発が動くことになる矛盾について、特に、不祥事などでやむなく審査を中断して検査になる場合があるが、その期間がさらに延長できることになる。具体的にはデータ改ざんがあった敦賀や不祥事で運転禁止が出た刈羽崎刈羽のことを指しているのだと思われます。事業者側の責任で生じた問題で審査を中断して不本意ながら検査を行ったがその分運転期間を延ばしてもいいよとなれば、審査をする人間としてはとても耐えられないとも。
★最後に石渡委員が以下のように述べました。
「炉規法は原子力規制委員会設置法とペアの形でそのときに制定されたと理解している。炉規法というのはしたがって、原子力規制委員会が守るべき法律である。科学的技術的な理由、より安全側にかえる、そういうはっきりした理由があればこれを変えることにやぶさかではないが、今回のこの変更はそのどちらでもない。」
 
石渡委員は、原子力規制委員会の委員として課せられた責務に照らして、当然のしかし重要な指摘をされたのだと思います。
 
これに対し山中委員長は「根本的に異なる『心情』をお持ちだ」とし、これを多数決で退けました。石渡委員の発言は個人的な心情などではありません。山中委員長は「炉規法は規制委が守るべき法律」とは異なる意見をお持ちのようですが、そのような人に規制委員会の委員長を務めさせてよいのでしょうか。
 
******************************
 
★★今回の動きは経産省エネ庁が規制委を飲み込む構図だと思いますが、そこに山中氏が深く関わっているようにもみえます。
 
山中委員長は、①「炉規法の運転期間に関する定めは安全規制ではなく利用政策判断だった」との虚構と、②「運転期間の定めは利用政策判断であり規制委が意見を述べる事柄ではない」との虚構に基づく決めつけにより反対意見を封じたうえで、③利用政策側で運転期間を定める方針が出たので規制法からは削除する、との理屈で今回の変更を正当化しています。
 
①については、政府見解として、炉規法改正の国会審議で科学的技術的観点から検討されたことを認めざるをえなくなっています。また。規制庁が2月3日に公表した内閣法制局による炉規法改正の立法趣旨について解説した文書には明確に「安全上のリスクを低減する趣旨で運転期間を制限する」と書いてあります。本来ならこれだけでアウトのはずです。
運転期間の見直しに係る経緯
①炉規法の運転期間に関する定めは安全規制である、②運転期間の定めは規制委が順守しなければならない、③利用政策側で運転期間を定めることはできない、というのが筋です。
しかし山中委員長は、②「運転期間の定めは利用政策判断であり規制委が意見を述べる事柄ではない」が記された規制委見解を盾に議論をさせずに押し通します。②の文言ですが、もとになっている6回の意見交換会では、運転期間について規制委が意見すべきかどうかなどという議論はありません。意見が出たのは、これが令和2年7月22日の規制委の定例会合で報告されたときです。発言したのは当時は委員の一人であった山中氏でした。
 
報告の中でございましたように、CNO会議の中でこの長期運転停止期間を運転期間延長認可制度に加味するべきであるという議論がございました。しかしながら、現行の運転期間延長認可制度の40年という期間は、科学的あるいは技術的な観点から定められたものではなくて、政策に基づいて決定されたものであると考えますので、運転期間延長認可制度の期間について、経年劣化などの科学的・技術的議論とは切り離して判断すべきものであると考えます。つまり、運転期間延長認可制度の期間については原子力規制委員会が議論すべき問題ではなく、加えて長期運転停止期間をそれに含めるかどうかについても原子力規制委員会が判断すべき事柄ではないと考えます。
 
令和2年7月22日規制委定例会合議事録
https://www.nra.go.jp/data/000320904.pdf
 
昨日の臨時会合の場で山中委員長は、CNO会議(意見交換に先立つ会合)の中で運転期間についての議論が出たように言っていましたが、上記を読むとわかるように、CNO会議では長期停止期間をカウントしないで欲しいとの事業者側の意見が出ただけでした。「しかしながら」と続けて「私のコメント」が展開され、そこで②が展開されます。翌週の令和2年7月29日の規制委定例会合に提示された規制委見解(案)に「運転期間の定めは利用政策判断であり規制委が意見を述べる事柄ではない」との記載が入り、山中氏は「私のコメントを3.、6.にまとめていただいた」と述べています。
令和2年7月29日規制委定例会合議事録
 
昨日の臨時会合後の記者会見でも、この5年かけて事業者とも協議を重ねながら進めてきたとの発言がありました。計画的に進めてきた?可能性もあると思います。
 
原子力規制委員会臨時記者会見動画 2023年02月13日
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2023/02/08

本日の決定見送り 原子力規制委員会で40年ルール炉規法から撤廃を前提とした文書の検討

みなさまへ(重複ご容赦 転送・拡散希望)

本日の原子力規制委員会で、原発の運転期間制限(40年ルール)を原子炉等規制法(炉規法)から撤廃して電気事業法に移すことを前提とした「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要案」についての議論がありました。

関係資料
動画
最初にパブコメに対する回答について説明がありました。
40年ルールを炉規法から撤廃して電気事業法に移すのはおかしい、移すべきではない、原子力規制委員会こそ40年ルールを厳格に守りなさいという意見は多く寄せられたようです。
これまでは、令和2年の見解に「発電用原子炉施設の利用をどのくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではない」とある、というのを繰返すだけでしたが、今回の回答は違っていました。
こちらから、そもそも40年ルールは利用政策判断ではなく、安全規制として定められたというのが事実だとし、国会審議の議事録はじめ証拠をつきつけてきたこともあってか、回答は「現行法の運転期間延長認可制度が導入された際の国会審議(平成24年第180回国会)では、科学的技術的見地だけではなく、幅広い観点から議論が行われた上で、立法されたものと認識しています。」となっています。科学的技術的見地ではない観点(利用政策と言いたいのか)でも議論されたという理屈です。
これまでは 「そもそもA(安全規制)ではなくてB(利用政策判断)なんだ、だからA(炉規法)からB(電気事業法)に移すんだ」という理屈でしたが、それが、「そもそもA(安全規制)だけではなくB(利用政策判断)もあったんだ」という言い方に変わったことになります。しかしそうなると、A(炉規法)をなくす根拠が失われたことになります。
 
論理が破綻したことになります。それでも炉規法から撤廃したいのであれば、安全規制の観点から運転期間制限を撤廃してもよいのか否かの検討が必要ですが、こうした観点での検討を全くやっていません。ここが原子力規制委員会の最大の弱点だと思います。
 
会合は、最後の決定の段階で、石渡委員が反対意見を朗々と述べ、本日の決定はなくなりました。
 
石渡委員の意見は、1.今回の変更は新たな知見などに基づくものではなく運転制限が炉規法からなくなるという意味では安全規制の後退だ、2.(電気事業法に移っても)40年60年の枠組みは変えないとあるがそれでは炉規法を改正する必要はないではないか、3.審査が長引いている間も高経年化は進行しており審査は難しくなるのにこの間はカウントしないというのは矛盾ではないか、といったものです。他の委員が説得を試みましたが意見を変えず、今日の決定は見送りになりました。来週また議論がありますが、非常に真っ当な反対意見で、会場は拍手で包まれました。
 
阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

2022/12/27

フクロウ通信第44号を発行しました

フクロウ通信第44号はこちらからダウンロードできます。

ダウンロード

44

 

2022/12/07

【連続オンライン学習会】老朽原発の危険性 第5回 原子炉はなぜもろくなる? 予測は可能? 規制委審査は大丈夫?

お話し:柴山恭子さん(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)
井野博満さん(東京大学名誉教授、金属材料学専門)
日時:2022年12月19日(月)14:00~16:00
こちらからご登録ください。参加可能なリンクがzoomから自動送信されます。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6EYdbryeQKGAr0_Byjl2Xg

経済産業省は、原発の運転期間の延長方針を打ち出しました。原子力規制委員会も、原発運転期間を原則40年と定めた原子炉等規制法の規定を削除することを容認しています。現在、全国22の市民団体が、これに抗議し、運転期間延長に反対する署名をよびかけています。

老朽原発を動かすことは極めて大きな危険を伴います。交換できない部品も多く、電力会社の点検できる範囲も限定的です。経産省は運転期間から休止期間を除外する案も選択肢にいれていますが、休止している間も劣化は進んでいます。原子力規制委員会の審査は電力会社の申請に基づくものであり、万全とは程遠いものです。

2012年、福島原発事故の教訓を踏まえ、運転期間を原則40年、原子力規制委員会の審査を経て1回のみ20年延長が可能とする規定が、与野党合意のもとで原子炉等規制法に盛り込まれました。

今回は、原子炉がなぜもろくなるのか、また、その予測はどの程度可能なのか、老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の柴山恭子さん、金属材料学の第一人者である井野博満さんに、わかりやすくお話しいただきます。どなたでも参加可能です。はじめての方も、ぜひご参加ください。

日時:2022年12月19日(月)14:00~16:00

※オンライン会議システムzoomを使います。

お話し:柴山恭子さん(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)
井野博満さん(東京大学名誉教授、金属材料学専門)

こちらからご登録ください。参加可能なリンクがzoomから自動送信されます。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6EYdbryeQKGAr0_Byjl2Xg

主催:国際環境NGO
FoE Japan、原子力規制を監視する市民の会、原子力資料情報室
協力:原子力市民委員会

 

2022/11/10

<報告>原発の運転期間延長の撤回を求める院内集会&政府交渉

みなさまへ(拡散希望)

11月7日(月)に原発の運転期間延長の撤回を求める院内集会・署名提出及び政府交渉を行いました。リアルで約50名、オンラインで約80名の方が参加しました。国会議員は、岩淵友議員、菅直人議員、山崎誠議員、福島みずほ議員にご参加いただきました。設定は福島みずほ議員にお願いしました。 
院内集会では、主催者から原発の運転期間延長の政府側の動きについて、また論点の一つ目であるこの間の規制委の運転期間制限の撤回の動きについて解説がありました。論点の二つ目である中性子照射脆化の問題について、老朽原発40年廃炉訴訟市民の会の柴山恭子さんから解説がありました。井野博満さんからコメントをいただきました。論点の三つ目である電気ケーブル劣化の問題について、美浜の会の小山英之さんから解説がありました。その後、福島、福井、鹿児島、新潟、宮城、佐賀の各地から報告を受けました。
運転期間「原則40年」既定の削減方針の撤回を求める署名の第一次集約分、個人3,663筆、団体賛同97団体について原子力規制委員会委員長、経済産業大臣宛て提出しました。署名は12月末まで行っています。ぜひご協力ください。
政府交渉は原子力規制庁から4名の職員が参加しました。資源エネルギー庁からは文書回答がありました。3つのテーマについて、事前質問に沿ってやりとりが行われました。
■運転期間の定めについて
〇40年ルールは制定過程からも明らかに「利用政策」ではなく「安全規制」であり規制委は厳格に守るべき
〇規制庁は40年の運転期間は「立法政策」により定められたことは認める
〇原子炉等規制法は規制委の所掌であり他の省庁が変更できないことは認める
交渉は主に以下の点について議論しました。
1.規制委山中委員長は「原子炉等規制法の関係条文の運転期間の定めについては2年前に既に議論したが、利用政策の判断によるものであり、委員会は意見を申すところではない」としたうえで、運転期間の定めを原子炉等規制法が「抜けてしまう」という言い方で原発の運転期間制限の撤廃を認める発言を繰り返しているが、40年ルールは利用政策ではなく安全規制として原子炉等規制法に組み込まれたものであり、利用政策判断というのは事実誤認ではないか。
2.山中委員長が根拠とする2年前の「見解」は、長期運転停止の期間を運転期間から除外することについての見解であり、原子炉等規制法の規定の範囲内で意見交換を行ったものにすぎない。また「見解」の文言に従っても、現行の条文にある40年の運転期間の定めは「立法政策」によるものである。
3.40年ルールは福島原発事故の教訓として安全規制として定められたものであり、原子力規制委員会こそ厳格に守るべき法令ではないか。
規制庁は「運転期間の定めは利用政策によるもので規制委が意見を言う立場にはない」との文言を繰り返し述べました。2年前の見解に「立法政策」とあることについて、規制法は国会の審議を経て与野党合意で定められたものであることは認めました。また、原子炉等規制法には利用政策の文言はないこと、原子炉等規制法は規制委が所掌しており、他の省庁が変更できないことも認めました。一方で、原子炉等規制法で運転期間を定めた43条のうち、規制委の事務は5項だけだとして、40年ルールを切り離す矛盾する発言をしていました。
40年ルールは、福島第一原発事故の教訓として、原子力規制委員会設置法とセットで、「利用と規制の分離」が問題となる中、規制に関する条項を原子炉等規制法に一元化する作業と同時に、原子炉等規制法に「安全規制」として定められたというのが事実です。資源エネルギー庁も、原子炉等規制法は規制委が所掌しているので意見はしないと言っています。事実に反する前提で規制を投げ出すのではなく、厳格に守るべきであると改めて強調しました。
■中性子照射脆化について
〇監視試験について関電は母材と溶接金属を交互にしか行っていない
〇監視試験の原データや重要な評価の条件について規制委は確認せず
〇監視試験の実施方法について明確な基準を持っておらず事業者任せ
交渉は主に以下の点について議論しました。
1.関電は他の電力会社とは異なり、監視試験片を用いた破壊靭性試験は、1回目と3回目が母材、2回目と4回目が溶接金属と交互にしか行っていない。他の電力会社は毎回両方を行っている。規制委はそれでも関電の審査を通している。
2.加圧熱衝撃の評価においては、熱伝達率の数値が大きく影響する。裁判において関電が提出した資料によると、熱伝達率について民間規格に従わない数値が用いられている。この数値について、規制委は審査において確認していない。
3.監視試験片のカプセルが、原発の運転期間30年程度を想定していることを占めす論文がある。
規制庁は、関電の監視試験片カプセルのうち破壊靭性試験の試験片が、カプセルごとに母材のみ、溶接金属のみが入っていることを明らかにしたうえで、交互で取り出して試験を実施しても安全確認はできると言い張りました。市民側からは、母材と溶接金属の両方を毎回行うよりも危険側の評価になるのは明らか、関電のやり方だと母材と溶接金属のまったく性質の異なる金属の試験結果をごっちゃにして予測式を作らなければならず、予測式の信頼性が失われるし、現に以前の予測があわない結果となっている、といった指摘がありました。試験の実施方法について、規制側で基準がなく、事業者任せになっていることも問題です。
加圧熱衝撃の評価に影響する熱伝達率の数値について、規制庁は、審査において確認していないことを前提に、すべての原データを確認しているわけではない、必要なデータは確認しており、それは審査書にすべて記載していると回答しました。しかし熱伝達率については、評価結果に影響を与える数値ですので、確認すべき「必要なデータ」ではないでしょうか。ここでも、事業者任せの実態が明らかになりました。
監視試験片のカプセルが運転期間30年程度(照射期間32年との記載がある)を想定していることを示す論文について、規制庁からは、照射期間と運転期間は違うとの説明があっただけでした。加速照射の話が入り少し混乱があったのですが、規制庁は「稼働率80%を想定すると40年程度になる」と述べ、いずれにしろその程度の想定しかしていないことを認めました。
■電気ケーブルの劣化について
〇規制庁「『有意な絶縁低下が生じないこと』が基準だが明確な数値的基準はない」
〇ケーブルが蒸気暴露の初期に一気に絶縁抵抗が下がる現象については再質問
交渉は主に以下の点について議論しました。
1.関電は、高浜1号炉の炉心近くにある電気ケーブルについて、「破断時の伸び」の程度に基づき、106年は使用可能と判断し、規制委は運転延長を認可している。しかし、106年の評価にはJNES(原子力安全基盤機構・現在は原子力規制庁技術基盤部)のレポートが求める安全余裕が考慮されていない。
2.さらに、運転期間延長審査基準では「破断時の伸び」ではなく、「有意な絶縁低下が生じていないこと」が判断基準となっている。その場合、「有意な絶縁低下」について、明確な数値的な基準はない。
3.JNESのレポートによると、重大事故時にケーブルが蒸気にさらされる(蒸気暴露)とショートなどの故障が多く発生している。また、規制委の技術報告(2019.11)において、重大事故時にケーブルが蒸気にさらされると、初期に一気に絶縁抵抗が下がり、蒸気暴露停止後にかなり回復する現象が明らかになっている。今後も検討が必要と結論しているが、その前に認可された高浜の審査では反映されていない。
規制庁は、運転延長認可の審査基準は「有意な絶縁低下が生じないこと」であり、これを確認しているので問題ないとの回答を繰り返しました。実態としては「破断時の伸び」を用いた評価を行っているのですが、規制庁は認めようとしませんでした。では絶縁低下について具体的な判断基準はあるのかと問うと、性能規定であり、数値的な基準はないことを認めました。これでは、関電が「有意な低下はありません」と言えばそれで合格になってしまいます。
蒸気暴露の初期に一気に絶縁抵抗が下がる現象を問題にした規制委報告について、規制庁は高浜の審査には影響しないとの立場でした。絶縁性能を調べる際の課電の条件がJNESの報告と違うことなどを問題にしようとしましたが、出席した担当者が答えられなかったので、後ほど文書で質問し回答をもらうことにしました。
本日の資源エネルギー庁の原子力小委員会において、運転期間の定めを電気事業法に移した上で運転期間の延長の方策を探る議論が行われています。危険な運転延長をとめるために今後も連携してがんばりましょう!
原子力規制を監視する市民の会 阪上 武