連続討論集会第3回は1月14日六ヶ所再処理工場の本格稼働を止めるために今私たちにできこと…大阪「美浜の会」小山さんをお迎えして

-柏崎刈羽から原発・再処理のない世界へ-連続討論集会第3回
放射能を垂れ流す六ヶ所再処理工場
本格稼動を止めるために今私たちにできること

2008年1月14日(祝・月)
13:30~16:30
豊島区民センター会議室(JR池袋駅5分)
参加費 500円
問題提起 美浜・高浜・大飯原発に反対する大阪の会代表 小山 英之さん
主催 福島老朽原発を考える会

Toshima

ガラス固化体のふたが閉められない、せん断した燃料が引っかかるなどのトラブルが続いている六ヶ所再処理工場。本格稼動を許せば、放出される放射能は試験の比ではありません。三陸の漁業者、サーファー、首都圏の消費者も反対の声をあげています。青森では安全協定の締結を阻止することが課題になっています。本格稼動を阻止するために、この問題でもっとも詳しい大阪「美浜の会」の小山英之さんをお迎えして、現状を学び、討論を重ねながら、今私たちにできることを話し会う場にしたいと考えています。グリーンピース・ジャパンの鈴木真奈美さんにもコメントをいただく予定です。ぜひご参加ください。

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12月18日、「再処理とめよう!全国ネットワーク」から青森県への質問書の提出行動に参加しました。

今回,私たちが特に青森県に対して質問書を通じた要請を行ったのは、県が,県民の安全安心を守るべき立場にあり、六ヶ所再処理工場に少しでも問題があると認めるならば、安全協定の締結を拒否することによって本格運転を止める立場にあるからです。折衝の場で県側は、「もちろん、県民の安全安心を守ることが第一、第一です」と第一を2回も繰り返していました。質問書の中身については、今回は受け取るだけなのでコメントはないという対応でした。文書での回答は約束しましたが、直接の回答については検討中とのことでした。私たちは1月15日頃に直接の回答を聞く場を設けるよう強く要求しました。

今回提出した質問書は、安全協定が結べない状況をつくり出す材料になるものになるでしょう。その一つが、六ヶ所再処理工場がお手本としているフランスのラ・アーグ再処理工場の周辺の農産物や海産物で実際に測定された放射能レベルが、青森県が、六ヶ所再処理工場が本格運転した場合に予想した放射能レベルと余りに違うことを明らかにした点にあります。ラ・アーグでの実測値という動かしがたい真実の力というべきか、この中身には強い関心が示され、農協中央会で対応した方などは、実測値と計算値の違いを何度も確認した上で「これが実測値ですか」と唸っていました。
くわしくはこちらhttp://www.jca.apc.org/mihama/(美浜の会HP)

1月14日の討論集会では,小山さんをお呼びして,質問書にある問題について学び、本格運転をさせないために、安全協定の結ばせないために今、何ができるのかについてじっくりと討論する場にしたいと考えています。お誘い合わせの上振るってご参加ください。

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2007年12月 7日 (金)

東電がこっそりやっていた活断層評価…値切らなくても今回の地震を再現することはできなかった~耐震設計小委員会合同WGを傍聴して~

12月5日に耐震設計小委員会の合同WGが開催されました。東電より,過去の活断層評価の誤りを認める報告がなされ,そのように報道されています。

ポイントは2点あると思います。

活断層見落としはやむを得なかったというのは本当か????

1点は、東電が1980年代に行った海底地形調査と活断層評価について、その当時の知見では、活断層の見落としがあったことはやむを得なかったとしている点に変わりはないことです。断層関連褶曲について2000年の岡村論文が出るまでは、褶曲と断層とを別物として評価していて,それはしかたなかったという姿勢でいます。この点については、国の審査ともどもまだまだ問題にすべきだと思います。電力への指南と国の審査の両方を行っていたという衣笠某委員は欠席でした。

東電の報告資料
http://www.tepco.co.jp/tepconews/images/071205a.pdf
11ページあたりから。岡村論文については20ページ。

こっそりやっていた活断層評価…値切らなくても今回の地震を再現できなかった

もう1点は、2003年6月に、F-B断層を20kmとした評価を実は行っていて、それを隠していたという点です。隠していたことはもちろん問題ですが、その評価結果も問題です。産総研に合わせて断層の長さ20kmとし,M7,震央距離18.5kmの条件で大崎の方法により応答スペクトルを引いています。応答スペクトルはS2の応答スペクトルを全体的に下回っており,だから当時特に問題にしなかったということです。

東電の報告資料
http://www.tepco.co.jp/tepconews/images/071205a.pdf
解析条件は22ページ。大崎スペクトルは23ページ。

この事実は,仮に東電が活断層の「値切り」をやらずにまっとうに評価していたとしても,今回の地震を再現することができなかったことを意味するのではないでしょうか。地震動の評価手法の問題です。大崎の方法の過小評価が改めて示されるということでしょうし,じゃあ断層モデルなら再現できたのかという点についても問題になるのではないでしょうか。

以下新聞記事情報です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000150-mai-soci

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<柏崎刈羽原発>「活断層」認める報告書 東電が異例の撤回/毎日新聞

 東京電力は5日、新潟県中越沖地震を引き起こした断層の可能性が指摘される「FB断層」について、柏崎刈羽原発の設置許可申請当時(88年)の見解を改め、「活断層である」と認める内容の報告書をまとめ、経済産業省の作業部会で報告した。東電は03年に、この断層が活断層である可能性を既に認識していたというが、中越沖地震を受けて活断層と断定した。電力会社が活断層の評価を完全に撤回し、公表するのは極めて異例だ。

 東電によると、設置許可申請時、文献調査や海上音波探査などからFB断層は長さ7~8キロで、地形が複雑に変形した「しゅう曲構造」はあるが、5万年前以降の地層をずらしていないため、活断層とは評価していなかった。ところが00年に、しゅう曲構造と活断層の関係を認める論文が専門家から出されたため、国の指示で再評価した結果、FB断層は長さ20キロの活断層である可能性があるとの文書をまとめ、03年に国に提出した。中越沖地震を受け、海域の音波探査を詳細に実施したところ、長さ約23キロの活断層であると断定した。

 03年当時、FB断層が活断層である可能性を公表しなかったことについて、東電は「FB断層を活断層として評価しても、原発の耐震基本設計に影響を与えないとの結果が出たため、あえて公表しなかった」と話している。【河内敏康】

 ▽渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)の話 しゅう曲構造があるにもかかわらず、地層をずらしていないとの理由から活断層でないと評価するのはかなり特殊な見方で、あり得ない。80年当時の文献でもしゅう曲構造と活断層の関係を認めているのに、なにを今さらといった感じだ。同じ理屈で他の原発でも見落としがあるかもしれないので調べ直すべきだ。

 ◇耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態

 新潟県中越沖地震の震源だった可能性が指摘されている海底の断層について、柏崎刈羽原発建設時に「活断層でない」としていた東京電力が、活断層だったことを認めた。活断層の過小評価は、耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態だ。

 活断層が過小評価されていた例は他にもある。今年3月の能登半島地震では、北陸電力が三つに分かれているとしていた断層が一体となって動いて発生した。同社はこのうち1本については「活断層ではない」としていたが、専門家からは「通常なら1本のつながった活断層として評価する」との声が上がっていた。中国電力島根原発を巡っても、同社が長さ10キロとする原発近くの宍道断層について、広島工業大の中田高教授が「長さは20キロ」との調査結果を発表している。

 毎日新聞が昨年、全国の原発周辺にある活断層のうち、国の地震調査研究推進本部(推本)の調査対象になった17断層について、電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定地震を小さく見積もっていた。柏崎刈羽原発に近い長岡平野西縁断層帯についても、推本の調査ではマグニチュード(M)8の巨大地震が想定されたが、東京電力の想定はM6.9だった。

 原発が想定外の揺れに襲われる事態は、東北電力女川原発で03年と05年の2回、能登半島地震で志賀原発、中越沖地震で柏崎刈羽原発と、既に4回に達した。各電力会社は今、昨年9月に改定された国の原発の耐震指針に基づき、耐震性のチェックを進めているが、活断層の過小評価を繰り返すことは許されない。十分に安全側に判断して耐震性の評価を進めない限り、国民の原発の耐震性への不安は解消できない。【鯨岡秀紀】

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2007年11月28日 (水)

柏崎刈羽7号機の地震応答解析試算について-強引に許容値以下に収めるのはやめて設計時と全く同等な評価で判断せよ

11月28日に行われたマダラメ委員会下にある設備健全性評価ワーキンググループのサブワーキンググループの第2回会合で,東京電力は柏崎刈羽7号機について,「地震応答解析の試解析結果について」という資料を提出しました。試解析からわかることは,弾性限界の許容値と比較した場合には,中越沖地震により機器や配管に発生した応力は,許容値を超えてしまうのが必至であることと,東電はそれを「詳細解析」というマジックを使って,許容値以下になんとかかんとかねじ込もうとしていることです。他号機を含めた本格的な解析と評価は来年6月までかけるとのことです。

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9月の概略影響評価との違い

7号機の試解析をみると,9月に電力各社が他の原発や再処理工場で行った「概略影響検討」と異なる点がいくつかあります。9月が建屋基礎の応答スペクトルだけですべてを代表させていたのに対し,各階の観測記録を用いている(地震計がない階については解析したもの)こと,応答倍率の簡易評価だけでなく,詳細な解析評価を行っていること,それから決定的な違いは,機器や配管が破損,破壊してしまう限界点に対応した許容値ではなく,弾性限界の許容値と比較していることです。

原発の耐震設計では設計用最強地震から策定したS1と設計用限界地震から策定したS2の2つの基準地震動が用いられます。これらに対応する許容値は考え方が異なっており,S1に対しては,弾性限界の範囲内にあり,機器や配管が変形しても元に戻ることを要求しています。これは地震後に原発を再使用することを念頭においているのだと思います。鋼材では,弾性限界は降伏点とよばれ,これがそのまま,S1に対応する許容値となっています。これに対し,S1を上回るS2は,およそ起こり得ないが想定だけしておこうという地震動であり,これに対しては,弾性限界をこえて塑性領域に入り,機器や配管が元に戻らない変形やひずみを起こすことを許し,それでも破損や破壊まではいたらず,放射能の閉じ込め機能が維持されることを要求しています。許容値もS1に対する許容値より
も大きく(緩く)なっています。鋼材では,材料が延性破壊を起こす終局点の3分の2の値で定められています。

9月の評価で電力各社は,柏崎刈羽原発以外の原子力施設について,破損や破壊を引き起こす限界に対応した許容値以下であるかどうかが問題にしました。しかし,柏崎刈羽原発では再使用が問題になっていますので,比較する相手は,弾性限界の許容値です。

許容値以下にねじ込もうと必死

Sisan1

今回東電が出してきた試解析からわかることは,弾性限界の許容値と比較した場合には,中越沖地震により機器や配管に発生した応力は,許容値を超えてしまうのが必至であることと,東電はそれを「詳細解析」というマジックを使って,許容値以下になんとかかんとかねじ込もうとしていることです。ねじ込もうと必死になっていることが伝わるのが,資料の6ページ目にある図です。左からたどると,まず応答倍率法による簡易評価を行う,それでも許容値を超えてしまったら,設計時と同等な評価を行う,それでも許容値を超えてしまったら減衰定数をいじって小さくしてしまう,それでも収まらなかったら時刻歴解析を行って小さくしてしまう,それでも収まらなかったら解析コードをいじって小さくしてしまう…と続きます。常識的に考えれば,2番目の設計時と同等な評価を行って許容値を超えてしまったらその時点でアウトとすべきでしょう。

逆に許容値を超えたことが明らかに

Sisan2

では7号機の試解析の結果はどうだったのか。東電が今回評価した対象は,9月と同様に原子炉圧力容器,炉心支持構造物,残留熱除去系配管,残留熱除去系ポンプ,主蒸気配管,原子炉格納容器の6か所しかありません。再循環系配管の分岐部やノズル部はありません。結果をみると,どれも算出応力は弾性限界の許容値を下回っており,OKに見えます。7号機は7機の中では最も揺れは小さく,水平方向については,S2による設計値とほとんど変わりません。上下動については,設計を大きく超える揺れが観測されています。特にきびしいのが配管系です。評価結果の表をよくよくみると,残留熱除去系配管と主蒸気系配管については,評価B2となっており,脚注をみると,「減衰定数は試験研究等により妥当性が確認された値を適用」とあります。すなわち設計時と全く同等な評価ではないのです。これは先ほどの6ページ目の資料と比較すると,設計値と全く同等な評価を行ってダメだったから次の段階に進んだということであり,すなわち,設計時と全く同等な評価では許容値に収まらないということを意味します。

設計時と全く同等な評価で判断せよ

「減衰定数」をいじって許容値以下に収めるというのは,中部電力も浜岡原発の新指針対応評価で使った手です。このようにして強引に許容値以下に収めようとしています。それでも収まりきらない場合は補強工事で再使用の道をさぐろうとしています。昨日の会合でも小林英男氏は補強工事を積極的に行うようにと発言していました。

今後,7号機よりも大きな揺れを観測した1~4号機を含め,解析を行うとのことですが,私たちとしては,設計時と全く同等な評価を行うこと,それにより少しでも弾性許容値を超えた場合は,強引に収めるようなことはやめ,その時点でもう再使用しないとすることを要求したいと思います。

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2007年11月26日 (月)

中越沖地震により炉内構造物に生じた発生応力が弾性限界を超えた-耐震計算書の考察(2)-

東京電力の耐震計算書から、中越沖地震により、炉内構造物(シュラウド)に生じた発生応力が、弾性限界を超えている可能性が明らかになりました。この件について、3ページの説明資料を作りました。ファイルは図表が入っていますのでこちらをご覧ください。

ファイルのダウンロードはこちら

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中越沖地震により炉内構造物に生じた発生応力が弾性限界を超えた
柏崎刈羽原発の多数の安全上重要な機器・配管に変形・ゆがみが生じたことを示唆
-東京電力柏崎刈羽原発3号機耐震計算書の考察(2)-

2007年11月26日
福島老朽原発を考える会

 中越沖地震では,基準地震動S2を大きく超える揺れが柏崎刈羽原発を襲った。焦点の一つはこれが許容値を超えたかどうかである。許容値には2種類あり,一つが弾性限界を示すもの(以下「弾性限界の許容値」という),もう一つが施設の機能に影響を及ぼす過大な変形,亀裂,破損に至る限界に対応するもの(以下「破損限界の許容値」という)である。「弾性限界の許容値」を超えると,機器や配管が変形し,ゆがみが生じている可能性が出てくる。「破損限界の許容値」を超えると,機器や配管が破損する可能性が出てくる。少なくとも「弾性限界の許容値」を超えた時点で,原発の再使用はまかりならんということになるだろう。

 私たちは,東京電力に対し柏崎刈羽原発の耐震設計の詳細設計資料(3号機の工事計画認可申請書のうち建屋や機器・配管関係の耐震性についての計算書等)の公開請求をしている。その一部(原子炉建屋とタービン建屋の耐震性についての計算書)については閲覧が可能になったが,機器・配管関係の耐震計算書は未だに公開されていない。しかし,原子炉内にあり,燃料を取り囲むように設置された炉心シュラウドと呼ばれる炉内構造物の耐震計算書については,2001年(東電原発不正事件の1年前)に福島第二原発3号機のシュラウドひび割れ問題が発生したときに,経済産業省系の原子力公開ライブラリから入手していた。(工事計画認可申請書は,かつて公開されていた時期があったが,電力会社の要請により,再び非公開になったという。)これを改めて検討したところ,炉心シュラウドの下部銅では,中越沖地震によりこの部分に発生した発生応力が,弾性限界を示す許容値を超えていることが明らかとなった。再循環系配管や主蒸気系配管など他の安全上重要な機器・配管についても,「弾性限界の許容値」を超えていた可能性が十分にある。柏崎刈羽原発を再使用することは機器・配管の安全管理上も許されない。

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2007年11月15日 (木)

柏崎刈羽原発の解放基盤表面での地震波(はぎとり波)は地中のおよそ2倍

東京電力がようやく一部公表した耐震計算書に,柏崎刈羽原発の解放基盤表面での地震波(はぎとり波)が同じ深さの地中の地震波のおよそ2倍であることを示す資料が見つかりました。中越沖地震による最大加速度が1000ガルを大幅に超えるのは必至ではないかと思い,4ページの説明資料を作りました。ファイルは図表が入っていますのでこちらをご覧ください。

ファイルをダウンロード

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柏崎刈羽原発の解放基盤表面での地震波(はぎとり波)は地中のおよそ2倍
中越沖地震による最大加速度が1000ガルを大幅に超えるのは必至!
-東京電力がようやく一部公表した耐震計算書より明らかに-

2007年11月15日
福島老朽原発を考える会

 東京電力本店原子力情報コーナーを通じ,8月9日付けで柏崎刈羽原発の耐震設計の詳細設計資料(3号機の工事計画認可申請書のうち建屋や機器・配管関係の耐震性についての計算書等)の公開請求をしていたところ,10月30日にその一部(原子炉建屋とタービン建屋の耐震性についての計算書)の閲覧が可能になったとの連絡を受けた(機器・配管関係は年内をめどにとのこと)。開示された資料の閲覧,コピーに出向いたところ,原子炉建屋の耐震性についての計算書から,柏崎刈羽原発における解放基盤表面における地震波が,同じ深さの地中における地震波のおよそ2倍となることを示す資料が見つかった。

 耐震設計では,基準地震動S1,S2を解放基盤表面に入力する。解放基盤表面とは,原発敷地において一定以上の固さをもつ地中の地盤の上部を仮想的にはぎとった表面であり,この表面における地震波を「はぎとり波」という。原発の耐震設計における地震動の想定の妥当性を確認するためには,この「はぎとり波」と基準地震動を比較しなければ意味がない。中越沖地震により柏崎刈羽原発では,1号機の原子炉建屋の基礎で最大加速度680ガル,1号機の解放基盤表面とほぼ同じ深さの地中で993ガル,より浅い地中で760ガルおよび867ガル,サービスホールの地中で728ガルといった値が観測されている。今回公開された資料は,このような観測結果から「はぎとり波」を作成すると,最大加速度が1000ガルを大幅に上回ることを示唆している。

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2007年10月27日 (土)

浜岡原子力発電所運転差止敗訴判決に関する原告団・弁護団声明

浜岡原子力発電所運転差止敗訴判決に関する原告団・弁護団声明

2007年(平成19年)10月26日

浜岡原子力発電所運転差止事件原告団・弁護団

 本日、静岡地方裁判所民事第1部(宮岡章裁判長)は、中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機、2号機、3号機および4号機の運転差止め事件について、原告の主張を全面的に排斥する判決を言い渡した。
 この判決は、地震大国日本において原発を設置運転することがいかに危険であるかについて、あえて目をつぶった極めて不当な判決である。巨大な東海地震の発生が極めて切迫していることは確実なことであり、そのとき浜岡原発が重大な事故を起こし、原発震災、すなわち巨大地震と原発重大事故の同時発生の状態となり、日本国民の生命身体に重大な被害が発生したとき、裁判所はどのようにして責任をとるのであろうか。
 私たち原告団・弁護団は、この原発震災の発生をくいとめるために、今回の不当判決に屈することなく、即時に控訴し、勝訴、原発運転差止めを勝ち取るまで戦うことを宣言する。

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2007年10月25日 (木)

福島県へ東電の「概略影響検討」と活断層評価について要請

柏崎刈羽原発における観測データによる福島第一・第二原発の概略影響検討結果報告書及び東京電力の活断層評価に関する要請書

福島県への要請書をダウンロード

2007年10月25日
福島県知事 佐藤 雄平様

脱原発福島ネットワーク
みどりと反プルサーマル新潟県連絡会
ストップ・ザ・もんじゅ東京
福島老朽原発を考える会

 東京電力は,9月20日に「柏崎刈羽原子力発電所における観測データを基に行う原子力発電所の主要施設への概略影響検討結果報告書」を提出し,「検討の結果からは,福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所の「止める」「冷やす」「閉じ込める」ための安全上重要な設備において,安全機能は維持されるものと考えております。」と結論しています。しかし,この検討では,適切ではない地震動を敢えて入力しています。また限られたやり方にしろ,その結果は,安全性が確認されるものではなく,それどころか福島第一および第二原発が,地震に対して非常に脆弱であり,危険な機器や配管が数多く存在することを示しています。
 また,中越沖地震についての専門家の調査により,東京電力がこれまで行った海底活断層の評価において「値切り」を行っていた事実や,原発立地地域の地殻変動評価を誤っていた事実が明らかになっています。東京電力の活断層評価は全く信用ができません。

1.「概略影響検討」では適切でない地震動を検討している

 東京電力は,柏崎刈羽原発の基礎版上で観測された床応答スペクトルを福島第一および第二原発の基礎版上の設計用の床応答スペクトルと比較検討しています。しかし柏崎刈羽原発の場合,基礎版と岩盤の間には200メートル以上の軟岩層があり,基礎版での観測された地震波は岩盤から減衰している上に,応答スペクトルは長周期側に卓越した形をしています。原発ごとの地盤の特性の違いを考慮するならば,耐震設計審査指針のやり方に従い、原発の基礎版上から出発するのではなく,岩盤の解放基盤表面における地震動から出発して検討すべきです。中越沖地震により,柏崎刈羽1号機の解放基盤表面に近い地下250メートルでは最大加速度993ガルが観測されています。解放基盤表面のはぎとり波は1000ガルを超えているでしょう。これの詳しい記録はメモリ不足で失われたとされていますが,東京電力は,サービスホールでの観測データや余震データを用いて,解放基盤表面の応答スペクトルを再現するとしています。これを福島第一および第二原発の解放基盤表面に入力し,それから基礎版上や各階の床応答スペクトルを導くのが原則的な方法ではないでしょうか。
 また,地震により機器や配管に生じる力等の応答値を知るには,その機器や配管のある階の床応答スペクトルについて検討が必要ですが,東京電力が今回行った評価はすべて,基礎版上の床応答スペクトルを用いています。その意味でも,今回の検討結果は信頼に足るものではありません。

2.福島第一・第二原発の地震に対する脆弱性が明らかに

 「概要影響検討」の限られたやり方からでも,福島第一および第二原発が地震に対し非常に脆弱であることが示されます。
 多くの機器・配管で,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値が,福島第一および第二原発のS2による応答値を上回りました。M6.8の中規模地震による揺れが,万が一のために想定した設計用限界地震から策定したS2の応答値をあっさりと上回ったことは,耐震評価の根本が崩れたことを意味するのではないでしょうか。
 さらに,検討結果によると,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値が,機器・配管が破損する限界であるS2許容値に迫るものも多く見られます。しかも,福島第一および第二原発の場合,β(=S2許容値/S2応答値)の算出にあたり,地震力だけをとりだして比をとっている機器・配管がいくつもあります。他の原発ではこのようなことは行われていません。これを他の原発と同様のやり方で計算し直すと,α(=柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値/S2応答値)がβ(=S2許容値/S2応答値))を上回ってしまいます。東京電力はこれを避けるために,他の原発とは異なる計算方法を用いているのです。
 例えば福島第二4号機の主蒸気系配管は,βの算出にあたっては地震力だけで比をとった旨の注意書きがあり,α=2.51,β=3.27となっています。ここから,観測値が許容値を下回っていると評価しているのですが,これを他の原発と同様に,地震力以外の力も含めた形で比をとると,α=2.51,β=2.16となり,逆転してしまいます。
 このような箇所が他にもあり,しかもやり方を変えて計算しても,柏崎刈羽原発の基礎版上での応答値がS2許容値に接近しているのです。このことは,福島第一および第二原発が,地震に対し非常に脆弱であることを示しています。「安全余裕」などないのです。しかも東京電力が検討した部位は限られています。最も脆弱といわれる再循環系配管は検討の対象にはなっていません。現実には,許容値を上回る機器・配管が数多く存在するのではないでしょうか。
 また制御棒の挿入性については,福島第一1~5号機において、αがβを上回り,ステップ1において,許容値を上回ったという結果が出ています。柏崎刈羽原発7号機では,地震後の点検の際に,制御棒が抜けなくなるという事態が発生しています。

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(表はクリックすると大きくなります)

3.東京電力の活断層評価は全く信用できない

 東京電力は,中越沖地震を受けて,活断層の再調査と再評価を行うとしています。しかし,その前に問題とすべきは,東京電力がこれまで行った活断層評価において「値切り」を行っていた事実とその責任です。
 中越沖地震を起こしたとされる海底活断層について,中田広島工大教授ら変動地形学の専門家は,柏崎刈羽原発の沖合に36kmにも及ぶ海底活断層があるとし,これが,「東電の設置許可申請書(公開版)に掲載された資料から容易に推定されるものであるが、原発設計時には全く考慮されていなかった。」としています。東京電力は1980年頃に行った調査によりこの活断層を見つけていましたが,4つに切り刻んだ上で,長さ約1.5~8kmに縮め,評価対象から外していました。東京電力は,9月20日に行われた市民との交渉の場で,「1980年の当時は,しゅう曲やとう曲から活断層を推定する知見がなかった」と述べています。しかしこれを専門家に聞くと誰もが否定します。評価の対象外となる8km以下に故意に切り縮めたとしか考えられません。1994年に刊行された佐渡南方海洋地質図(地質調査所)では,この活断層の長さを25kmと評価し,東京電力はこれを2000年に認識していましたが,再調査を怠り,原子力安全委員会も指示を出しませんでした。
 また,陸域については,原発敷地での隆起と周辺の沈降が確認され,活しゅう曲の成長が確認されていますが,東京電力はこのしゅう曲を,最近では新指針に対応するため昨年からはじまった調査で再確認したばかりですが,しゅう曲は活しゅう曲ではない,「12~13万年前に形成された安田層以降の構造運動はない」と,9月20日の交渉の場でも断言していました。このような東京電力による活断層評価を信用することはできません。
 福島第一および第二原発で問題となる双葉断層について,東京電力は約70kmのうち,北側18kmしか活断層と認めていません。しかし東京電力が切り捨てた南端部で第二原発から近くでもM6.8の地震が記録されています。双葉断層が全面的に再活動すれば,計算上M7.9の大地震が発生するとされています。福島県沖の海底活断層についても「値切り」が行われている可能性があります。福島県沖地震は,M7.2~8.4の大きな規模で繰り返し発生しています。

 以上を踏まえ,以下の事項につき要請いたします。

要 請 事 項

1.9月20日付「概略影響検討結果報告書」は適切でない地震動による検討であるため,柏崎刈羽原発の解放基盤表面における地震動を用いて評価をやり直すよう,東京電力に要請してください。

2.限られた手法に基づく結果でも,福島第一および第二原発の多くの機器・配管において,柏崎刈羽原発での観測値が,S2の応答値を上回ったことは,従来の耐震評価の根本が崩れたことを意味します。直ちに原発を止めて福島第一および第二原発の耐震安全性評価をやり直すよう東京電力に要請してください。

3.限られた手法に基づく結果でも,福島第一および第二原発において,柏崎刈羽原発での観測値が,破損の限界を意味するS2の許容値に迫る機器・配管が存在し,検討部位が限られていることから,現実には許容値を上回る機器・配管が存在する可能性が示されました。このような機器・配管を持つ原発を直ちに止めるよう東京電力に要請してください。

4.東京電力の活断層評価は全く信用できません。再調査,再評価の前に,過去の活断層の「値切り」について事実関係と責任を明らかにさせてください。双葉断層や原発周辺および福島県沖の海底活断層の調査と評価については,原子力に関係しない機関が行うようはたらきかけてください。

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2007年10月22日 (月)

浜岡裁判勝訴直前集会に報道陣30人

21日に行われた浜岡原発裁判勝訴直前集会にご参加いただきありがとうございました。集会には50名近くの方にご参加いただいたのですが,その他に新聞記者やテレビクルーなど報道関係者が30名近く来場して,おかげで賑やかな集会となりました。

テレビはTBSと静岡朝日放送の2社。TBSは集会終了時の17時のニュースに早速流れていました。以下はTBSのWebにあがっていたものです。判決は26日です。

1021tbs

浜岡原発訴訟、判決控え原告団が集会

「東海地震の想定震源域にある、中部電力・浜岡原子力発電所に対し、運転の差し止めを求めている訴訟の原告団が、今月26日の判決を前に東京で集会を開きました。
  静岡県御前崎市にある浜岡原発は、東海地震の想定震源域の真ん中にあり、裁判では、国が想定した東海地震のモデルや耐震設計の妥当性などが大きな争点となっています。
 21日の集会には原告団の市民や弁護士ら50人ほどが参加、「中越沖地震はM6.8で柏崎刈羽原発が被害を受けたが、東海地震はM8程度が想定されている」「複数の個所でトラブルが同時に起きる事態の安全性が想定されていない」などと訴えました。
 静岡地裁の判決は今月26日の「原子力の日」に言い渡されますが、今回の裁判は同時に仮処分の決定も出されるため、決定の内容次第では、判決の確定を待たずに原発の運転が止まる可能性もあります。(21日16:34) 」

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浜岡原発裁判判決の注目点

21日の集会した資料から,ふくろうの会でまとめた判決の注目点です。

浜岡原発運転差止訴訟判決の注目点

1.被告の想定を超える地震・地震動が発生しうるか?

■安政東海地震を想定すれば十分か?
・安政東海地震がこの地域の最大の地震であるとの認識の妥当性
・安政東海地震の記録についての疑義(佐倉の震度5)
・超東海地震の発生の可能性

■想定東海地震による地震動がS2及びSSを上回る可能性
・枝分かれ断層が動く可能性
・震源の深さは被告の想定(20km)よりも浅いこと
・アスペリティが原発直下に存在する可能性

…被告は,震源の深さが想定よりも浅い15kmになる可能性,アスペリティが原発直下に存在する可能性,アスペリティの大きさが想定よりも大きくなる可能性を認め,それぞれについて,バックチェック報告書にて検討している。それによると,震源の深さを20kmから15kmにすると地震動は約1.3倍に,アスペリティを原発直下に移動すると地震動は約1.5倍になる。しかし両方が生じた場合についての検討は行わず,アスペリティの移動だけを評価している。両方を考慮すると地震動は約2倍になる。アスペリティの応力降下量のばらつきについても被告は検討しているが評価から外している。

・断層モデルの不十分性
…経験的グリーン関数法で採用した地震記録は本来使えないもの
…パラメータのばらつきの問題等

2-1.想定東海地震による発生応力が許容値を超えるか?

■想定東海地震において想定すべき地震動の大きさ
…原告は以下の3つの理由をあげて,想定東海地震については,重要機器の固有周期が集中する0.1~0.3秒の領域における応答スペクトルの加速度を少なくとも3000ガルにすべきだと主張している。

① 中央防災会議モデルの工学的基盤における応答スペクトルの加速度について,興津川上流のアスペリティの直上ではこの固有周期領域で3500ガル程度,原発に近い藤枝・島田のアスペリティの直上ではこの固有周期領域で3000ガル程度となっている。アスペリティの直上ではこの程度の加速度が発生する可能性があることを示唆している。

② 被告がバックチェックでおこなった検討により,震源の深さを20kmから15kmとすることによる影響(地震動は約1.3倍)とアスペリティを原発直下に持ってくることによる影響(地震動は約1.5倍)を同時に考慮すると,地震動は1.3×1.5=約2倍となる。被告がS1の策定にあたり,安政東海地震の地震動について想定した加速度は,この固有周期領域においてS1とほぼ同等の1500ガルであるが,これの約2倍とすると約3000ガルとなる。

③ 被告がバックチェックで行った超過確率の評価によると,耐震設計技術指針等が要求する10の-4~-5乗レベルのハザードスペクトルは,この固有周期領域で約3000ガルとなる。

…その場合には,S2(2000ガル),SS(2000ガル),耐震裕度向上工事で用いた目標地震動(2700ガル)を上回る。

■重要機器における発生応力がS2許容値(破損限界)を上回る可能性
…比例計算では,3号機の再循環系配管66番については,固有周期が0.1~0.3秒における応答スペクトルの加速度が,2400ガルで1系統においてS2許容値(破損限界)を超え,2700ガルで両系統においてS2許容値(破損限界)を超える。
…比例計算では,3号機の主蒸気系配管SWEEPOLETについては,固有周期が0.1~0.3秒における応答スペクトルの加速度が2400ガルで許容値(破損限界)を超える。
…1・2号機についても,S2による発生値とS2許容値が近い部位が存在する。

■重要機器における発生応力がSS許容値(破損限界)を上回る可能性
…比例計算では,3号機の再循環系配管については,固有周期が0.1~0.3秒における応答スペクトルの加速度が,2500ガルでSS許容値(破損限界)を超える。

■減衰乗数が操作されている問題

2-2.許容値を超える「安全余裕」を認めるのか?

■許容値を超える可能性がある場合に直ちに停止すべきか?
…被告は,許容値は小さめにしてあり「安全余裕がある」と言うが,それは「余裕」ではなく,解析の不確かさ等から必要な安全代である。安全率について誤った認識をしている。さらに多度津における,一度の,実物でない実験により,機器・配管は想定の10倍近くまで耐えるとする被告の主張は危険なもの。安全性をなんら保証するものではない。

3.老朽化が耐震安全性に及ぼす影響

■SCC管理の不十分性
・SCCは現に多発し発生は不可避である。
・SCCはまだ未解明であり,進展予測には信頼性がない。
・SCCの測定には誤差があり,正確な把握ができない。

■減肉管理の不十分性

■維持基準に基づくひび割れ放置運転の危険性

…耐震設計は新品同様を前提としており,老朽化を考慮していない。
…SCCや減肉,疲労等の老朽化が「安全余裕」を切り縮め,原発の耐震安全性に影響を及ぼす可能性がある。

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2007年10月 4日 (木)

地震時の原発の停止操作…多重故障により大混乱の現場

10月2日に柏崎市で行われた設備健全性WG第2回会合では,委員による視察も行われました。発電所の見学の他に,発電所内にあるBWR訓練センターにおいて,2号機と4号機の当時の中央操作室の状況を再現するということも行われました。その後の会合での委員の発言や配付資料から,原子炉はすんなり止まったわけではなく,原子炉の冷却の過程で,機器の多重故障が起こる中で,相当の混乱状態にあったことが伺えます。

2号機で原子炉浄化系のポンプが一時止まり水位の上昇が続いた問題では,あのまま上昇が止まらずに続き,主蒸気管まで水位が達したら,逃し安全弁による冷却ができなくなってしまう,その場合には,冷却の手段が完全に失われるのではないか,その点どのように評価しているのか,との質問がありましたが,保安院は答えられませんでした。次回の宿題ということになりました。(以下は2号機の原子炉水位挙動:東電の資料より)

2goki

当日の資料で低圧炉心スプレイ系を起動した2号機の水位の上昇について、当直員の証言が掲載されています。

「スクラムの後、原子炉冷却材浄化系ポンプがトリップしたため炉水をブローダウン(液体廃棄物処理系に流すこと)できなくなり、制御棒駆動機構系統からの冷却水の流入により原子炉水位が上昇し、停止時水位計で2500ミリとなり、主蒸気配管に冠水する懸念があったため、主蒸気隔離弁全閉操作を実施した。」

「主蒸気隔離弁を全閉して、逃し安全弁で減圧操作したため、炉水の全体量が減少するため、原子炉の水位が下がるのを防止する観点から低圧炉心スプレイ系ポンプを起動し注入弁を全閉して炉水位を調性した。原子炉の水位がL8まで上がってしまい、隔離時冷却系が起動できない状態だった」

「タービンバイパス弁を10%開したところ、減圧沸騰により原子炉水位が急上昇」

「水位の調整に難儀していることが確認された」

「当直委員のAとBは、非常に激しい揺れだったので、制御棒の引き抜き操作を実施していた主盤にしがみついて揺れに耐えた」

また,4号機については,ボイラーの故障のせいで,3号機と4号機は同時に冷却することができず,究極の選択で,破損の大きい3号機を優先し,4号機は3号機の冷却が終わる翌朝まで順番待ちをしていたのですが,その判断についても是非が議論になっていました。浜岡で心配されている東海地震のように,大きな規模の余震が何度も発生する地震では,考えられない措置だと思います。(以下の図は上が3号機,下が順番を待った4号機の温度挙動,100度を下回ったのは翌朝6時になっていた:東電の資料より)

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複数の委員が強調していたのが,地震による多重故障を想定した訓練が行われたいないことの問題でした。何をいまさらという気もするのですが,単一故障の想定だけを義務づけている安全審査の基本的な考え方に疑問が呈されています。この日保安院が案を示した「地震発生時の安全確保の評価結果(震災直後の運転管理)」には以下の記述があります。

「地震を起因事象とした原子炉スクラムの訓練及び地震時の機器故障を想定した訓練は実施されている。具体的には,地震を起因として機器の単一故障を想定した訓練(例:地震により,制御棒が1本抜けた場合)であり,多重故障を想定した訓練は,実施しているが,今回の地震による原子炉スクラム発生後,複数の機器故障や機器操作判断が発生する多重故障(地震発生,原子炉スクラム,所内ボイラトリップ)についての訓練は実施されていない。代替冷却方法,水位確保の方法等,当直長の判断に係る訓練は実施されていない。」

以下は電気新聞から

「東芝、日立製作所、BWRを採用する電気事業者が出資するBWR運転訓練センターの新潟センターを訪問。センター職員4人が柏崎刈羽4号機の中央制御室を模擬したシミュレーターを使用し、2、4号機の地震発生直後の対応を再現した。WGのメンバーらは、アラームが鳴り響くなか、運転員がどのように対応したかを実際に近い形で体感した。」

「一方、会合では地震発生時の安全確保の評価結果として、震災直後の運転管理の考え方をまとめた。関係者のインタビューなどの調査も踏まえ、まずは安全機能が確保された点を評価。今後の教訓として、多重故障を踏まえた運転員の訓練のほか、非常時の人員を考慮した当直体制の整備や強化を指摘した。」

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マダラメ委員会健全性評価WGの危ない性格-第2回会合

10月2日マダラメ委員会(政府の地震調査委員会)の下にある管理運営・設備健全性評価WGが柏崎市で行われました。会合は11時から12時までと,視察を挟んで16時から17時までの2回に分けて行われました。今回の会合には,問題の小林英男氏は参加していなかったのですが,前回の彼の質問と保安院の回答が文書で示されました。このWGの危ない性格が現れていると思いますので以下にご紹介します。

問 経験した地震に対して,機器が実力としてどのような挙動をしたか,どのような応答をしたかについて確認する必要がある。どうして耐えたのか,塑性化すると強度は増す。規格にとらわれない実力値で評価するといった新しい視点をいれた評価を期待する。その結果が耐震基準,設計基準に役に立つ。(小林委員)

答 外観上特に損傷が認められない機器について,地震による応答が認可された工事計画上の耐震設計における許容応力を超える場合には,ご指摘のとおり,機器の実力としての評価を行う必要があると考えている。

柏崎刈羽原発では,S2の設計値を超えた揺れが観測されたのですが,許容値を持ちだして「安全余裕」に逃れるばかりか,許容値を超えて塑性変形の可能性があっても「実力」があるとして,再使用への道筋をつけようとしています。昨日の会合では,東電が再使用を考えながら点検していると言うと,保安院が,点検・評価と再使用問題は分けて議論したいと切り返す場面がありましたが,再使用をにらんでいることには変わりありません。

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2007年9月21日 (金)

福島第一・第二原発は安全余裕なし!-中越沖地震観測値を使った確認結果について東電と市民とが交渉

9月20日,東電本社で市民との交渉が行われました。同時に,中越沖地震の柏崎刈羽原発での観測波を各地の原発,もんじゅ,再処理工場などに入力した際の確認結果が一斉に公表されました。

▼東電が福島第一・第二原発に中越沖地震の観測値を使って行った確認作業は以下の3つです。これは全国の原発,もんじゅや六ヶ所再処理工場などの原子力施設で同様に行われ,昨日公表されています。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/07092002-j.html

*****************************
■ステップ1-その1

各原発で耐震設計で用いた設計用地震動S2による原子炉建屋の基礎マットでの床応答スペクトルに,柏崎刈羽1・4号機で観測された基礎マットの床応答スペクトル(1・4号機の南北・東西を包含させて一つにしたもの)とを重ね書きし,その上で機器や配管の固有周期について,

 α=観測値/S2による応答値(応答加速度のスペクトル比)

を算出。αが1を超えると,柏崎刈羽原発での応答加速度がその原発のS2による応答加速度を上回ることになる。

■ステップ1-その2

αが1を超えた場合は許容値と比較する。許容値には,弾性限界を超えて変形を起こすかどうかが問題となるS1許容値と,破壊が問題になるS2許容値の2つがあるが,今回の確認作業で使ったのはS2許容値の方。まず,対象施設のS2による応答値(機器や配管は発生応力,制御棒は最大振幅)と破壊限界に対応するS2許容値について比をとる。

 β=S2許容値/S2による応答値(発生応力の比,制御棒は最大振幅の比)

これをαと比較し,α>βであれば,観測値がその原発におけるS2許容値を上回ることになる。

■ステップ2

α>βとなった場合,対象施設ごとに個別検討を実施する。
*****************************

▼ステップ1,2は報告書にある表現です,ステップ1の中にさらに二つのステップがありややこしいので勝手にその1,その2としました。本来ならステップ1,2,3にすべき所でしょう。東電には文句を言っておきました。

▼確認の対象施設は,原子炉圧力容器(支持構造物),炉心支持構造物(シュラウドサポート),残留熱除去系ポンプ(基礎ボルト),残留熱除去系配管(配管本体),主蒸気系配管(配管本体),原子炉格納容器(ドライウェル),原子炉建屋(耐震壁),制御棒(挿入性)の8箇所となっていました。再循環系配管はなぜないのかと聞いたのですが,その場で回答はありませんでした。

▼福島第一・第二の場合,他の原発と比べても確認の結果は厳しいものになっています。制御棒(挿入性)については,福島第一1~5号機でステップ2まで進んでいます。ステップ2では詳細な検討で応答値(最大振幅)を算出し直し,それと許容値を比べてOKにしています。

▼他の機器・配管も,ほとんどがステップ1-その2まで進んでいます。そこでα<βだからOKとなっています。しかし,ホントにぎりぎりのものが多々あります。以下がその例です。

 福島第一2号機 残留熱除去系ポンプ α=2.62 β=2.71
 福島第一2号機 主蒸気系配管    α=1.51 β=1.54
 福島第一3号機 残留熱除去系ポンプ α=2.99 β=3.03
 福島第一3号機 原子炉格納容器   α=2.99 β=3.16
 福島第一5号機 残留熱除去系ポンプ α=2.82 β=3.00
 福島第二2号機 残留熱除去系配管  α=2.67 β=2.89
 福島第二3号機 炉心支持構造物   α=2.65 β=2.78
 
▼ここら辺は,破壊が問題となるS2許容値との間にほとんと隙間がありません。この計算では,ひび割れや減肉などの老朽化の影響は全く考慮されていませんから,破壊に至る可能性があると見てもいいでしょう。それに変形を引き起こす弾性限界に対応するS1許容値は,とっくに超えているはずです。

▼さらに数値をよく見ると,β=許容値/応答値 の算出に当たって,地震力だけをとりだして比をとっているものがありました。地震力だけで比較すること自体は,おかしなことではないと思いますが,これを他の機器と同じように地震力以外も含めて比をとるとα>βとなりますから,αをβの中に強引に押し込めるための措置にみえます。例えば,福島第二4号機の主蒸気系配管は,βの算出については,地震力だけで比較したとの注意書きがあり,

 α=2.51 β=3.27

でセーフとなっていますが,他の機器と同様に,地震力以外の力も含めて比をとると,

 α=2.51 β=2.16

と逆転してしまいます。

▼交渉の場では,上記のように余裕のないものが多々ある以上,福島第一・第二原発についても直ちに止めるよう口頭で要請しました。

▼さらに,今回の確認に用いた観測値が,解放基盤表面のものではなく,基礎マット上のものであることの問題についても議論しました。
 柏崎刈羽の基礎マット上の観測値は,柏崎刈羽原発の地盤の特性の影響を受けてしまっています。他の原発の場合,それぞれの地盤の特性を考慮するためには,基礎マット上のものではなく,さらに地下深い解放基盤表面での値を使わなければ意味がありません。特に柏崎刈羽の場合は,昨日東電から受けた説明によると,地盤がやわらかく,解放基盤表面が他の原発よりも深いので,減衰効果により,基礎マットでの揺れが地下深くの観測値に比べて小さくなっているというからなおさらです。他の原発が中越沖地震と同様の地震に襲われた場合,解放基盤表面でのより大きな揺れが,ほぼそのまま建屋を襲う所もあるでしょう。
 今回の確認で,解放基盤表面の値を使わなかったのは,東電が地中の地震波記録を上書きで失ったために,解放基盤表面での応答スペクトルの再現作業が遅れているためです。しかし東電は,余震データやサービスホール下の地中データなどから再現すると断言しています。であればそれを使って評価すべきです。このことを強く要請しました。

▼今回の確認作業では,肝心の柏崎刈羽原発での評価が行われていません。柏崎刈羽原発については,基礎マットの観測値をそのまま使って問題ないでしょう。これでS1許容値を超えて変形を起こす領域に入ったことが明確になるはずです。

▼この辺りについて東電の回答は妙なものでした。柏崎刈羽原発の評価は,再現する解放基盤表面における応答スペクトルを用いる。他の原発では,基礎マット上での観測値を用いた今回の確認しか行わず,再現した解放基盤表面のものは,新指針対応の中でなんらかの形で考慮するだけだというのです。やっていることが逆です。推進側は,とっとと確認を済ませて他の原発への波及を止めたいのでしょう。各地で,解放基盤表面での応答スペクトルを使わなければ意味がないと詰め寄っていきましょう。

▼柏崎刈羽については,弾性限界を超えた確認の公表を遅らす一方で,マダラメ委員会下のワーキンググループに維持基準を作った学者を集め,弾性限界を超えた機器を動かす為の地震版維持基準作りを進めようとしています。このワーキンググループについては,検討項目から,弾性限界を超えた場合の検討を外させましょう。

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2007年9月14日 (金)

3号機の耐震計算書から…発生応力が弾性限界を超え機器・配管に変形が生じた!

中越沖地震では,S2の設計値を大きく超える揺れが柏崎刈羽原発を襲いました。中越沖地震による重要な機器や配管における発生応力が,S2による発生応力を超えたことはほぼ確実だと思われます。

焦点の一つはこれが許容値を超えたかどうかです。S1の許容値を超えると,弾性限界を超え,機器や配管が塑性変形によりゆがみが生じている可能性があります。S2の許容値を超えると,破断の可能性まででてきます。少なくともS1の許容値を超えた時点で,原発の再使用はまかりならんということになるでしょう。

そこでかつて,2001年(東電事件の1年前)にシュラウドのひび割れ問題が発生したときに,経済産業省系の原子力公開ライブラリーで手に入れた柏崎刈羽3号機の設工認にある炉心シュラウドの応力計算書を開いてみました。今現在は東電の要請で非公開とされてしまい,改めて東電に公開請求をしています。

①S1による発生応力
②S2による発生応力
③S1に対する許容応力
④S2に対する許容応力

と並べたときに,中越沖地震による発生応力は,②を超えたことがほぼ確実で,③を超えるかどうかが問題になります。一般的には,②を超えても③を超えたとは限りません。ところが,応力計算書にはこんな数字がありました。

シュラウド下部胴 P07 SUS316L 一次一般膜応力
 荷重の組合せⅠ,Ⅱ+S1 許容応力状態 ⅢAS
 …応力強さ 7.5 許容値 9.4 (kg/mm2)

 荷重の組合せⅠ,Ⅱ+S2 許容応力状態 ⅣAS
 …応力強さ 10.6 許容値 15.1 (kg/mm2)

すなわち
①S1による発生応力   7.5(kg/mm2)
②S2による発生応力  10.6
③S1に対する許容応力  9.4
④S2に対する許容応力 15.1

となっており,②が③を上回っているのです。この場合,②を超えたことが確実な時点で,③も自動的に超えてしまうことになります。中間胴の下部は②=③,中間胴の上部と上部胴では,①<②<③<④になっていました。少なくとも下部胴については,S1の許容値を超え,塑性変形によるゆがみを生じている可能性が否定できないのではないでしょうか。他にもこのような部位はあるはずです。

国は既に,柏崎刈羽原発における中越地震による発生応力が,S1の許容値を超え,弾性限界を上回っていることを前提に,それでも原発を動かすための理屈をひねり出すための体制をとっています。

中越沖地震について,原子力安全・保安院が設置した耐震設計・構造小委員会の検討項目は,大きく2つあるのですが,2つめの「今回の地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響の検討」はさらに3つに分かれていて,その2つめに「耐震安全上重要な機器・配管に対する影響の検討(弾性範囲を超える力を受けた機器・配管の健全性評価については運営管理・設備健全性評価WGにおいて検討)」とあります。すなわち,発生応力が弾性範囲を超えるかどうかを,耐震設計・構造小委員会で検討し,超えた場合の評価をマダラメ委員会の下にある運営管理・設備健全性小委員会評価WGでやろうとしているのです。既にこのWGの委員である小林英男氏などは,「変形をうけると材料はかえって強くなる」などと言って,弾性限界を超えても原発を動かすための理屈を探っています。この場で原発再使用宣言を出そうとしています。

20日には,電力の検討結果が出てくると思いますが,S1許容値を少しでも超えれば当然アウトです。許容値を超えない場合があるかもしれませんが,「安全余裕」に逃げ込むことは許さないという姿勢で,再使用はまかりならんとの声をあげていきましょう。

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2007年9月 9日 (日)

【集会案内】10/21(日)浜岡原発震災を止めるための差止裁判勝訴直前集会13:30千駄ヶ谷区民会館

しばらくこの記事はトップに表示されます(最新の記事は二番目から)

連続学習・討論会-柏崎刈羽から今こそ原発・再処理工場のない世界へ-

-第2回-
勝てない理由がない!
浜岡原発震災を止めるための差止裁判勝訴直前集会

-お 話-
浜岡原発運転差止裁判訴訟団団長 白鳥 良香さん
事務局次長 塚本 千代子さん
弁護士 海渡 雄一さん
原告 阪上 武さん/高木 章次さん/ほか

日 時 10月21日(日)13:30~16:30
場 所 千駄ヶ谷区民会館集会室(JR原宿10分)
参加費 500円
主 催 福島老朽原発を考える会/ストップ・ザ・もんじゅ東京
協 賛 浜岡原発を考える静岡ネットワーク
問合せ 03-5225-7213(共同事務所AIR)

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2007年9月 7日 (金)

東大地震研纐纈(こうけつ)氏の断層モデル…西落ち,東落ちどちらか決められない

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会の第13回会合(8月24日)
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g70824bj.htm
において,委員の一人である纐纈(こうけつ)氏(東大地震研)による断層モデルが提示されました。

2007年新潟県中越沖地震の震源過程と強震動(纐纈委員提出資料)
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70824b17j.pdf
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70824b18j.pdf

Koketu

上図で青い四角が柏崎刈羽原発です(クリックすると拡大します)。纐纈氏は,東落ち(原発に向かって下がる)と西落ち(原発に向かって上がる)の2つの断層モデルを検討していますが,結論は,

「強震動波形インバージョンおよび経験的グリーン関数法の解析から断層面を断定することは現時点で難しい」

というものです。どちらでも今回の地震の揺れが再現できるということです。どちらのモデルにしろ,断層は原発直下に延び,アスペリティを原発近傍に配置しています。また,纐纈氏の資料には,

「順方向破壊伝播でなければパルスは出ないのか?」

というタイトルのシートがあります。パルスが出たとして,原発に向かって上がるモデルだけを検討した入倉氏を暗に批判しているようです。

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マダラメ委員会の3つのワーキンググループの資料

マダラメ委員会の3つのワーキンググループがそれぞれ会合をもちました。配付資料のURLをまとめました。保存して活用してください。

マダラメ委員会「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」には,

「運営管理・設備健全性評価ワーキンググループ」
「自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキンググループ」
「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会」

の3つのワーキンググループがあるのですが,3つ目は継続していた小委員会をマダラメ委員会の地震・耐震関係のワーキンググループとしても位置づけたというものです。

マダラメ委員会は,原子力安全保安部会に設置された審議会の一つで,原子力安全・保安院が事務方です。資料は,保安院の審議会のサイト
http://www.nisa.meti.go.jp/00000004/04a00000.htm

と経済産業省のサイト
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/9.html

の2つの入り口があるのですが,保安院は,マダラメ委員会関係が直ぐに出てくるのは便利なのですが,「原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会」だけは,下の方にあり,しかも更新が遅いという難点があります。

経済産業省のサイトでは,一番最後の方に追いやられており,「原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会」については,やはり別扱いで,途中の見つけにくい場所にあります。

3つのワーキンググループの会合資料は以下にあります。

運営管理・設備健全性評価ワーキンググループ(第1回 9月4日)配付資料
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g70904aj.html

中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキンググループ(第1回 8月27日)配布資料
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g70827bj.html

総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会(第13回 8月24日)配付資料
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g70824bj.htm

本体のマダラメ委員会は,次回9月12日の開催案内が出ています。
http://www.meti.go.jp/committee/notice/0004471/0004471.html
平成19年9月12日(水)15:00~17:00
経済産業省別館10階各省庁共用1020号会議室
1  柏崎刈羽原子力発電所に関するIAEA調査団報告書の概要及びそれを踏まえた対応について
2 柏崎刈羽原子力発電所第1号機の炉内簡易点検の結果及び今後の点検計画について
3 小委員会、ワーキンググループにおける検討状況について
4 その他

ついでに,原子力安全委員会の耐震プロジェクトチームは9月11日で,開催案内は以下です。
http://www.nsc.go.jp/kaisai/senmon/senmon/taisinpjc.htm
平成19年9月11日(火)13:00~14:30
原子力安全委員会 第1・2会議室 虎ノ門三井ビル2階
1 耐震安全性について
2 その他

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2007年9月 5日 (水)

東電が切り縮めていた海底活断層の立体模式図

変動地形学の専門家,鈴木康弘氏(名古屋大学)・渡辺満久氏(東洋大学)・中田高氏(広島工業大学)による,中越沖地震の震源近くの海底断層構造を模式的に示した図が名古屋大学のサイトにアップされました。
http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/INFO/niigata070716/katsudanso2.pdf

Kaitekatudanso

図には,

「この図は東電の設置許可申請書(公開版)に掲載された資料から容易に推定されるものであるが、原発設計時には全く考慮されていなかった。」

との説明があります。東電はこの活断層を4つに切り,約1.5~8kmに縮め,評価対象から外していました。東電は今,活断層の再調査を行うとしていますが,それよりも,過去の調査結果から「容易に推定される」はずの推定をせずに,切り縮めていた事実関係とその責任を明らかにすることが先でしょう。

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2007年9月 4日 (火)

浜岡原発近くでの調査から超東海地震の発生が示された

浜岡原発近くのボーリング調査から,東海地震は毎回同じ規模で起きているのではなく,1000年前後に1度,大きな隆起をともなう「超東海地震」が発生していたことが,北大と国の機関(産業技術総合研究所)の調査結果として示されました。「超東海地震」の可能性は,浜岡原発運転差止訴訟で原告側が主張していたことで,原告側の証人の石橋克彦先生も証言されていました。

次にくる東海地震が超東海地震となる可能性は否定できません。その場合には,地殻変動が想定の3倍規模の地震になるとのこと。中部電力は,江戸時代に発生した安政東海地震が,この地域に起こりうる最大規模の地震であるとし,安政東海地震に耐えられるから問題ないと主張してきました。しかし安政東海地震は,通常の東海地震の一種にすぎません。また,中部電力は,1000ガルの地震に耐えるために補強工事を行ったことを強調しますが,その場合でも,想定した地震動は従来の3割増しにすぎません。「超東海地震」が浜岡原発を襲えば,1000ガルを大きく揺れを襲うことは間違いありません。浜岡原発は即刻停止すべきです。

浜岡原発運転差止訴訟の判決は10月26日に予定されています。原告は勝訴を確信しています。この裁判に勝って,柏崎刈羽原発に続いて,浜岡原発も全面停止に追い込みましょう。

東海地震、国の想定上回る?北大教授ら調査(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000593726.shtml

3倍規模の「超」東海地震、千年周期で発生か(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0903/OSK200709030045.html

「国が想定する東海地震の約3倍もの地殻変動をもたらす「超」東海地震が、この5000年に少なくとも3回起きたことが、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)近くのボーリング調査からわかった。この後、もう1回発生しているとみられ、1000年周期の可能性がある。次の東海地震が「超」タイプになるのではないか、という専門家の指摘も出ている。2日まで神戸市であった日本第四紀学会で発表された。」

「調査したのは、産業技術総合研究所(産総研)活断層研究センターの藤原治研究員と北海道大学の平川一臣教授らのグループ。05~07年に浜岡原発から東約2キロの地域で計8カ所、深さ十数メートルのボーリング調査を実施した。堆積(たいせき)物の年代測定などをして調べた。その結果、東海地震が8000年以上前から100~200年周期で起きていることを確認した。加えて、大きな隆起を伴うため、想定東海地震とは別のタイプとみられる大規模地震が、約4800年前、3800~4000年前、2400年前ごろの計3回、起きていたことがわかった。年代は特定できていないが、この後にも同タイプが起きたとみられており、「1000年前後に1度、より大きな地殻変動を起こす地震があることが分かった」と藤原さん。」

「東海地震説を提唱し、国が対策に乗り出すきっかけを作った石橋克彦・神戸大教授は「見つかった超東海地震は、詳しいメカニズムはわからないが、予想されている東海地震より大きなものであるのはほぼ確実だ。次に来る東海地震は、このタイプになる可能性もあり、備えが必要だろう」と指摘する。「国が想定する東海地震はマグニチュード8級。古文書で記録が残る安政東海地震(1854年)の震度分布などを元にモデルが作られており、地殻変動のより大きくなる地震は、想定外だ。浜岡原発は、国の中央防災会議が作ったモデルよりやや厳しい地震でも耐えられるように、3号機から5号機の耐震補強工事を05年から始めた。こちらも、地殻変動のより大きい地震は想定に入っていない。」

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2007年9月 3日 (月)

坂本龍一さんらが「おやすみなさい,柏崎刈羽原発」WEB署名スタート

坂本龍一さんを中心に新たなウェブ署名がはじまりました。
https://www.sitesakamoto.com/unplug_kariwa/index.php

柏崎刈羽原発の運転再開は危険です。

柏崎刈羽原発の周辺には、大きな地震を引き起こす活断層が存在しています。
しかし、その調査が十分に行われないままに、原発は建設されました。原発の耐震設計の基準値は、現実に起こった地震をはるかに下回っているようです。また、火事を起した配電施設を始め、多くの関連施設は岩盤の上ではなく、柔らかい地面の上に建設されています。

今回の地震で、老朽化が懸念されていた一号機を始めとして、七基すべての原発およびその関連施設が損傷を負いました。原発の敷地そのものが大きな隆起、沈下を起こし、デコボコになっている箇所もあります。目視では確認できないヒビやゆがみを含め、原子炉の主要な機器・配管にも損傷が及んでいる可能性があり、再び地震に襲われれば、より重篤な事故を起しかねません。

周辺の活断層が今後、さらに大きなマグニチュード8に達する地震を引き起こす可能性も示唆されています。施設がどれほど修復されたとしても、地下の活断層を取り除くことは出来ません。
取り除けない不安を無視して、柏崎刈羽原発が再び稼動すれば、それは不安の連鎖を引き起こし、社会に必要な信頼を失わせるのではないでしょうか。

柏崎刈羽原発がこのまま静かに役目を終わらせることを私達は望みます。

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2007年8月31日 (金)

柏崎刈羽原発は活褶曲(しゅうきょく)上にある。「真殿坂断層」が動いた!

東洋大の渡辺満久さんらの調査,解析により,柏崎刈羽原発近くで,活断層に押されて地盤が曲がる活褶曲(しゅうきょく)が動いたとみられる隆起が確認されました。

地震のたびにずれるのが断層,地震のたびに曲がる動きをするのが褶曲で,周辺や地下で活断層が動き,その影響で地表で曲がる動きをすることがあるようです。

地元で反対運動を続けてこられたみなさんは70年代から,この地域の褶曲と断層が再活動する可能性を指摘してきました。国と東電は「断層,褶曲は,活断層,活褶曲ではない」と否定していました。新聞記事に「真殿坂断層」とあり,これが動いた可能性が指摘されていますが,この「真殿坂断層」こそ,70年代から活断層か否か,敷地直下に延びているかが論争となっていたものです。東電は一貫して否定していました。(図はクリックすると大きくなります)

Madonozaka4

Danmen

「原発予定地盤は劣悪!」
1974年9月柏崎刈羽原発反対守る会連合/柏崎原発反対同盟
http://www.kisnet.or.jp/net/jishin/197409.pdf
P20の図に加筆

Madonozaka3
社党国会調査団・柏崎原発反対同盟・守る会連合・地区労(写真集)より
http://www.kisnet.or.jp/net/jishin/19770425photo.pdf

国,東電のこれまでの誤りについては,事実関係と責任が明らかにされなければなりません。30年前の東電の調査や判断,国の審査も問題ですが,東電は,昨年の調査後も「褶曲や断層はあるが、約12万年前から14万年前以降は動いていない。活褶曲や活断層ではないと考えられる」としていましたから,東電には今でも調査,判断能力がないことになります。柏崎刈羽原発については,活褶曲の上にあることが明らかになった以上,閉鎖するしかありませんし,東電に原発を立地する能力はないということになるのではないでしょうか。

柏崎原発の地盤10センチ隆起 活褶曲が動いた可能性(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070716/

「新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発付近から柏崎市街地までの地盤が、幅約2キロ、長さ約10キロにわたり10センチ程度隆起していたことが東洋大、名古屋大、広島工業大グループの解析でわかった。活断層に押されて地盤が曲がる活褶曲(しゅうきょく)が動いたとみられるが、東電は「活褶曲はない」という前提で原発を建設、現在も見解を変えていない。研究グループは「東電の調査および国の審査の信頼性が問われる」と話している。」

「同原発が地震のたびに隆起する活褶曲の上にあるという指摘は、1号機建設前から地元の研究者から出ていた。隆起が判明した地域の東縁にある活断層「真殿坂断層」や地震を引き起こした活断層などのずれによって、活褶曲が動いて地面が持ち上がったとみられる。」「東電は原発建設時、ボーリング調査などをもとに、敷地が活褶曲上にあることを否定してきた。昨年9月から10月にかけて原発周辺で人工的な振動を加えて地下の様子を探る調査を行った後も「褶曲や断層はあるが、約12万年前から14万年前以降は動いていない。活褶曲や活断層ではないと考えられる」としていた。」

刈羽原発周辺、断層ずれ隆起か…東電は活動ないと判断(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070830it16.htm

「新潟県中越沖地震で震源となった海底断層から分岐した、陸側の断層(長さ約10キロ・メートル)がずれて、東京電力柏崎刈羽原子力発電所周辺地域が10センチ前後隆起したと見られることが東洋大などの解析でわかった。」

「原発周辺の断層としては、建設前の1970年代前半に東電が実施した地下構造調査で原発の東方約1キロに見つかった「真殿坂(まどのさか)断層」(長さ数キロ・メートル)が知られている。研究チームが、人工衛星が取得した地震後の被災地周辺の画像を解析したところ、この真殿坂断層から柏崎市の市街地に至る帯状のエリアが10センチ前後隆起したことを突き止めた。東電は、「真殿坂断層の上に13万年前以降に積もった地層は変化はない」として、真殿坂断層は活動しない断層と判断した。」

「しかし、同大の渡辺満久教授(地形学)は「断層近くの地表面に30メートルの段差が見られ、活断層である可能性は十分考えられた。東電や国の審査は断層の活動度を甘く評価していたのではないか」と話している。」

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